ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
最近、気温が暑くなってきましたね……
水分補給はこまめに取りましょう。
今更ですが海未ちゃんの両親の名前……考えるの長かった気がする。
名前については大目に見てください……(土下座)

それではどうぞ。




第138話 青の少女を取り返せ

翌日の早朝。

僕は1人で園田家に来ていた。

理由は昨夜のみーちゃんの様子を聞くためである……

 

「すいません。こんな朝早く……」

「気にしないでくれ。君が来た理由は分かる」

 

大広間でみーちゃんの両親と向かい合う。

連絡したとはいえ早朝に来たのはちょっと申し訳ないなと思った。

 

「みーちゃんから直接聞かされたんですけど……結婚するって本当なんですか?」

「……………」

「あなた……この際だから悠里くんに話しましょう」

 

言いにくい内容なのはすぐ分かった。

みーちゃんママ……園田凪(そのだなぎ)さんが僕の目を見ながら話し始める。

 

「事の発端は今年の4月1日だったの」

「随分と急ですね……」

「その日に来たのが主人の昔の知り合いだったの、私も初めて知ったんだけど……」

「そこで持ち掛けられた話が……」

「みーちゃんとの結婚だったんですね……」

 

僕がそう言うと、

凪さんは首を縦に頷いた。

だけど気になる事がいくつかあった。

それは……

 

「海斗さんは反対したんですよね……?」

 

みーちゃんパパ……園田海斗(そのだかいと)さんに聞く。

何せ娘の気持ちを誰よりも考えているのを僕は知っている……

そんな簡単に娘の結婚を認める人じゃないし。

 

「俺も反対したんだが海未が……」

「…本人が言ったんですか?」

「ああ……それで止む無く…だが俺はどうも納得いかなくてな」

「相手側の親はなんて?」

「俺が見た限りいい表情はしてなかった、向こうも何か思うところがあるのかとおもってな……」

「…いわゆる父親の勘ってやつですか?」

「多分な」

 

それだと話が変わってくる。

僕はてっきり相手側の親が絡んでいるのかと思っていたが違っていた。

ならもう1つの仮説が浮かぶ……

それを確認する質問をする事にした。

 

「1つ聞きたいんですけど……お見合い形式だったんですか?」

「ええ。途中からは2人だけにさせたけど……」

 

凪さんの言葉に僕は確信を持った。

そういう事か……

 

「何か心当たりでもあるのかい?」

「あります。今回の件の首謀者は相手側の親ではなく息子だと思います。多分みーちゃんを脅したか弱みを握ったか……もしくは両方だと僕は思います。もしこれが本当だったら、みーちゃんは相手に何か交換条件を出した筈です」

 

お見合いをする時によくある親が

席を外した後に2人だけになる時間……

もしこの僅かな時間に何か脅されたりしたら?

しかも相手側の親も納得してないときた。この仮説は今の話で充分にあり得る。

なら僕がやるべき事は1つ……

 

「みーちゃんの結婚披露宴の会場場所って何処だか分かりますか?」

「残念ながら俺と妻も何処でやるのか知らされてないんだ」

 

随分と徹底してるな……相手側の性格が自分勝手なヤツって感じが目に見える。

海斗さんと凪さんに場所は教えないときた。

相手側は絶対に見つけないようにしてるのだろう……

まぁ相手側の両親はそんな思惑は知らないと思うけど。

 

「海斗さん、相手の両親の名刺みたいなのってあります?」

「ちょっと待っててくれ……確かここに」

 

海斗さんが棚から持って来てくれたのは1枚の名刺だった。

何々……これって結構有名な武術大会だ。しかも経営者って……

 

「武術の大会経営者なんですか? この人?」

「ああ。俺と悠人の後輩なんだが……随分と偉くなってな」

 

ふーん……父さんと海斗さんの後輩の人か。

 

「この名刺ちょっとだけ借りてもいいですか?」

「それは構わないが何をする気だい?」

「…みーちゃんを奪い返しに……というか助けに行ってきます」

 

それを聞いた海斗さんと凪さんは驚いていた。

その表情は僕が中学2年の時に話した事を同じだった。

僕が今から何をするか想像もつかないんだろう……

 

「なるべく穏便に済ませます……じゃあ行ってきます」

「悠里くん」

 

そう言い残し立ち去ろうとした時、

海斗さんに呼び止められた。

 

「娘を…………海未を頼む」

「はい」

 

園田家をあとにした僕は、

すぐに行動を移す為に携帯電話を取り出し

ある人に電話をかける事にした。

その相手はティアちゃんだ。

 

『どうしたのユーリ……こんな朝早くから』

「朝早くにゴメン、ティアちゃんに緊急で調べて欲しい事があるんだけど」

『その声を聞く限りだと余程の事なのね、とりあえず聞かせて』

 

僕はティアちゃんに、

みーちゃんの事を全て話す。

昨日、様子がおかしかった事も全部……

 

『状況は理解したわ、式場の場所とウミを脅迫した証拠が欲しいのね?』

「うん。式場の場所が分かったら僕と心結に連絡して?」

『ん、了解……私も調べたらすぐに向かうわ』

「分かった」

 

携帯電話の通話終了のボタンを押す。

心結には昨日の内に連絡してある。

2人の家系は世間からしたら敵に回すと恐ろしい家系である。

この事は別の機会に話そう……

ちょうどその時ティアちゃんからの電話がきた。

 

「もしもし?」

『ユーリ、式場の場所が分かったわ。場所はウミの家から走って2時間程よ、ココロには私の車で迎えに行かせたから後の事は大丈夫よ』

「ありがと、それで披露宴の開始時間は?」

『ご丁寧に9時からよ』

 

そう言われた僕は時刻を確認する。

今の時刻は7時……開始時間までギリギリである。

 

「分かった、僕このまま式場に向かうよ!」

 

僕はすぐに走った……

彼女になんて言われるか分からないけど今はそんなのどうでもいい!

 

 

 

(みーちゃん……待ってて!)

 

 

 

 

 

 

side海未

 

 

 

 

 

 

 

私は式場で神父さんの話す事を聞いていた。

周りは厳重な警備になっていて黒づくめの人達が何人もいる……

 

(これで……良かったんです)

 

4月1日にお父様の知り合いの方と息子さんが訪ねて来たのが発端でした。

持ち掛けられたのは結婚の話……

そしてお父様とお母様が席を外し2人になった時にその人は言いました。

 

『結婚しろ、さもなければ……お前の大事な物を潰す』

 

最初に見た時は笑っているように見えたのですが、

両親が席を外した途端、その人は仮面を外した……

その表情は狙った獲物は逃がさない、獰猛な顔だった。

 

『言っておくが……お前に拒否権はない』

 

小型の刃物を私に突き付けながら脅してきた。

この人に逆らったら私の大切なものが壊される……

下手したら両親だけじゃなく穂乃果やことりにも被害がくるかもしれない。

そして私は大人しく従う事にした。

代わりに交換条件を出した、それはゴールデンウイークの期間中の5月4日まで式を待って欲しいという事と誰にも知られないようにしてほしいと頼んだ。

そして私は今、ここにいる……

 

(結局……悠里君に告白できませんでした)

 

自分の臆病さに呆れる。

でも良いんです、悩んでいた事を話せただけでも充分だから……

 

「新郎に問う、汝はこの新婦を愛すると誓いますか?」

「誓います」

 

寝ぼけた事を言わないでほしいです。

この仮面を被った人は私の事を道具のようにしか思ってない筈……

 

「新婦に問う、汝はこの新郎を愛すると近いますか?」

 

私の番がとうとう来てしまった……

こんな時に誰かが助けに来てくれれば良いんですけど、

そんな都合の良い事なんてないですよね……

 

 

お父様、お母様、自分勝手な私を許してください。

 

 

穂乃果、ことり……隠し事は無しっていう約束を破ってごめんなさい

 

 

 

「誓いま……」

 

 

 

ーードーン!!ーー

 

 

 

扉が強引に開く音がし後ろを振り返る。

そこにいたのはティアと心結君、そして……

 

「悠里……君」

 

昨日の夜に別れを告げた筈の彼が目の前にいた。

どうして悠里君達がここにいるんですか……?

だって私は……

そんな事を考えてる私をよそに悠里君は、

ゆっくりと近づいてくる。

 

「おい君!、ここは坊ちゃんの挙式中だぞ部外者は……」

「……うっさい黙れ」

 

忠告しながらも立ち塞がる黒づくめの人に左フックをかまし、

その場で気絶させた悠里君。

これを見ていた他の護衛の人達も警戒をし始めた……

 

「よいしょっと……みーちゃんって軽いね?」

「へっ?」

「悠里兄、大胆だね……しかも様になってる」

「そうね。ウミも満更じゃないみたいだし」

 

今の状況を確認する。

目の前には悠里君の顔、そして何かに抱きかかえられてるような浮遊感……

導かれる答えは1つ。

私は今、悠里君にお姫様抱っこをされているという事だった。

あ、あわわわわ……///

 

「じゃ帰ろうか、お姫様?」

「は、はいぃ……///」

 

白馬の王子様ってこんな感じなんでしょうか……///

 

「そこの君、待ちたまえ」

 

なんですか!?

私と悠里君の至福の時間を邪魔する輩は!!!

悠里君を呼び止めたのは結婚の話を持ち掛けてきた人のお父様でした。

 

「結婚式に乱入して新婦を攫うとは非常識過ぎないかね?」

「…非常識なのは、あなたの息子だと思いますが?」

 

辺りは静かになっていました。

なんか私もアウェー感がします……

もしかして悠里君にお姫様抱っこされたまま聞かなきゃいけないのでしょうか?

それはそれでなんか恥ずかしいです///

 

「言わせておけば好き放題言いやがって!!」

「お前は黙ってなさい!! どうしてそう思うのかね?」

 

ギャーギャーうるさいですね……

あれ? 私なんか落ち着いてますね……

 

「あなたの息子は、みーちゃんを脅迫して強引に結婚式を行ったからです」

「父親の前でよく堂々と言えるのだね……」

 

えっ、悠里君……どうしてその事を知ってるんですか?

そんな私をよそに……

 

「証拠ならあります。心結?」

「…ん、了解」

 

悠里君の呼びかけに心結君は、

ボイスレコーダーのようなものを取り出した。

そして再生ボタンを押す……

 

『計画通りだ! 俺に逆らえるヤツなんていないんだ!ハハハハハ……』

「ちなみにコレ、結婚式が始まる直後の声だよ悠里兄?」

「解説ありがと、心結」

「…えっへん♪」

 

なんか心結君がドヤ顔しているように見えます……

 

「これでも証拠が足りないっていうなら、あんたの息子がこれまでの資料がここにありますけど……どうします?」

「見せてもらってもいいかね?」

 

ティアはそう言うと、

資料を相手側の父親に渡しました。

その資料を見て……

 

「お前……私が知らない間に、こんな事をやっていたのか!?」

「な、何を言ってるんだい父さん……」

「なら直接見てみるといい!!」

「だいたいこんな出鱈目な……な、なんで俺の姿が写ってるんだよ!?」

 

資料を自分の目で確認したその人の表情は、

今まで完璧に隠していたものが親の前でバレてしまったかのような

焦りの表情だった。

そして悠里君達を睨みつけながら指差す……

 

「き、貴様ら…こんな事してただで済むと思ってんのか!!!」

「自分のせいでしょ? あんたが私の親友を脅迫したのが運の尽きじゃない」

「ティア姉に同意、自業自得……ついでに因果応報」

「みーちゃんを物扱いしてる奴に言われたくないよ!! そんなの僕が許すと思う?」

 

正論を思い切り言われその場に崩れ落ちた。

 

「お前には失望した……連れていけ」

「そ、そんな!?」

 

護衛の人達に連れていかれ、

その場に残ったのは私達4人と相手側の父親だけになりました。

 

「この度はすまない事をした……君のご両親にも後日に謝らせてくれ」

「あ、あの頭を上げてください!?」

 

目上の人に頭を下げられるとこっちも困ります。

そして頭を上げた後、今度は悠里君を見て……

 

「君の名前を聞いてもいいかね?」

「水無月悠里です」

「そうか、君が……道理で悠人さんの面影があると思ったよ。ああそうだ、バカ息子の処遇は私がしっかりとやっておくから安心してくれ」

 

それだけ言うと、

式場から立ち去って行きました……

 

「ユーリ、先にウミの事を両親に報告しましょ?」

「そうだね、心結は……?」

「ココロなら用事があるから先に帰ってるって言ってたわよ?」

「なら大丈夫か……」

 

 

 

 

ーー園田家ーー

 

 

 

 

自宅に着くと、

玄関前でお父様とお母様が出迎えてくれました。

 

「海未お帰りなさい!!」

 

お母様は涙を流しながら、

私を抱きしめました……

 

「悠里くん、娘を助けてくれてありがとう……」

「いえ……」

「そこで相談なんだが……ちょっといいかい?」

「は、はい……」

 

お父様は悠里君を連れて何やら話をしているのが見えます。

何の話をしているのでしょうか……?

 

「ウミにとっては嬉しい話かもよ?」

「あら♪ ティアちゃんも主人が悠里くんに話してる内容が分かったの?」

「そりゃもちろん♪」

 

お母様とティアは悠里君とお父様が話してる内容が

分かるみたいですが……私だけ知らないのは納得できません!!

凄く気になります!!

 

「お待たせ……」

「悠里君、お父様と何の話をしてたんですか?」

「色々かな……ちょっと僕、ほのちゃん達に電話してくるね?」

「え、あ…はい」

 

なんでしょう?

上手いこと逃げられた気がするんですが……

するとティアが私の肩を叩き……

 

「ウミ、これがさっきの答えよ」

 

1枚の紙を私に見せてきました。

えーと……許嫁許可書って書いてありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なななななッ……///」

 

な、何なんですかコレ!?

よく見たら私と悠里君の名前が書いてあります。

こ、こここ、これってつまり……///

 

「良かったわね、ウミ♪」

「ふむ、今日は祝い酒でも飲むとするかな」

「あらあら♪、あなた飲み過ぎはいけませんよ?」

 

ニヤニヤ(・∀・)ニヤニヤしながら、

ティア、お父様とお母様が私に言った……

 

 

 

 

 

 

私、園田海未は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠里君の……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

許嫁になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うみゅうううううううううう!?///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回は久しぶりの短編を投稿したいと思います。
ちょっと執筆したいネタがあるもので……
次回もよろしくお願いします。

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