久しぶりの投稿になります。
それではどうぞ。
「はぁ……」
空を見上げながら溜息を吐く悠里。
その表情はどうしてこうなったという感じが出ていた。
何故彼がこんな表情をしているのか?
先ずはそれを話さなければならない……
────遡る事、昼休み終了時。
彩と千聖と花音の3人で昼休みを過ごした悠里。
職員室に戻り、次の午後の授業を確認していた時だった。
(次に僕が担当するクラスは……彩ちゃんがいるB組か……)
授業用で使うプリントを纏め、B組の教室に向かおうとした時……
「あー水無月君、ちょっといいかな?」
1人の女性教職員に呼び止められた。
その表情は何処か申し訳なさそうだった。
「どうかしましたか?」
「水無月君が午後から担当するB組なんだけど、急遽A組と合同で体育の授業になったの」
「授業変更ですか。そうなると僕は職員室で待機ですか?」
授業変更なんて学校ではよくある事だと分かってる悠里は、なら自分は職員室で待機かと尋ねる。すると予想外の言葉が返ってきた。
「その事なんだけど、
「……は?」
思わず間の抜けた声をあげてしまう悠里。
それもその筈である。何故に自分も授業を受けなければならないのか。
「とりあえず向こうで着替えて校庭に集合してね? あ、場所とかは分かる?」
「……大丈夫です」
「なら良かった。それじゃあ遅れないようにね?」
「は、はい……」
────という事があり、今に至るという訳だ。
(音ノ木坂でも体育の授業で整列するのは慣れてるとはいえ、やっぱり別の学校だと慣れないなぁ……)
悠里が並んでいる位置は、A組とB組の最前列の間である。
何故そこになったのかというと、体育を担当している熱血系女性教員がそこに並べと言われたからである。
「さて! 新任バイトの水無月にも参加してもらう事になった。今日やる授業は
それを聞いた悠里は顔を顰めた。
実は悠里は超が付く程、サッカーが大っ嫌いなのである。
中学の頃、男子の殆どが授業にも関わらずガチ勢が多かった為、非道な扱いを受けた悠里はサッカーが大っ嫌いになってしまった。
自分なりに頑張って動いても『使えねぇなクズ!!』や『お前のせいで負けたんだぞ!! 分かってんのか落ちこぼれ!!』という罵声、挙句の果てには後片付けを1人でやらされるという記憶しかない。
「それじゃー、チーム分けをするぞー。呼ばれた順に並べよ~?」
嫌な記憶を掘り起こしてしまってる間に、チーム分けが開始されていた。
────そして、悠里はどのチームになったかと言うと……
「悠里くん、頑張ろうね!」
「わ、私も頑張るね」
「ほら悠里。いつまで拗ねてるの」
「いざという時は私が悠里さんのフォローをしますから」
「わ、わたしも頑張るから……一緒に頑張ろ?」
彩、花音、千聖、紗夜、燐子が悠里に言う。
当の本人はゴールポストの隅っこで体育座りをしてしまってるが……
「…まぁ拗ねるのはこれくらいにして……」
「切り替えが早いわね……」
「…だっていつまでも現実逃避みたいな事してもしょうがないじゃん?」
もう既に自分は諦めてると言わんばかりに千聖に言う悠里。と、同時に奇跡的に知り合いが同じチームにいるのでその辺は安心してる。
「それでポジション分けなんだけど……」
悠里は他のみんなも集めて作戦の説明を始めた。
「それじゃこれより、水無月も加えた授業もとい、サッカーの試合を始めるぞ~。3……2……1……」
ピィーー!!
教員が鳴らしたホイッスルを合図にキックオフが開始された。
余談だが。
「あんなポジションは初めて見た。正直に言うと氷川と水無月がいればどうにでもなるんじゃね? というか、あの2人しか動いてなかったんだが……」
生徒と一緒に試合をしていた熱血系女性教員はこう語った。
読んでいただきありがとうございます。
この度は投稿が遅れてしまい申し訳ありません……
本日はありがとうございました。