ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
海未ちゃん、誕生日おめでとう。
μ'sの誕生日回の最後が海未ちゃんなので
気合いを入れて執筆しました。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。


特別編 青の少女の誕生日

園田海未です。

突然ですが私は今、混乱しています。

 

「みーちゃんー、早くしないと朝ご飯が冷めちゃうよー?」

「は、はい。今行きます」

 

朝。誰かに起こされる声がしたので、

目を開けると何故か私の部屋に悠里君がいて

『もう少しで朝ご飯が出来るから早く起きてね?』と言われ、

私服に着替えながら状況整理をしているのですが見当がつきません……

 

(そうですよ。きっと私は疲れているんですよ♪)

 

さっきの悠里君の声だって、

私の聞き間違いであって本当はお母様が起こしにきてくれたんですよ。

そう思った私はリビングに向かう。

するとそこには……

 

「みーちゃん、おはよー」

「ゆ、ゆゆゆ……悠里君!?」

 

悠里君がいました。

ど、どうして私の家にいるんですか!?

すると私の表情が分かったのか……

 

「説明はちゃんとするから、今は朝ご飯にしよ?」

「は、はい……」

 

とりあえず席に座りましょうか……

少しここで気になった事がありました。

それはテーブルに置かれてた料理です。

 

「あの…これ全部、悠里君が作ったんですか?」

「うん。最初は和食か洋食がいいか悩んだけど、思い切って和食にしてみたんだ。…まぁ、これを和食って呼んでいいのかは微妙だけどね?」

 

悠里君はそう言いますが、

テーブルに置かれていた料理は、焼き鮭、玉子焼き、佃煮、プリンがありました。

あっ…これはもしかして悠里君お手製のプリンでしょうか?

 

「少し遅い朝食だけど食べよ?」

 

時計を見ると時刻は9時。

確かに遅い朝食です。

いつもは遅くても8時なんですが……

 

「いただきまーす」

「い、いただきます」

 

悠里君が作ってくれた料理は凄く美味しかったです。

私もこんな料理を作れるでしょうか?

朝食を食べ終わり2人で後片付けを済ませた後……

 

「みーちゃんママとみーちゃんパパは、さっき2人でお出かけして行ったよ」

「そうなんですか?」

「うん、なんか明日の夜まで帰ってこないって言ってたよー」

「へっ?」

 

ちょっと待ってください。

悠里君は今、何て言いました?

お母様とお父様が明日の夜まで帰ってこない?

もしかして私、明日の夜まで1人なんですか?

 

「あー、僕も明日まで一緒にいるから大丈夫だよ?」

「そ、それってつまり……///」

「ここで問題です。何で僕が、みーちゃんの家にいるのでしょう?、ヒント。今日は何月何日でしょうか?」

 

そう言われた私は考える。

近くに置いてあった携帯電話の画面に表示されている日にちを確認すると、

3月15日だった。そして悠里君がどうして私の家にいるのかも分かってきた……

 

「わ、私の誕生日だから……ですか……?」

「うん。学校でお泊りした時にさ、誕生日プレゼント何がいいって聞いたの覚えてる?」

「そ、それは……そのぅ……」

 

覚えてない訳がない。

悠里君にとんでもないお願いをしたのは自分でも覚えてます。

何せ誕生日プレゼントは『悠里君と新婚さんごっこ』がしたいと言ってしまったんですから……

そこから導き出される答えは1つ。悠里君は私の誕生日を祝うために来てくれたという事を……

 

「夜には、ほのちゃん達も誕生日パーティーをやりに来るって言ってたよ?」

「穂乃果達がですか?」

「うん、たった今メールが送られてきたんだ。ほら」

 

そう言いながら携帯電話の画面を私に見せてきた。

よく見ると『海未ちゃんの家で誕生日パーティーだよ!』と書かれていました。

全く……穂乃果らしいですね……

 

「ところで()()()、今から何する?」

「へっ……///、あ、あの……母さんって私の事ですか!?」

「えっ、だって新婚さんごっこでしょ?、呼び名とかも変えた方がいいのかなぁと思ったんだけど……」

「う、嬉しいですけど……で、できればいつもと同じ呼び名がいいです……///」

「まぁそう言うなら……分かった。みーちゃん」

 

正直に言うと恥ずかしくて悠里君の顔が見れません……

でも『母さん』なんて呼ばれて嫌じゃありませんでした。

はっ……!!

…という事は悠里君の事を『あなた♪』なんて呼んだ方がいいのでしょうか?

それとも『旦那様♪』って呼んだ方が……

 

「えへへ……///」

「みーちゃん、大丈夫?」

「あっ、いえ何でもないですよ!?、それより今から道場に行きませんか?」

「僕はいいけど……みーちゃんは大丈夫なの?、昨日の本大会で疲れてるのに……」

 

言い忘れていましたが実は昨日の本大会で私達μ'sは優勝したんです。

本大会が終わった後、真っ先に私と穂乃果、ことりは悠里君の元に駆け寄りました。

 

「体力には自信がありますから!、悠里君、早く行きましょう♪」

「みーちゃんのそういうところ、本当に尊敬するよ……」

 

今、悠里君が何か言った気が……?

私達は道場に向かう事にしました……

 

 

 

 

 

ーー園田家、道場ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ここで今から一体何をするの?」

「その……私と勝負してほしいんです」

「勝負って……弓道で?、まさか剣で勝負してとか言わないよね?」

「そのまさかです♪」

「みーちゃん、一応理由とか聞いてもいい?」

「純粋に勝負したいからじゃダメですか……?」

 

私が悠里君に剣で勝負してほしいとお願いした理由……

単純に勝負したいというのもありますが、前に悠里君とお父様が勝負をしてたのを見て

私自身が悠里君を守れるような強さを身につけたいと思ったからです。

 

「分かった。僕は防具無しでやるけど、みーちゃんは……」

「私は今回、防具は着けません。あと手加減無しでお願いします。」

「…うん、分かった。」

 

私達は道場に置いてある竹刀を手に取り、

お互いに距離を取り構える……

 

「勝敗はどうする?」

「無難に竹刀が使えなくなったら負けというのはどうですか?」

「それにしよっか……」

 

すると悠里君は懐から1枚のコインを取り出しました。

 

「みーちゃん、僕がこのコインをトスするから()()()()()()()()()を開始の合図にしようと思うんだけど、それでいいかな?」

「はい。それでお願いします。」

 

確かにその開始方法ならお互いフェアですしね……

 

「じゃあ……始めるよ、準備は?」

「いつでも大丈夫です」

 

そしてコインが空中に舞い、

床に落ちた瞬間……勝負が始まった。

 

(は、速い!?)

 

気づいた時には悠里君は既に私の懐に入ってきた……

咄嗟に竹刀を受け止める姿勢を取る。

 

「…よく止めたね、降参する?」

「私がすると思いますか?」

「だよね……みーちゃん負けず嫌いだしね!!」

 

お互いに距離を取りますが、

正直に言うとキツイの一言に尽きます……

たった一撃を受け止めただけなのに……

 

「…ボーっとしてると命取りになるよ?」

「っ!?」

「…遅い」

 

 

 

ーーバシンッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

気づいた時には私が持っていた竹刀は

弾かれていました。

つまり私の負け……

 

「…僕の勝ち。怪我とかない?」

「は、はい。大丈夫です……やっぱり悠里君は強いですね」

「みーちゃんだって強いじゃない。あそこで受け止めるなんて思ってなかったから」

「そうでしょうか?」

「普通は避けるか、やったとしても受け流すの2択だもん」

 

悠里君は凄い事なんだよ?と私に言いますが、

なんで私は最初にそれをやらず受け止めるを選んだのでしょう……

うぅ……まだまだ未熟ですね。

 

「また……勝負してくれますか?」

「こんな僕で良いなら、相手になるよ」

「はい♪」

 

次は絶対に負けません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後リビングに戻った私達は、

何もする事なくただゆっくりとしていました。

 

「本当に何もしなくていいの?」

「はい、こうして悠里君と2人で過ごすだけでも私は楽しいですから♪」

「みーちゃんがそれで良いならいいけど。そういえばもう少しで3年生の卒業式だね」

「そうですね……1年って過ぎるのは早いんですね」

 

もう少しで絵里達3年生の卒業式……

悠里君が前に言ってました。楽しい時が過ぎるのはあっという間だと……

卒業式が近くなってくるにつれ、生徒会のやる事も増えてきました。

 

「ほのちゃん、送辞とかちゃんと出来るかな?」

「それは私も不安です。」

「「はぁ……」」

 

3年生の送辞をやる役は穂乃果になったんです。

ただ……私達は穂乃果がちゃんと出来るか心配でした。

まぁ、穂乃果ならやれるでしょう。

やれる筈ですよ……多分ですが。

 

「あ、そうだ。誕生日パーティーの時間まで早いけど……はい!」

 

そう言うと悠里君は箱のような物を私に渡してきました。

 

「あの……これは?」

「僕から、みーちゃんに誕生日プレゼントだよ、お誕生日おめでとう♪」

「あっ……///」

 

お誕生日おめでとうと笑顔で彼に言われた私は嬉しかった。

ただ嬉しいだけじゃない……

悠里君が見せた笑顔は紛れもない小さい頃に私達に向けてくれた

眩しい笑顔だったのだから……

 

「あ、開けてもいいですか?」

「うん、いいよー♪、喜んでもらえるか分からないけど……」

 

プレゼント箱を開けると、

入っていたのは青色のブレスレットでした。

 

「綺麗……」

「みーちゃんのイメージカラーに合わせて作ってみたんだ。緊張した時に見ると落ち着く石を素材にしてるんだよ?、それからここを押すとね……」

 

すると悠里君はブレスレットの中央付近の部分にある

脇の小さなスイッチを押した。

カチッと音が鳴る。

 

「こんな風に3枚くらい写真が入る仕組みになってるんだ♪」

「本当に貰ってもいいんですか?」

「みーちゃんの為に作ったプレゼントだもん」

 

最近、穂乃果とことりで気づいた事があります……

ほんの少し、ほんの少しずつですが、

悠里君が昔のように明るく変わっていくのが増えてきた気がします。

 

 

 

 

 

 

 

ーーピーンポーン!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お客様でしょうか?」

「あ。ほのちゃん、ことちゃんだ。」

「2人共、早いですね…」

「きっと、ほのちゃんが早めに行こうよって言ったんじゃないかな?」

「ふふ♪、そうですね……」

 

彼と一緒に過ごせるのは時間は、

あと1年……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この先、何があっても私は悠里君の味方ですからね?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼に貰った青く光り輝くブレスレットを

左手首に身に付けながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから悠里君も……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辛い事があったら言ってくださいね?

どんな些細な事でもいいんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私や穂乃果、ことりも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠里君の事が大好きですから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
これでμ'sの誕生日回は全員分、執筆が終わりました。
まさか最後の誕生日回が海未ちゃんになるとは……
この小説を連載開始したのが去年の3月30日でしたからねぇ……
次回は、2期第13話『叶え!みんなの夢』の回です。
この調子で頑張りますので、みなさんよろしくお願いします。

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