ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

76 / 187
ゆるポメラです。
サブタイに悩んだ結果、
こんな感じになってしまいました。
今回は、かなり暗い内容です。

それではどうぞ。



第72話 約束・・・

部屋に戻ると

ほのちゃん達の様子がおかしかった・・・

 

(今は声をかけない方がいいかな・・・)

 

何となくだが

そう思った・・・

 

『ゆうり君・・・』

「・・・後で話すよ」

『うん・・・』

 

花怜ちゃんに

話しかけられたので

僕は、後で説明すると言った。

 

(・・・あの時と同じ雨か)

 

僕は外の天気を見ながら

憂鬱な気分になった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side花怜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆうり君の事も心配だけど

穂乃果ちゃん達も心配だなぁ・・・

 

(朝食の時も元気なかったし・・・)

 

特に海未ちゃんは顔色が悪かった。

だって当事者の一人なんだもの・・・

 

私は今、2階のテラスで外を眺めてるけど

相変わらずの雨。

 

「どうしたの?、そんな顔して・・・」

 

いつの間にか隣に、ゆうり君がいた。

 

『ゆうり君が一番辛いんじゃないの?』

「・・・泣き言なんて言ってられないし」

『バカ・・・』

 

強がり的な事を言ってるけど

実際に本当は辛い筈。

ゆうり君の表情は目が虚ろになっていた。

周りの人は気づかないけど、

この表情をしている時は、

泣きたいくらい辛いって意味だという事は

花怜しか知らない・・・

 

『どうする気なの?』

「・・・花怜ちゃんは分かってるでしょ?」

 

決着をつける為に

ゆうり君が1人で行く事は分かってる。

それはつまり・・・

 

『私は行かない方がいいんだよね・・・』

「・・・ほのちゃん達をお願い」

 

ゆうり君は穂乃果ちゃん達を

巻き込みたくないから・・・

 

『あと3時間だね・・・』

「・・・うん」

 

私が、そう言うと

ゆうり君は背を向け・・・

 

「・・・行ってくるね。生きて帰れるか分かんないけど・・・」

『私は、ゆうり君の味方だからね?』

 

花怜が言うと、ゆうり君は・・・

 

「うん、ありがと・・・」

 

そう言い残し去って行った・・・

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、少し早いけど

行こうかなと思ったら・・・

 

「・・・ことちゃん?」

 

ことちゃんが部屋の前にいた。

僕が近くにいるのも気づいてない

みたいなので・・・

 

「ことちゃん・・・」

「あ、ゆーくん・・・」

 

声をかけてみたけど

やっぱり元気がなかった・・・

 

「ゆーくん、行っちゃうの・・・?」

「うん・・・」

「イヤッ‼、行かないでっ‼」

 

ことちゃんは泣きながら

僕に抱きついてきた・・・

 

「ゆーくん、死んじゃイヤだよぉ・・・」

「まぁ、生きて帰れるかは・・・」

「じゃあ、約束して・・・?」

 

そう言うと

ことちゃんは自分の付けてるリボンを

取り・・・

 

「ことりのリボン、ゆーくんに預けるから帰ってきたら、ちゃんと返してね?」

 

渡されたのは緑色のリボン・・・

ことちゃんを見ると、涙目になりながらも

天使のような笑顔で笑ってた・・・

 

「・・・ん。分かった、約束する」

「ことり、待ってるから・・・」

 

それだけ言うと、

ことちゃんは部屋に入って行った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー2階フロア・エントランスーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このフロアを出て行くと

1階に向かうエスカレーターがある。

僕がフロアを出ようとした時・・・

 

「悠里君・・・」

 

みーちゃんに声をかけられた。

 

「・・・どうしたの?」

「本当に行ってしまうんですか・・・?」

 

みーちゃんの表情が暗い。

多分、自分のせいって考えてるな・・・

 

「みーちゃんは悪くないよ、悪いのは・・・」

 

『僕だ』って言おうとした瞬間、

みーちゃんが抱きついてきた・・・

 

「わ、私が悪いんです。だって悠里君が・・・」

「みーちゃんのせいじゃないよ・・・」

 

僕の胸の中で泣いてる

みーちゃんを慰めると・・・

 

「じゃあ約束してください・・・」

 

みーちゃんは泣き止むと、ポケットから

何かを取り出した・・・

それは、作詞用の万年筆だった・・・

 

「悠里君に預けますから、帰ってきたら返して

くださいね・・・?」

 

みーちゃんは少し涙目になりながらも

僕の事を信じて渡してくれた・・・

だったら僕は・・・

 

「・・・必ず返すよ」

「無茶だけはしないでくださいね・・・?」

 

笑顔で言うと、

みーちゃんは部屋に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー1階・エントランスーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外は小雨だけど

何とか大丈夫そうだ・・・

僕が外に出ると・・・

 

「ゆうちゃん‼」

 

ほのちゃんが息切れをしながら

僕のところに来た・・・

もしかして走ってきたのかな・・・?

 

「行っちゃ、いやだ・・・」

「ほのちゃ・・・」

 

振り向こうとしたら

ほのちゃんが後ろから抱きついてきた・・・

背中越しから、啜り泣く声が聞こえた。

 

「ゆ、うちゃん、行っちゃ、いやだよぉ‼」

「ほのちゃん達を巻き込みたくないから・・・」

「じゃ、じゃあ約束して・・・?」

 

ほのちゃんは僕に

キーホルダーみたいな物を渡してきた。

しかもこれ・・・

 

「ほのちゃんが昔、作ったやつだよね・・・?」

 

そのキーホルダーは、小さい頃に花怜ちゃんと

2人で作った手作りのキーホルダーだった。

オレンジ色のガラス玉を削って太陽の形をした、

不思議なキーホルダー・・・

 

「穂乃果の大事な物だから、帰ってきたら

ちゃんと返してよ・・・?」

 

ほのちゃんは太陽のような笑顔で

僕に言った・・・

 

「うん、分かった・・・」

「・・・絶対、だよ?。穂乃果、待ってるから」

 

そう言うと、ほのちゃんは

みーちゃん達がいる部屋に向かって行った。

 

「・・・最初で最後の『思い出の武器』か」

 

僕は、みーちゃんの万年筆に

ほのちゃんのキーホルダーを付け、

更に右手首に、ことちゃんのリボンを付けた。

 

「約束だから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー海岸ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海岸に着くと九毛が既にいた。

 

「やっと来たな、落ちこぼれ!」

「・・・」

「だんまりか。まあいい!、この時を待っていた‼」

 

夜中なのに叫ぶとか

あり得ないんだけど・・・

 

(雨が降ってるから関係ないのか・・・)

 

僕が考えていると

九毛はサーベルを取り出した。

 

「こいつは、ただの武器じゃねえぜ?」

 

自分から仕込み型の武器って暴露するとか

バカじゃないの?

あぁ、元からか・・・

 

「死ねっ‼」

 

九毛がサーベルを振るうと

砂浜にあった貝殻が溶けた・・・

 

(刀身に毒が塗ってあるタイプか・・・)

 

避けながら僕は

九毛の武器を分析した・・・

 

「貴様は丸腰、いい気味だぜぇ‼」

 

高笑いしながら僕を追い詰める九毛・・・

気づけば僕は海岸の崖まで追いつめられてた。

 

「水無月、遺言くらいは聞いてやるぜ?」

「・・・誰がするか」

「オイオイ、死ねのはテメェなんだぜ?」

 

なんで僕がわざわざ

海岸の崖まで()()()()()()()()()()をしたと

も気づかないなんて・・・

調子に乗りすぎなんだよ・・・

 

「な、何だよ!?。その()()()は!?」

 

九毛は、みーちゃんの万年筆が()に見えるみたいだね。

更に、ほのちゃんのキーホルダーの音が鳴ると・・・

 

「く、()()だと・・・!?」

「さっきまでの威勢は、どうしたのさ?」

「き、貴様‼。な、何をした!?」

 

そして僕は、ことちゃんのリボンを九毛に

見えるようにすると・・・

 

「ひっ!?、へ、蛇だと!?」

「どうしたの?、僕を殺すんじゃなかったの?」

「く、来るな!?」

 

立場が逆転し、僕が九毛を崖に追い詰めた・・・

九毛からすれば、鉈と鎖鎌を持ち、更に毒蛇を

引き連れたように見えるだろう・・・

 

「た、助けてくれ!?」

「前にも言ったよね?、それ・・・」

「わ、分かった‼、もう関わらないから許してくれ」

 

こいつは、今なんて言った・・・?

殺し屋を雇っておいて、許せだと・・・?

 

「なっ?、悪い話じゃないだろ!?」

 

僕は九毛に無言で近づき・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーザシュ‼ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かはっ・・・!?」

 

九毛の首の頸動脈を切り裂き

海の底へ落下させた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕を殺したいんなら、中途半端な覚悟で来るなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして僕は

宿に戻り、花怜ちゃんと合流し

部屋に戻ると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「お帰り!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほのちゃん、みーちゃん、ことちゃん

は泣きながらも笑顔で僕の事を待っててくれた。

だから僕は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束、守れたかな・・・?

 

『もぅ、当たり前でしょ?』

 

隣で花怜ちゃんが

微笑みながら僕に言った・・・

 

 

 

 

 




今回は、九毛との決着をつけさせました。
なんか短くて申し訳ありません・・・
次回も、よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。