海未ちゃん、誕生日おめでとう。
今回の話は劇場版での出来事の内容になっています。
拙い内容かもしれませんが、楽しんでいただけると嬉しいです。
※これから先の本編でのちょっとしたネタバレ要素が入ります。
それではどうぞ。
「…暇だ」
どうも。水無月悠里です。
突然ですが、僕は海外のホテルにいます。
ちなみにアメリカ……あれ? ニューヨークだったかな……?
ま、そんな些細な事はどうでもいい。とにかく海外にいます。
簡単に説明すると、ほのちゃん達μ'sが海外でライブする事になったのです。
(自作ラノベも読み終わっちゃったし……何しようかな……?)
……で、今は各自、自由時間という訳だ。
ちなみに僕はロビーで自作ラノベを読んでいたところだった。
正確には、読み終わったが正しいけどね……
「隙アリです♪」
急にナニカによって視界が塞がれた。
てか、こんな事するのは大抵……
「……何してんのさ、みーちゃん」
みーちゃんである。
彼女は偶に……ほんとに偶にだが、お茶目な行動をする。
「ちょっとしたイタズラをしたくなっただけです♪」
「…そっか。ほのちゃん達と一緒じゃなかったの?」
「穂乃果達なら、お土産屋に行きましたよ」
「…みーちゃんは一緒に行かなかったの?」
「……行きたくないです。だったら悠里君と一緒にいた方が断然マシです」
「………………」
えーと……何故みーちゃんが拗ねてるのかと言うと、
実は着いて初日に迷子になってしまったのである。
簡単に説明すると、ほのちゃんが予め紙に書いておいたホテルとは違う場所に着いてしまった。原因は、ほのちゃんの英語のスペルミス。
なんとか無事にホテルに着いたが、みーちゃんが大泣きしてしまい、外には出たくないと言い出したのだ。
(…あ、そうだ……)
side海未
悠里君どうしたんでしょうか……?
なにか私を見ながら考え事をしてますけど…………
「みーちゃん、あのさ……」
「な、なんですか?」
はっ!!
ま、まさか……告白でしょうか!?
待ってください! まだ私……心の準備が……!?
「今から2人で……
「へっ……?」
今なんと彼はなんと言ったのでしょう?
私の聞き間違えでなければ、デートしないか?って言ってた気が……
「あの、悠里君……今なんて……?」
「えっ? リテイク必要? 今から2人でデートしない?」
「是非お願いします!!」
聞き間違いではありませんでした。
断る理由はありませんでした。だって悠里君からのお誘いですよ!?
「…じゃあ、早速行こっか?」
「は、はいっ///」
差し出された手を握り、
私達2人は外に出ました。
(デート、デート♪ 悠里君とデート……ウへへへ~♪)
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着いた場所は、
ホテルから歩いて10分程にあった公園でした。
私にとっては、その10分が長く感じましたが……///
(誰もいない……という事はホントに悠里君と2人きり!! これは夢なんでしょうか!?)
ベンチに座って状況整理する私。
ちなみに悠里君は自動販売機で飲み物を選んでいます。
(落ちつくんです!! 園田海未!! クールになるんです!! まずは素数を……)
えーっと、素数はいくつからでしたっけ……?
それくらい焦っていました。
まず、それ以前に今の現状は夢かもしれないと思った私は自分の頬を軽く抓ってみましたが……
「い、痛いです……」
痛みがある=現実だという事が分かりました。
「…みーちゃん、なにしてんの?」
「ひゃい!?」
「……まぁ今のは見なかった事にするから」
そ、それって見たのと変わらないじゃないですか!!
「そんな怖い顔しないでよ。これでも飲むのです」
そう言いながら悠里君が私の隣に座りながら、
渡してきたのは、ココアでした……
「どうして……」
「…えっ?」
「どうして私を誘ってくれたんですか……?」
純粋に気になった事……
それはどうして私をデートに誘ってくれたのかです。
こういう時、悠里君は何かしらの理由がないと誘ってくれないから……
「
「えっ……」
思い……出?
「…みーちゃんと……ほんの少しでも
その場から立ち、
夜空を見上げながら彼は言った……
その瞬間────
ほんの一瞬だけ────
とある景色に変わった……
自分が立っていたのは夜明けの草原────
周りには、それぞれ赤と白の彼岸花が咲いており────
目の前に居る彼の足元には紫のアネモネが咲いていた────
「…こんな落ちこぼれで……何の価値も無い
そこから先は聞こえなかった。
そして気づいた時には元の景色に戻っていた────
「…だから……そんな深い意味じゃないよ? 僕だって思い出ぐらいは欲しいもの……
ううん。本当はそれを望む権利も無いんだけど……ゴメンね? なんか結局……ワガママみたいな事を言っちゃって……」
寂しそうな笑顔で私に謝る彼……
「あ、あの……ゆ、悠里く……」
「…そろそろ戻ろっか。みんな心配するかもだし……」
私が言おうとした事を遮りながらも、
それ以上は何も言わずに私の手を繋ぐ……
歩いてる途中……横にいる彼の表情を窺っても、その表情は……はっきりとは分からない。
けれど……
少しだけ……
ほんの少しだけ────
「また……いつか私の事……誘ってくださいね?」
「……うん。いつの日か……また……ね?」
悠里君は微笑んでいた。
読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……
次回は本編に戻ります。
本日はありがとうございました。