ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回は短くなってしまい
もうしわけありません。
今回は少しずつですが悠里が壊れます。

それではどうぞ。


第37話 壊れていく彼の日常

母さんと父さんが消えた・・・

『消えた』というよりは

こう言った方が正しいのかもしれない

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

そして僕が12歳になった次の日から

学校で周りの人から酷い事を言われた。

 

「やあい。親なし!」

「落ちこぼれにはお似合いだ」

「お前も消えればいいんだ」

「生きてる価値ねえよ」

 

以前から気づいていた事だけど

中学1年でも僕は成績が良くなく

頑張ってテストで70点取っても

カンニングしたなどで

疑われた・・・

別に言われてもまだ平気な方だ。

中でも辛かったのは・・・

 

「南さん達に近づくなよ!クズ!」

 

()()()()()()と言うのは

ほのちゃん、みーちゃん、

それから花怜ちゃん達も含まれているんだと

僕は思う・・・

 

「学校、行きたくないよ・・・」

 

ある意味7月半ばまで耐えられただけ

自分でも驚いてる。

母さん達が亡くなった時は世間には公表されなかった。

多分、権力か何かで揉み消したのだろう。

 

「いいのかな?。本当に家を貰っちゃって・・・」

 

僕が今住んでいる家は、ティアちゃんの両親から

貰ったものだ。家賃とかは最初、僕が遺産のお金で払おうと

したら・・・

 

「ユーリ君、その件は気にしないで大丈夫だ。」

「そうよ。あなたはまだ子供なんだから、安心して?」

「で、でも・・・」

「いくら何でもユート達の件は理不尽すぎる!」

「全くよ!アイリ達を消すなんて酷いの度を越してるわ!」

「・・・ご迷惑かけてすみません」

 

するとティアちゃんの両親は微笑みながら・・・

 

「君は本当に2人に似ているな・・・」

「・・・えっ?」

「ええ。ユートさんの責任感の強さ、昔のアイリの外見と他人を優先する純粋な優しさ。まるで2人と話してるみたい♪」

「・・・そうでしょうか?」

「ああ。2人の親友である俺達が証明だ!」

 

その時以来、家賃とかは払ってもらってしまっている。

家事などは小さい頃、母さんに教わっているので問題はない。

 

「中学卒業できるのかな・・・」

 

現在、僕の不安はこれだ。

全生徒だけじゃなく、教師達からも

理不尽な扱いを受けている・・・

 

「・・・これがあと2年も続くのか」

 

正直、生きてるのに疲れてきた。

そう考えながらも学校に着き

教室に向かう・・・

 

「あ、ゆーくん♪」

「・・・おはよ」

 

ことちゃんと校門前であった。

僕は表情がバレないようにした。

すると僕の手を見て・・・

 

「手のケガどうしたの・・・?」

「・・・昨日帰りに転んじゃって」

 

・・・嘘。

本当は暴力で受けた傷だ。

お腹を蹴られたり、殴られたり

カッターなどでも切られたりした。

今じゃ痛覚も無くなってる・・・

 

「保健室には行かなかったの?」

「家で手当てしたから大丈夫。」

 

これも嘘。

本当は南先生がいたから行かなかっただけ。

だから今まで一度も行ってない。

この事はルーちゃんしか知らない。

 

「あ、あのコレ///」

「・・・これ何?」

「クッキー焼いたからあげる///」

「どうして僕に?」

「最近、ゆーくんの姿を見てなかったから・・・」

 

ことちゃん、ほのちゃん、みーちゃんの3人とは

クラスが違う為、僕が何をしてたかを知らない。

僕個人としては助かるのだが・・・

 

「・・・最近忙しくて。クッキーありがと」

「あ、あの・・・!」

 

 

ーーキーンコーンカーンコーンーー

 

 

 

「・・・じゃあ、またね。ことちゃん」

「う、うん・・・」

 

きっと、ことちゃんと会うのは

これが最後な予感がした。

大抵、僕の嫌な予想は当たる・・・

 

「・・・今日もか」

 

教室に入ると僕の机に落書きやら

画鋲などがあった。

ヒマな奴だよね。毎回こんな事してさ。

 

(・・・くだらない)

 

ここで僕が暴力沙汰でも起こしたら

どうなるんだろうね?

まぁ。知らぬふりされるのが目に見えるけどね。

そして今日も地獄の一日が始まる・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、アイツまだ学校来てやがる」

「うわ!、気づかなかったわ!」

「やだ!。気持ち悪い!」

「そういやアイツ今朝、南さんと一緒にいたの見たぞ」

「マジ!?。生意気だわ!落ちこぼれのクセに!」

「今日アイツ絞める?」

「いいね!。今から絞めるか?全員がいる前でさ!」

「それいいわ!賛成!」

「いい見世物になるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・うるさい雑音だな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、何が起こるかは

容易に想像できた。

恐らく・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(()()()()()()()()()()()()()()()()()())

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの事を振り返れば簡単な事だ。

消極的で成績が悪くクラスでも『落ちこぼれ』の烙印を押され

更に噂などでも「アイツ無抵抗だから」という言われ

僕は下級生にもやられた事がある。

女子の場合はあまりイジメなどの被害があまりないらしいが

だが男子の場合。男女、教師に関係なく拡大するばかり。

仮に学校側に問題が起きても証拠が隠蔽される。

・・・あくまで僕の考えだけどね。

 

「オイ!」

 

僕も腹を決めないとな・・・

 

「オイ!」

「・・・。」

「てめえ聞いてんのか!」

「・・・。」

「無視しやがって!。死ねクズ!!」

 

 

 

 

 

雑音が僕に振りかぶった・・・

手に持ってたのはバットだった。

教室のロッカーから出したのだろう。

周りの連中は「ああ~。アイツ終わったな」という顔をしていた。

満場一致って言うんだっけコレ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・僕の存在意義なんて何も無いし、もう人間をやめよう。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーパリンッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時。僕の何かがガラスのように割れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・るさい。」

「!?」

「・・・なんか言ったら?」

「だ、黙れ!!」

 

そう言ってバットを振り下ろす雑音。

次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

ーーバキッ!!ーー

 

 

 

 

僕の頭から血が流れてた。

しかし痛覚が無いため痛みがない。

 

「・・・なっ!?」

「言いたい事はそれだけ・・・?」

「ヒッ!!」

「正当防衛だよ・・・。」

「や、やめっ・・・」

 

僕は雑音の首根っこを持ち床に叩きつけ

後ろで見ていた雑音共を見る・・・

 

「「「「「ヒッ・・・!?」」」」」

 

・・・確信した。

こいつらは痛みとか一切知らないから

そんな目でいるんだ。

いわゆる環境によって性格が変わるみたいな例えと一緒だ。

・・・流石にその例えは分かりずらいか。

 

「おい!そこで何している!!」

 

教室のラスボス来たよ。

ラスボスって言っても先生だけどね?

僕のクラスの。

 

「水無月、お前。血が出てるじゃないか!?」

「・・・たいした傷じゃないです。」

「バカ言うな!。頭から血が出てるんだぞ!?」

「・・・気休めですよね?。その言い方。」

「なっ!?」

 

すると後ろから・・・

 

「調子にのんなよっ!!。落ちこぼれがあぁぁっ!!」

「や、やめなさい!」

「・・・だと思った。」

 

隣にいた先生を僕は突き飛ばし、怪我をさせないようにした。

案の定、空気を切るような音がしたので僕を殴ろうとしてた

雑音はバットではなくカッターを手に持っていた。

図工などで使う大きさだった。

 

「・・・そんなに僕が嫌い?」

 

どうせ言う事は分かり切っている。

 

「はっ!!。当たり前だろ。テメェみたいなゴミクズ以下なんて死ねばいい!!」

「・・・まぁ分かってたけど。」

「だったら死ねぇ!!」

 

こっちに向かってくる雑音・・・

何もしなかったら僕は切られて死ぬんだろうなぁ・・・

でもやり残した事があるんだよなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

それは、()()()()()()()()()・・・

 

 

 

 

 

 

(それが終わるまで僕は。・・・まだ死ねない!)

 

 

 

 

 

 

僕は母さんが子供の頃に剣道をやっていた事があるのを思い出し

母さんが「悠里に私が簡単な護身術を教えるわね?」と言ってたのを

実行する事にした・・・。

 

 

 

(恐らく左手の神経がおかしくなるけど、どうでもいい・・・)

 

 

 

 

 

どうせ誰も僕の事なんて・・・

 

 

 

 

 

現に誰も止めようとしない。

所詮、みんな自分の安全が大事って事なんだよ・・・

 

 

 

 

 

 

『ゆーくん♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと頭を過ったのは、ことちゃんの笑顔・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

(未練がましいね。僕も・・・)

 

 

 

 

 

 

 

そう思いながらも護身術の構えをとる・・・

左腕に負担がかからないように右手で左肩を支える。

そして相手の死角を構えながら確認する。

 

(・・・左胸の中央付近。)

 

そして雑音がカッターを振りかぶろうとした瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

ーードシュッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・かはっ!?。」

 

雑音は、その場で膝をついた。

 

「急所は外したから安心して・・・」

 

そう言っても僕も安全じゃないけどね。

刃物を持っていた相手に素手で対応したんだ。

左腕からは切り傷ができ血も流れている・・・

 

「・・・。」

 

静まりかえる教室。

すると・・・

 

「ゆうくん。今から病院行くよ!!」

「・・・別にいいよ。」

「ユーリ、ふざけた事言わないで行くわよ!!」

「・・・だから行かないって。」

「少し黙ってて!!。ゆうり君いいから行くよ!!」

 

 

 

 

ルーちゃん、ティアちゃん、花怜ちゃんに

怒鳴られながらも病院に連れてかれた・・・

 

 

 

 

 

 

 

今日、僕が自分を捨てると決めた

惨劇の放課後の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は悠里が情緒不安定になり
自分の存在意義を捨てた回でした。
次回も暗い感じになりそうですが
よろしくお願いします。

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