機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

236 / 290
始動

 ついに宇宙エレベーター・パライソとの代表戦の日が訪れた。

 バトルが行われるのはアスガルドの特設施設であり、コロニー同士の代表戦と言うこともあってか多くのガンプラファンが押しかけ、メディアからの注目も高かった。

 

 《ハイハーイ、会場のミサナーン! バーニングってマスカー!?》

 

 その会場の至るところに設置されている液晶モニターにはシャルルが映し出されていた。コロニーカップを担当するだけあって、会場にいる観客達に溌剌と呼びかけていた。

 

 ・・・

 

 《現地に来れなくてもだいじょーぶデース! バトルを行われているVR空間で直接、見れますからネー》

「楽しみですねー」

 

 会場に繋がるVR空間では、希空と連絡を取っていた舞歌が友人達と共にこれから行われる代表戦を間近で見ようと期待に胸を躍らせていた。VR空間と言うこともあり、その服装は【機動戦士ガンダム00】に登場するアニュー・リターナーの服装を身に纏ったアバターだった。

 

 《現地に来なくともVRで臨場感を味わえる……。やー、便利な時代になったものデス。今はガンプラ作りにも接着剤はいりませんからネー》

「それはかなり前からだろ」

「まあまあ」

 

 VR空間の観客席に表示される立体映像に映るシャルルのボケに舞歌と共に来た秋城涼一のツッコミを入れると、その近くにいた村雨愛梨が宥める。彼らも苗字で分かるとおり、それぞれ秋城涼一・コト夫妻、村雨莫耶・アメリア夫妻の実子である。

 

「彼女達とはGB博物館以来だけど、ちゃんとバトルを見るのは初めてだなー」

「そうか。だが期待に背くようなバトルにはならないだろうさ」

「ええ、だからこそ楽しみね」

 

 またかつてGB博物館で希空と面識のあり、亜麻色の髪色が特徴的で前髪に子犬のヘアピンをつけたショートボブの少女の蒼月明里は今か今かと代表戦を待ちわびていると、落ち着いた雰囲気を持ち、希空達とは幼い頃からの付き合いがある神山貴文と御剣サヤナもこれから始まるバトルに期待感を募らせている。因みに貴文の母は荒峰文華、御剣サヤナの両親は御剣ジン・サヤ夫妻だ。

 

 ・・・

 

「さぁーてっと……。楽しませてね、おねーちゃんっ?」

 

 また会場にはルティナの姿もあった。現在、コロニーカップでシャルルは生でパフォーマンスを行っているため、彼女もこの場についてきたのだ。その目的はやはり奏にあった。

 

 ・・・

 

 《では、参りまショウ! コロニーカップ代表戦! アスガルドVSパライソ!!》

「いよいよだな……。緊張する……」

 

 遂に代表戦の時を迎えていた。シャルルの声が響くなか、これまで経験したことのない規模の大会と言うこともあり、奏は緊張した面持ちを見せる。

 

「きっとそれもバトルが始まれば、なくなります。あそこにいるのはパライソで最も強いチームですから」

 

 そんな奏の隣に立ちながら、希空は奏を激励するように声をかけた。彼女自身も緊張 はしている。だがそれ以上のバトルへの高揚感で満ち溢れているのだ。

 

「希空、良い顔をするようになりましたね」

「そう、ですか……? 自分では何とも……」

「ええ。これまであった負を感じられない。今、ここにいる貴女は紛れもなく一人のガンプラファイターだ。ヨワイとのバトルの後から、一皮剥けたように感じます」

 

 希空のそんな姿を見て、ふとラグナが穏やかな笑みを浮かべる。ここ最近、ラグナには厳しい言葉ばかりかけられていたと言うこともあり、どこか驚き、戸惑った様子の希空にラグナは純粋に彼女を認めた発言をした。

 

「……そうですね。今の私は違いますから」

 

 奏も同意するように笑いかけると、照れ臭そうに視線を彷徨わせた希空はやがて顔を上げると、先陣を切って、パライソとのバトルに臨むのであった。

 

 ・・・

 

「あっ……」

 

 会場には既にパライソの代表メンバーが待ち構えていた。三人構成のチームであり、その中心にいる銀髪の少女が希空達を見つけて反応する。

 

「久しいな、クレア。パライソの代表であることは知っていたが、手加減は期待するな」

「……そんなものは必要ありませんっ」

 

 そんな銀髪の少女に奏が懐かしむように笑みを浮かべながら声をかける。銀髪の少女の名は神無月クレア。神無月正泰・シアル夫妻の娘だ。奏の言葉に気弱な性格のクレアだが真っ向から突っぱねたのだ。そんな彼女に満足げに頷いた奏と希空達はガンプラバトルシミュレーターVRに乗り込むとVR空間を介して出撃するのであった。

 

 ・・・

 

 バトルのステージに選ばれたのは、コロニーカップと言うこともあり、宇宙コロニーを舞台にしたものだ。コロニーの町並みを早速、ニュージェネレーションブレイカーズを駆ける。

 

「パライソは他のチームよりも個々の実力が抜きん出ているようですね」

「なに、その手の相手はいくらでもやりあってきた」

 

 騎士ユニコーンを乗せたストライダー形態のNEXを操縦しながら希空はクレア達のチームについての上方を口にすると、奏は望むところだとばかりの笑みを浮かべていた。

 

「……先行します」

 

 程なくしてパライソの反応をセンサーが感知する。パライソはクレアのAGE-3をベースにしたようなNEXTAGEをリーダー機に、アンクシャとセイバーガンダムで構成されたチームであった。機動力のあるチームを前に希空はNEXを加速させる。

 

 《時空を超え、その力を示せッ!》

 

 だがそれは決して独断行動ではない。NEXの上でビーストモードに姿を変えた騎士ユニコーンはアカシックバインダーと二枚のカードデバイスを使用する。

 

 《コールッ!!》

 

 すると愛馬である緒羅四恩と合体した武者精太と空戦型モビルディフェンダーであるガンイーグルを召還して奇を衒う。

 召還したSDは実際に使用するプラモに比べれば、総合的に劣るが、それでも数による有利さはある。とはいえ相手も宇宙コロニーの代表。最初こそ召還されたSD達に反応したが、瞬時に切り替えて戦闘を開始する。

 

「だったらッ!!」

 

 NEXTAGEも召還したSDを率いる騎士ユニコーンを二人のチームメイトに任せて、NEXにバックパックに装備されているファンネルを放つ。NEXを狙って、複雑な動きを持って襲い掛かるNEXTAGEとファンネルの数々。しかしNEXはあえて相手にすることはせず、その機動力を大いに活用しながら逆にNEXTAGEを翻弄するように動き回る。

 

 だがファンネルの数々も突然、降り注いだGNマイクロミサイルによって半数が破壊され、同時にMS形態へ変形したNEXによって破壊される。

 

「やっぱり厄介ッ!」

 

 マイクロミサイルはクロスオーブレイカーによるものだ。ゲームだと人が変わるタイプなのか、クレアは上空のクロスオーブレイカーを鋭く見やると、標的をクロスオーブレイカーに変えようとするが、クロスオーブレイカーはトランザムを発現させた。

 

「なっ……!?」

 

 NEXTAGEも負けじとトランザムを発現させ、迫るクロスオーブレイカーにソードメイスを構えて突進する。しかしここから近接戦が始まるのかと思いきや、クロスオーブレイカーは眼前で量子化したではないか。振るったソードメイスが虚しく空を切る中、背後から隙を見たNEXによってハイパードッズライフルを受けてしまう。

 

 量子化したクロスオーブレイカーはそのまま既に召還した武者精太達を失っていた騎士ユニコーンと戦闘を続けるアンクシャの背後に現れると、そのままGNソードⅢを展開して、すれ違いざまに両断して見せたのだ。

 

 突然のクロスオーブレイカーの襲撃もあって驚くセイバーに対して、奏は瞬時に一本のレーザー対艦刀を投擲すると、そのビーム刃の部分にライフルモードのGNソードⅢの引き金を引いて、ビームを目眩ましのように使用する。その一瞬の隙が鈍った瞬間、騎士ユニコーンがマグナムソードによる痛烈な一撃を浴びせ、そのまま流れるように致命打を浴びせて、撃破する。

 

「奏は相変わらず頼もしいです」

 

 奏は切り札と言える存在。故に希空達は相手を翻弄させ、彼女に隙を突いて奇襲させる作戦に出たのだ。

 奏の奇襲とロボ助の連携によって、瞬く間に二機を撃破したのを確認しながら希空は呟く。だがそれはかつての劣等感に苛まれていたものではない、純粋に彼女の実力を認めての発言であった。

 

「ですが、私も負けません」

「こっちの台詞ッ!」

 

 すぐさま切り替えるようにNEXTAGEに注意を向ける希空。現在、NEXTAGEとの近接戦において、ビームサーベルの二刀流で対抗している状況だ。気を抜ける相手ではなく、だからこその楽しみもある。

 

 NEXとNEXTAGEによるぶつかり合いが行われる。刃を交えつつ、決してNEXを逃さないとばかりに腕部ガトリングガンが放たれるが、NEXはシールドでガードすると、そのままシールドを投擲する。

 

 間髪いれずにNEXTAGEはコンパットナイフを投擲して、シールドを弾くなか、空いた左腕にGNビームマシンガンを乱射していく。シールドを失ったNEXが二本のビームサーベルで何とか対処するなか、ビームがNEXTAGEを襲う。クロスオーブレイカー達の援護によるものだ。

 

 そのままクロスオーブレイカーはNEXTAGEに向かって突進していく。再び量子化するのか?そう思ったが、今度はちゃんと刃を交えることが出来た。クレアもオールラウンダーのタイプではあるが、近接よりなのかクロスオーブレイカーの勢いに押されることなく、対抗しようとしている。

 

「……おっと」

「もらった!」

 

 刃を重ねていくうちにクロスオーブレイカーのGNソードⅢの刃を切り払ったNEXTAGE。クロスオーブレイカーの機体がよろめくなか、NEXTAGEがソードメイスをコックピット狙って突き放とうとするが、その瞬間、目の前でクロスオーブレイカーが量子となって消え去る。

 

「──ええ、もらいました」

 

 量子化したクロスオーブレイカーの背後にはハイパードッズライフルの銃口を向けるNEXがいたのだ。クレアが目を見開くなか、引き金を引き、NEXTAGEを貫き、撃破するのであった。

 

 ・・・

 

 《Congratulations! コロニーカップ優勝はニュージェネレーションブレイカーズ!!》

 

 NEXがNEXTAGEを撃破した瞬間、シャルルによって改めて勝者が告げられ、観客達は大歓声が巻き起こる。

 

 《これでニュージェネレーションブレイカーズはグランドカップに進出デスネ! 早速、意気込みと共に勝利者インタビューを──》

 

 そしてこの勝利はグランドカップへの進出を意味する。歓声が鳴り止まぬなか、シャルルは早速、ニュージェネレーションブレイカーズの元へ向かおうとするのだが…………。

 

 《──えっ……?》

 

 その瞬間、シャルルのいるVR空間の上方が格子状のラインが引かれた瞬間、崩壊したのだ。

 

 ・・・

 

「──あれは!!」

 

 誰もが驚くなか、一番に強い反応を示したのはラグナであった。彼には覚えがある。あれはこじ開けた経路からウイルスを侵入させたりするかつてのウイルス事件で見られたやり方だ。

 

「……ッ!!」

 

 そして次の瞬間、悲鳴を上げることさえ叶わず、シャルルがウイルスが発生させた触手に身を絡められて陰に呑まれてしまったのだ。

 

 ・・・

 

「早くログアウトを……ッ!」

 

 VR空間で異変に気づいた奏はすぐに指示を出そうとする。今の奏達にはワクチンプログラム等の対抗手段がなかったのだ。

 

「《希空ッ!》」

 

 だがウイルスの行動はあまりにも迅速であった。

 ウイルスは瞬時に希空に目標を定める。それに気付いた奏とロボ助が希空に向かいながら彼女を呼びかけるが、無情にも奏達の目の前で希空はシャルル同様に触手に捕らえられ、影に飲まれてしまうのであった。




<いただいたキャラ&ガンプラ>

クラストロさんよりいただきました。


キャラ 神無月 クレア
年齢 15歳
性別 女
アバター スメラギさんの服装
設定
正泰とシアルの娘で長女、外見はFAGのアニメに登場した、アーキテクト人間ver です。
母と変わらず巨乳、そして父の心配性な性格が昇華され気弱な性格になった。
しかしシュミレーターの中では、活発な性格になる、ハンドルを握ると性格が変わるタイプです。バトルはかなり巧く、遠近両方行ける近接よりのオールランウダーです。

ちなみに、20歳となる兄がいるが海外にいるので出番は無い。

一人称 基本は私、性格が変わるとあたし
二人称 男性や年上の女性には~さん それ以外は~ちゃん、性格が変わると呼び捨てか、あんたになります。

口調 基本は丁寧語、性格が変わるとタメ口

ガンプラ名 NEXTAGE(ネクストエイジ)

WEAPON GNビームサブマシンガン
WEAPON ソードメイス
HEAD ガンダムAGE-3ノーマル
BODY ガンダムキュリオス
ARMS パワードジムカーディガン
LEGS ガンダムAGE-3ノーマル
BACKPACK サザビー
SHIELD ブルーディスティニー1号機
拡張装備 背面 太陽炉
        GNフィールド発生装置
     頭部 V字型ブレードアンテナ
        バルカンポッド
      腰 コンバットナイフ
 

コンセプトは使いやすいガンプラです。
武装なども少なめになっている代わりに基本性能が高く作られている、オールランウダーな機体。
特に特別な機能は無くファイターの純粋な能力が問われる機体です。作成のイメージは主役ガンダムっぽい機体です。
機体色は白と紫、そしてアンテナ類が黄色です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。