機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

32 / 290
瞳の中に映る強さ

「お姉さん、凄いね。このZガンダムだっけ? 動かし方を分かってる感じがするよ」

 

 フィールドに出撃したカガミが操るZガンダムは最初こそ初心者特有のぎこちない動きを見せていたが、元々のカガミが要領が良いという事もあってか、手慣れた動きを見せ始めていた。

 

「MSZ-006……Zガンダム。一番、目を引くのは巡航形態であるウェイブライダーへの変形能力を持つ事。ただそれだけではなく宇宙空間から重力下への運用を可能とする破格の汎用性。過去に開発された時点では他を抜き出たオーバースペックという評価を得ているわ。ただやはり人を選ぶ機体に間違いはないわね」

「えーっと……お姉さん、メカオタクって奴?」

 

 ウェイブライダー形態で航空を続けながら、夕香の呟きに自分が知る限りの情報を簡単に説明をする。最もいきなり淡々と話された内容について行けず夕香は表情を引きつらせる。

 

「自分に関係のある事だから知っているだけよ」

 

 今現在はライトニングガンダムを愛機としているカガミはその前にZプラスに搭乗していた。士官学校を卒業し、アフリカへ配属されてからの彼女の今現在までに続くパイロット歴にはZ系統のMSは語るに外せない。

 

 そんな短い会話をしているうちに他プレイヤー機を知らせるアラートが鳴る。チラリと確認すればそれはカイウスガンダムであった。

 

(……そんな動きをしていては……)

 

 しかしモニターに映るカイウスの動きはぎこちなく、先程の厳也達に比べてもその差は歴然だ。こちらに向けてハイパードッズライフルを発射するカイウスではあったが、その射撃は正確性に欠け、WR状態のZガンダムは旋回しながらすぐに距離を縮めていきながら、小型ロケット弾とビームガンを同時に発射する。

 

 ビームガンを避けつつ、バックパックの二門のビーム砲とハイパードッズライフルで迎撃をするカイウスだが、気を取られ過ぎていた。

 既に上方からMS形態へと変形したZガンダムはビームライフルを静かに構え、コクピット目掛け、引き金を引いたのだ。

 

「直撃の筈……」

「あー……完成度の違いじゃない? コトのガンプラはパチ組みって奴だし。どうすんの、お姉さん。このZじゃ結構きついんじゃないの?」

 

 確かにコクピット部分への直撃は感じた。

 しかし撃墜どころか精々、痕が残っている程度である。これにはカガミも僅かに眉を顰め、夕香は想像はついていたのか、仕方のないような表情を浮かべる。

 

(……いつだって私は性能に頼って戦ってきたつもりはないわ)

 

 夕香の言う通り、性能差はある。

 カイウスの攻撃は致命傷になりかねないだろう。しかし、だから何だと言うのだ。自分はかつてライスター隊の一員、そして今はシュウジやヴェルを纏めるアークエンジェル所属のトライブレイカーズの隊長なのだ。ここで無様に負けるようでは、シュウジ達や前アークエンジェル隊のレーア達にも笑われてしまう。

 

 幸いなことに相手は性能こそ高いもののファイターの腕はついてきれていないようだ。ならば突破口はいくらでもある。

 

 ・・・

 

「カガミさん、結構凄いね、あれ本当に初めて?」

(面白い動きするなぁ……)

 

 既にZにはカイウスから放たれた銃撃が向かっている。

 それを無駄をそぎ落とし、必要最低限の動きで避け、Zはカイウスへと近づいていく。

 その光景を見ながら文華は近くにいる咲などに話しかける。そんな光景を一瞥しながら珠瑚はニヤリと笑っていた。

 

 ・・・

 

 既にZとカイウスは接近戦を繰り広げていた。

 カイウスのビームサーベルに対してZはビームサーベル二本で捌いている。これは単純に出力で劣っているという事もあるが……。

 

「……ッ!?」

 

 操縦技術で劣る涼を翻弄すると言う意味もあった。

 そしてその効果は出ているのか、まるで嵐のような勢いでカイウスに反撃の隙を与えない。半ばカイウスが防戦一方となる中でZガンダムは頭部で頭突きを浴びせると、そのまま蹴りを浴びせて反動を利用してWRへと変形する。

 

 態勢を立て直そうとするカイウスにWRは急旋回するとビームガンや小型ロケット弾を再び発射する。直撃したカイウスは身動きが取れない状況の中でWRの突撃を浴びてそのまま地面に激突する。

 

「あっ……」

 

 一方的な攻撃に焦りを見せる涼は何とか行動を起こそうとジョイステックをガチャガチャと動かすが、その前にモニターに現れた影に気づき、動きを止める。そこにはMSへ変形したZガンダムの姿が映っていた。

 

 カイウスはバルカンを発射しようとするが、その前に前腕のグレネードランチャーを頭部に受けてしまい爆風で前が見えなくなってしまう。その間にZガンダムはカイウスが所持していたビームサーベルを拾い、そのままコクピットに突き刺して、今度こそ勝利するのだった。

 

 ・・・

 

「勝っちゃった……」

 

 カイウスのメインカメラから光が消え、その場にはZガンダムが静かに佇んでいる。

 その光景を見ながらコトは信じられないと言わんばかりに呟く。なにせ自分のガンプラはお世辞にも夕香や厳也達と比べ出来が良いとは言えない。そんな素人作の物で勝利をしたなど信じられなかったのだ。

 

「まさに性能の差がって奴じゃな」

「そうね……って先生は?」

 

 感心したように頷いている厳也にこれには文華も純粋に賛同する。

 すると先程まで一緒にいた珠瑚の姿が見えないではないか。辺りを見回して珠瑚を探す厳也達。しかし珠瑚はすぐに見つかった。意外な形であったが……。

 

 ・・・

 

「お姉さん、やるねー。アタシほどじゃないけど」

 

 撃破したカイウスは既に爆散して、この場にはZガンダムしかいない。

 そのシミュレーター内では夕香がカガミを冗談交じりに称賛し、カガミは静かに両目を瞑って微動だにしない。

 

「──!」

 

 しかしそんなカガミはハッと目を開き、Zガンダムは急変形をして上空へ舞い上がると先程までZガンダムがいた場所に無数のミサイルが着弾して爆発を起こす。

 

 ミサイルの発射元を確認すれば、そこには一機の大型の機体が立っていた。

 名前はブレイクボマー。その武装や外見から中~遠距離の機体であると予想される。

 

 ・・・

 

「あれ先生かの……? ガンプラは持ってきてないと聞いておったんじゃが……」

「でも先生、ホテルとかでちまちま何か作ってたわよ。多分、あのブレイクボマーって……」

 

 フィールド内に現れたブレイクボマー。表示されるモニターにはブレイクボマーの下にはGPから表示される珠瑚と思わしき名前が見える。

 それを見て厳也は顎に手を添え、首を傾げているとその隣に立っている文華はブレイクボマーを見つめながら、ある考えを浮かび上がらせる。

 

 ・・・

 

「そーら、逃げんとオダブツになってまうよ」

 

 文華の考えは当たっていた。

 ブレイクボマーを操るシミュレーターの中では珠瑚がニヤリと笑みを浮かべながら、カガミのZガンダムへの射撃を再び開始する。

 

 最初はただ見てるだけだった。

 しかし厳也達や今のカガミのバトルを観戦している内に熱いモノを感じたのだろう。

 

「どーするの、お姉さん?」

「……機体の状態から言っても連戦は避けるべきだけど……逃がす気はないみたいね」

 

 その熱を吐き出すかのように放たれる射撃を紙一重で避けているZガンダムのシミュレーター内で夕香はカガミに問いかけると、カガミは距離を開けようとしても射程外には決して逃さないブレイクボマーを見つめながら静かに呟く。

 

「心配いらないわ」

 

 ならどうするのか、このまま負けてしまうのか、そんな考えが夕香の頭を過る。

 しかしそんな考えを振り払うようにカガミから静かに短く、そして力強い言葉が夕香の耳に入る。その言葉通り、カガミは様子見を止め、ブレイクボマーへの戦闘を開始するのだった……。




<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

不安将軍さんからいただきました。

ガンプラ名:クロス・フライルー

WEAPON ビーム・ライフル(アドバンスド・ヘイズル)
WEAPON ビーム・ナギナタ(シナンジュ)
HEAD ギャプランTR-5(フライルー)
BODY ダブルオークアンタ
ARMS ガンダムヘビーアームズ
LEGS シナンジュ
BACKPACK アストレイゴールドフレーム天
SHIELD シールド(エピオン)
拡張装備 シールドビット×2(両肩側面)
     ミサイルポッド×2(両肩上部)
     GNフィールド発生装置(バックパック)
     IFジェネレーター(右腕)
     シールドブースター(バックパック)
カラー ライトニングブルー

ガンプラ名:ガンダムフォボス

WEAPON 専用ショットガン
WEAPON 太刀(ガンダムバルバトス)
HEAD アストレイレッドドラゴン
BODY アストレイレッドフレーム
ARMS ガンダムAGE-3 フォートレス
LEGS クロスボーン。ガンダムX1改・改
BACKPACK V2ガンダム
SHIELD シグマシスキャノン装甲
拡張装備 Gフィールド発生装置(腰)
       刀(バックパック)
       レドーム(右肩前面)
       レールキャノン×2(腰側面)
       大型ガトリング×2(両肩側面)
カラー エリートネイビーで肩の部分だけ赤黒 

ガンプラ名:ルーツガンダム
元にしたガンプラ:ケルディムガンダムGNHW/R

WEAPON GNスパイナーライフルⅡ
WEAPON ハイパー・ビーム・ジャベリン
HEAD ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル](センサー・ユニット)
BODY ガンダムヴァサーゴ
ARMS ケルディムガンダムGNHW/R
LEGS ケルディムガンダムGNHW/R
BACKPACK ブラストインパルスガンダム
SHIELD シールド(サンドロックEW版)
拡張装備 180mmキャノン(バックパック左側面)
     Iフィールド発生装置(腰後部)
     スラスターユニット×2(両足側面)
     シールドビット×1(バックパック側面)
     ミサイルポッド×2(両肩上部)
カラー  全体的にくすんだ群青だが両肩でシールドの一部は青く、胸のグローカラー部分は色あせた黄色

ガンプラ名:ブレイクボマー

WEAPON 試製9.1m対艦刀
WEAPON GNハンドミサイルユニット
HEAD ドライセン
BODY クシャトリヤ
ARMS ガンダムAGE-2ダブルバレット
LEGS ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]
BACKPACK ファッツ
SHIELD シールド(Ez8)
拡張装備 GNフィールド発生装置(腰後部)
       大型ガトリング×2(両肩側面)
       ミサイルポッド×2(両足側面)
       大型対艦刀(バックパック右側面)
       180mmキャノン(バックパック左側面)
カラー   ブラストグリーン


戦法は機体武装から見て分かるように距離を取りながら中~遠距離からミサイルなどを撃ちまくって味方をサポートするいうシンプルなもの。GNハンドミサイルユニットなどがチャージ中は180mmキャノンによる狙撃を行ったりする。防御面もしっかりとしており、近接戦用の武器もあって近付かれても対処可能となっている。

機体説明
中~遠距離戦に特化させた機体で下手すれば味方すら巻き込むような武装を積んだ機体。本来ならガンプラバトルは滞在中しないつもりだったが、あまりに暇な為に作ってたらしい。旦那(近接戦闘メイン)とのタッグを想定して作っており、1対1の戦闘用ではなくチーム戦の為の機体である。これらの武器は珠湖本人の好みであり得意とするもので、ミサイルなどの実弾武器はIフィールド対策に装備させている。

人物補足
ガンプラバトルでは中~遠距離戦をメインにし、ミサイルやバズーカなどの派手なモノを撃ちまくって自身に目を向けさせるという囮戦術を好んでいる。旦那と会う前まではオールラウンダーで、遠近どちらの戦闘もやれていたが旦那と組んでからはこの囮戦術を使うようになり、爆撃・砲撃重視となった。長年の経験からか相手が嫌がる攻撃をよくしており、相手の動きを妨害するような戦法も得意としている。


ゴランドさんからいただきました。

キャラクター名 桜川 恭
性別 男性
年齢 主人公と同年代
家族 父 母 2歳年下の弟
容姿 身長 174センチ 茶髪 目の色 黒
設定 天然でおだてられると調子に乗りやすく、挑発されるとすぐに怒ってしまう。特にネーミングセンスが悪くガンプラに自分の名前を入れ、弟から呆れられている。ロボ太を見て、武者の方が良かったと思っている。ガンダムキャラの台詞を間違った意味で覚えてしまっており、弟から度々指摘されている。

ガンプラ名 ガンダム-カイゼルイェクスオーバーフルアーマー
略してG-KYO FA
元にしたガンプラ ブリッツガンダム

WEAPON グランドスラム
WEAPON ハイパー・メガ・ランチャー
HEAD ブリッツガンダム
BODY フルアーマー・ガンダム
ARMS サーペントカスタム
LEGS ファッツ
BACKPACK ドーベン・ウルフ
SHIELD シールド(NT-1)
拡張装備 HEAD1 強化センサーユニット
BOTH LEGS ニークラッシャー
機体カラー エリートネイビー
ガンプラ製作者は弟の桜川 涼であり、兄の要望で沢山の武器が搭載されてある。防御力と火力は高く、その分機動性が低く、小回りが利かないなど、扱いが難しいガンプラである。それをカバーする為に装甲をパージする特殊なギミックが搭載されてある。

ガンプラ名 ガンダムカイゼルイェクスオーバーフルアーマーパージアウト 略してG-KYO PO
元にしたガンプラブリッツガンダム

WEAPON グランドスラム
WEAPON ハイパー・メガ・ランチャー
HEAD ブリッツガンダム
BODY ガンダム試作1号機
ARMS ガンダムエクシア
LEGS 百式
BACKPACK ガンダム試作3号機
SHIELD なし
拡張装備 BACKPACK 太陽炉
機体カラーエリートネイビー
G-KYO の装甲がパージした状態。極端に装甲を薄くした分防御力は低くなっているが、機動性、スピードが極端に上がっている。近接特化型になっており、一発でも攻撃を喰らえば大ダメージになる。(例えると、ビームライフル一発ででライフゲージが赤になる。) さらに切り札としてトランザムシステムを使えかる。パージする前より扱いがさらに難しく人より優れた機体操作技術を持つ恭だからこそ扱えるガンプラである。

キャラクター名 桜川 涼
年齢 兄より2歳年下
容姿 茶髪の天然パーマ 瞳の色は黒 身長165前後
性格 兄とは違って真面目だが、押しに弱くいつも兄に振り回される苦労人
設定 小さい頃からガンダムが好きなガンダムオタクでガンプラの製作技術は常人よりも優れているがガンプラの操作技術はとても下手である。ボッチでろくに女性と話したことがないのでバトルではいつも負け続けてばかりであり、イラクゲームパークで機体操作の練習をしている。

ガンプラ名 カイウスガンダム
元にしたガンプラ Zガンダム

WEAPON ビーム・サーベル
WEAPON ハイパードッズライフル
HEAD ライトニングガンダム
BODY Zガンダム
ARMS ZZガンダム
LEGS ガンダムAGE-2ノーマル
BACKPACK オオワシアカツキ
SHIELD ウイング・シールド(ZZガンダム)
拡張装備 無し
機体カラー カラーは大体そのままだがZガンダムのカラーを基準として統一してある。バックパックのカラーリングはウイングが白で砲台が青となっている。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。