ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の予告通り、
今回の話は沖縄への修学旅行の準備を
する悠里の話です。
今回の内容の時系列なんですが
2期第4話と第5話の間の話(つまり4.5話)だと
思っていただければ幸いです。

それではどうぞ。



第65話 悠里の1日

僕は今、準備をしている。

何の準備かって?

実は・・・

 

「・・・明日から修学旅行かぁ」

 

そう・・・。

僕達2年生は明日から

沖縄に修学旅行に行くのだ。

最初は僕なんかが行って良いのかな?

と思い、南先生に直談判をしに行った程だ・・・

で結局、ことちゃん達の意見にも

押し切られてしまい今に至ります・・・

 

「・・・正直楽しい思い出がないよ」

 

中学の時の京都に行った修学旅行なんて

僕にとっては精神的な拷問に近かった・・・

だから修学旅行なんて嫌いなんだ・・・

例外はあるけど・・・

 

「・・・中学を卒業した後の旅行は楽しかったな」

 

提案したのはティアちゃんで

僕も最初は渋ったのだが、花怜ちゃん、ルーちゃん、

未柚ちゃん達に押されて、5人で静岡に行った事が、

僕にとっていい思い出・・・

あれは僕にとって修学旅行に行ってるように感じた・・・

詳しく旅行先を言うと、

静岡の沼津市の海辺の町の内浦ってところ

に旅行してきたんだ・・・。

知り合いも増えたしね。

 

「あと足りない物は・・・」

 

朝から準備してるけど

早い事に越したことはないよね。

水着は・・・

 

「・・・一応持ってこう」

 

まぁ、泳がないけどね?

着替え、歯ブラシ、目薬、筆記用具・・・

財布は当たり前、トランプ、

あと必要な物は・・・

 

「・・・暇つぶしになる物くらいかな?」

 

だとしたらスケッチブックと

色鉛筆を・・・

 

「あれ?、予備のストックがない・・・」

 

そこで僕は急遽、

秋葉でスケッチブックと色鉛筆を

買おうと思い、出かける支度をし

家を出た・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー秋葉ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人で秋葉に来るのは久しぶりかも・・・」

 

最後に1人で秋葉に来るのは

いつだっけと思いながら散策していると・・・

 

「いいじゃねぇか、俺と遊ぼうぜ」

「や、やめてください!」

 

ガラの悪い不良の男が女の子をナンパしていた。

ナンパされていた女の子は、

よく見ると知り合いの女の子だった。

しかも周りの人は見て見ぬふりか・・・

僕は助けようと思い・・・

 

「・・・ねぇ、その子、嫌がってんじゃん」

「なんだテメエ?」

 

相手の間に入り

僕は男を睨みつけた。

 

「あ、悠里お兄ちゃん・・・」

「ちょっと待っててね?」

「う、うん」

 

すると男は

邪魔されたのが気に食わなかったのか・・・

 

「おいガキ!」

「・・・あ、まだいたんですか?」

「っ!、ぶっ殺す!」

 

完全に今のは僕の煽りだよね。

男はキレたのか僕に殴りかかってきた。

振りかぶった瞬間を狙い、

僕は相手の鳩尾に・・・

 

 

 

 

 

 

 

ーードゴッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

「かはっ・・・!?」

 

勢いをつけ膝蹴りをかました。

ちなみに、加速力をつけた膝蹴りなので

やられた側からすれば胃が逆流しそうな

感覚になるだろうね。

実際に僕も中学の頃、頻繁にやられたし・・・

男は僕を化け物でも見るような目で見てきた。

 

「・・・まだやります?」

「ヒッ!?」

「・・・僕の機嫌が変わらない内に逃げた方が賢明かと」

「ス、スイマセンでしたあぁー!?」

 

僕が声を低くしながら言うと

男は涙目になりながら逃げて行った・・・

僕は女の子の方を振り向き・・・

 

「・・・大丈夫、梨子ちゃん?」

「うん。助けてくれてありがとう、悠里お兄ちゃん」

「・・・怪我とかがなくて良かったよ」

 

この子の名前は、桜内梨子(さくらうちりこ)ちゃん。

最初に会ったのは、僕が高校の入学式まで

休みだった時に絵の画材とかを買いに秋葉で

会った事が切っ掛けで、その後に色々あって

それ以来、僕の事を何故か『悠里お兄ちゃん』と呼んでいる。

何で、そう呼ぶのかは梨子ちゃんしか分からないけど・・・

 

「・・・今日はどうしたの?」

「スケッチブックを買いにきたんだけど・・・」

「・・・さっきの不良の人に絡まれたと?」

「うん・・・」

 

で、たまたま僕が

通りかかったって今の状況になるって事ね・・・

 

「悠里お兄ちゃんは?」

「明日から沖縄に修学旅行で、暇つぶしになる物ないかなぁって

スケッチブックの予備と色鉛筆が無かったからそれを買いに」

「あ、そうなんだ・・・」

「・・・梨子ちゃんが良ければ一緒に買いに行く?」

 

すると梨子ちゃんは・・・

 

「うん!、行く!」

「・・・じゃあ行こうか」

 

こうして成り行きで

僕は梨子ちゃんとスケッチブックを

買いに行く事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー秋葉のデパートにてーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ちょうど残り2つだったね」

「悠里お兄ちゃんの色鉛筆も最後の1つだったね?」

「・・・あはは」

 

まさか売れ行きが良すぎて

品切れ寸前になってたなんてビックリだよ・・・

店長さんに聞いたところ・・・

 

『正直、驚いてるとしか言えんな・・・』

 

と苦笑い気味に言ってたなぁ・・・

あ、もしかして芸術の秋だからかな?、かな?

 

「・・・あ、楽器売り場に寄ってもいいかな?」

「うん、私も寄りたいと思ってたし・・・」

 

梨子ちゃんもなんだ・・・

あ。言い忘れてたけど、梨子ちゃんは

ピアノが得意なんだ。

あとビオラ・・・、だったかな?

 

「悠里お兄ちゃん、早く行こうよ!」

「・・・そんなに慌てなくても楽器は逃げないよ?」

 

梨子ちゃんって

落ち着いているように見えるけど

実は慌て者だったりするんだよね。

僕も最初は驚いたなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー楽器売り場ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここの楽器売り場は

様々な楽器がある事で有名なんだ。

民族楽器があったり、各楽器の原点の物

があったりと品揃えが豊富なんだ。

 

「いらっしゃいませー、あら♪。悠里くんと梨子ちゃんじゃない♪」

「・・・ご無沙汰してます」

「こんにちは」

 

僕達2人を出迎えてくれたのは

ここの店長さん。

僕の母さんの知り合いでもある・・・

 

「悠里くん、藍里ちゃんに段々似てるわね♪」

「・・・外見がですか?」

「うーん、それもあるけどやっぱり雰囲気かしら」

「あはは・・・」

 

まぁ、悪い気はしないけど・・・

 

「それで今日はどうしたの?」

「ピアノの種類、増えてるのかなと思って・・・」

「それなら・・・」

 

そう言って店長さんに

案内された場所はピアノコーナー。

文字通り、ピアノが置いてある場所・・・

そこには・・・

 

「・・・青いピアノ?」

「私も見た事ない」

 

僕と梨子ちゃんが気になったのは

見た目の色が澄んだ青をしたピアノだった。

何故か惹かれる・・・

 

「実は今日入荷したばかりなのよ」

「・・・そうなんですか?」

「しかも、どの種類のピアノなのかも分からないのよ」

 

これには僕も驚いた。

店長さんは楽器という分野では、かなり知識があり

特にピアノとかは、種類はもちろん、

音の違いや細かい音のズレなどを見抜く事ができ

この楽器店では有名な人なんだ。

その店長さんですら分からないピアノって・・・

 

「・・・販売はするんですか?」

 

僕が聞くと・・・

 

「うーん、それが出来ればねえ・・・」

 

種類が分からないんじゃ

どうしようもないのか・・・

 

「・・・試しに弾いてもいいですか?」

「悠里くんならOKよ!」

「私も悠里お兄ちゃんが弾くの久しぶりに聴きたいな」

 

梨子ちゃんにも

言われちゃったらなぁ・・・

 

「じゃあ何か適当に・・・」

 

さて何を弾こうかな?

このピアノの色は澄んだ青色だし、

青っていうと『青空』、『深海』、『雲海』

というイメージがあるので

それに関した曲を弾く事にした・・・

 

「やっぱり悠里くんが弾く曲は凄いわね・・・」

「悠里お兄ちゃん凄い・・・」

 

弾いてて思った事が

このピアノは、どうやら弾いた本人の

イメージに合わせて音が変わるという

不思議なタイプのピアノだった。

まるでピアノ自身が意思を持っているかのよう・・・

演奏が終わり僕は店長さんに・・・

 

「・・・これ弾きたい人に弾かせる展示品か何かにした方がいいと」

「あら、どうして?」

「僕、弾いてて分かったんですけど、このピアノは弾いた人のイメージ

に合わせて音が変わるみたいなんです・・・」

 

すると梨子ちゃんが・・・

 

「じゃあ値段がつけられない珍しいピアノなの?」

「・・・たぶん値段がつけれない以上かな。冗談抜きで」

「う、うわぁ・・・」

 

正直、弾いた後で申し訳ないけど

そのくらいのレベルのピアノだった・・・

実際に弾いてみないと価値が分からない・・・

そういう代物だって事がよく分かった。

 

「分かったわ。じゃあ展示品にしておくわね?」

「・・・僕の独断ですみません」

「『幻のアイドル』が言うんだもの、充分に説得力があるわよ♪」

「私も悠里お兄ちゃんが言うと納得できるよ」

「梨子ちゃんまで・・・」

 

その後、色んな楽器を

見て回り、僕達2人は楽器売り場を

あとにした・・・

 

(気が向いたら、また弾きに来ようかな・・・)

 

そう思った僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー帰り道ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は夕方になり

僕は梨子ちゃんを

家まで送ってあげた・・・

 

 

 

 

 

 

 

「悠里お兄ちゃん、家まで送ってくれてありがとう・・・」

「・・・ううん、気にしないで」

 

僕がそう言うと

梨子ちゃんが何か寂しそうな

表情をしていた。

どうしたんだろ・・・?

 

「明日から当分、悠里お兄ちゃんと会えないの?」

「・・・まぁ、そうなるかな」

「やだ」

 

そう言うと梨子ちゃんは

僕の服の袖の部分を掴んできた。

 

「・・・どうして?」

「だって悠里お兄ちゃん、いつか私の前から消えちゃう・・・」

 

そうだった・・・

梨子ちゃんは僕が声を出せない事や

僕が高校を卒業した後の事も

知ってるから、早とちりしちゃう事が

あるんだった・・・

だったら僕が言ってあげる事は・・・

 

「・・・大丈夫だよ」

「え?」

 

僕は梨子ちゃんの頭を

撫でながら・・・

 

「修学旅行が終わったら、また会いに来るから・・・」

「本当・・・?」

「・・・うん、約束するよ」

 

すると梨子ちゃんは

僕の一言に安心したのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

「絶対来てね。悠里お兄ちゃん!///」

 

 

 

 

 

 

笑顔で言った。

さて明日から修学旅行だけど

お土産、()()()()()()にも

買ってあげないと・・・

 

 

 

 

「じゃあまた来るからね?」

 

僕が背を向けて

帰ろうとした時・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠里お兄ちゃん、いってらっしゃい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だったら僕が言ってあげる事は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・うん、行ってきます!」

 

 

 

 

 

 

明日からの修学旅行、

楽しい思い出をたくさん作ろう。

そう思った僕だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちゃっかり『サンシャイン!』のキャラを
出してしまいました。
自分は千歌ちゃんが好きなのですが
梨子ちゃんも好きなんです(コイツ言いやがった!)

梨子ちゃんを上手く表現できたかは
分かりませんが・・・(未だに残る不安感)
だけど後悔はしてません。
元々、どこかで出す予定だったので(苦笑い)
次回は、2期第5話『新しいわたし』の回
を執筆したいと思います。

次回もよろしくお願いします。

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