機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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蒼天の空に

 市街地を舞台にした三つ巴の戦いは苛烈を広げていき、整備された市街地もすぐに荒れ果てた廃墟の広がる街並みへと変貌していく。今でも地上で、空中でと銃弾飛び交う激闘が繰り広げられている。

 

「こちらは普段のチームとは違うからな。連携を断ち切らせてもらう!」

 

 なによりも速く動こうとしているのはプライベーター選抜チームだろう。彩渡商店街チームやネオ・アルゴナウタイと違って、彼らはあくまで個人個人が選抜ファイターとして大会側に選ばれたに過ぎない。普段から異なるチームメイトでは当然、いつもチームで行っているような連携は取れず、世界レベルのチームが集う本大会では苦戦は免れないだろう。

 

 だからこそ下手に連携をとって攻められる前にその連携を断ち切らねばなるまい。早速、ユニティーエースがスーパードラグーンを放つ。それと同時に近接に特化したタイプのエンファンスドバランサーとクロス・ベイオネットがスーパードラグーンの掩護を受けながら飛び出し、両チームの間に割って入って行く。

 

 連携を乱すために突入してきた両機体にそれぞれのチームが対応しようとするなか、攻撃を仕掛けるよりも前にアドベントの豊富な射撃武装とユニティーエースのスーパードラグーンがその手を阻み、堪らず両チームはそれぞれが散開して散り散りになる。

 

「いつまでも好きにやらせるわけにはいかないな」

 

 だがやられっ放しでいては世界大会に出た名が廃るというものだ。追撃しようとするクロス・ベイオネットのハイパービームジャベリンの一撃よりも早く放たれたヘラク・ストライクのグランドスラムの一振りはクロス・ベイオネットが放ったハイパービームジャベリンの一振りを逆にはじき返し、その勢いのまま蹴り飛ばすと腕部のグレネードランチャーを放つ。

 

 損傷は受け、吹き飛んだもののクロス・ベイオネットはシールドのヒートロッドですかさず迫るグレネードを破壊し爆炎が広がる中、炎を飛び出すようにインコムを放って、死角からヘラク・ストライクを攻撃して損傷を与える。

 

「下手に近づけさせるかッ!!」

 

 一方でトールギス・アキレウスがクロス・ベイオネットとエンファンスドバランサーの掩護をするアドベントへ迫る。圧倒的な加速を持って近づいてくるトールギス・アキレウスに正泰は無数のマイクロミサイルを放つが、その前にシールドピットを使用して、迫る攻撃を全て凌いだトールギス・アキレウスは止まらず、正泰の言葉も虚しくそのままアドベントと接近戦に発展する。

 

 ユニティーエースもアドベントに加勢しようとするのだが、それを遮るようにスーパードラグーンとCファンネルがその行く手を阻み、次の瞬間、エンファンスドバランサーをスペリオルドラゴンに任したリミットブレイカーが急接近し、カレトヴルッフを放つ。すかさずGNソードⅤで受け止める。

 

「あの時とは比べる事も出来ないな……ッ!」

 

 そのまま近接戦に発展するかと思いきや、ユニティーエースを払い除け、スーパードラグーンとCファンネルによるオールレンジ攻撃を仕掛ける。軽い損傷を負いつつも、回避するジンは苦い表情を浮かべる。だがそれも束の間、アドベントと戦闘をしていたトールギス・アキレウスがシラヌイとウンリュウを使用した攻撃を軽やかに距離を取るように回避すると共に次の標的をユニティーエースに移して、フェイロンフラッグを振るい、ジンの意識はトールギス・アキレウスにも向けられる。

 

 元々、距離を取っていたリミットブレイカーはオールレンジ攻撃の標的をそのままアドベントへと移す。ビームコーティングマントによってスーパードラグーンのビームから身を守ることは出来るもののCファンネルの刃からは守れず、マントに破れが目立っていく。

 

「そんな大きな剣だったら!!」

 

 するとアドベントはトランザムを発動させ、Cファンネルによるマントの損傷も構わず、リミットブレイカーへと飛び出して行き、二刀流による激しい攻撃に打って出る。リミットブレイカーもカレトヴルッフでは小回りが利かず、防ぎ続ける。

 

「……それなら」

 

 一矢はアドベントの猛攻の一つ一つを見極めて、カレトヴルッフの先端のビルドナイフを取り外し、逆手に構えて横薙ぎに振るい、アドベントの攻勢を怯ませる。その隙にカレトヴルッフを手放すと、放っていたCファンネル・ロングを前腕部に装着すると反撃に打って出る。

 

 迫るリミットブレイカーにすかさずアドベントが胴体のメガ粒子砲を放つのだが、残りのCファンネルを全てリミットブレイカーを守るビームバリアに展開させ、メガ粒子砲を防ぎながら、そのままビームバリアによる体当たりをぶつけ、アドベントの機体がのけ反った瞬間に両碗をクロスさせて振り下ろし、アドベントを撃破する。

 

 アドベントを撃破したリミットブレイカーだが、そんな後ろ姿にビルの陰から照準を合わせる機体が。アリシアのダソス・キニゴスだ。そのまま引き金を引こうとするのだが……。

 

「一矢はやらせない!」

 

 直前にダソス・キニゴス自身にビームによる狙撃が迫り、ABCマントで防いだものの攻撃の手は緩まず、アザレアリバイブがハイパードッズライフルを構えながら更に攻撃の手を強める。

 

「ジャパンカップじゃバトルが出来なかったからなッ!!」

 

 その上方ではスペリオルドラゴンとエンファンスドバランサーが幾度となく刃を交えていた。ダブルソードとレーザー対艦刀がぶつかり合う。そんな中でツキミは心底、楽しそうに朗々と話す。

 

≪ならば記憶に強く残るバトルにするッ!!≫

 

 すると至近距離でスペリオルドラゴンは火龍砲を放ち、エンファンスドバランサーはまともに受けてしまう。しかしただそれで終わるのならば選抜ファイターに選ばれる訳がない。すかさずヴェスパーを展開し、お返しだとばかりに放ち、スペリオルドラゴンは大きく吹き飛ぶ。

 

「今だッ!」

≪ただではやらせんッ!≫

 

 直後にエンファンスドバランサーは飛び出し、レーザー対艦刀を突き刺そうとする。体勢を立て直した直後のスペリオルドラゴンには避ける事が間に合わず、身を貫かれてしまうが、組み合わせた金龍の弓をゼロ距離で放ち、エンファンスドバランサーとスペリオルドラゴンは相打ちとなる。

 

「やはり世界は広いのぉ……ッ! まだまだ未熟だと分かるわぃ……ッ!!」

「同じ台詞を言わせてもらうよ。それ故に精進のし甲斐があると言うものだッ!!

 

 クロス・ベイオネットとヘラク・ストライクのバトルにも決着の時が訪れようとしていた。既にお互いの機体は半壊しており、クロス・ベイオネットはハイパービームジャベリンとザンバスターを、ヘラク・ストライクは昇竜丸と左腕を失っていた。厳也とクレスは互いの実力を認め合いながら、決着をつけようとビームソードとグランドスラムを構えて同時に飛び出す。

 

「──わしもあの時とは違うんでのぅッ!」

 

 互いにほぼ同時に刃を走らせるなか、厳也は強く叫び、左腰側面のフラッシュバンを投擲し、炸裂させる。強烈な閃光にクレスが反射的に目を瞑り、苦悶の声を上げるなか、クロス・ベイオネットは半ば感覚でビームソードの刃を走らせながらも確実にその刃はヘラク・ストライクに斬り込み、確かな感触と共にブランドマーカーによってヘラク・ストライクを貫き撃破する。

 

「クレスがやられた……ッ!!」

 

 上空で爆散したヘラク・ストライクを確認してアリシアは歯を食いしばる。とはいえ、自身もまだアザレアリバイブとの戦闘を続行している。自身の狙撃能力によって放った弾丸はアザレアリバイブに損傷は与えるものの、それでもこちらも無傷とは言えず、既にABCマントを放棄して手負いの状態で戦闘を続行している。

 

「アキ、そちらの状況は!?」

「難しいな。どうにも逃がしてくれそうにない!」

 

 戦況はあまり芳しくない。体勢を立て直そうにもトールギス・アキレウスもユニティーエースとリミットブレイカー。そして今、合流したクロス・ベイオネットとの戦闘を続けている。

 

 するとアザレアリバイブはハイパードッズライフルの銃口を向け、気づいたダソス・キニゴスもまた狙撃用ビームライフルを構える。引き金が同時に引かれ、一筋の光が重なるなか、アザレアリバイブは右腕を損傷し、ダソス・キニゴスは避ける。

 

 しかしダソス・キニゴスが避けた後ろにあったビルに直撃し、激しい戦闘によって傷ついたビルは倒壊を始める。ダソス・キニゴスが咄嗟に横っ飛びに避けるなか……。

 

「そこだぁああっ!」

 

 声の限り、ミサが叫ぶ。飛び上がったアザレアリバイブはヒートロッドを反応してこちらに狙撃用ビームライフルを向け、引き金を引いたダソス・キニゴスに上から叩きつけ、地面に落下させると、そのまま大型対艦刀を抜き放って振り下ろす。その刃は確かにダソス・キニゴスを貫いて撃破する。しかし、それでもアザレアリバイブの損傷は激しく、そのまま力なく近くのビルにもたれるように倒れ込む。

 

「クッ……状況は不利か……ッ!!」

 

 ネオ・アルゴナウタイもトールギス・アキレウスのみとなってしまった。しかし不利な状況であっても、アキの瞳には不屈の闘志が宿っており、まだその闘志は衰えていないと言う事を理解させるには十分だ。

 

「だが諦められるか……ッ!!」

 

 シールドブースターを利用し、機体を横回転させ、威力を強めたビームソードの一撃を放つクロス・ベイオネット。迫る刃にアキは目を鋭く細める。

 

「俺はァッ!!」

 

 ABCマントを左腕に巻きつけ、左腕を犠牲にしてクロス・ベイオネットのビームソードを受け止める。息を呑む厳也だが、すぐに両足側面のビームキャノンを放つが、その攻撃をものともせず、寧ろ自機も大型ビームランチャーを至近距離で放って互いに損傷を与えていく。

 

「英雄だからなッ!!」

 

 トールギス・アキレウスもクロス・ベイオネットもお互いに火花とスパークを散らせるなか、トールギス・アキレウスはクルクルとフェイロンフラッグを回転させ、上方からアキの気合を乗せたかのようにクロス・ベイオネットに深々と刺突する。

 

「わしにも意地があるんじゃ……ッ!!」

 

 しかし厳也もただでは負けない。機体が爆散する直前に食い込んだビームソードをそのまま振り払って、トールギス・アキレウスを両断すると、厳也もアキも互いの機体をその目に焼き付けながら爆散する。

 

「静かになったものだな……ッ」

「……ああ。だがこのまま終わりにする」

 

 先程まで各地で轟音が鳴り響く大激闘があったにも関わらず今では嘘のようだ。先程までトールギス・アキレウスやクロス・ベイオネットを交えての混戦があった為、リミットブレイカーもユニティーエースもかなり損壊してしまっており、下手に一撃をもらえば、その時点でお終いだろう。それを感じながらジンと一矢は言葉を交わし、ユニティーエースはGNソードⅤをリミットブレイカーは両腕部に装着したCファンネルを構えると同時に飛び出す。

 

「……ッ!?」

 

 剣戟を繰り広げるリミットブレイカーとユニティーエース。しかし幾度となく繰り返した後、Doodleチームから続く長時間の戦闘の影響からか、Cファンネルの刃に皹が入り、GNソードⅤの一撃を受けて砕けてしまう。バランスが崩れたリミットブレイカーにユニティーエースはソマーソルトキックの要領で脚部のビームブレイドによって右腕を切断する。

 

「これで──ッ!」

 

 そのままGNソードⅤを振るってリミットブレイカーを撃破しようとするユニティーエース。GNソードⅤの刃が迫るなか、一矢は何とかその刃から逃れようとするが、間に合わない。

 

 その時であった。

 

 下方から放たれたビームがユニティーエースの持つGNソードⅤごと前腕部を貫き、一矢もジンも驚愕する。見やれば、そこには下方からハイパードッズライフルを構えているアザレアリバイブの姿が。

 

 それは十分な効果があった。今のミサの支えのお陰で体勢を立て直したリミットブレイカーは左腕にバーニングフィンガーを発現させ放つと、ユニティーエースも負けじとパルマフィオキーナを発動させる、

 

 互いのマニビュレーターがガッチリと繋ぎ合うなか、膨大なエネルギーのぶつかり合いで周囲に衝撃が走る。だがやがてバーニングフィンガーによって表れる紅蓮の炎の如し輝きはユニティーエースの左腕を粉砕して、そのままジンを撃破する。

 

≪ネオ・アルゴナウタイ、プライベーター選抜チームを破り、最後に残ったのは彩渡商店街! セミファイナルステージ出場決定です!!≫

≪ネオ・アルゴナウタイは勿論、これほどまでのガンプラをプライベーターが持ってくる。ガンプラバトルの未来は明るいね!≫

 

 彩渡商店街チームの勝利を持って終えたAブロックのセカンドステージ。ハルが高らかに彩渡商店街チームのセミファイナルステージの進出を告げるなか、良いバトルが見れたとばかりにミスターは非常に満足そうに朗々としている。

 

 そんな中、地上に降り立った半壊のリミットブレイカーは窮地を救ってくれたアザレアリバイブに手を差し伸ばす。アザレアリバイブは支えられながら立ち上がるとリミットブレイカーとアザレアリバイブは並び立って、青く澄んだ空を見上げるのであった。




<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

不安将軍さんからいただきました。

キャラクター名:砂谷厳也
ガンプラ名:クロス・ベイオネット

WEAPON ザンバスター
WEAPON ハイパー・ビーム・ジャベリン(以下ジャベリン)
HEAD ギャプランTR-5(フライルー)
BODY ダブルオークアンタ
ARMS クロスボーン・ガンダムX1
LEGS ガンダムエピオン
BACKPACK ドーベン・ウルフ
SHIELD シールド(エピオン)
拡張装備 シールドブースター×2(両肩側面)
     ビームキャノン×2(両足側面)(銃口は真上)
     フラッシュバン(左腰側面)
     GNフィールド発生装置(腰後部)
     新型MSジョイント
カラー ライトニングブルー

機体説明
クロス・フライルーを改良してより近接戦闘を高めた機体。以前同様、立体的な高速移動を行う為に両肩にシールドブースターを装着、可動させる事で急速な加速や動き、変則的な移動や上昇や降下などを可能とさせている。
戦法は多少変化し、マイクロミサイルやライフルの連射を放ちつつ一気に加速してジャベリンの攻撃を繰り出し、連続攻撃に移行する。シールドブースターを用いての突きや機体を横回転させる事で威力を高めた一撃を放ったりできる。
チャージ核弾頭は滅多に使わないがMA戦時などのここぞという時に使用し、ジャベリンを失ってもビーム・ザンバーや腰に付いてあるビームソードを用いての二刀流や左手にザンバスター、右手はブランド・マーカーなど多彩な攻撃手段とやり方を有している。インコムも積極的に使用し、対艦ミサイルは状況に応じて撃ったりする。
脚部のビームキャノンは普通に使用できるが、主に近接戦闘の際の不意打ちとして使われるのが多い。
ジャベリンは桜波咲が使用していた物(ルーツガンダムの)で、恋人同士になってからパーツを交換しあった。

素敵な俺ガンダムありがとうごさいました!!

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