ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回で穂乃果編は最終回です。
悠里が第24話で『寄り代』の意味も判明します。
中学時代の惨劇を乗り越えた代償は・・・

それではどうぞ。


第50話 太陽の少女との別れ

今日は中学の卒業式。

だけど僕は正直行きたくなかった・・・

 

(最後に花怜ちゃんを失うなんて・・・)

 

神田明神で起きた出来事。

最終的に僕は花怜ちゃんを殺してしまった・・・

僕にとって初めて出来た友達を・・・

 

(・・・もう死のうかな?)

 

卒業式の日に死ぬのも我ながら悪くない・・・

それくらい思考が不安定だった・・

 

(朝ご飯作らなきゃ・・・)

 

そう思いながらも声に出そうとした瞬間・・・

 

「・・・っ!?」

 

あ、あれ・・・?

 

「・・・あ、あぅ」

 

僕は信じたくもない状況になった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(()()()()()()()・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とうとう喋れなくなってしまった・・・

 

(ア、アハハ・・・)

 

僕は笑うしかなかった・・・

卒業式の日にコレか。

 

(もう、嫌だよ・・・)

 

自分で決めた筈なのに

これは流石に予想はしてなかった・・・

誰も助けてくれない・・・

 

(卒業式、サボろう・・・)

 

僕は朝ご飯も食べずに

外に出た・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side瑠菜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は中学の卒業式。

だけど、わたしとティアちゃんは

卒業式の最中だというのに居心地が悪い・・・

 

(みんな完全に忘れた顔している・・・)

 

朝、学校に来た時に

こんな会話を聞いた・・・

 

「邪魔者がいないのは気分がいいよな」

「それ言えてるわ!」

「アイツ死んだんじゃね?」

「それだともっといいよな」

 

聞いてて良い気分じゃなかった。

あの男子2人が言っているアイツとは

予想通り、ゆうくんの事だった。

わたしが殴ろうとした瞬間・・・

 

「ルナ、今はやめなさい・・・」

 

ティアちゃんに腕を止められた。

なんで止めるのかとティアちゃんを見ると・・・

 

「・・・。」

 

完全に男子2人に敵意の視線を向けていた。

 

「行くわよ、ルナ・・・」

「うん・・・」

 

卒業式が無事に終わり

わたしとティアちゃんは昇降口に向かっていた。

 

「ユーリ、どうしたのかしら・・・?」

「結局、来なかったよね・・・」

 

ゆうくんが卒業式にも関わらず来なかった。

休んだのは今日が初めてだ・・・

昨夜の花怜ちゃんの件が原因だけとは思えない・・・

 

「なんか胸騒ぎがする・・・」

「奇遇ね。私も・・・」

 

正直、わたし達は浮かれている気分じゃない。

気づけば走っていた・・・

 

「ゆうくんが行きそうな場所って!?」

「ルナ!!。神田明神に行くわよ!!」

 

ティアちゃんに言われて気づく。

確かに行きそうな場所だ!!

だって神田明神は・・・

 

(ゆうくんが花怜ちゃんと初めて出会った場所だから・・・)

 

わたしとティアちゃんは

神田明神に走りながら向かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づけば僕は神田明神に来ていた。

 

(死に場所には、ちょうどいいや・・・)

 

実は花怜ちゃんと初めて出会った場所が

神田明神だったりする・・・

 

(高校。行きたかったけど・・・)

 

声も出せなくなってしまったんじゃ

意味が無い・・・

生きる価値もゼロに等しかった・・・

 

(結局、何も無い僕なんて・・・)

 

僕はポケットから

バタフライナイフを取り出し

自分の首の頸動脈をメッタ刺しをして

死のうと思い、ナイフを掲げた瞬間・・・

 

 

「「やめてー!!!」」

 

誰かに抑えられた気がした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideティア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私とルナは神田明神に着いた。

何度来ても、ここの石段はキツイわね・・・

 

「ティアちゃん、あれ!」

 

ルナが指差した方を見ると

私が予想した通り、ユーリはいた。

 

「なんか様子が変ね・・・」

 

遠くからで見えにくいが

ユーリは生気の無い目をしていた。

しかも何かを取り出す仕草をしている・・・

 

「ゆうくん何を出す気なんだろ?」

「・・・鉛、筆かしら?」

 

鉛筆の割には小さすぎる。

まるで折りたたみ式的な何か・・・

 

「ティアちゃん、あれ刃物っぽくない?」

 

ルナが言った()()という単語に

該当する物が浮かんだ・・・

 

「・・・まさかバタフライナイフ?」

 

私の予想は当たっていた。

ユーリはナイフを自分の首に向け始めた・・・

 

「「えっ・・・!?」」

 

私とルナの考えは同じだった。

今すぐユーリを止めないと

取り返しのつかない事になると・・・

 

「ルナ!!」

「う、うん!!」

 

私達がユーリの元に走りだすと

ユーリはナイフを掲げた・・・

 

「「やめてー!!!」」

 

私とルナは叫びながら

ユーリを抑えた・・・

間一髪のところだった・・・

 

「ユーリ!!。何やってるのよ!?」

 

私は泣きながらユーリの肩を揺らし

怒鳴りつけていた。

 

「・・・ゆうくん」

 

ルナは怒りに震えながら

ユーリが落としたナイフを拾い上げ

握力で粉々に砕いた・・・

 

「ねえ!!、答えてよ!!」

 

ルナが問い詰めるが

しかしユーリは俯いたままだった。

私も限界だった・・・

 

「ユーリ黙ってないで何か言いなさいよ!!」

 

するとユーリは泣きながら

私とルナに・・・

 

「あ、ぁぅぅ。あぅ・・・」

「ユ、ユーリ・・・?」

「ゆ、ゆうくん・・・?」

 

じょ、冗談、でしょ・・・?

 

「ぁぅぅ。あぅ・・・」

 

ま、まさかユーリが

卒業式に来なかったのと

自分の首にナイフを刺そうとした

理由って・・・

 

「ユ、ユーリ。声が出ないの・・・?」

「・・・。」

「ゆ、ゆうくん。う、嘘だよね!?」

 

ルナの答えを否定するかのように

ユーリは泣きながら首を横に振った・・・

 

「そ、そんな・・・。」

 

ルナが絶望したかのように

その場に座り込んでしまった・・・

 

(声が出せなくなってしまった原因・・・)

 

「カ、カレンの事が原因で・・・!?」

「ティ、ティアちゃん。それってもしかして・・・」

「精神的ショックが強すぎて声が出なくなったのよ・・・!!」

「な、治らないの・・・?」

「私も分からない・・・」

 

どうしてユーリだけなのよ!?

これ以上、ユーリから何を奪いたいのよ!!

 

「ど、う、して・・・」

 

私は泣く事しかできなかった・・・

 

「・・・あーぅう、あぅう」

「え?、ユーリ?」

「ゆ、ゆうくん?」

 

声が出せない筈なのに

ユーリが「ルーちゃん、ティアちゃん」って

言っているように聞こえた・・・

するとユーリは私の手を取り、

人差し指で何かを書き始めた・・・

私は読み上げた。

 

「ルーちゃん、ティアちゃん。本当にゴメンね・・・」

 

私とルナがユーリの顔を見ると

ユーリは泣きながらも笑っていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゆうり君・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとカレンの声が何処からか聞こえた気がした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゆうり君、瑠菜ちゃん、ティアちゃん・・・』

 

声がする方を見ると

突然、光が輝きだした。

そこに現れたのは・・・

 

『また、会えた・・・』

 

死んだはずの花怜ちゃんだった・・・

 

「カ、カレン!?」

「お、お化け!?」

 

・・・いや、お化けじゃない。

 

『瑠菜ちゃんヒドイ!?』

「あ、あれ?」

「いつものカレンと喋っているみたい・・・」

『ティアちゃんまでー!?』

 

すると花怜ちゃんは僕の方を見て・・・

 

『ゆうり君ゴメンね、花怜のせいで・・・』

「カレン、ユーリは・・・」

『ティアちゃん?』

「声が出せなくなっちゃったのよ・・・」

『う、嘘・・・』

「わたし達の言葉は分かるみたいなの・・・」

『ゆ、ゆうり君?』

 

僕は花怜ちゃんに話しかけようと

喋ろうとしたが・・・

 

「あぅぅ。ぅぅぁ・・・」

 

必死に喋ろうと頑張ったが

声は出なかった・・・

 

『そ、そんな。な、んで・・・』

 

花怜ちゃんは泣きながら

僕に近寄ってきた。

 

『穂乃果ちゃんに何て言えば・・・』

「ウミにも言えないじゃない・・・」

「ことりちゃんにも言えるわけないよ・・・」

 

・・・そうだよね。

だから僕は近くにいたルーちゃんの

肩をトントンと叩いた。

 

「ゆうくん?」

 

僕はルーちゃんの手を取り

ティアちゃんと花怜ちゃんにも伝えるように

2人を手招きした。

 

「ユーリ?」

『ゆうり君?』

 

ルーちゃんに目線で

読んでね?と頼んだ。

 

「・・・うん。分かったよ、ゆうくん」

 

そして僕は綴った・・・

 

「ほのちゃん、みーちゃん、ことちゃんは

 

これから先、僕の事を忘れると思う・・・

 

だけど僕はそれでも良いよ。

 

こんな僕の事を心配してくれる友達が3人もいるんだから・・・

 

僕、高校を卒業するまで頑張ってみるね?

 

ルーちゃん、ティアちゃん、花怜ちゃん。

 

これからも友達でいてくれませんか?」

 

今の自分の答えを3人に伝えると

ルーちゃん、ティアちゃん、花怜ちゃんは

泣きながら・・・

 

「そ、そんなの当たり前だよ・・・」

「わ、私はユーリの味方だから・・・」

『う、うん。ずっと一緒だよ・・・』

 

僕は精一杯の声で・・・

 

「・・・あぃ、うぁ、おぅ」

 

ありがとうと伝えた瞬間

花怜ちゃん達が泣きながら抱きついてきた・・・

 

「「『う、うわぁあああん!!!』」」

 

僕は心の中で謝った・・・

 

(・・・ゴメンね)

 

ほのちゃん。

僕の事を忘れても

太陽のような笑顔と諦めない心

忘れないでね・・・

 

 

みーちゃん。

高校と部活の両立、大変かもしれないけど

頑張ってね・・・

みーちゃんなら出来るから。

 

 

ことちゃん。

落ちこぼれの僕に手作りクッキー

作ってくれてありがとね・・・

また2人で遊園地、行きたかったな。

 

 

 

 

 

(ほのちゃん達と出会えて嬉しかったよ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして僕の中学時代は終わりを告げた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side穂乃果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これで全部だよ・・・』

 

 

花怜ちゃんが穂乃果達に

話してくれた内容は聞きたくないくらい

悲惨なものだった・・・

 

「ゆ、ゆうちゃんは・・・」

『そうだよ。今も声が出ないの・・・』

「で、ですが悠里君は・・・」

 

そうだよ・・・

ゆうちゃんは今まで穂乃果達と

喋っていた筈なのに・・・

 

『合宿の時に、ゆうり君が()()()って言ってたの覚えてる?』

 

花怜ちゃんと一緒に行く時に

ゆうちゃんが言っていたのを思い出した・・・

 

「そ、それってなんなの・・・?」

 

ことりちゃんが泣きながらも

花怜ちゃんに聞いた・・・

 

『ゆうり君の首に付けてあるチョーカー型のペンダントだよ』

 

確かに学校でも

ゆうちゃんは付けていた気がする・・・

 

「そ、それを外すと悠里君は?」

 

海未ちゃんが泣き崩れながらも

聞くと花怜ちゃん達3人は声を揃えて・・・

 

 

 

 

 

 

 

「「『喋れなくなるよ・・・』」」

 

 

 

 

・・・信じたくない。嘘だと思いたい。

だけど花怜ちゃんの目が全て本当だと物語っていた。

 

「もぅイヤッ!!!、ことり聞きたくないっ!!!」

 

ことりちゃんは悲鳴を上げなから

外に飛び出してしまった・・・

 

「わたし、ことりちゃんを追いかけてくるね・・・」

『うん。分かった・・・』

 

瑠菜ちゃんは花怜ちゃんに伝え

外に出てった・・・

 

「・・・ウミ。散歩に行きましょう」

「はい・・・」

 

海未ちゃんの状態を察したのか

ティアちゃんも外に出て行った・・・

 

 

 

『穂乃果ちゃん・・・』

「う、うぅ・・・」

 

花怜ちゃんが穂乃果の傍にきてくれたが

私も限界が近かった・・・

 

 

 

 

 

「うぅ、ゆ、うちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それくらい辛くて

穂乃果達3人の心はズタズタだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で、『高坂穂乃果編』終了です。
穂乃果ちゃん視点で終わらせてみました。
次回で真相編は完結となります。
穂乃果、海未、ことりの3人の視点を
主に取り入れようと思っています。
頑張って執筆しますので
よろしくお願いします。

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