機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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間が開いてすいません、色々と更新できない状況が重なり、更新出来ませんでした。
少しずつ更新していきます!


その光は救いになれるのか

『そっか……なら頑張って。今よりもっともっと強くなれるなら……翔君を救ってあげて』

 

 一矢達は予定通り、旅行に出発していた。

 電車に乗って車窓から見える景色を漠然と見つめてはいるが、一矢の頭の中にはルミカから言われた言葉がずっと残っていた。

 

「へぇー! ヴェルさんってシュウジさんと同じチームなんですね!」

「ええ。もう一人、カガミ・ヒイラギさんって言う纏め役がいるんだけど今日はいないの」

 

 その隣ではミサが向かい側に座っているヴェルと談笑をしていた。

 今回、シュウジが提案したこの旅行には彼女も同行していた。しかしカガミは同行しなかったようで、その辺だけが少し残念そうだ。

 

「まぁ、あの人は旅行したいってタイプでもねぇしな。残念っちゃ残念だが、あの人がいると小言ばっかで旅行どころじゃねぇぜ」

「もうシュウジ君ったら」

 

 一矢の向かい側に座るシュウジは背もたれに身を預けながらぼやいていると、いつもシュウジとカガミのやり取りは間近で見ているせいもあってか、ヴェルは苦笑していた。

 

「今頃なにやってんだろうな……」

 

 とはいえ、なんだかんだでカガミを悪いようには思ってはいないようで、彼女のことを考えているのか、一矢と同じようにふと車窓から見える景色に目をやる。

 

「あっ……、あれが目的地!?」

 

 ふと、ずっと会話に参加せずに考え事をしている一矢に気づき、声をかけようとした瞬間、車窓から海が見え、ミサが身を乗り出して指差す。

 

「“こっち”の海はまだ綺麗なんだね」

「まぁ……こっちは派手なドンパチはありませんしね」

 

 ヴェルも海を見ながらどこか羨ましそうに呟くと、彼女の言葉の意味をただ一人、知るシュウジはどこかもの悲しげな表情で答えながら、二人は窓から見えるこの雄大な海の景色を目に焼き付けるのだった。

 

 ・・・

 

 一方、彩渡町を歩いているのはカガミだった。

 彼女はシュウジの提案する旅行に乗り気ではなく、現在、シュウジ、ヴェル、カガミの三人が居候している翔の近くにいる事を選んでいた。

 

(……異世界と聞いて、どんな物なのかと思ってはいたけれど……MS(モビルスーツ)どころか漸く宇宙エレベーターが完成……文明としてはまだまだ発展途中なのね)

 

 彼女はその目でこの世界の事を調べていた。

 自身が慕う如月翔の本来の世界だという事もあり、多少の期待はしていたが、蓋を開けてみれば自分達の世界では何百年も前の技術が最新技術と言われているのだ。

 正直、こちらの最新機器なども自分の世界では似たような物がずっと過去にあり、自分はそれを資料としてしか見た事がないぐらいだ。

 

「──お姉さん、ちょっと良いかのぉ?」

 

 そんなカガミに声をかける青年がいた。チラリと一瞥すればそこには作務衣が着た青年がいた。その後ろには青年の同行者と思われる少女が二人と一人の女性がいた。

 

「彩渡商店街と言う所に行きたいのじゃが……道が分からなくての。良かったら教えてもらえると嬉しいのじゃが……」

「……ごめんなさい、私もこの辺りには詳しくないの。寧ろ今、散策してるところよ」

 

 青年の名前は砂谷厳也(すなたにげんや)

 どうやら彼はこの土地に来たばかりらしく彩渡商店街に行きたくともその場所が分からないでいたようだ。

 しかし彼が聞いた相手が悪かった。

 カガミは口ではそう言っているが、実際の所、この辺りどころかこの世界の事は碌に知らない。

 

「ほおほお……ならご一緒いかがかな、お姉さん。途中で喫茶店にでも寄って──」

「ちょっと何で途中からナンパになってんのよ!?」

 

 それはそれで好都合と言わんばかりにカガミに話を進める厳也ではあったが、その途中で今まで黙って後ろに控えていたゴスロリ服の少女……荒峰文華(あらふねふみか)が厳也の腕を引っ張り、眉間に皺を寄せながら怒鳴る。

 

「一々、お前は口やかましいのぉ……!」

「だったらもう少し自重しなさいよ!」

 

 途中で口出されてしまったことに文句を言い始める厳也だが、すぐに反論されてしまう。

 文華のように文句は言わないもののナンパをしだした厳也を涙目で睨んでいた桜波咲(さくらなみさき)も口喧嘩になり始めた二人に慌て始め、この中で年長者の御船珠湖(ふみねたまこ)はそんな三人を見て笑いながら顎に手を添え、楽しんでいた。

 

『あぁもうっ! アンタが変に口出すからッ!!』

『……貴方が前に出すぎるのよ。死にたがりなら別だけど人の言うことを聞きなさい』

 

 そんな厳也と文華のやり取りを見て、カガミは自分とシュウジの口喧嘩をする姿を重ねる。今では少しはマシにはなったとはいえ、自分、ヴェル、シュウジの三人で隊を組んだ初期の頃のシュウジはまさに問題児であった。

 

「……良いわ、一緒に行っても」

 

 今思えばよくも三人でここまでやれたものだ。

 懐かしむようにふぅっと息をついたカガミは厳也の誘いに乗る。まさか了承するとは思っていなかった文華は目を丸くしてカガミを見やる。

 

「……喫茶店に行く気はないけれど……私も……彩渡商店街に行こうとは考えていたもの。だから良いわ。……迷惑でなければの話だけど」

「迷惑って言う訳はないですけど……本当に良いんですか?」

 

 彩渡商店街に行こうと思っていたのは同じ事だ。

 シュウジから聞いたが、あそこには如月翔が技術を教えたという青年が本拠地にしているという話だ。

 今はシュウジと一緒にいるようだが、どんな場所なのか興味がないわけではない。

 そんなカガミに文華は伺うように尋ねる。もしかしたら気を使っているのではと考えたからだ。しかしカガミはそう言う訳ではなく、コクリと静かに頷き、カガミと厳也達は彩渡商店街に向かうのだった……。

 

 ・・・

 

「……なぁ一矢、なんか合ったのかよ?」

 

 あれから宿泊するホテルに着いたシュウジ達は男女で分かれてそれぞれの部屋に向かっていた。

 一矢とシュウジが泊まる部屋に荷物を置きながら、シュウジはこの旅行に来て、一言二言しか喋らない一矢を怪訝に思い、問いかける。彼やミサの為に企画した旅行なのに肝心の一矢が心ここにあらずなのでは話にならないからだ。

 

「……翔さん……。何かあったの?」

 

 ここで漸く一矢が静かに口を開く。

 突然、翔の話題になり僅かに驚くシュウジであったが、途端に神妙な表情に変わる。

 

「俺……ある人に言われたんだ。俺なら翔さんを救える……助けられるって……」

「……忘れろ。お前にどうにか出来る問題でもないし、理解できる話でもねぇ」

 

 誰が言ったかは分からないが、余計な事を……。そう言わんばかりに一矢の言葉を聞いたシュウジは溜息をつきながら首を振り、一矢に忘れるように促すが……。

 

「覚醒が出来る俺ならって言われたんだ……。だったら……」

「そんなんで根本的な問題が解決できるかよ。もう一度言うぜ、忘れろ」

 

 覚醒できる人間は少ない。

 半ば使命感のようなものを帯びながらシュウジに訴えかけようとする一矢であるが、シュウジはまるで射貫くかのような鋭い視線をぶつけられて言葉を詰まらせてしまう

 

「大体、覚醒って……バトルでどうにかって事か? ……俺より強ぇならまだしもな」

「……あの時とは違うと思うけど」

 

 一矢の救う方法の覚醒という言葉からすぐにガンプラバトルだと察したシュウジは鼻で笑う。そんなシュウジの態度と憧れる如月翔の為、引き下がらない一矢は眉間に皺を寄せながらシュウジに突っかかる。

 

「ハハッ……大きく出るじゃねぇか……。なら見せてもらうぜ、ついて来いよ。今回の旅行でお前を鍛えてやろうと思ってたしな」

 

 一矢の言葉に面白そうな笑みを浮かべながら荷物の中からケースに納められたバーニングブレイカーを取り出す。シュウジの誘いに頷いた一矢もゲネシスが入っているケースを取り出す。

 

 ・・・

 

「あれ、シュウジ君達どこか行くの?」

「ええ、ちょっとガンプラバトルを。昼までに戻りますよ」

 

 廊下に出るとたまたまヴェルとミサに居合わせた。

 ヴェルの問いかけにシュウジはこれからの予定を軽く説明する。

 

「ガンプラバトル……。ねぇ私も一緒に行って良いかな」

 

 するとヴェルはガンプラバトルに興味があるのか、同行を申し出るとシュウジは意外そうな表情を浮かべながらも、微笑を浮かべながら頷き、一人残るのもアレであると思ったミサも同行するのであった。

 

 ・・・

 あれから数十分、最寄りのゲームセンターにやって来たシュウジと一矢はシミュレーターに乗り込み、ヴェルとミサは外に設置されているモニターを見ながら見物していた。

 

「プラモデルでゲームって凄いね」

「ヴェルさんはガンプラバトルした事ないんですか?」

「一応、借り物でガンプラは持ってきてはいるんだけど、やった事はないの」

 

 モニターに映るガンプラバトルを見ながら、プラモデルでゲームという発想に驚いているヴェルとシュウジのチームと聞いていたので、意外そうにしている問いかける。

 しかしチームはチームでもそれはMS隊としてだ。当然、ヴェルやカガミはガンプラバトルをした事はない。

 

「あっ、始まるみたいですよ」

 

 そうしている間に店内対戦によるマッチングが終了したのか、フィールドにバーニングブレイカーとゲネシスの姿が映し出され、それに気づいたミサはヴェルと共にバトルを観戦する。

 

 ・・・

 

 市街地のフィールド上にはゲネシスとバーニングブレイカーが対峙していた。

 相手はシュウジ、口ではあぁ言ってしまったものの勝てる算段などない。全力で向かう。ただそれだけだった。

 

(たかがゲームの中でピカピカ光るだけで翔さんが救えるかよ)

 

 対峙するゲネシスを見つめ、先程の一矢の言葉を思い出して苛立ちを感じる。

 翔が直面している問題は自分も知っている。

 しかしアレは自分でもどうにも出来ない。それがシュウジの苛立ちの中には含まれていた。

 そもそも真にこの世界に如月翔を理解できる人間がいるのだろうか。

 少なくとも彼が体験した事を話したとしても、荒唐無稽と受け止られる、故に彼は自分が体験した事をこの世界の人間には一切話していない。

 

 彼の周りに真に彼を理解できる人間はいない。

 あやこもそして翔が体験した事を知っているシュウジやカガミ、ヴェルでさえだ。

 今、翔を理解できるのは自分達の世界にいるリーナ・ハイゼンベルグだけであろう。しかし彼女はこの世界にはいない。今の如月翔はある意味で孤独であった。

 

「来い、一矢!」

 

 とはいえ、一矢が本気で来ると察知したシュウジは好戦的な笑みを浮かべる。

 今の一矢はライバルとの闘いを経て、成長している。それをこれから感じられると言うのは喜ばしい事だ。バーニングブレイカーは股を開き、右手を突き出して左拳を引き構えを取るのだった……。





<いただいたキャラ&ガンプラ>

不安将軍さんからいただきました。

キャラクター名:砂谷厳也(すなたに げんや)

キャラ設定など
髪:寝癖が付いたままの少し長め黒髪
目:隈がある睨んでるような細めの三白眼(黒目)
容姿:身長180cmの中肉中背だが少し筋肉質
肌の色:そこそこ日焼けしている
年齢:17歳の高校二年生
性格:人懐っこく、作業などの大事な仕事以外は大雑把で面倒臭がる遊び好きなムードメーカー
一人称:わし 爺口調
二人称:基本は名前呼びで呼び捨て(許された場合のみ)。年上の場合はさん付け

高知県代表のチームリーダーだが、大抵の事は副リーダーで幼馴染の荒峰文華に任している。
目つきが悪いせいか不良に間違われることが多い事に悩んでおり、主人公とかに相談したりしている。
よく喋り、男女問わず友人が多いのだが可愛い女の子などを見たらすぐナンパするという困った一面を持っている。荒峰文香とはよく口喧嘩したり喧嘩の延長戦でガンプラバトルをやり合う関係だが仲が悪いというのでなく、信頼し合ってるからやりあってるらしい。
後輩の桜波咲は後輩として可愛がっており、先輩として良い所を見せたいと張り切ってやってるがその恋心に気づいておらず、ナンパする度に睨まれたり半泣きにしては謝罪を繰り返したり買物に付き合ったりなどをしてる。

戦法は主に近距離戦を得意にし、立体的な高速移動をしながらミサイルやマシンガンを撃ちつつ近付きシールド攻撃やビーム・ナギナタでの連続攻撃を繰り出す。ミサイルなどは煙幕代わりに用いる事もある。シールドビットは状況によって攻撃や防御に使用し、アンカーを使って奇抜な動きをしたり一気に敵機に近づく為にやったりする

キャラクター名:荒峰文華(あらみね ふみか)

キャラ設定など
髪:腰まであるゆるふわなウェーブで茶髪
目:やや吊り目で茶色
容姿:身長147cmの細身。年齢よりも若く見られるロリっ娘で少女体形
肌の色:色白
年齢:17歳の高校二年生
性格:男勝りで強気。やる事はどんな事でもきちんとやるが親しくない相手とはあまり喋らず、少し男嫌い
一人称:私 普通の口調(~よ ~ね ~かしら ~でしょ)
二人称:名前呼びで同年代・年下の男は君付け、女はちゃん付け。年上ならさん付け
    砂谷厳也だけは名前で呼び捨て

高知県代表の副リーダーで、リーダーがやらない手続きなどを文句を言いながらやっている。
外見こそ人形のように可愛いと言われるが趣味で武術を学んでいる為に下手な男よりも強く男前。
ハキハキ喋り、歯に衣着せぬ物言いでダメな所などをちゃんと指摘したりしてるが本人は相手の為になるならと思ってのことで悪気はない。幼馴染である砂谷厳也には幼い頃に助けてもらったりして感謝してるが口に出さず、日頃の行いなどについて口喧嘩したりし合っており、恋心はないが何時までも親友でありたいと願っている。
後輩の桜波咲の恋を応援し、助力してるが上手くいかない事に悩んでいる。先輩後輩だが仲が良い

戦法は中距離を維持しつつ射撃などによる近接支援、遠距離から狙う者には砲撃などを行う。一気に加速しつつ撃ちまくり、敵機に近付いたらショットガンを乱射して直ぐ離脱するという一撃離脱戦法も得意とする。指揮したりするが時にリーダーに判断を仰いだりする。近接戦闘はあまりしたがらないが拡張装備などが使用できなくなったらパージしてでも近接戦に移行する

キャラクター名:桜波咲(さくらなみ さき)

キャラ設定など
髪:艶があるベリーロングヘアでストレートの黒髪。前髪は両目が隠れるぐらい長い
目:普段は隠れてるが黒く、たれ目
容姿:身長176cmの細身だがわがままボディ。胸はかなり大きい
肌の色:色白
年齢:16歳の高校一年生
性格:優しく大人しめの照れ屋。少し天然な所もあるが人見知りで、知人と一緒の行動を好む
一人称:私 穏やかで常に敬語
二人称:誰にでもさん付けし、年下の男子だけは君付け

高知県代表のチームメンバーの一人で雑務などを率先してやっている。裕福な家庭の生まれで砂谷厳也と荒峰文香に出会う中学一年までガンプラを知らなかったお嬢様。人見知りの為に知らない人物と会話は焦りながらしつつ、知人とならばまともに喋れる。中学時代に砂谷厳也と接する内に恋心を抱くが告白はまだできず、お弁当を作ったりして渡してるがより積極的な行動をすべきか悩んでいる。荒峰文香は良き先輩であり自身の恋を応援してくれる恩人と見ており、互いの家に泊まって遊んだりしている。ガンプラバトルする時は髪を括り、前髪をバレッタで留めて目を露わにさせる。素顔はかなり綺麗で美少女だが本人は自覚してない

戦法は遠距離からの狙撃や砲撃を重視し、機体に大量に積まれているシールドビットなどで防御や近寄らせない様に弾幕を張って妨害したりもする。それでも近寄られた場合はシールドフラッシュで目を眩ませてる内に距離を取る。近接戦は最後の手段と考えており、指示されるか窮地に追い込まれる時までやろうとしない

キャラクター名:御船珠湖(みふね たまこ)
キャラ設定など
髪:首元まで伸ばしている赤茶色の癖毛で、ポニテにしている
目:猫目の黒
容姿:身長163cmのスレンダーな体形。胸はまぁまぁある
肌の色:健康的な肌色
年齢:32歳
性格:楽天家でのんびり屋。常に面白い事や好きな事を追い求めている
一人称:うち 関西弁
二人称:同年代・年下なら男は名前呼びで女はちゃん付け。年上ならさん付け

高知県代表のチームの保護者という面目で一緒に来た三人が通っている高校の体育教師。三人の行動を笑いながら見ており、たまに昼間から酒を飲んだりして軽く酔っ払う。ガンプラバトルもできるがガンプラを持たずに来たためやれない。結婚しており子持ちだが、今回は旦那(専業主夫)に任せてやってきた。自分の名前をあまり良く思っておらずタマと呼ばれたら静かに怒ったりするので注意を。

チーム自体の設定など
三人とも同じ中学・高校に在校しており、学校でも一緒に行動してた。県代表に選ばれて直ぐに観光を兼ねて主人公達が居る街に高知からやって来て大会が終わるまでホテルで宿泊しており、主人公達とはその時に出会う。三人の戦闘方法は砂谷厳也の趣味であるテレビゲームを参考にしており、たまにそれで練習代わりにしている。
私服は砂谷厳也:作務衣・Tシャツ長ズボン 荒峰文華:ゴスロリ服 桜波咲:ブラウスにロングスカート 御船珠湖:スーツ姿かジャージ

素敵なキャラありがとうございます!

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