ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回で『優勝をめざして』の回は
最後になります。
少し色々と短いかもしれませんが
よろしくお願いします。

それではどうぞ。



第60話 2度目の合宿先は山!? その3

あの後、ちょっとした珍事件があった。

凛ちゃん、にこさんが川に落ちたらしい。

ほのちゃんに聞いたら、野生のリスから

リストバンドを取り返そうと思って追いかけたら

川に落ちてしまったって聞いた・・・

 

「・・・これ飲んで温まってください」

「悠里、これ何?」

「・・・僕特製のコンソメ生姜スープです」

「す、凄いわね、あんたって・・・」

「・・・はい、凛ちゃん」

「ありがとにゃ~」

 

そういえば上が静かだな・・・

更に言うなら、さっきまでそこにいた

真姫ちゃんもいない・・・

どこに行ったんだろ・・・

上かな・・・?

 

「・・・僕、みーちゃん達のところに行ってくるね?」

「あ、穂乃果も一緒に行くよ!」

 

ほのちゃんと2人で上で作業している

みーちゃん達の様子を見に行く事に・・・

 

 

 

 

 

 

ーー2階の部屋ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・みーちゃん?、入るよ?」

 

部屋に入ってみると

みーちゃんがいなかった・・・

 

「ゆうちゃん、これ何だろ?」

「・・・書き置き?」

 

テーブルの上に書き置きらしき物が

あったので、読んでみると

そこに書かれていたのは・・・

 

 

『探さないでください』

 

 

 

 

 

「「えぇ!?」」

 

みーちゃん、どうしたの!?

僕達2人は驚くしかなかった。

とりあえず・・・

 

「ことちゃん!」

 

隣の部屋で衣装の作業をしているであろう

ことちゃんがいる部屋に入ってみたが

ことちゃんもいなかった・・・

 

「ゆうちゃん、これ見てよ!?」

「・・・え?、って何これ!?」

 

何と額縁に、ことちゃんらしき文字で

『タスケテ』と書かれていた。

 

「・・・あれ?、窓が開いてる」

 

よく見ると結ばれた布が室内から窓の外へ伸びていた。

僕が外を見て見ると・・・

 

「「「はぁ・・・」」」

 

溜息を吐きながら体育座りをしている

みーちゃん、ことちゃん、真姫ちゃんの3人がいた。

 

「海未ちゃん達どうしたんだろ・・・」

「・・・とりあえず3人を迎えに行こ?」

「そうだね」

 

ほのちゃんと2人で

みーちゃん達のところに向かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー1階のリビングーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・スランプ?」

「はい、気にしないようにはしているのですが・・・」

「・・・ことちゃん、真姫ちゃんも?」

 

僕が言うと2人は頷いた。

こりゃ相当だね・・・

 

「しかも譜面が真っ白にゃ!」

「ちょっと凛!、勝手に見ないで!?」

「確かに3人に任せきりは良くないかも・・・」

「そうね。責任も大きくなるから負担も掛るだろうし」

 

花陽ちゃんと絵里さんの意見には

僕も同意見かな。

僕も似たような経験をした事が何度かあったし・・・

 

「あ、そうだ!」

「絵里さん・・・?」

 

絵里さんが何かを思いついたらしく

僕らを外に誘導する・・・

 

「3班に分かれましょ!」

「・・・つまり衣装担当の班、作詞担当の班、作曲担当の班に

分かれるって事ですか?」

「ええ。」

 

絵里さんの提案に僕は納得する。

確かにそれなら、いい案が浮かぶかもしれない。

 

「えりち、どうやって分けるん?」

「そうね・・・」

 

絵里さん、希さんがどう分けるか相談する。

ようは的確な3班に分ければいいから・・・

 

「・・・僕が班を決めてもいいですか?」

「悠里くん、良い案でもあるの?」

「・・・ありますよ」

 

僕は近くの木にある葉っぱを取った。

 

(しばらく呼んでないから不安だけど・・・)

 

まぁ説明すれば大丈夫か・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side穂乃果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里ちゃんの提案で3班に分かれる事になったけど

どうやって分けるかは決めてない。

すると、ゆうちゃんが・・・

 

「・・・僕が班を決めてもいいですか?」

 

ゆうちゃん、どうやって分けるんだろ?

すると、近くの木にある葉っぱを取り

何かを作り始めた。

 

「ゆうちゃん、それ何?」

「・・・草笛」

 

えっ・・・?

草笛を作って何するの?

他のみんなも同じ反応だった・・・

 

「・・・ふぅ」

 

深呼吸をし、作った草笛で・・・

 

 

 

 

ーーピィ~♪、ピィピ~♪、ピィ~♪ーー

 

 

 

綺麗な音色を響かせていた・・・

穂乃果達も惹きこまれる

うっとりするような感じ・・・

 

 

ーーガサガサッ!ーー

 

 

 

 

「・・・本当に来てくれるとは」

「「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」

 

茂みから出て来たのは

1匹の猫、狐、兎の3種類でした・・・

 

「ニャ~」

「・・・うん、お願いがあって呼んだの」

「ゆうちゃん言葉が分かるの!?」

「・・・なんとなくだけどね」

 

でも実際、猫との会話が成り立ってるし

兎の方は、ゆうちゃんの頭の上に乗ってるし

狐の方も肩にチョコンと乗ってる・・・

見ていて不思議な光景だった・・・

 

「・・・みーちゃん、こっち来て?」

「は、はい・・・」

「・・・じゃあ作詞する班、決めて?」

 

ゆうちゃんは肩に乗っている狐に向かって

そう言いました・・・

 

ーーツンツンーー

 

「え、ウチ?」

「・・・まず1人目は希さん」

 

すると次は・・・

 

ーーツンツンーー

 

「り、凛?」

「2人目は凛ちゃん。作詞班は、これで決まり・・・」

 

すると、ゆうちゃんは足元にいる猫に向かって

 

「・・・真姫ちゃんの担当する作曲する班、決めて?」

「ニャ~♪」

「・・・真姫ちゃん、こっちに来て?」

「あ、はい・・・」

 

すると・・・

 

「ニャア~」

「に、にこ?」

「1人目は、にこさん・・・」

 

続いて絵里ちゃんの方に向かい・・・

 

「ニャウ~」

「2人目は絵里さん。作曲班は、これで良し・・・」

 

ゆうちゃんは穂乃果と花陽ちゃんを

見ると・・・

 

「ほのちゃん、花陽ちゃんは、ことちゃんの担当の

衣装班に決まりね・・・」

「ねぇ、ゆうちゃん。その・・・」

「・・・この子も一緒だから」

「そ、そうなの?」

 

ゆうちゃんの頭に乗っていた兎が

穂乃果の方にやって来た。

か、可愛い~///

 

「面倒よろしくね?、その子、おてんば娘だから・・・」

「え?、メスなの?」

「・・・そこの猫と狐もメスだよ」

 

むぅ~・・・

何だろう、ゆうちゃんを取られた気分・・・

 

「・・・じゃあ頑張ってね?」

「あれ?、ゆうちゃんは・・・?」

「・・・僕は1人で考えるよ」

 

それだけ言い残し

1人で別荘に戻ってしまった・・・

 

(穂乃果、何かしてあげれないかな・・・)

 

別荘に戻って行く時の

ゆうちゃんの背中からは寂しさが伝わってた・・・

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・1人は慣れてる筈なんだけどな」

 

別荘に戻り、誰もいないリビングで

そう呟いた・・・

 

「僕も何か手伝おうかな・・・」

 

自分のバックから

ノートを取り出し思い出す単語を

書き綴る・・・

 

「・・・『夢』と『扉』しか浮かばない」

 

そう簡単に浮かぶ物じゃないので

脳を落ち着かせる為、スケッチブックを取り出し

何か絵を描く事にした・・・

 

「山の自然が良かったから・・・」

 

僕が描いているのは、川沿いとかに

咲いていそうな花畑の絵・・・

意外と、こうゆう山に咲いてそうな花って

白や黄色をモチーフにした花が多いんだよね・・・

僕は昔から自分がイメージした絵を描くのが

好きだったりする。

 

「・・・ってもう夜じゃん」

 

あれから2時間以上、絵を描いてたみたい。

時間が過ぎるのは早いな・・・

 

「・・・なんか飲もうかな」

 

リビングの奥にあるキッチンに行き

真姫ちゃんには悪いなと思いながらも

冷蔵庫の中身を確認する・・・

 

「・・・軽いランチセットでも作ろうかな」

 

僕は冷蔵庫から材料を取り出し

レシピを作る事にする・・・

 

「自分で自分の物を作っても気持ち悪いだけだしなぁ・・・」

 

思考した結果、みーちゃん達の分を作る事にした。

戻って来た時に、お腹空いてないかと思ったから・・・

 

 

 

 

 

ーー30分後ーー

 

 

 

 

「・・・こんなもんかな」

 

完成した品をリビングに運ぶ。

僕はお腹空いてないので食べる気分じゃない。

 

「やっぱり梅干し紅茶は美味しい・・・」

 

僕が読んでいるサウンドノベルで

某、奇跡の魔女も言ってたな・・・

 

「『梅干しは1パック200円のやつ』じゃないと思った味が

出せないんだよね・・・」

 

自虐的に僕は笑う・・・

ここ最近、僕は時間の流れを早く感じる事が多くなった。

楽しい時間は僕にとって砂時計みたいに早い・・・

 

「ピアノでも弾こうかな・・・」

 

梅干し紅茶を飲み終わり

僕はリビングに置いてあるピアノに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side海未

 

 

 

 

 

 

 

 

「一番大切なのは本人の気持ち・・・」

 

私は希から言われた事を考えていました。

もう少しで何かが浮かびそうなので

私は今、別荘に戻っています。

 

「あ、海未ちゃん」

「ことり」

 

戻る途中、ことりと遭遇しました。

もしかして・・・

 

「ことりも同じ理由かな」

「そうなんですか?」

「うん、発想から少し離れてみるのもいいんじゃないかなって

穂乃果ちゃんに言われたの・・・」

 

なんか穂乃果らしいですね。

そう考えていると・・・

 

「海未、ことり・・・」

「あ!、真姫ちゃん」

「真姫もなのですか?」

「まぁ、そうね・・・」

 

聞けば曲は、『いつも全員の為にあるもの』と

にこが言っていたらしい。

 

「あれ・・・?」

「ことり、どうしました?」

「ピアノの音色が聴こえる・・・」

「私も聴こえるわ・・・」

 

耳を澄ますと別荘の方から聴こえます。

でも一体誰が・・・

 

「ニャー♪」

「あ、ちょっと!」

 

真姫の腕の中にいた猫が

別荘へ走っていきました。

更に、ことりが抱えていた兎、

私の肩に乗っていた狐も一斉に

別荘へ走っていきました・・・

 

「まるでピアノの音色に惹かれていってるみたい・・・」

「真姫ちゃんも・・・?」

「私は少なくともそう感じるわ」

 

私達も気になったので

別荘に向かいました・・・

 

 

 

 

 

ーー別荘、リビングーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達3人がピアノが置いてあるリビングに

着くと、そこで弾いていたのは・・・

 

「・・・悠里君?」

 

悠里君が凄く寂しそうな表情をしながら

ピアノを弾いていました・・・

しかも聴いている私達まで悲しくなりそうな

そんな曲だった・・・

 

「ニャー・・・」

「この子達、泣いてる・・・」

「「えっ・・・」」

 

真姫の一言に私とことりが

見てみると、猫の方は完全に涙を

流しており、兎と狐の方も悲しみを共有するかの

ように声を上げ鳴いていた・・・

まるで悠里君の気持ちが分かるかのように・・・

 

「海未ちゃん、真姫ちゃん。あれ・・・」

 

ことりが指差した方を

見てみると窓の外から野生の鹿が

こっちを覗いていた・・・

正確にはピアノを弾いている悠里君を

見ていた・・・

 

「この曲って一体・・・」

 

私が呟くと曲が終わったようです。

 

「・・・あれ?、戻ってたの?」

「ゆーくん、さっきの曲って・・・?」

 

ことりが悠里君に聞くと・・・

 

「・・・特に名前はない曲だよ」

「そうなの?」

「・・・僕がその時の気分で弾いてる曲だし」

 

続けるように悠里君が・・・

 

「・・・新曲でも浮かんだの?」

「はい、そうなんです。」

「・・・お茶淹れてくるから作業でもしてて」

 

そう言うと悠里君はキッチンに向かいました。

そういえば前にティアが・・・

 

『ユーリがピアノを弾く時は、自分の辛い思いを忘れたい時なの』

 

私は悠里君の口から

素直な思いを聞いた事がない。

正確には辛い思いを・・・

 

「ゆーくん、この絵は?」

「・・・あぁ、僕が描いたやつ」

「綺麗・・・」

「・・・イメージから少し離れてるでしょ」

 

悠里君が描いたという絵を

ことりから見せてもらうと花畑の絵が

描かれていました。

すると悠里君は・・・

 

「・・・作詞って難しいね」

「悠里君?」

「・・・ノートに思いつく単語を書いてみたら2個しか浮かばなかった」

 

あ、これですね・・・

 

「読んでもいいですか?」

「・・・あまり参考にならないかもだけど」

 

悠里君に許可を貰って読ませてもらうと

そこに書かれていた単語は・・・

 

 

 

 

 

 

『夢』、『扉』

 

 

 

 

 

「・・・。」

「みーちゃん・・・?」

 

私の中で最後のパズルのピースが

浮かび上がった・・・

 

「真姫、曲をつけてください!」

「わ、分かったわ・・・」

 

すると悠里君が描いた絵を見ていた

ことりも・・・

 

「これだ・・・!」

 

そう呟きながら

衣装案を描き始めた・・・

私は悠里君の顔を見ながら・・・

 

「悠里君のおかげです」

「ことりも!」

 

すると悠里君は・・・

 

「・・・どういたしまして?」

 

首を傾げながら私達に言った。

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳥の鳴き声がする。

 

「・・・もう朝かぁ」

 

ピアノの方を見てみると

真姫ちゃんが突っ伏して寝ており

隣のソファーでは、みーちゃん、ことちゃんが

安心しきった顔で眠っていた・・・

 

「あれ?、ゆうちゃん?」

 

リビングのドアが開いたので

声がする方を見ると、ほのちゃん達が

入ってきた・・・

 

「・・・もう少し寝かせてあげよ?」

「うん、そうだね♪」

「でも、起きたらすぐ練習よ」

 

僕は絵里さんに完成した

衣装案と譜面を渡した。

 

「・・・3人共お疲れ様」

 

こうしてラブライブの予選の

曲が完成した・・・

 

 

ちなみに曲の名前は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ユメノトビラ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか僕が何となく思い浮かんで書いた

単語が曲の名前に、更に気分で描いた絵が衣装案に

使われるとは思わなかった・・・

 

 

(ありがと・・・)

 

僕は、みーちゃん達に心の中でお礼を言った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で2期第2話は終了です。
次回は連載を始めて2期に入ったら執筆したかった
オリジナルの話を考えています。
2期第3話に入る前の話ですので
よろしくお願いします。

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