機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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今までよりも

≪さて、始まりましたセカンドステージAブロックの戦いです!≫

 

 昼休憩も終わり、遂に午後から始まったセカンドステージAブロック。参戦チームとNPC機達が同時に出現する中、ハルによる実況が開始される。

 

≪出撃チームは【ワークスチームには負けないぞ“プライベーター選抜チーム”】【なんでも調べられる検索サービス“Doodle”】【英雄達の再来“ネオ・アルゴナウタイ”】【火曜日はお肉がお買い得“彩渡商店街”】……以上、四チームの戦いとなります!≫

≪おや、このAブロックにプライベーター達のチームがいるんだね≫

 

 出場チームを紹介を交えて読み上げていくハルの言葉を聞き終えたミスターはプライベーター選抜チームについて触れる。

 

≪はい、今大会特別参加枠での出場となる“プライベーター選抜チーム”。以前、スポンサードを受けていないファイター達によって選抜大会が行われ、勝ち進んだファイター達の中から輝かしい注目のファイターを選抜して作られたチームです!≫

≪どれも工夫に満ちた良いガンプラばかりだね!≫

 

 ミスターがプライベーター選抜チームについて触れたため、ハルによってプライベーター選抜チームの説明が行われる。ミスターも実況席でプライベーター選抜チームのガンプラを確認しているのか、そのガンプラを褒め称える。

 

「一体、どんなチームなんだろうね」

「会ってみないと分からないな」

 

 ハルとミスターの実況を聞き終えたミサと一矢は一体、どんなファイター達が選抜チームとして選ばれたのか、期待を胸に膨らませながら会話をしながら、ポイントが表示される場所へ向かう。

 

≪いたぞ!≫

 

 ポイントまで近づくと、やはりポイントが指し示す通り、ガンプラチームがそこにおり、ロボ太が声をあげ、指差す。そこには白を基調にクリアパーツなどが目を引くガンプラを使用するチームがいた。

 

≪さあ早速、セカンドステージ初となるバトル! Doodleチームと彩渡商店街がエンカウントしました!≫

 

 互いに武器を構えて、戦闘に発展していく。そんな中、観戦客にはハルの実況から両チームのエンカウントが知らされていく。

 

「彩渡商店街……よく知っているぞ。君達のことは検索済みだ!」

≪Doodleと言えば、世界最大の検索サイト。調べられないことは何もないという……≫

 

 すると早速、Doodleチームのリーダー機が通信によって接触してくる。自分達の事を検索済みとまで言い放ったDoodleチームにロボ太はDoodleについて口にする。

 

「その通りだロボ太君! 君が最近、ブログを始めた事も知っているよ」

≪なんだと……ッ!?≫

「ブログ名は【トイボット日和】か。中々、ポエティックなようだね」

 

 そんなロボ太に一矢もミサも知らない新事実が話される。明らかに動揺するロボ太にDoodleチームリーダーはブログ名とその内容について口にすると、ロボ太は狼狽して「よ、よせ!」と必死に声を発している。

 

「ははははは! 情報が戦いを制す! この試合、貰った!」

 

 狼狽えているロボ太の様子に高笑いしながら、チームで連携して攻撃をさらに強めていくと、ミットブレイカーとチームリーダー機が鍔迫り合いとなる。

 

「雨宮一矢君! 君の妹が先程、タイムズユニバースのCEOと一緒にお昼をとっているところを見かけたよ」

「……」

「随分と仲睦まじい様子だったねぇ。あのCEOが食べさせてくれないかい、とねだっていたよ」

 

 すると次の矛先は一矢に向けられる。世界大会やウイルス事件を解決した一矢。地方の大会がメインとはいえ、出場すれば活躍する夕香のことは調べれば分かるのか、このメガフロートでDoodle側が情報収集の一環で知った夕香とウィルについて高らかに話す。

 

「まるでカップルのようだったね! あの後、あーんでもしていたんじゃ───」

 

 ロボ太のように一矢の動揺を誘おうと愉快そうに話しているDoodleリーダー。だがその途中でリーダー機に強い衝撃が走り、なにか確認してみれば、リーダー機の腕部は宙に舞っていた。

 

「……その話は本当か?」

「は、はい?」

 

 目の前にはカレトヴルッフを振るったリミットブレイカーの姿が。リミットブレイカーから聞こえる地を這うような恐ろしい声にDoodleは明らかに動揺している。

 

「その話は本当かって聞いてるんだよォッ!」

 

 するとリミットブレイカーは覚醒を発現させ、ツインアイを輝かせる。纏った真紅の光は地獄の業火にも負けぬ怒気のように此方を見据えるツインアイを輝かせる頭部は鬼の形相のようにも見える。今の一矢を表したようなリミットブレイカーの怒涛の攻撃が始まる。

 

「……あっちゃー。今の一矢には絶対、話しちゃいけないことを……」

 

 振りかざすカレトヴルッフは鬼の棍棒のように力強さを見せながらリーダー機を追い詰めていく。その姿を横目にDoodleのチーム機をロボ太と連携して倒し終えたミサは情報が裏目に出てしまった事に苦笑する。

 

「次はお前の番だぞ、ウイイィィィィィィィィィィィィルゥゥゥゥッッッ!!!!!!!」

「ひ、ひぃぃ!? 情報通りの動きじゃない!? こいつらの情報は全て集めたのに!?」

 

 両前腕部に内蔵されたビーム刃を駆使して、リーダー機を滅多切りにしていくリミットブレイカー。一矢の戦い方も情報で仕入れていたようだが、今の一矢には通用しないらしく、あっと言う間に撃破されてしまう。

 

≪日々精進を続ける我々に過去の情報で太刀打ちできるものか!≫

「……まあ今回はその情報が悪かったと思うんだけど」

 

 敗因が分からない様子のDoodleのリーダーにその理由を力強く話すロボ太。今回は特に被害はなかったミサは冷静に呟いていた。

 

「ねえロボ太、ブログのURL教えてよ!」

≪絶っっっっっっ対に断るぅっ!!!!!!≫

「……あんたどんなこと書いてるの?」

 

 それより、とミサは先程から気になっていたロボ太のブログについて好奇心から尋ねる。しかしロボ太はミサ達には知られたくないのか、強く断りを入れたため純粋にどんなことを書いてるんだと疑問に思ってしまうなか、ハルによって彩渡商店街がDoodleを撃破した事が実況される。

 

 ・・・

 

≪さあ、こちらも盛り上がっております! ネオ・アルゴナウタイとプライベーター選抜チームのバトルです!!≫

 

 こちらもこちらでバトルが行われている。ハルの実況通り、ネオ・アルゴナウタイとプライベーター選抜チームのバトルは苛烈さを見せていた。

 

「やはり日本のファイターの質は高いなっ!!」

 

 放たれる射撃を間一髪で避けながら、その実力を素直に認め、アリシアの掩護を受けながらクレスと共に反撃するアキ。ネオ・アルゴナウタイとプライベーター選抜チームのバトルはまさに一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

「どうやら彩渡商店街も来たみたいね……!」

 

 狙撃用ビームライフルを構えながら、ダソス・キニゴスのセンサーはこちらに近づく三機の機影を捉える。Doodleチームを撃破した今、ここに残りチーム全てが集まっている。ここにやってくるのは自然だろう。

 

「……成る程。確かに選抜チームに選ばれても不思議じゃないな」

 

 戦闘エリアに到着した一矢はネオ・アルゴナウタイを確認するとともにプライベーター選抜チームの機体を見やると、何やら納得した様子を見せ、それはミサやロボ太も同じだったようだ。

 

「よぉ、待ってたぜ」

 

 そこにはロクトと同じようにイラトゲームパークのバトルロワイヤルに参加したエンファンスドデファンスを改良したエンファンスドバランサーを使用するツキミが一矢達に声をかける。

 

「わしらもこのような大舞台に来れたんじゃ」

「ジャパンカップのようにはいかないぞ」

「ずっとバトルがしてみたかったんだ」

 

 しかもツキミだけではなく、エンファンスドバランサーの近くには同じく選抜チームに選ばれた厳也のクロス・ベイオネット、ジンのユニティーエースガンダム、正泰のアドベントガンダムの姿があり、厳也とジン、正泰がそれぞれ声をかける。

 

「みんな、昨日までの自分とは違う……。そうだろ?」

 

 ちょっとしたサプライズを受けた気分だ。厳也や知り合い達から彼らが本大会に出場しているとは聞いておらず、このように本選でぶつかるまでひた隠しにされていたのだろう。プライベーター選抜チームとしてチームを組んだツキミ達の言葉に一矢は笑みを浮かべながら彩渡商店街、ネオ・アルゴナウタイ、プライベーター選抜チームの三つ巴の戦闘が始まるのであった。


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