ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きです。

それではどうぞ。


第29話 学園祭で起こった悲劇

学園祭前日。

ことちゃんの事も気がかりだけど

ほのちゃんの様子もおかしい。

理由は・・・

 

「・・・みんな。休憩取るよ。」

「ダメだよ!。もう1回やろう。」

「いや、ほのかちゃんも休みなよ・・・」

 

ほのちゃんがいつも以上に張り切っているのだ。

恐らく、ラブライブの出場が数日しかないからだと思う。

 

「大丈夫!私燃えてるから!」

「そう言う問題じゃないんだけど・・・」

 

周りを見ると、みーちゃん達も肩が上下していた。

1年生の中で体力がある凛ちゃんですら

座り込んでしまった・・・

なら僕が言う事は。

 

「お願いだから、少し休んで。他のみんなを見て・・・」

 

自分の言った事が分かったのか・・・

 

「・・・うん。ごめんね。」

「じゃあ20分休憩取るよ。絵里さん、それで大丈夫ですか?」

「えぇ。そうしましょ。」

 

ひと悶着あったけど何とか練習を終えた・・・

僕は気になった事があったので、

 

「ほのかちゃん」

「ゆうちゃん、どうしたの?」

「ことりちゃんの様子が最近おかしくない?」

 

ほのちゃんなら気づくはずだけど・・・

 

「そうかな?。いつも通りだよ?」

「・・・えっ」

 

嘘でしょ・・・。

もしかして目の前の目標とかに集中しすぎて

周りが見えなくなっているの?

 

「ゆうちゃん?」

「何でもないよ。じゃあ僕帰るね。」

「うん!。また明日ねー!」

 

帰る時も嫌な予感が続いていた・・・

 

 

 

 

 

 

ーー午後20時ーー

 

 

「学園祭当日も雨なんだ・・・」

 

自宅で明日の天気予報を観ていたら

やはり雨だった。

現に今も土砂降りまではいかないが

かなり降っていた・・・。

 

(明日、大丈夫かな・・・)

 

すると家の電話が鳴った。

一体誰からだろ?

 

「・・・はい。もしもし。水無月です。」

『あ、ゆうり(にい)?』

「雪穂ちゃん?。どうしたの?」

 

電話の相手は雪穂ちゃんだった。

 

『私も止めたんだけど、お姉ちゃんトレーニングに行っちゃって・・・』

「・・・この雨の中?」

『うん。』

「・・・分かった。ありがとね。」

 

電話を切り、すぐさま支度した。

雪穂ちゃんの言ってた通りなら今頃

神田明神のところで練習してるはず!

 

「ほのかちゃん!」

「え!?。ゆうちゃん?」

 

予想通り、ほのちゃんはいた。

 

「何やってるの!?。風邪でもひいたらどうする気!!」

「ゆうちゃんには関係ないでしょ!!。穂乃果達の事なんて!!」

「えっ・・・」

 

僕が放心状態になっていると

ほのちゃんは構わず・・・

 

「よし!。もう1セット!」

 

そう言って、トレーニングを始めてしまった。

ほのちゃんの姿が見えなくなり僕だけが残ってしまった。

 

「・・・。」

『・・・ゆうり君』

 

雨に打たれながら立っていると花怜ちゃんが現れた。

多分、今のやり取りも聞いてたんだと思う。

 

「・・・ほのちゃんの言ってる事は正論だと思う」

『でも!!。ゆうり君はいいの!?』

「僕が何も言えない時点で、そうだよ・・・」

『・・・っ!!。』

「僕、帰るね・・・。」

 

念の為、傘を置いていき

僕は神田明神をあとにした・・・

 

 

 

 

side花怜

 

 

 

 

 

 

私が穂乃果ちゃん、ゆうり君を見かけたのは

ちょうど2人が口論をしているところだった。

原因は、明日の学園祭のライブ当日に風邪をひいたら

どうするつもりという内容だった。

でも、ゆうり君があんなに怒っているのは穂乃果ちゃんが

心配だからだと思った。

穂乃果ちゃんの次の言葉を聞くまでは・・・

 

「ゆうちゃんには関係ないでしょ!!。穂乃果達の事なんて!!」

 

その言葉を聞いた時の、ゆうり君の顔は、

()()()()()()()()()()だった。

穂乃果ちゃんがトレーニングを再び始めて本殿に向かった後

私は姿を現す事にした。

 

「・・・ほのちゃんの言っている事は正論だと思う」

 

ゆうり君が呟いた、その意味は

実際に踊るのは穂乃果ちゃん達9人で

僕はただ手伝っているだけという意味だと思う。

だから私は・・・

 

『でも!!。ゆうり君はいいの!?』

 

しかし帰ってきた言葉は

 

「僕が何も言えない時点で、そうだよ・・・」

 

私は何も言えなかった。

ゆうり君は傘だけ置いていくと帰ってしまった。

雨に濡れて気づきにくいが私は見てしまった。

 

ゆうり君が泣いていた事を・・・

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

ーー学園祭当日ーー

 

 

 

 

天気はあまり良くなかった・・・

だけど昨日に比べればマシな方だった。

 

「・・・昨日、言われた事が響くな」

 

とりあえず学校に行く支度をしなきゃ

今日はライブがあるんだから。

 

「・・・ほのちゃんと顔合わせられるかな」

 

昨日の事もあり不安もあるが普通にしてれば

大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

ーー屋上ライブ会場ステージ裏ーー

 

 

「すごい雨にゃー」

「お客さん、いないよ」

「この雨よ仕方ないわ」

 

ライブが始まる前でも雨は降っていた・・・

すると絵里さんが

 

「あれ?。穂乃果は?」

 

ほのちゃんがいない・・・

僕は、みーちゃんに

 

「うみちゃん。ほのかちゃん知らない?」

「いえ。私も今朝から見てません。」

 

昨日の出来事がよぎった・・・

 

「・・・ゆーくん?」

「何でもない・・・。」

「みんな~・・・。おっはよ~・・・」

 

噂の本人がやって来たが

ほのちゃんの声は少しおかしく

顔も赤いし、ぼーっとした感じがある。

 

(もしかして、ほのちゃん・・・)

 

僕はすかさず

 

「ほのかちゃん以外の人は先に行って待機してて」

 

と言い先に行かせた。

僕は、ほのちゃんに・・・

 

「止めても出るんでしょ?」

「・・・。」

 

何も言わないという事は肯定と取っていいんだね。

 

「・・・無理だけはしないでね。」

「え?。うん・・・。」

 

僕が予想外な事を言ったのか

ほのちゃんは唖然としてた。

 

「僕、一番前で見てるから頑張ってね。」

「うん!」

 

 

会場を見渡してみると

雨なのにも関わらず人が来てくれていた。

中には見知った顔がいたので僕が近づくと

 

「あ。悠里さん!」

「ゆうり(にい)。」

「亜里沙ちゃん、雪穂ちゃん。ライブ観に来てくれたんだ。」

 

2人と話しているとライブが開始した。

この日の為に練習してきた新曲は・・・

 

 

『No brand girls』

 

 

 

アップテンポなのが特徴の曲で

雨なのに、それに負けないような光り輝く笑顔で歌って踊っている・・・。

亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんも楽しそうに観ていた。

そして1曲目が終わり、2曲目に入ろうとした次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーバタンッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほのちゃんが倒れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ほ、ほのちゃん?」

 

気づけば僕はステージに駆け出してた。

 

「穂乃果!!」

「穂乃果ちゃん!!」

「ほのちゃん!。しっかりして!!」

 

酷い熱だ。まさか今朝から悪化してたんじゃ!?。

・・・いや、まずはやる事がある。

僕が出した決断は

 

「・・・絵里さん。今の状況を伝えてください。」

「すいません!!メンバーにアクシデントがありました!!少々お待ち下さい!!」

「絵里!ライブ続けるわよね!」

 

にこさんが言うが

 

「・・・にこっち。穂乃果ちゃんはもう無理や・・・。それに見てみ?」

 

希さんが、ほのちゃんに視線を向けた後、観客の方へ視線を変えた。

状況を察したのか観客は少しずつ離れて行った・・・

 

 

 

 

 

・・・僕のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

・・・僕が、あの時止めていれば

 

 

 

 

・・・ほのちゃんは。

 

 

 

「ゴメンね、ほのちゃん・・・。」

 

 

僕は雨に打たれながらも謝るしかできなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side海未

 

 

 

 

穂乃果を保健室に運んだあと、穂乃果の事を絵里達に任せ

私とことりは部室で待機してました。

すると、ことりが

 

「あれ?。ゆーくんは?」

「さっきまで一緒にいたのですが・・・」

 

悠里君がいないので周りを見渡した瞬間・・・

 

 

 

 

ーーガンッ!!、ガンッ!!ーー

 

 

 

「「!?」」

 

壁を叩くような音が聞こえたので

部室のドアを開け廊下に出て見ると

そこには・・・

 

 

「・・・僕のせいで、僕のせいで!」

 

悠里君が手から血が流れているのにも関わらず

壁を何度も殴りつけていました。

 

「!?。悠里君落ち着いてください!!」

「ゆーくん、やめてっ!!」

 

私とことりが抑えますが

悠里君は壊れたテープレコーダーのように

呟き始めた。

 

「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ・・・」

「「っ!?」」

 

正直、私とことりは今の悠里君は見てられませんでした。

だから私達2人が取った行動は・・・

 

「・・・え」

 

気づけば私とことりは悠里君を抱きしめてました。

こんな傷ついた悠里君を見たくなかったから・・・

 

「・・・うみちゃん?。ことりちゃん?」

 

落ち着いたのか悠里君は大人しくなりました。

 

「ゆーくん。手、大丈夫?」

「・・・うん。」

 

ことりに怪我の手当てをして貰いましたが

悠里君は相槌をするだけでした。

すると悠里君は・・・

 

「・・・ほのかちゃんが倒れた原因は僕のせいなんだ」

「どうしてそう思うのですか?」

 

悠里君はポツポツと理由を語りました。

学園祭前日。つまり昨日。雨の中トレーニングを

していた穂乃果を止めようとしたところ

「関係ない!」と言われ、そのまま帰ってきてしまったようです。

 

「だから僕のせい・・・」

「それは悠里君のせいではありませんよ」

「・・・え?」

「ことり達だって穂乃果ちゃんの体調に気づかなかったもの・・・」

「そうですね。無茶した穂乃果もですが・・・」

「・・・ライブ中止にしちゃってごめんね」

「そんな事ないですよ・・・」

「・・・でも」

「ゆーくんは状況を見て判断したんだよね?」

 

ことりの問いかけに悠里君は小さく頷きました。

だから私は・・・

 

「穂乃果の体調が落ち着いたら全員でお見舞いに行きましょう。」

「ことり達も一緒に行くから1人で抱え込まないで・・・」

「・・・うん。」

 

そう言うと悠里君は小さく泣きだしました・・・

以前、花怜が傍にいて欲しいの意味が少しだけ分かった気がします。

私とことりは悠里君が泣きやむまで手を握っていました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回で1期11話は終わりです。
少しだけ悠里の本音を出してみました。
正直どうゆう風に終わらせるか悩みました。
次回は1期12話の『ともだち』の回です。
頑張って執筆しますのでよろしくお願いします。

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