機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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決められた自分のSTORY
抗う度に築くHISTORY


私が私であるために

 GB博物館による歴代ガンダムブレイカーとのバトルを体験できるイベントステージでは広大なフィールドを舞台に激しい攻防を繰り広げている。かつては一定の範囲内のステージであったが、この時代ではフィールドの大きさはあまりに広大となっている。

 

 

「中々、見つからないな……」

 

 廃墟となっている市街地では、涼一の駆るガンダムエクシアをベースにしたエクシアサバイブがビルに身を潜めながら周囲の状況を伺っていた。

 

「やっぱりレアキャラなんだねー」

 

 その傍らには明里の作成したガンダムタイプのガンプラであるガンダムスラッシュエッジの姿もあり、涼一の呟きに明里が通信越しに答える。今回、歴代ガンダムブレイカーとのバトルが楽しめるといった旨の企画として行われた本イベント。

 

 それでも歴代ガンダムブレイカーと遭遇できるのは、やはり運が試されている部分も多いらしく、ネット上ではガンダムブレイカーとバトルする事は出来たという報告もあれば、そもそも出会えなかったという報告は多々ある。

 

「呑気だな」

「バトルそのものが楽しいからね」

 

 目的はガンダムブレイカーなのに全く出会えていない。そんな現状なのに、特に気にした様子もない明里に呆れるが、明里はモニターを見つめながら楽しそうに笑う。

 

 例えガンダムブレイカーとは出会えなくとも遭遇戦である本イベントは多くのファイターが参加している。当然、エンカウントすればバトルに発展する為に、例えガンダムブレイカーに出会えなくともいつも以上に多くのファイターとぶつかることは出来るのだ。そんな明里の言葉に涼一も苦笑しながら、そうだな、と頷き行動を開始する。

 

 ・・・

 

 そんな涼一と明里のいる地上ステージから昇って行っての宇宙ステージ。広がる宇宙空間が舞台のこのステージでもやはりファイター達のバトルは繰り広げられている。

 

「妙に機体が多いなって思ったらッ!」

 

 その中には貴文が使用する中・遠距離戦を主とするガンダムアグニスと舞歌の接近戦に特化したような作りのケヌルンノスの姿があった。彼がいるフィールドはまさに犇めき合うような状態で多くのガンプラの姿があり、その数だけ繰り広げられる攻撃を対処しながら貴文が叫ぶ。

 

「まさかすぐにガンダムブレイカーが出会うとはっ」

 

 モノアイの残光を光らせながら、ケヌルンノスは一機、また一機と撃破しつつある方向を見やる。

 

 その圧倒的な高機動力を生かしつつ放たれたスーパードラグーンは周囲の機体を撃破し、その手甲の内側が一度輝けば燃える爆炎を持って粉砕していくガンダムの姿がそこにあった。

 

 その名はゲネシスガンダムブレイカー。目にも止まらぬその動きは次々に迫る機体を宇宙の塵へと変えている。

 

「あれで一般向けの調整って言うんだから驚きだな……!」

 

 データ上のコンピューター制御とはいえ、あまりに圧倒的な力を見せるゲネシスブレイカー。レアキャラの一機というだけあって、その性能はあまりにも高い。気を抜けばやられてしまうだろう。その性能に貴文は戦慄する。

 

 ゲネシスブレイカーがアグニスやケヌルンノスを捉え、次の標的に決めると一気に向かおうとする。二機は身構え、ゲネシスブレイカーを迎え撃とうとするが……。

 

「……やはりいらっしゃいましたねぇ」

 

 ゲネシスブレイカーとアグニス達の間を割って入るように鋭いビームが通り過ぎていき、三機は動きを止める。放たれた方向を見やり、舞歌はクスリと笑みを浮かべる。

 

 そこには希空のガンダムNEXの姿があった。

 NEXは今、高速移動の可変形態であるストライダー形態になっており、その背にはロボ助が操作するビーストモードの騎士ユニコーンが乗っていた。

 

「……」

 

 VR空間のNEXのコクピット内では希空がゲネシスブレイカーのみを静かにただ一点に捉えれていた。更にストライダー形態であるNEXを加速させ、ゲネシスブレイカーのみを標的に襲いかかる。

 

 当然、ゲネシスブレイカーも対処しようと動きつつもその距離を取る為に光の翼を展開し、一定の距離を保とうとする。だがそれでもNEXはゲネシスブレイカーのみを追いかけ、流星のような弧を描きながら二機は宇宙空間を駆け巡る。

 

 近くのデブリ帯に突入したゲネシスブレイカーとNEX達。いつまでも追いかけっこをするつもりはない。ストライダー形態のNEXに乗る騎士ユニコーンが光の剣を放つと、ゲネシスブレイカーを通り過ぎて近くのデブリに直撃し、破片が散らばる。

 

 宇宙空間に散らばった破片がゲネシスブレイカーの行く手を阻むなか、そのせいで動きが怯んだ隙を見て、騎士ユニコーンはNEXから飛び退くと、MS形態に変形したNEXは続けざまに二本のビームサーベルを引き抜き、ゲネシスブレイカーが振り向いた瞬間、その左腕をすれ違いざまに切断する。

 

 NEXと対応しようとするゲネシスブレイカーは同時に振り向くと、その刃を交え周囲に激しいスパークが起きる。しかしそれも長くは保たずにNEXの大型ビームキャノンがゲネシスブレイカーに更なる損傷を与え、よろけたところを蹴り飛ばしてデブリに衝突させる。

 

(……アナタの動きは手に取るように分かる)

 

 デブリに衝突し、その身を埋めるゲネシスブレイカーの姿を見つめながら、希空は目を細める。あくまでCPU制御とはいえ、目の前のゲネシスブレイカーの戦い方には元となった“データ”が存在する。

 

 だが希空からしてみれば、そのデータ以上のモノをずっと見てきた。それ故にゲネシスブレイカーの動きはいくらでも予測できて対応がいくらでも可能だったのだ。

 

(……私の実力だって申し分はない筈……。なのに何故……ッ!?)

 

 慢心している訳ではないが一般向けのCPU制御とはいえ、高い性能を持つゲネシスブレイカーを相手に優位に進める自身の実力は決して低いとは言えない筈。だからこそどこか歯痒そうな表情を浮かべる。

 

「……っ」

 

 デブリに埋まっていたゲネシスブレイカーに変化が起こる。それを見た希空は驚くものの目を鋭く細める。ゲネシスブレイカーは紅く輝く光を全身に纏い、覚醒を果たしたのだ。

 

「……その力が……私にないから?」

 

 覚醒の光を眩しそうに見つめる希空の口から心底忌々しそうな声色で放たれる。今すぐにでもあの光を消し去りたい。そんな想いを表すようにNEXはビームサーベルの切っ先をゲネシスブレイカーに向けようとするが……。

 

「ッ!」

 

 その前に自信を狙った鋭い一撃が放たれ、咄嗟にシールドによって防ぎながら距離を取る。一体、誰が無粋な乱入をしてきたのか。希空は鋭く細めた目でその方向を見やると……。

 

「……ガンダムブレイカー0」

 

 そこにいたのはビームライフルを向けるガンダムブレイカー0がいたのだ。どのタイミングでかは知らないが、どうやらガンダムブレイカー0も実体化を果たして、出現したようだ。

 

 ガンダムブレイカー0の出現に気を取られているのも束の間、ゲネシスブレイカーを守るようにガンダムブレイカー0がその前に躍り出る。するとガンダムブレイカー0とゲネシスブレイカーは同時にピット兵器を放ち、NEXへ差し向ける。

 

≪させはしないッ!≫

 

 縦横無尽に四方八方から襲いかかる無数のビームに悩まされる希空は何とか回避するのに精一杯だ。あまりの量にNEXの回避が間に合わず直撃を免れないと思ったが、その前に無数の光の剣がNEXに襲いかかるビームを相殺し、騎士ユニコーンが割って入る。

 

(……どうする?)

 

 対峙する二機のガンダムブレイカーの姿を見つめながら、希空は思案する。少なくともレアキャラであるガンダムブレイカーが二機も出現しているのだ。レーダーを見やれば、此方に向かってくる反応は多くある。合流される前に少なくとも覚醒したゲネシスブレイカーだけは撃破したかった。だが二機のガンダムブレイカーが前ではそれは難しいだろう。

 

 そんな事を考えているうちに無数の鮮やかな粒子の尾を引いた小型ミサイルがNEXの後方から二機のガンダムブレイカーに襲いかかる。もう合流されたのか、いや、あの小型ミサイルには覚えがある。希空が後方を確認すれば……。

 

「──……見つけたぞ」

 

 そこにはクロスオーブレイカーの姿が。離れ離れになっていた彼女もどうやらイベントに参加しているようだが、その声色はいつもの能天気な様子とは違い、真剣なものであった。

 

 迫りくるクロスオーブレイカーにガンダムブレイカー0がビームライフルを向け、狙撃を行うが、クロスオーブレイカーは鮮やかなGN粒子を放出しながら必要最低限の動きを持って回避すると更に距離を縮める。

 

 クロスオーブレイカーの狙いはガンダムブレイカー0のようだ。射撃を行いつつ、距離を詰めたクロスオーブレイカーはGNソードⅢをソードモードに切り替えると、すぐさま斬りかかり、ガンダムブレイカー0との戦闘を開始する。

 

「邪魔をするなァッ!!」

 

 クロスオーブレイカーを操る奏はどこか必死な形相だ。ガンダムブレイカー0を援護しようと斬りかかるゲネシスブレイカーに左腕で腰部からレーザー対艦刀を一本引き抜くとゲネシスブレイカーのGNソードⅤを受け止めると、ライフルモードに切り替えたGNソードⅢを頭部に押し付けて、その引き金を引き、損傷させたところを蹴り飛ばす。

 

「逃がすか……ッ!」

 

 ガンダムブレイカーの使い手として一線を超えた実力を持つ奏。早々にゲネシスブレイカーをあしらい、狙撃を得意とする為に距離を取ろうとするガンダムブレイカー0をトランザムを発現させて、その後を追う。

 

「……奏」

 

 どこか様子がおかしかった奏に引っかかりは感じるものの、自分に一切、目もくれずガンダムブレイカー0を追って、どんどんと離れていく赤き流星の姿を見つめながらポツリと奏の名を口にする希空。

 

「やっぱりアナタは……目もくれずに私を置いていく」

 

 離れていくクロスオーブレイカーの姿に静かに呟く。険しい表情を作っていく希空はその矛先をゲネシスブレイカーへ向け、騎士ユニコーンと共に戦闘を再開するのであった。

 

 ・・・

 

「すっごくビンビンしてるねぇ」

 

 そんな戦闘の様子を一人の少女が見つめていた。その金色の瞳はモニター越しにクロスオーブレイカーとガンダムブレイカー0の姿を捉えて離さない。

 

 彼女がいるのは、イベント管理を行う制御室。全てトイボットやAIによる管理が行われている厳重な部屋の筈なのに、少女はそこにいた。

 

「どうせゲームだ。少し盛り上げてあげるよ」

 

 激闘を行うクロスオーブレイカーを見つめながら、少女は軽く舌で唇を舐める。すると管理室の備え付けのコンソーケルを慣れた手つきで素早く操作を始める。

 

「ホント、何回来ても“この世界”って遅れてるなぁ。これで厳重なロックのつもりなんだからさぁ」

 

 半開きになった入り口の扉や次々に解除されていくプロテクトを見つめながら嘲笑する。彼女こそあのガンプラバトルシミュレーターのプロトタイプから出てきた人影の正体なのだ。その間にもすべてのプロテクトが解除され、開いたのはガンダムブレイカーの制御を行うシステムだった。

 

「どうせだったら、“本物”と戦ってみたいっしょ」

 

 そのまま近くの端末にチップを挿入し、プログラム内のガンダムブレイカー0の制御システムを書き換えていく。

 

「肩慣らしで持って来たんだけどね。まっ、どうせならって奴」

 

 誰に言っている訳でもなく作業を進めていく少女は全てを書き換えるとチップを取り、自分がいた痕跡も失くすと制御室から出て行く。

 

「じっくり見させてもらうよ。遊び相手は多い方が良いし」

 

 制御室から出た少女は上機嫌に鼻歌交じりで一般客向けのフロアに戻ってガンプラバトルシミュレーターへと向かっていく。その途中には制御室に向かう際中で出くわしたと思われる職員が気絶しているものの、少女は何食わぬ顔で通り過ぎて行った。

 

 ・・・

 

「……っ!」

 

 バトルフィールド内のコロニー周辺では依然、クロスオーブレイカーとガンダムブレイカー0が戦闘を繰り広げていた。鍔迫り合いを行っていたクロスオーブレイカーだが、ガンダムブレイカー0のツインアイが不気味に輝いたのを見て、危機感を感じて、咄嗟に距離を取る。

 

「ッ……。覚醒……か……?」

 

 ガンダムブレイカー0の装甲が展開し、内部のサイコフレームを露出させると蒼く光り輝いたではないか。その姿に頭が痛むのを感じながら、静かに呟く。

 

 覚醒を果たし、狙撃を行うガンダムブレイカー0に迫るクロスオーブレイカー。するとガンダムブレイカー0はビームライフルを捨て、両腕部のビームトンファーを展開して受け止めると反撃に出る。

 

「ッ!?」

 

 嵐のような剣撃をみまうガンダムブレイカー0。だがその一撃一撃を受け止める度に奏の表情に動揺が広がっていく。

 

「……戦い方がまるで違う……ッ! これではまるで……ッ!!」

 

 腰部のレールガンが放たれ、盾代わりに構えたGNソードⅢを破壊されてしまう。あの蒼色の覚醒を果たした時からガンダムブレイカー0の戦い方に異変が起きた。それまでは奏のように見慣れた戦い方でいくらでも対処できたのに、その戦い方、特に近接戦がガラリと変わったのだ。

 

 それはまるで“二人が交互に切り替わって一つの機体を操作する”かのように。少なくとも奏が生きてきた中でガンダムブレイカー0もその使い手もこんな戦い方はしていなかった。

 

「……いや、だが……これで良い……ッ!」

 

 荒れ狂う嵐のようなビームトンファーの攻撃を両腕に装備したレーザー対艦刀で受け止めるクロスオーブレイカー。そのコクピット内では奏がその口元に歪な笑みを浮かべていた。

 

「“今の”お前を……倒すッ!!」

 

 ガンダムブレイカー0の変化を良しとした理由は奏にも分からない。だが、少なくとも絶対に倒さなくてはいけないと思っていたガンダムブレイカー0はまさしく目の前にいるような気がしてならないのだ。

 

「私が私であるためにッ」

 

 すると奏の瞳の色彩が紫色に変化する。次の瞬間、クロスオーブレイカーをガンダムブレイカー0と同じように蒼色の輝きが包んでいく。同時に爆発したかのようにクロスオーブレイカーはツインアイを輝かせ、ガンダムブレイカー0との剣戟を繰り広げる。

 

 段々とコロニーに近づいていくなか、ビームトンファーとレーザー対艦刀が激しく打ちつけ合う。互いに一歩も引くことのないバトルはその激しさを更に加速させる。

 

「……“お前”をまるで自分を見ているようで不愉快なんだ……。お前は私……。妙ではあるが、そう思えてならない」

 

 おかしな気分だった。初めて戦う知らない筈の戦い方なのに、その戦い方がまるで自分のことのように分かる。まるで鏡合わせで戦っているかのようだ。データであるガンダムブレイカー0がそうでなくとも、不思議とクロスオーブレイカーにはガンダムブレイカー0の行動が読めてい、今では全てのフィンファンネルを破壊することには成功し、ガンダムブレイカー0を中破にまで追い込んだ。

 

「っ……!?」

 

 だがやはりガンダムブレイカー0の異常に跳ね上がった高い性能を前にクロスオーブレイカーを無事とは言えず、損傷していくなかでその両肩を貫かれて、コロニーの外壁に突っ込んでいく。

 

「だが……だからこそ……ッ! 私が私であるために私自身がお前を倒さなくちゃいけないんだッ!!」

 

 全ては心を覆うような靄を払う為。外壁に押し付けるガンダムブレイカー0の力が強まるなか、レーザー対艦刀を手放したクロスオーブレイカーの両腕がわなわなとガンダムブレイカー0の両腕を掴む。

 

 すると奏の紫色に変化していた色彩は色が入り混じって、“虹色”に変化していく。すると呼応するようにクロスオーブレイカーを包む蒼色の光も虹色の光に変化していくではないか。

 

「くぅ……ッ……! うああぁ……ァ……ッッ!!」

 

 その異変は奏にとって負担が大きいのだろう。脂汗を流しながらでも、それでも歯を食いしばり、一点にモニター越しのガンダムブレイカー0を見据え、クロスオーブレイカーはツインアイをより一層輝かせながら、力を振り絞るように顔をあげ、ガンダムブレイカー0と向き合う。

 

「トランザムゥゥッバアアアァァァァァァァァストオオォォォォッッッッ!!!!!!!」

 

 それは苦痛も何もかも全てを吐き出すような渾身の咆哮であった。EXアクションとしてオーライザーから放たれたGN粒子の奔流はガンダムブレイカー0を飲み込むようにして、撃破する。

 

 ・・・

 

「すっげぇっ! やっぱりガンダムブレイカーってカッコいいッ!」

 

 一般の観戦モニターで観戦していた観客達は決着がついたクロスオーブレイカーを見て、大歓声が上がる。新たなガンダムブレイカーとして活躍する奏はその出自だけでも話題にはなるのだろう。皆、手放しにクロスオーブレイカーを称えていた。

 

 そんなクロスオーブレイカーを遠巻きでNEXこと希空も見つめていた。鮮やかな光の奔流を放ったクロスオーブレイカーに複雑そうな様子で顔を顰め、やがて心底、忌々しそうに歯軋りをする。

 

 ・・・

 

「はぁっ……はぁっ……。あれは……なんだったんだ……?」

 

 現実世界の奏の身体は汗でぐっしょりと濡れていた。虹色の瞳は一時的なものだったのか今の奏の瞳の色彩は紫色に戻っており、やがて元に戻っていく。荒い呼吸を整えながら先程の無我夢中になっている中で変化した己の状態に戸惑いを感じていると……。

 

「ッ!?」

 

 VR空間のコックピットに反応が起こる。クロスオーブレイカー目掛けて、接近する機体がいたのだ。奏はすぐさま二本のレーザー対艦刀を装備して対応しようとするが、その前に赤い影が隕石のようにぶつかり、クロスオーブレイカーごと外壁を打ち破って、コロニーの内部に突入する。

 

「なんだあれ……ッ!?」

 

 その光景に誰もが驚いた。NEXと騎士ユニコーンと合流したアグニスやケヌルンノス。貴文はコロニーの内部の車や木々の類が打ち破られた外壁から放出されていくのを見つめながら戸惑う。

 

「……っ」

 

 それは先程まで険しい表情を浮かべていた希空も同じだったようで、どこか奏を案じるように表情を苦ませながらもストライダー形態へ変形し、騎士ユニコーンと共にコロニーへ向かっていく。

 

 ・・・

 

「っ……。なんだったんだ……ッ!?」

 

 電力を失い、暗がりが広がるコロニー内ではクロスオーブレイカーが何とか姿勢を立て直しながら、市街地に降り立っていた。だが警戒を怠るわけにはいかない。何故ならば、近くには自分を襲った相手がいる筈なのだから。

 

 するとセンサーに反応があり、奏は反応する。その方向を見やれば、コロニー内の大気が抜け出ていくような状況でもこちらに悠然と歩いてくる一機のガンダムの姿があった。

 

「あの機体は……ッ!?」

 

 その機体を見て、驚愕に染まる。燃えるような真紅の装甲と一本の刀を背負った近接特化のガンダム。奏はその機体を知っていた。

 

「バーニングガンダムブレイカー……ッ!?」

 

 その名はバーニングガンダムブレイカー。かつては覇王が使用していた機体が今まさに目の前にいるのだ。

 

≪まさかあのデータを倒せる存在がいるなんてね≫

 

 まさかまたデータなのか?

 そう考えていた奏だったが、バーニングブレイカーからの通信に更に驚く。あれはデータではなく紛れもない本物のバーニングブレイカーのガンプラだとでも言うのだろうか、少なくともその完成度はオリジナルにしか見えないのだ。

 

≪心が弾むなぁ。丁度、ブレイカーの名前らしいし、すっごくビンビン感じるよ≫

「お前は誰なんだ……ッ!? そのガンプラは……!?」

 

 通信越しに悠然と話しかけてくる少女に奏は問いただす。仮にあれがオリジナルのバーニングガンダムブレイカーだとして、何故少女が持っているのか、何もかもが分からなかった。

 

 奏は歴代のガンダムブレイカーの使い手と面識がある。……ただ一人を除いて。

 

 それはバーニングの名を冠するガンダムブレイカーを使用する覇王の異名を持つ存在だった。

 

 奏はその存在を、その戦いを全てデータでしか知らない。その存在を知る英雄も新星もあまりその存在を口にはしないからだ。ただそれでも強く立派な存在だと、いつか出会えるとしか教えてくれないのだ。

 

「まあまあ。私はルルティーナ……。ルティナって呼んで良いよ」

 

 バーニングブレイカーのコクピット内で金色の瞳を持つ少女は口元に笑みを浮かべ、奏を宥めながら己の名を明かす。その首元には年季の入ったペンダントがあり、下げられた宝石であるアリスタは輝く。

 

「あんまりここにはいられないんだよ、バレると凄いうるさいし」

 

 VR空間であるバーニングブレイカーのコックピット内でルティナは肩を竦め、連動するようにバーニングブレイカーも肩を竦める。それは奏達のような一般的なコックピットとは違い、己の肉体と連動したファイタータイプのコックピットだった。もっともこの時代のガンプラバトルシミュレーターにオプションとしては存在するものの、使用者は少数ではある。

 

「だからさぁ……ルティナと遊んでよ」

 

 バーニングブレイカーは軽やかなステップを踏むと、左拳を腰に引き、右手を突き出す独特な構えをとる。奏はこの構えを見た事がある。そう……データで知る覇王が使用する構えだ。ルティナの無邪気な子供のような物言いとは裏腹にその口元には歪な笑みが。

 

 きっとこれ以上の問答は受け付けないだろうし、それ以前にバトルは避けられない。奏はレーザー対艦刀を構え、ルティナのバーニングブレイカーと対峙するのであった。

 




<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

エイゼさんからいただきました。

ガンプラ名:ガンダムスラッシュエッジ
WEAPON:ビーム・サーベル(Hi‐ν) 
WEAPON:ガトリングガン(Vダッシュ) 
HEAD:ストライクE 
BODY:ストライクフリーダム
ARMS:V2アサルト
LEGS:ガンダムDX
BACKPACK:ダブルオーセブンソード
SHIELD:シールド(ウイングプロトゼロ)
拡張装備:内部フレーム補強、新型MSジョイント、丸型バーニア×2(backpack)、角型センサー(body)、大型レールキャノン×2(backpack)
明里が今まで制作したガンプラで唯一『ガンダム』の名を冠したガンプラ、どの距離に置いても高性能だが、明里自身のマッチングに置いて近中距離戦闘を主眼に調整されている。
各種兵装を駆使して、切り札としてトランザムやライザーソードを絡めての戦闘を行う。
カラーリング
headはストライクカラー、bodyとlegはベース通りにarms並びにbackpackは青を濃い目以外はベース通りにシールドは赤を濃い目の青に変更しております。


ガンプラ名:エクシアサバイヴ
元にしたガンプラ:ガンダムエクシア
WEAPON:ビーム・サーベル(Gセルフ)×2
WEAPON:専用ショットガン(ケンプファー)
HEAD:エクシア
BODY:Hiνガンダム
ARMS:ストライクノワール
LEGS:ガンダムX
BACKPACK:デスティニー
SHIELD:ABCマント
拡張装備:スラスターユニット×2(leg)、バルカンポッド(head)、内部フレーム補強、新型MSジョイント、ファンネルラック×2(leg腰部)
涼一の制作したガンプラ。基本的にどの距離でもその高性能を発揮しつつ射撃兵装の上で近距離重視の調整が施されている。

カラーリング
headはグロ-を水色以外はベース通りにして、ボディはエースホワイト、armsは肩と手首をエクシアブルーにしてスラスター部はベース通りに他は白、legは白に足裏を赤にしてスラスターユニットはエクシアブルーに、backpackはメイン羽をエクシアブルー以外はベース通りにお願いします。


不安将軍さんからいただきました

ガンプラ名:ガンダムアグニス
WEAPON:対物ライフル
WEAPON:拳法用MSハンド
HEAD:ライトニングガンダム
BODY:クロスボーン・ガンダムX1
ARMS:デュエルガンダムアサルトシュラウド
LEGS:ガンダムアスタロト
BACKPACK:ガンダムヘビーアームズ
SHIELD:ビームキャリーシールド
拡張装備:ビームピストル×2(腰後部)
     Iフィールド発生装置(腰後部)
     丸型バーニア(バックパック)
     太陽炉(バックパックのエネルギータンク上部)
     レーザー対艦刀×2(バックパック)

カラー:紫系統のカラーで纏めており、大部分が紫。両肩やバックパックを江戸紫、所々がライラックと薄花桜。
アンテナや銅の一部分は黄色。腕や顔、銅部分は白にしてある。

舞歌に合わせて中・遠距離攻撃を主にしているが、いざとなれば近接戦も出来るように作成した支援機体。
基本的に遠距離は狙撃・ミサイル攻撃、中距離はガトリングやビームピストルによる援護射撃を行える。
重装備の外見をしているが、アスタロトの脚部や拡張装備のバーニアのおかげで機動力も有している。
射撃による支援・援護攻撃してる間は相手に近寄らないようにし、近寄られたら逃げつつ弾幕を張る。
レーザー対艦刀は舞歌に渡す事も前提にしており、射撃武器が尽きれば不要なパーツをパージして近接戦に持ち込む。
ビームキャリーシールドは相手の捕獲や飛ばされた武器の回収など様々な事に使われる事が多い。
トランザムは余程の事が無い限り使わず、使った際は近接戦に移行して時間切れになる少し前に距離を取る。


ガンプラ名:ケルヌンノス
WEAPON:ライフル(ガンダムアスタロト)
WEAPON:格闘用MSクロー
HEAD:シナンジュ
BODY:ガンダムバルバトス
ARMS:ジンクスⅢ
LEGS:アルケーガンダム
BACKPACK:ガンダムキマリス(ブースター装備)
SHIELD:アメイジングレヴA(バックパックに付けている)
拡張装備:Cファンネル ロング×6(右腕に3つ、左腕に3つ)
     アメイジングレヴA(バックパック)
カラー:全体的に白寄りの灰色。胴体中央や両肩側面を赤くしており、。頭の一部分だけ黄色にしている。
所々に光沢のあるメタリックな青緑にしていて、Cファンネルのクリアパーツ部分も同じ様にペイントしている。

舞歌が好んで使う愛用ガンプラで、得意としている近接戦に特化させているが遠距離攻撃手段も少ないがある。
多種多様な攻撃手段を持つクローをメイン武装として使っており、たまに相手を投げるという意表を突く事も。
両腕に装備してあるCファンネルは腕に装備させたまま使う事もあれば外して使う事もできるようになっている。
近接戦闘が出来るようにブースト速度を高め、二つのアメイジングレヴAを搭載してより速さを高めている。
スピードを生かしたヒットアンドアウェイからオプション装備による相手を翻弄するような攻撃も可能。
見ての通り速度と近接戦を重視してる為か防御手段が少ないのだが、それは回避で補っている。
EXアクション「紅の彗星」・GNファング・Cファンネルバリアの同時使用からの連続攻撃が奥の手としてある。

素敵な俺ガンダムありがとうございます!!

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