機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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Super Drive

≪さあ始まりましたガンプラバトルSSPG記念大会本戦! ファーストステージAブロックの様子をお送りします!≫

 

 遂にAブロックの本戦の始まりとも言えるファーストステージが開始された。ファーストステージはそれだけでも何回かに分かれて行われて、セカンドステージへの進出チームを決めていく。バトルの様子を中継し、高らかに実況を行うのはハルであった。

 

≪出撃チームは【お金で買えないものは無い“ミスターカード”】【いつもあなたの一歩手前“マキビシ・ヘビー・インダストリー”】【こだわり修理は修理や泣かせ“トヨサキ・ヨーロッパ”】【先日八百屋が再開したよ“彩渡商店街”】……以上、四チームの戦いとなります!!≫

≪八百屋の再会、おめでっとーう!≫

 

 ハルによってこのフィールドに出撃したキャッチフレーズのようなものと共にチームの名が読み上げられていき、ミスターも先日、八百屋が再開したばかりの彩渡商店街について触れ、賛美の言葉を送る。

 

≪おっとここで彩渡商店街チームがミスターカードとエンカウント!≫

 

 すると早速、フィールド上では彩渡商店街ガンプラチームとミスターカードチームがエンカウントしたことがハルによって告げられる。ミスターカードチームの機体はそれぞれがブラック、ゴールド、シルバーを基調にした機体色で塗装されており、どことなく金をかけた高級感を出している。

 

「我々はミスターカード! ガンプラバトルの勝利ですらお金で買ってみせる!」

 

 エンカウントした事によってバトルを行おうとする一矢達にミスターカード側の纏めていると思われるターンタイプをカスタムしたブラックの機体を操るリーダー機から突然の通信が入ってくる。

 

「さあ、いくら欲しいんだ!?」

「いきなり八百長を持ち掛けるなっ!!」

 

 何故、いきなり通信を入れて来たのかと思えば、持ち掛けられたのは八百長の話だった。当然、そんな話を受け入れるわけもなく、ミサがすぐに突っぱねる。

 

≪ファイターの魂と言うものを教えてやる!≫

「……余計な話を持ちかけたこと、すぐに後悔させる」

 

 寧ろその言葉は彼らの闘争心に火をつけてしまったようでリミットブレイカー達はすぐさま連携を取り、圧倒的な実力を持って、スターカードチームを追い詰めていく。

 

≪世界にはこのようなダーディファイターもいる。嘆かわしい事だね≫

 

 これまですべて八百長によって勝ち進んできたのか、彩渡商店街ガンプラチームとミスターカードチームとではその実力差は天と地ほどある。連携もまともに取れていないミスターカードチームが息の合った彩渡商店街ガンプラチームに追い詰められていく様を見ながら、ミスターも過去に八百長を持ち掛けられた経験があるのかなんとも悲しそうに呟く。

 

「お金をかけて作らせたのにぃッ!?」

「金かけても自分が使いこなせるガンプラとは限らない」

 

 瞬く間にミスターカードチームはリーダー機のみとなってしまった。そのリーダー機も眼前に迫ったリミットブレイカーのカレトヴルッフの一撃を持って撃破されてしまう。

 

「この勝負……お金で買えない価値があったよ……」

≪彩渡商店街チーム、ミスターカードを撃破ッ!!≫

 

 一矢達とバトルして学べるものがあったのか、項垂れながら呟くミスターカードのリーダー。同時にハルも高らかに彩渡商店街の勝利を告げる。

 

 ・・・

 

「さっすが、イッチ達だね」

 

 ミスターカードを撃破した一矢達の活躍を見て、観客席にいた夕香は自慢げに笑う。ここから見えるモニターには進攻する彩渡商店街チームの姿が映し出されている。

 

「早速、活躍しているようだな」

「アムロさん?」

 

 そんな夕香達に声をかける者がいた。近くの席を見やれば、アムロの姿があり、ここで会った事に夕香達は驚いている。

 

「あれ、あのオジサンは?」

「シャアの奴ならミンキーモモに捕まって、どこかで一緒に見ているだろう」

 

 とはいえアムロ一人のようだ。普段ならシャアもいそうなものだが、今日は見当たらない。そのことについて尋ねる夕香にアムロは苦笑しながら答えるのあった。

 

 ・・・

 

「……ここら辺に反応が会った筈」

 

 レーダーが反応するまま移動した彩渡商店街チーム。だが周囲に敵影はなく、ひとまず地上に降り立とうとする。

 

「っ!?」

 

 すると何か反応するような電子音声が鳴り響く。なにかは分からぬものの嫌な予感を感じ取った一矢達はすぐさま飛び上がると先程、リミットブレイカーたちが降り立った場所が爆発する。

 

 同時にセンサーに反応があり、確認してみればどことなく武将などの趣向を感じられるカスタマイズ機体達がどこからともなく現れた。

 

≪彩渡商店街とマキビシヘビーインダストリーのバトルが始まりました!!≫

 

 その機体達が現れたと同時にハルがその正体を告げる。どうやら彼らがマキビシヘビーインダストリーチームのようだ。しかも先程の爆発も彼らが仕掛けた地雷だったようですぐにマキビシヘビーインダストリーのリーダー機から通信が入る。

 

「我々に近づく時は足元に気を付けることだ!」

「そっちが近づく時は?」

「踏み出す勇気!」

 

 しかも地雷は一つだけではないらしい。その口ぶりから察するにこの場にはかなり地雷が設置されていると考えていいだろう。とはいえ、条件的に言えば、向こう側も地雷には気をつけねばなるまい。そのことを尋ねるミサに堂々と答えられた。

 

≪あらかじめフィールドにトラップ……。これは中々の頭脳プレイだね!!≫

≪あのトラップは敵味方の区別は出来ないんですけど……≫

 

 彩渡商店街チームを誘き出したトラップを張り巡らせたフィールドに誘き出したマキビシヘビーインダストリーに感心するミスター。もっともそのトラップの内容にハルは冷や汗を流していた。

 

「……さっきの奴らに比べると……」

 

 とはいえマキビシヘビーインダストリーもそれなりの実力の持ち主。リーダー機と鍔迫り合いとなっている一矢はその実力を認めながらも各部のCファンネルを解き放つとCファンネルはリーダー機の後ろに回り込んで各部スラスターに損傷を与える。その戦い方はミサやロボ太も同じで、戦う合間に相手のスラスターを確実に破壊していく。

 

「ぬぁっ!?」

 

 そして異変が起きる。スラスターに損傷を負ったマキビシヘビーインダストリーの機体達はスラスターに不備が起きて、地上に落下していってしまう。

 

「飛べなくとも我々には足がある!」

 

 地上に落ちたマキビシヘビーインダストリーだがスラスターが使えずとも、その闘志が衰える事はなく、リーダー機が先陣を切るように上空のリミットブレイカー達へ向かって一歩踏み出す。

 

「……あれ、何か踏んだ?」

 

 一歩を踏み出すその姿に反応するようにいカチッという音が響く。なにかあったのかと足元を見るとそこには自分達が仕掛けた地雷の姿が。

 

「まいた種に足元をすくわれるとは……」

「……どんだけ仕掛けたの」

 

 瞬時に大爆発。

 連鎖するように周囲の地雷を起爆していき、爆発が収まる頃にはもはや原型すらなかった。先程の爆発の規模と言い、マキビシヘビーインダストリーのリーダーの発言に流石のミサもこれには苦笑い。直後にハルによって彩渡商店街チームがマキビシヘビーインダストリーに勝利したことが告げられる。

 

≪さあ、残り二チームのみとなりました! 彩渡商店街チームとトヨサキヨーロッパ、このステージを突破するのはどちらか!?≫

 

 ミスターカード、マキビシヘビーインダストリーを撃破し終えた彩渡商店街チーム。残すはトヨサキヨーロッパのみだ。ハルの実況を耳にしながら一矢達は早速、レーダーの反応が示す場所へと向かう。

 

 ・・・

 

「待っていたぞ、彩渡商店街!」

 

 リミットブレイカー達が移動したのはマキビシヘビーインダストリーとのバトルが行われた場所からほど近いフィールドであった。広大な荒野を舞台に、この場に訪れたリミットブレイカー達を三機構成のトヨサキヨーロッパが待ち構えていた。

 

「ツインラッド持ってくるなんて!?」

「グループ会社トヨサキモータースが果たせなかったジャパンカップの優勝チームであるお前達を倒し、ガンプラ最速は俺達だと証明する!!」

 

 しかもトヨサキヨーロッパの機体達は全てツインラッドを使用していたのだ。彩渡商店街チームを翻弄するように駆け回るツインラッドを操りながら、トヨサキヨーロッパのファイターはかつてのジャパンカップに出蔵していたグループ会社の名まえを出しながら襲い掛かる。

 

≪最速か……。だがこの程度では主殿には追い付けんな≫

「見せちゃってよ、一矢っ!」

 

 ツインラッドによる波状攻撃を回避しているリミットブレイカー達だが彼らにはまだ余裕があった。ツインラッドの動きを見ながら、ロボ太とミサは一矢に声をかける。彼女達は知っているのだ。これよりも速い音速の騎士の姿を。

 

「ひとっ走り……付き合ってもらおうか」

 

 一矢とて自身の機体の特性を何よりも理解している。最速と聞いて黙っているつもりはなかった。するとリミットブレイカーは覚醒を発現させ、スーパードラグーンとCファンネルを解き放ちながら一気に加速する。

 

 リミットブレイカーの姿は消え、紅き閃光がフィールドを駆ける。するとフィールドで真っ先に異変が起きた。何と早速、ツインラッドを使用していた一機目が側面から突撃した紅き閃光に貫かれて爆散したのだ。

 

 驚くのも束の間、二機目が荒れ狂う嵐のように襲い掛かるスーパードラグーンとCファンネルによって瞬きする余裕もなく蜂の巣に変えられてしまう。

 

「成る程。噂以上のスピードだ。ならもうブレーキは踏まないぜッ!!」

「……上等。だったらフィーリングで勝負だ」

 

 リーダー機のツインラッドも中々の作り込みで残り一機だと言うのに以前と態度は崩れず、更に加速している。その様子に火が付いた一矢はスーパードラグーンとCファンネルを戻しながら、リーダー機を追う。

 

 まるで一種のレースを見ているかのようであった。彩渡商店街チームとトヨサキヨーロッパのリーダー同士による高速での攻防は今この瞬間もどんどんと加速しながら行われいく。

 

「なにぃっ!?」

 

 だがそのレースもゴールを迎える時は近かった。覚醒状態のリミットブレイカーはリーダー機を追い抜くと、バーニングフィンガーを発動させ、強く地面に叩き込むと大地を隆起させて、ツインラッドの操縦を乱れさせる。

 

「おぉっ、ガイアクラッシャーだ!」

 

 その様を見たミサが興奮気味に叫ぶ。MF系ならば兎も角、まさかリミットブレイカーがあの技を繰り出すとは思っていなかったからだ。

 

「ウイニングランを決めるのは俺達だ……ッ!!」

 

 そんな一矢は操作が乱れたトヨサキヨーロッパのリーダー機を見据えると、カレトヴルッフを構え直し、覚醒の力を集中させた一撃を叩きこみ、トヨサキヨーロッパを撃破する。

 

「……悔しいが認めてやる。ガンプラバトル最速はお前達だ」

 

 覚醒の全てを込めた一撃はツインラッドごとリーダー機を破壊して爆散させる。爆炎を抜け出ながら大空を舞うリミットブレイカーを見やりながら、トヨサキヨーロッパのリーダーは負けを認めるのであった。

 

≪どうやらガンプラバトル最速伝説に新たな1ページが加わったようだな……≫

≪なんだか良く分かりませんが、彩渡商店街チーム、ファーストステージを突破です!!≫

 

 アザレアリバイブ達と合流するリミットブレイカーの姿を見ながら、ミスターは神妙な表情でコクコクと頷く。そのテンションに付いて行けないハルによって彩渡商店街チームのファーストステージ突破が知らされるのであった。


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