機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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悪魔のような天使

 ガンプラバトルSSPG記念大会……その予選の火蓋が遂に切って落とされた。数多くのチームが参加するなか、その分だけ本選に進むための白熱したバトルが行われていた。

 

「まさかまた戻って来られるとはね」

 

 その中にはかつてのギリシャ代表であるネオ・アルゴナウタイの姿もあった。ダソス・キニゴスが放った狙撃が的確にNPC機を撃ち抜くなか、それを操るアリシアの口元に笑みが浮かぶ。

 

「ただ戻って来ただけで終わらせたくはないな」

 

 ダソス・キニゴスが見据える前方ではクレスが操るヘラク・ストライクが薙ぎ払うかのように豪快にグランドスラムを振るい、群がるNPC機を一撃で粉砕していく。

 

「ああ、今度こそは優勝だ!」

 

 クレスの言葉に同意しながらアキのトールギス・アキレウスが駆け抜け、瞬く間に周囲のNPC機を撃破して、ネオ・アルゴナウタイの得点を瞬く間に増やしていく。しかし怒涛の勢いを見せていくネオ・アルゴナウタイだが、そんな彼らに攻撃を仕掛ける存在がいた。

 

「世界大会で見た覚えがあるな」

 

 莫耶達であった。彼らが扱う機体はかつての機体とは異なり、ストライクSEEDに更にストライクフリーダムガンダムのパーツを組み込んだストライクシードフリーダムであった。射撃は牽制の為に行いつつ、莫耶はトールギス・アキレウス達ネオ・アルゴナウタイの機体を見ながら、世界大会での出来事を思い返す。

 

「あの時は縁がなかったけど、ここでならッ!!」

「望むところだッ!」

 

 アメリアの機体もストライクSEEDにデスティニーガンダムを彷彿とさせるような構成で完成させたストライクシードデスティニーであった。世界大会ではギリシャ代表として出場していたアキ達。あの時は同じ場にいてもバトルは敵わなかったが、今はそうではない。早速、本格的な攻撃を仕掛けてくる莫耶達にアキ達も真っ向から迎え撃ち、バトルに発展していくのであった。

 

 ・・・

 

「流石、世界中のファイターが集まってるだけあるね」

 

 また別のフィールドではロクトがイラトゲームパークで行われたバトルロワイヤルでも使用していたコズミックグラスプを改良したガンプラであるコズミックアクロスは鮮やかなGN粒子を放出しながら、自身に迫る鋭い攻撃を回避しながら感想を口にする。

 

「まあ、僕も折角招待されたんだ。無様に終わる真似はしないさ」

 

 背後から斬りかかろうとする機体がおり、その刃がコズミックアクロスに迫ろうとした瞬間、すぐさま反応し、振り向きざまにコズミックアクロスが放ったビームサーベルが両断して爆散する。

 

「ネームバリューで招待されても、これでも一端のガンプラファイターだからね。それなりの覚悟をしてもらおうか」

 

 ロクトの口元に軽い笑みが浮かび、余裕綽々と言った様子だ。十分、世界のファイターとも渡り合える実力を見せるロクトのコズミックアクロスは観客の熱を誘うバトルを行っていくのであった。

 

 ・・・

 

「これでどうだぁっ!!」

 

 また彩渡商店街ガンプラチームも抜きんでた得点を叩き出していた。リミットブレイカーとスペリオルドラゴンが敵機体を引き付けるなか、一点に集中したところをアザレアリバイブが集中砲火を浴びせて撃破する。

 

≪主殿、私はまだ行けるぞッ!≫

「……それは良かった。俺もまだまだ余裕だから」

 

 先陣を切るスペリオルドラゴンとリミットブレイカー。まるで競うかのように撃破していきながら、互いに焚き付けるように声をかけあいながら、更に戦果を上げていく。

 

「……ん? あれって……」

 

 いくらか撃破し、更に進攻していくなかでミサはなにかに気づく。それは遥か前方でバトルが行われていたのだ。それもかなりの規模に感じるほどの。

 

「一機だけで……」

 

 一矢もモニターを操作して、戦闘の様子を眺める。大規模にも思えるバトルだあが、それはNPC機を含めた多くのチームがたった一機に向かって攻撃を仕掛けているというような状況だったのだ。

 

 その機体はガンダムエピオンをベースにカスタマイズした機体であった。機体色は白と紺で纏めたエピオンとは真逆の配色であり、その背には二本のレーザー対艦刀も備わっていた。

 

 ガンダムタブリス……それがその機体の名前だった。

 ビームソードを片手に一度、動けば周囲の機体はただのパーツ片に様変わりしていく。周囲のチームは別に協力しているつもりはない。だがタブリス一機に狙いを集中させなければ瞬く間に破片に変えられてしまうのだ。

 

「あれは……セレナちゃん……?」

 

 一機で立ち回っていると言うのに全く追いつめられることはなく、寧ろ優勢なのだ。ミサはそんなタブリスの戦い方を見て既視感を感じる。ビームソードから放たれる剣技に無駄はなく、ヒートロッドが一度唸れば周囲の有象無象を蹴散らされ蹴りを放てば粉砕される。まさにどこまでも自由でどこまでも暴力的なまでの実力を感じる戦い方だ。こんな戦い方をする人物をミサは一人しか知らなかった。

 

「やあ、君達も同じフィールドだったんだね」

 

 ミサがセレナの名前を口にした時にこの蹂躙劇は終わりの時を迎えていた。先程までのバトルが嘘のような静寂が包むなか、宙に佇むタブリスから通信でセレナの声が聞こえる。

 

「……それがお前が言ってた新しいガンプラか」

「そうだよー。いやぁ、自分だけのガンプラだとやっぱり違うね。日本で言うところの痒い所に手が届く……って奴かな?」

 

 予選前に会った際にセレナは新たなにガンプラを作成したと口にしていた。それがあのタブリスなのだろう。一矢の言葉に同意しながら、自分専用に組み上げたこのタブリスの性能に満足している様子だ。

 

≪ここで会ったのならば……≫

「やーだよ」

 

 とはいえフィールド上でいつまでもお喋りをするつもりはない。スペリオルドラゴンがいつでも戦えるようにと身構える。しかしセレナから返って来たのは、まったく戦意を感じない軽いものであった。

 

「君達とはもっと相応しい場所でバトルがしたいからね。だから楽しみは取っとくよ」

 

 今は予選の場。どうしてもセレナはここで戦う気にはなれなかったようだ。

 

「じゃあ、本選で会おうね」

 

 そうしてタブリスはリミットブレイカー達に背を向けると飛び去ってしまう。リミットブレイカー達を追撃することはなく見送る。世界大会でも三人で何とか勝てたセレナだ。どうせなら彼女の言う通り、本選でバトルがしたかったからだ。その為には更なる得点が必要だ。一矢達も移動を開始するのであった。

 

 ・・・

 

「おつかれさん。俺達は無事予選突破できたそうだ」

「ま、こんなところで躓いたりしないよっ」

 

 それから予選を終えると、しばらくして一矢達はカドマツから労いと共に予選突破の知らせを受けた。自信があったとはいえ、ひとまずの予選突破に喜びながらミサは余裕そうに答える。

 

「ここから始まる本選はAとBのブロックに別れて、ファーストステージ、セカンドステージ、セミファイナル、そしてファイナルって進んで行くんだ。AブロックとBブロックのファイナリストで優勝を争うって事だな」

 

 するとカドマツの口から本選の流れを説明される。因みに一矢達彩渡商店街ガンプラチームはAブロックに登録されている。

 

「セミファイナルまではメガフロートだが、ファイナルは静止軌道ステーションでやるらしい。是非ともまた行ってみたいもんだな」

「私もまた行きたい! またガンダムに乗りたい!」

 

 そして決勝ともいえるファイナルは世界大会と同じく静止軌道ステーションで行われる予定だ。かつての事を思い出し、懐かしそうに笑うカドマツにミサも実物大ガンダムにの搭乗した時の興奮を思い出しながら話す。

 

「そういやアレ、まだあそこにあるんだよな。下ろすのにも金かかるんだよなぁ」

「大気圏突入出来たら良いのにね!」

 

 ミサの口から実物大ガンダムの事が出された為、あぁ……とカドマツはあの時のガンダムについて触れる。一矢達はあの後、地上に戻れたとはいえ、あのガンダムはまだあそこにあったのだ。下ろすにもそれ相応の費用が必要らしく、ならばとミサはわくわくした様子で楽しそうに口にする。

 

「仮に出来ても自分じゃやりたくねえがな……」

「……下手したらクラウンコース……。ザクには大気圏を突破する性能はない……気の毒だが……」

 

 実際にあのガンダムで大気圏突入出来るのならば面白そうだが、流石にカドマツも自分では気が引けてしまう。それは一矢も同じなのか何とも言えない様子で呟く。もっともその呟きにはあれも一応、ガンダムでしょとミサが軽くツッコむのであった。




ガンプラ名 ガンダムタブリス
元にしたガンプラ ガンダムエピオン

WEAPON ビームソード
WEAPON ツインバスターライフル
HEAD ウイングガンダムゼロ
BODY ガンダムエピオン
ARMS ウイングガンダムゼロ
LEGS ガンダムエピオン
BACKPACK ガンダムエピオン
SHIELD シールド(エピオン)
拡張装備 内部フレーム強化
     スラスターユニット×2(両脚部)
     レーザー対艦刀×2(背部)

例によって活動報告の俺ガンダムにリンクを載せてあります。



<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

幻想目録さんからいただきました。

ガンプラ名:ストライクSeedFreedam(ストライクシードフリーダム)
型式番号:SEED-02
パイロット名:村雨莫耶

WEAPON:シュペールラケルタビームサーベル
WEAPON:ツインバスターライフル(EW版)
ARMS:ストライクフリーダム
BACKPACK:ストライクフリーダム
SHIELD:ビームシールド(ストライクフリーダム)
それ以外:ストライクSEEDと同じ

拡張装備:カリドゥス スーパードラグーン フラッシュエッジ2
レールキャノン ファンネル アーマーシュナイダー Iフィールド

オプション装備:フラッシュエッジ2(両肩) ファンネル(両足)
レールキャノン(両腰) Iフィールド発生装置(腰裏)

カラーリング
BODY:デフォルト ARMS:デフォルト BACKPACK:デフォルト
それ以外:ストライクSEEDと同じ

ガンプラ名:ストライクSeedDestiny(ストライクシードデスティニー
型式番号:SEED-01
パイロット名:アメリア・マーガトロイド

WEAPON:アロンダイト
WEAPON:ルブスビームライフル(フリーダム)
ARMS:デスティニー
BACKPACK:デスティニー
SHIELD:ビームシールド(デスティニー)
それ以外:ストライクSEEDと同じ

拡張装備:頭部バルカン カリドゥス フラッシュエッジ2 ファンネル
パルマフィオキーナ アーマーシュナイダー レールキャノン
高エネルギー長射程ビーム砲 大型ビームキャノン アロンダイト
腕部グレネードランチャー
ビルダーズパーツ:レールキャノン(両腰) ファンネル(両足)
大型ビームキャノン(バックパック) 腕部グレネードランチャー(右腕

カラーリング:腕とバックパック以外はストライクSEEDと同じ。
腕とバックパックは元々のカラーリング。

素敵な俺ガンダムありがとうございました。

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