機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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今回はお祭りのような内容です。

なので深く考えないでください。

もう一度言います。

今回はお祭りです。ついでに後書きの一番最後におまけもあります。


60000UA記念小説
世界を翔ける


「私に一体、何の用でしょうか?」

 

 ガンダムブレイカーズ事件から一年後、アスガルドのとある喫茶店に呼び出された希空と付き添いのロボ助は向かい側に座る自身を呼び出してきた人物を見やる。

 

「溜めることなく早速、本題かね? 君は父親のように性急だ」

 

 そこにいたのは、あのクロノであった。刑期を終えたクロノはつい最近、釈放されたという話は耳にしていたが、よもや自分をわざわざ呼び出してくるなんて思いもしなかった。そんなクロノはわざとらしくため息をつき、希空は苛立ちを覚える。

 

「……帰らせていただいても? アナタが信用するに足る人物ではないことは良く聞いています」

 

「まあ待ちたまえレディ。今の私は真っ黒だった30年前に比べて、多少はグレーになっているよ」

「……白くはなってないんですね」

 

 スッと立ち上がって、この場を後にしようとする希空とロボ助を軽笑しながら引き止めるクロノの言葉に、頭痛を感じながら希空は再び椅子に座る。

 

「って言うか、何故、私の連絡先を知っているのでしょうか」

「それはプライバシーに関わる問題だ」

「私のプライバシーは明後日の方向に流されているのですが。また刑務所に戻りたいんですか?」

 

 そもそもの問題は何故、クロノが希空の連絡先を知っているかだ。

 希空がまずクロノに連絡先を教えるなんて、あり得ないことだろう。そのことを指摘するのだが、クロノは答える様子もなく頭痛を感じてしまう。

 

「今回は君に私が開発したゲームへの招待状を持ってきた」

「…………………………………………」

「無言で席を立つのは止めたまえ。君はゲームのイベントの類はスキップする性質かね? 最後まで聞くのだ。さあ早く席へ」

 

 話を戻し、顎先に手を組みながら、ニヤリとした笑みを浮かべるクロノ。その笑みを見た希空とロボ助は問答無用で立ち上がり、この場を後にしようとするのだが、クロノによって再び引き止められる。

 

「ゲームのタイトルはNewガンダムブレイカーズだ」

「……」

「おっと席を立たないように。ステイ」

 

 話を戻し、遂に彼が開発したというゲームの名を堂々と口にする、が、希空は嫌な予感しかしない。今度こそ帰ろうとするのだが、その行動を見越したクロノにその寸前で止められた。

 

「なに安心したまえ。今の私は果てしなくグレー。Newガンダムブレイカーズは審査に出しても全年齢対象のAを獲得できるほど、安全かつ楽しめるゲームだと自負している。レビューは星5間違いなしの快作だ」

「怪作の間違いですよね? 安心できる要素がどこにもないのですが? くすんでて実体が見えません」

 

 よほどこのゲームに絶対の自信があるのだろう。殴りたくなるほどのしたり顔を浮かべるクロノにすかさずツッコむ希空だが、それすら愉快そうにこの男は笑っているのだ。

 

「私が信用できないのであれば、そうだね……。このNewガンダムブレイカーズには如月翔やカドマツ技師も携わっている。不安であれば確認してみると良い」

「翔さん達が……?」

 

 希空がクロノを信用していないことは彼自身も良く分かっているのだろう。彼女を安心させる為か、クロノは翔やカドマツの名前を出す。とはいえ、まさかあの二人がクロノに協力しているとは信じ難いのか難解そうな表情を浮かべる希空は一先ず後で確認してみることにする。

 

「……しかし何故、私にこんなゲームを持ちかけたんですか?」

 

 そもそもの疑問としてあるのが、何故、クロノが自分を呼び出してまで、このゲームを勧めたのかだ。言ってしまえば、いくら父親と因縁があっても希空とクロノの接点など皆無に等しい。それが何故、今回、わざわざ……。そのような疑問があったのだ。

 

「私はかつて雨宮一矢に敗れた。そして君はその娘。ゲームを持ちかける理由は十分にある」

「いや、ないと思いますけど」

「私はあると言った。私は君という存在を知ってから、君とゲームをしたくて仕方がなかったのさ。実に惜しいのは私が服役していたことだがね。もしもそうでなければ、私自らが内密かつ丁重にゲームの教育をしたと言うのに。いやはや実に残念だ。まさかこの年になって生き甲斐を感じるとは」

(また変な人に目を付けられた……)

 

 希空にNewガンダムブレイカーズを持ちかけた理由を明かすクロノ。しかしはい、そうですかと納得が出来るわけもないが、それでも無理に押し通してくるクロノに希空は重いため息をついてしまう。

 

「私としては一番の期待株は君だが、君以外の者達にも伝手を通して、連絡をした。30年前、私に関わった人間やその近しい者にね」

「……具体的には?」

「如月奏やルティナ・メリオなど、君のような実力のあるファイターの子供などさ」

 

 しかも話を聞く限り、どうやら自分以外の人間にも声をかけたらしい。一体、誰に声をかけたの問えば、奏やルティナの名前が出ており、この分だと他の子供達も対象だろう。

 

「特にルティナ・メリオは良くやってくれている。安全が確認できた後など、このゲームで積極的に戦っているよ」

(……生粋のバトルジャンキーだからね。ガンダムブレイカーズ事件の後も手当たり次第にバトルを持ちかけてたし)

 

 クロノは携帯端末を取り出し、立体映像を表示させる。そこには確かにルティナのパラドックスが映っており、ちぎっては投げの大立ち回りを繰り広げている。その姿を見ながら、希空は戦闘狂と言っても過言ではないルティナにため息をつく。

 

「それで? Newガンダムブレイカーズの概要を教えてください」

「やっと話が前に進めそうだね。なに簡単な話さ。ガンダムブレイカーズのフォーマットである創壊共闘ゲームはそのままに、ステージ最奥のラスボスを撃破すれば良い。なに敗れたとしても昏睡などはないから安心したまえ」

 

 少しは乗り気になったのか、今日何回目かのため息をつきながら尋ねれば、基本はガンダムブレイカーズと同じようだ。

 

「それでは君のタイミングでゲームを始めると良い。期待をしているよ」

 

 クロノはNewガンダムブレイカーズへのリンクを希空のVRGPに送信すると、スクッと伝票を持って、立ち上がり喫茶店を後にするのであった。

 

 ・・・

 

「確かに翔さんとカドマツさんは関わってたし、二人とも安全は保証してくれた」

 

 それから寮に帰るまでに翔とカドマツ両名に確認をとった希空は何とも言えなさそう表情を見せる。と言うのも、カドマツはクロノではなく、翔に頼み込まれたから当の翔は携わった事と安全性は答えてくれたが、何故、今回のことに関与したのか、その真意までは語らなかったのだ。

 

 《どうしますか、希空》

「……行くよ。奏やラグナさんだって、遊んでるみたいだし」

 

 ロボ助は希空に意見を伺う。これは強制的なものでもない。参加するのも辞退するのも個人の自由だ。しかし希空はNewガンダムブレイカーズに挑む意向を固めると、希空がそう決めたのであれば、と同行するロボ助と共に近くのシミュレーターのある場所まで向かっていく。

 

 ・・・

 

 《希空、準備はよろしいか?》

「うん、ロボ助とならいつでも」

 

 Newガンダムブレイカーズへのリンクを元にVR空間に移動した希空はNEXに乗り込む。すると、同じように出撃準備を整えたロボ助からの通信に頷く。今のロボ助が扱うガンプラは幻獣の鎧を装備したフルアーマー騎士ユニコーンだ。

 

「雨宮希空、ガンダNEXダークハウンド行きます!」

 

 そして希空のNEXにも変化はあった。その名の通り、両肩にワイヤー付きフックを内蔵したバインダーを装備し、額にはドクロレリーフが施されているなど、AGE-2 ダークハウンドを意識した機体となっていた。ハイパードッズライフルの代わりにドッズランサーを装備した希空はロボ助と共に出撃するのであった。

 

 ・・・

 

「ここがNewガンダムブレイカーズ……」

 《確かにウイルスの類は一切ない。任意でログアウトも出来るようだ》

 

 FA騎士ユニコーンを乗せたストライダー形態のNEXdhは広大なフィールドを巡航しながら様子を探る。ロボ助もこのフィールドをすでに調べていたのか クロノが言ったように安全であることを伝える。

 

 《おっ、あーちゃんがやって来たね!》

「歌音さん……?」

 

 すると突然、NEXdhのコックピット内に小さな歌音のアバターが現れる。希空を見て、嬉しそうに笑顔を作る歌音に希空はただただ驚く。

 

 《実はお姉さん、このNewガンダムブレイカーズのナビゲーター(時給1200円)を務めているのです!》

「……成る程。それで、一体、なにを教えてくれるんですか?」

 

 どうやらかつてのシャルルとは違い、こちらの歌音は本物であるようだ。

 とはいえ、ナビゲーターを務めるからにはそれに応じた仕事をするのが常だろう。

 

 《このNewガンダムブレイカーズはかつてのガンダムブレイカーズを安全にプレイ出来るようにしたゲームなの。だから基本的なことはガンダムブレイカーズと同じよ。最深部に待つボスを倒すのが目的。これがそのラスボスがいる場所を記したマップよ》

「……もうラスボスの場所を教えてくれるんですか」

 

 まるで妖精のような大きさの歌音から送信されたデータを展開すれば、確かにポイントが反応しており、そこに何かが待っているようだ。とはいえ、ゲームを始めて早々にラスボスの居場所を教えられたことに希空は不可解そうだ。

 

 《……実はね、もう既にルッティが何度かラスボスと戦ってるの。でも倒しきれずに何度も撤退しているのよ》

「それほどまでに強いんですか?」

 《……ううん。実力的にはルッティが強いはず。でも本当に妙な話で、あのルッティでも倒しきれないんだよ》

 

 すると歌音はそっと小さく希空にラスボスに関する情報を教える。

 ルティナは下手したら、特殊能力を無視すれば、希空を凌駕するほどの実力の持ち主だ。しかしそんな彼女が倒しきれないと言う。疑問を投げかける希空に歌音は心底、解せない様子で答える。

 

 《私もこのゲームの全容までは聞かされてないし、それを本当の意味で知るのは、翔さんとかだろうから……。兎に角、いきなりラスボスに挑むにせよ、気をつけて》

 

 ナビゲーター(バイト)である歌音もこのNewガンダムブレイカーズの全容は聞かされていないらしい。彼女からの忠告に頷いた希空は通信を終える。

 

 《どうする?》

「……自分の目で確かめてみないと。兎に角、まずは行ってみよう」

 

 考えこむ希空にロボ助が意見を伺うと、希空は意を決して、様子見にラスボスを挑む為、NEXdhを加速させ、一気にラスボスが待つポイントに向かう。

 

 ・・・

 

 ラスボスとなる機体が待つのは、かつてのガンダムブレイカーズ同様の浮遊城だった。砲台の迎撃を何とか掻い潜ったNEXdh達は浮遊城に侵入し、ポイントの示す場所へ急ぐ。

 

「……フェネクス」

 

 MSサイズに適した広さの玉座にたどり着き、MS形態に変形するNEXdh。希空は煌びやかな玉座の中央で悠然と佇んでいる黄金色の装甲を持つユニコーンガンダム三号機・フェネクスを見やる。どうやらポイントを見る限り、フェネクスがラスボスのようだ。

 

 NEXdhを確認したフェネクスは有無を言わずして、ビームマグナムを発砲する。NEXdhとFA騎士ユニコーンは咄嗟に散開する。

 

 先に行動を起こしたのは、希空であった。アンカーショットを素早く放ち、高圧電流を流して、フェネクスの機能を麻痺させると、デストロイモードに変形される前に一気に近づいて、ドッズランサーを突き放す。

 

(──もらった)

 

 撃破できると確信した。そのまま真っ直ぐドッズランサーの矛先で穿とうとする。

 

「──ッ!?」

 

 だが、フェネクスのコックピットを狙った一撃は確かに直撃したものの、穿つどころが傷一つつかず、装甲によってただ受け止められただけに終わったのだ。

 

 《希空ッ!!》

 

 すぐさまロボ助からの注意が飛んでくる。見れば、機能不全から回復したフェネクスは無理やりアンカーショットを解こうと言うのだ。すぐにNEXdhはフェネクスから距離をとる。

 

 ・・・

 

(……傷一つ通らないなんて)

 

 あれから10分は経過したであろう。しかし軽微な損傷を負うNEXdhやFA騎士ユニコーンとは違い、フェネクスはいまだ全くの無傷なのだ。バフか何かか兎に角、どうにもならない状況は希空は表情を険しくさせる。

 

 だが、そんな希空もお構いなしにフェネクスはビームマグナムの引き金を引く。すぐさまNEXdhとFA騎士ユニコーンは目配せを交わすと、ビームマグナムの一撃を避けて、踏み込むと同時に攻撃する。

 

「……!」

 

 ここで漸くフェネクスが損傷が入り、仰け反ったのだ。

 それに安堵するのも束の間、フェネクスに変化が起こる。何と装甲を展開し、青白く輝くサイコフレームを露にし、毒々しいツインアイを輝かせてデストロイモードへの変形を果たしたのだ。

 

「──動きがッ!?」

 

 デストロイモードへ変形したフェネクスの動きは段違いに跳ね上がったのだ。目前に迫るフェネクスに希空とロボ助は防戦一方に追いやられる。

 

「このままでは……ッ」

 

 やられる。そう思った時だった。

 

 四方八方から放たれたビームがフェネクスDを襲い、突然の乱入にフェネクスDはNEXdhから距離を置き、相手を探す。

 

「──こっちだ。一先ず退くぞ」

 

 希空とロボ助にすぐさま通信が入る。どうやらこの場にいないようだが、フェネクスを襲った正体であるフィンファンネルは主の下へ戻っていき、それを頼りにしろと言うのだろう。NEXdhとFA騎士ユニコーンはその後を追う。幸いなことにフェネクスは玉座から動く気はないらしく、追撃はなかった。

 

 ・・・

 

「あれは……」

 

 浮遊城から逃れ、フィンファンネルが向かった場所にたどり着いたNEXdh達。そこに待っていた機体を見て、希空は驚く。

 

「ガンダムブレイカー0……? ……じゃあ、もしかして翔さん……?」

 

 そこにいたのは、かつて如月翔が作成した原初のガンダムブレイカー0だったのだ。ならば、それを操るのは如月翔なのか。

 

 《……俺を知っているのか?》

 

 希空の声が届いていたのか、ブレイカー0からの通信が届く。それは確かに翔のものではあるが、どこか幼さを感じる。そう、まるで自分と同じ年のような。

 

「えっ?」

 

 するとブレイカー0はコックピットを展開して、中のパイロットが姿を現す。

 そこにいた翔に希空は眼を丸くした。なんとそこにいた翔は自分と同い年くらいの青年だったのだ。

 

「……気付いたら、ここにいてな。何か情報を知らないか?」

(NPC? ……いや、でも、ブレイカー0もアバターもUnknownって……)

 

 しかもこの翔はおかしなことを聞いてきたのだ。このNewガンダムブレイカーズは如月翔が携わったもの。にも関わらず、情報を知らないような素振りを見せているのだ。

 それで考えられるのはゲームキャラなのかぐらいだが、NPCの反応もなく、とはいえ、この翔が演技をしているようにも見えず、ただ謎に包まれた存在なのだ。

 

「……何の反応もないな」

 

 一方、翔は希空が混乱しているせいで、反応のないNEXdhに顔を顰める。

 

【なにがどうなってるんだろう……】

(……シーナ)

 

 すると、翔の内側から優しげな女性の声が聞こえる。その声の人物の名前を内心、口にする。

 シーナ。それは翔にとって、シーナ・ハイゼンベルクその人以外に他ならなかった。

 

(俺達はアフリカタワーでデビルガンダムと戦っているレーア達を助けるために、あの世界に戻ろうとしていた筈だ)

【うん、それは間違いないよ。でも、世界を渡る最中、干渉するような強烈な違和感に引き寄せられたのは覚えてるよ】

(そして気がつけば、この世界……。身体も実体じゃないような違和感があるし……一体、なにがどうなっている)

 

 如月翔とシーナ・ハイゼンベルクが共にアフリカタワーに現れた悪魔との戦いに身を投じたのは今から35年前のことだ。しかし、彼らはその35年前の出来事を今現在の話のようにしているのだ。

 

「……ん?」

 

 するとここで漸くNEXdhに動きがあった。コックピットを開いたNEXdhに翔が視線を向ければ、希空が姿を見せていた。

 

「……少し話をしませんか?」

 

 翔に話を持ちかける希空。お互いが情報などに不明瞭である今、それが一番だと考えたからだ。それは翔も同じだったのか、コクリと頷くのであった。

 

 ・・・

 

「まさか、君が協力してくれるとは思わなかったよ」

 

 場所が変わり、現実世界。コンピューターなどの機材が置かれたこの部屋でクロノはそこでNewガンダムブレイカーズの様子を見つめていた希空も知り、そして何よりこの30年で人ならざる雰囲気を纏った如月翔に声をかける。

 

「……俺も知りたいことがあった。それにはお前の協力が必要だった」

「ああ。”かつての君達”のことか」

 

 如月翔が見つめている映像には丁度、ブレイカー0とNEXdhが接触している場面が映し出されており、そこに映る翔を見て、クロノはくつくつと笑う。

 

「平行世界は常に均一に同じ時間が流れているわけではない。時間の流れが異なるマルチバースから特定の人物を探し、波長が合った時間から一時的に思念体だけをVR世界に引き寄せ、アバターの仮初の身体を与え活動させる……。それがまず始めの目的だったね」

「かつてシーナ・ハイゼンベルクが如月翔に接触して異世界に誘った方法の応用だ。そしてより確実性を高めるために新人類の技術力を頼った」

 

 クロノが翔から言われた彼の最初の目的を口にすると、如月翔は自分のことをまるで他人事のように話しながら、画面を見つめる。

 

「しかし平行世界とはいえ、かつての自分に似た存在だけではなく、他にもあの3人の思念体まで引き寄せるとはね」

 

 するとクロノは画面を切り替え、画面を三分割すると、そこにそれぞれ映った機体達を見て愉快そうに笑う。

 

 ・・・

 

 

 

「ったぁく! 旅をしてた筈なのに、気付いたらMFでもないバーニングブレイカーの中とはなぁッ!」

 

 

 

 真紅の覇王・バーニングガンダムブレイカーを操るのはまだ異世界やルルトゥルフに訪れる前の旅を続けているまだ血気盛んな若者であったシュウジだ。

 

 

 

「俺は……確かにテザーを切った静止軌道ステーションの中で地上に帰るのを待ってた筈なのに……」

 

 

 英雄と覇王の力を受け継ぎし新星の機体・ゲネシスガンダムブレイカー。そのコックピット内では実物大ガンダムによるテザー切断後、地上に帰るまで静止軌道ステーションで数週間の日々を過ごしていた雨宮一矢だった。

 

 

「んー……? これVRだよね? でも、僕は気分悪くて医務室で眠ってた筈だけど……」

 

 

 絶望を物ともしない希望の守り手であるEXガンダムブレイカーの姿もあった。そして当然、その中にいるのは優陽であり、彼自身はこの世界がVRであることは分かっていても体調不良から離脱していた筈だと愛らしく小首を傾げていた。

 

 

 ・・・

 

「あそこにいるのは本人であって本人ではない。一時的にこの世界に具現化した影法師。何れは露のように消え去る」

「しかし、シーナ・ハイゼンベルクだったかね? 彼女が君を異世界に誘った方法の応用だとしても、一時的でも四人分の思念体を引き寄せるのは、君と言えどかなり消耗しているようだね」

 

 それぞれ異なる場所にいる三機のガンダムブレイカーを見つめる如月翔はなにを考えているのか。少なくとも淡々と話すその言葉から、感情の類は一切感じない。

 とはいえ、新人類として人と異なるクロノは多少、今の翔が消耗しているか否かは分かるのか、何故そこまでするのかと疑問を投げかける。

 

「……確かに消耗は激しい。それにあそこにいる四人も一日すら保てず消えるだろう。少しバグのようなモノもあったからな。だが、俺にはそれでも知りたいことがある……」

 

 クロノの言うように、消耗しているのは事実なのか、目を瞑り、スッと小さく息を吐く如月翔は再び画面を見つめる。その揺れ動かぬ瞳は一体、なにを考えているのか。それは当人以外、分からなかった。




今 回 は お 祭 り で す!
…いや、EX編でシリアスやったし、集大成的な感じで明るく騒ごうとかそんな感じです。だって、こんな集合モノがやりたかったんですもの。

あぁちゃんとこれが終われば、また短編に戻りますので。この話も大体、全七話で終わるように構想してあります。

ガンプラ名 ガンダムNEX ダークハウンド

WEAPON ドッズランサー
WEAPON ドッズガン
HEAD ライトニングガンダム
BODY ガンダムAGE-2 ダークハウンド
ARMS ガンダムAGE-2 ダークハウンド
LEGS ガンダムキュリオス
BACKPACK ガンダムAGE-2 ダークハウンド
SHIELD ガンダムキュリオス

拡張装備 ドクロレリーフ(額)
ブーメラン型ブレードアンテナ(額)
ニーアーマー×2(両肩)
大型ガトリング×2(バックパック)
内部フレーム補強

例によって活動報告にリンクがあります。

<おまけ>

60000UA記念絵
(左から奏、シュウジ、一矢、優陽、ラグナ、翔)

【挿絵表示】


希空「……ホストクラブ・ブレイカーズ…?」
歌音「ごはぁっ!?」
ルティナ「歌音が死んだ!」
夕香「最終章の【集結の地】で載せた50000UA感謝のヒロイン集合の対になるまさにガンダムブレイカーズだね。パーティーを意識した奴であり、集大成のようなものでもある」

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