≪どこから侵入してきた、お前達!≫
突如として現れたセピュロス達に対して、コントロールAIはネオ・ジオングは大型アームユニットの五連装メガ粒子砲の砲口を向け、異物を消去しようとメガ粒子砲を放つが、セピュロス達は軽やかに回避するとともに散開してネオ・ジオングへと向かっていく。
「そこよっ!」
ならばとネオ・ジオングの大型アームユニットからファンネルピットが放たれる。
展開していこうとするファンネルピットに対して、その動きを見極めたミヤコはジェスタ・コマンドカスタムの狙撃の体勢を作り、ライフル一発で放たれた全てのファンネルピットを纏めて撃ち抜く。
その間にもセピュロスはぐんぐんと近づき、ならば叩き潰そうと大型アームユニットを振り上げようとするネオ・ジオングだが、猛烈號とブレイクノヴァによって阻まれ、サブアームを展開しようとするのだが、それもバルバトスルプスに破壊される。
ネオ・ジオングに近づいたセピュロスはその眼前でシールドを投げ捨てると、EXAMシステムを発動させた。
「てめぇ、娘に何してんだ、馬鹿野郎ォッ!!」
EXAMシステムによって変わった赤きツインアイは怒りを表すかのように、普段温厚なユウイチからは想像もつかない怒りを見せながら、そのまま己を武器にしたかのようにネオ・ジオングに突っ込み、発現させたサイコシャードを文字通り、粉砕する。
「ちゃんと動けるようになったっ!!」
サイコシャードを破壊されたことにより、今まで攻撃命令をブロックしたウイルスもなくなりミサはビームマシンガンを放ちながら安堵したように叫ぶ。
「みんな……ありがとう」
覚醒していたゲネシスブレイカーは空に舞い上がる。すると一矢は今なお戦い続けてくれる仲間達を想うと、その覚醒の光を更に解き放ち、その空間全体に広がるように覚醒の光はぐんぐんと広がっていく。
「これは……っ!?」
一矢の想いを表すかのようにゲネシスブレイカーから広がった覚醒の光を浴びたセレネスや他の機体に変化が起こり、ウィルは驚く。なんと傷ついた装甲が癒え、耐久値でさえ回復しているではないか。
・・・
「来た来たぁ……ッ! フルパワー充電だッ!」
そしてその覚醒の光は一矢の仲間達であるバーニングゴッドブレイカー達にも届いていた。覚醒の力そのものを受けたかのようなガンプラに迸るエネルギーを感じながら、シュウジはニヤリと笑みを浮かべる。
「みんな、行くぜッ!」
その勢いでアルティメットモードを発現させたシュウジは仲間達に声をかけると、コアプログラムを相手にする他の五機は一気にコアプログラムを撃破するかのように動き出す。
「一矢君……後は任せたぞ」
クロス・フライルー達が次々にコアプログラムを撃破する中、エヴェイユの力を解放したブレイカーネクストは肥大化したエネルギーの塊ともいえる巨大なビームサーベルを振り下ろし、最後のコアプログラムを破壊する。コアプログラムを撃破したと言う事もあり、コアプログラムに生み出された強化ウィルス達も世界中のファイター達に撃破される。
それを確認した翔は一矢達に通信を入れると、通信越しに映る一矢が確かに頷いたのを確認して笑みを浮かべる。だが、次の瞬間、翔達のモニターが暗転し、メモリ空間からもセピュロスやブレイカーネクスト達の姿が消え去る。
・・・
≪回線カットされました≫
コントロールAIも次々に現れる地上からの戦力に回線を遮断した。
頭部にアンテナを設置されているインフォがその事実を発すると、イラトゲームパークのシミュレーターからユウイチ達が出てくる。
「ユウイチ……」
出来る事はした。それに一矢にミサを託した。
だが、それでも娘を誰よりも守りたいのは父であるユウイチであろう。無力を噛み締めるように俯いて拳を握るユウイチにマチオが声をかけ、その肩に触れる。
「大丈夫……帰ってくるよ」
「ええ、彼らは世界一のチームですから」
だがユウイチは穏やかな顔をあげ、微笑む。
娘を信じているからだ。絶対に娘は仲間達と共に帰ってくる。その確信があるからユウイチは微笑んだのだ。ユウイチの言葉に 同意するようにミスターも笑みを見せ、この場で戦っていた厳也達も同じように笑いながら、頷いている
「お前ら久しぶりに茶でも飲んでけ」
「わたしがやるわ。イラトおばちゃん」
ユウイチ達に面識があるのは勿論、大人である彼らがこのイラトゲームパークに訪れたのは本当に久しぶりなのだろう。イラトはそれだけ言って店に戻ろうとすると、クスリと微笑んだミヤコはイラトの老体を支えながらお茶酌みを申し出る。
「イッチ……。アタシ達、みんな待ってるから」
各々がイラトゲームパークに戻っていく中、夕香は一人空を見上げ、いまだ戦っているであろう兄達を想う。やがてシオンに声をかけられた夕香は返事をしながら其方に向かっていくのであった。
・・・
「俺達に出来るのはここまでか……」
また別の場所でも翔が空を見上げ、眩しそうに目を細める。
傍らにはレーアやシュウジ達の姿もあった。コントロールAIによって回線が遮断されるのは予想していたが、やはりと言うべきか最後まで力を貸してあげたかった。
「後はあいつらが何とかするでしょうよ。この世界の……いや、あいつらの問題なんだ。俺達が解決するんじゃなくて、あいつらが解決すべき……。そうでしょ?」
「だから、その為に力を貸して、支えてあげたんでしょう?」
そんな翔に安心させるようにシュウジとレーアが声をかける。シュウジも過去に翔に言われた。その世界の問題はその世界に生きる者達が解決すべきなのだと。だからその為にシュウジは自分達の手によって解決するのではなく、あくまでそのサポートをした。
「大丈夫。あいつらはそれだけの力を持ってる。きっと帰ってきますよ」
「そうだな……」
翔の隣に立ちながら、シュウジも空を見上げると笑いかける。
レーアやシュウジの言葉を聞いた翔は再び空を見上げ、一矢達が帰ってくるのを信じ、祈り続けるのであった。
・・・
≪悪あがきはここまでだ。遂に見つけた最強のガンプラを≫
最後に残ったのはゲネシスブレイカー達とネオ・ジオングであった。完全にセピュロスやブレイカーネクスト達などの異物がなくなったのを確認したコントロールAIは目の前のゲネシスブレイカー達に告げる。
≪これで私のガンプラは完成する!!≫
今までコアユニットがいなかったネオ・ジオングにデータが新しく構築され形作る。
そしてついに現れたコアユニットとなるガンプラを見て、一矢達は驚愕する。何故ならば、ネオ・ジオングのコアブロックに収まっているのはゲネシスガンダムブレイカーであったからだ。
≪ここで完全に破壊してやる≫
しかも驚きはそれだけでは終わらなかった。
コアユニットに収まるゲネシスブレイカーが輝き、一矢達は既視感を覚える。
何故ならば、その輝きは先程見たからだ。そう、コントロールAIはによって生み出されたゲネシスブレイカーは覚醒したのだ。そしてその覚醒の光はネオ・ジオングその物まで包み込み、これから振るうであろう猛威を予感させるコントロールAIの言葉がメモリ空間に響くのであった。