ラブライブ!~忘れられた月の彼方~   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の予告通り、
ことりちゃん視点になります。
サブタイで、お気づきの方も
いると思いますが・・・
今回は誰に対して何を伝えているかという
感じになっています。

それではどうぞ。



第92話 もう1人の白き少女の想い

私と瑠菜ちゃんは、

ゆーくんが落下した場所と

思われる場所に着いた。

と言っても展望台の柵から飛び降りて

ショートカットしただけなのよね。

 

「ゆーくん、大丈夫かしら・・・」

「そう思いたいけど・・・」

 

瑠菜ちゃんが思うのも無理はない。

なにせ私達2人がいる場所には、

ゆーくんの血と思われるものが

夥しく残っていたから・・・

 

「ゆうくん、まさか・・・」

「瑠菜ちゃん?」

「ことりちゃん、あれ見て・・・」

 

瑠菜ちゃんが指さした方に

目線を向けると、

気づきにくいが奥に続く道があった。

しかも誰かが通った跡がある。

私は瑠菜ちゃんの言いたい事を

すぐに理解した。

 

「・・・行きましょ」

「そうだね」

 

ゆーくん、無事でいて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー少女2人移動中にてーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だいぶ奥まで歩いてきたけど

ゆーくんの姿どころか、

気配も感じ取れない・・・

 

「ねぇ。ことりちゃん」

 

不意に瑠菜ちゃんが

私に話しかけてきた。

 

「なに?」

「ゆうくんに最後に会ったのはいつ?」

「それは・・・」

 

いつだったかしら・・・

私が最後に会ったのは

中学1年の時、ゆーくんが

表の私と話したのが最後ね・・・

 

「中学1年の時が最後になるわね」

「ゆうくん、作り笑いしてたでしょ・・・」

「・・・ええ」

 

表の私は完全に気づいてなかったが

ゆーくんは表の私・・・

違うわね。私達2人の前では心配かけまいと

笑っていたのは今でも覚えてる。

あの時の私は無力だった。

理由は言いたくないわ・・・

 

「瑠菜ちゃんは、いつ()()()したの?」

「ことりちゃんの治療費を渡しに行く日だよ」

「そう・・・」

 

()()()、瑠菜ちゃんが

私に別れの言葉を告げに来た意味が分かった。

それ以来、私は・・・

 

「ことりちゃんの場合は大変だね」

「なんでよ・・・」

「だって2()()()、正反対だし~」

「あんなのと一緒にしないで」

「ゆうくんが好きなのは変わってないよ~?」

「そ、そんなの当たり前じゃない・・・///」

「ことりちゃん赤くなってる~♪」

「も、もう///。瑠菜ちゃん!」

 

ゆーくんの話題を出されると

私は冷静でいられない事が多い。

これでも落ち着いてる方なのよ?

 

「当分の間は出てこれないんでしょ~?」

「そうね。次に出てこれるのは・・・」

 

そう・・・

私がこうやって憑依できたのは、

今までの行動を見てきたから。

ゆーくんが転入してきた時は、

凄く嬉しかった。

ゆーくんは私の存在にも気づいてた。

けど、表の私は3年以上も経過したと

いうのにも関わらず、ゆーくんの事を

覚えてるどころか忘れていた・・・。

私は、それが許せなかった・・・

 

「ゆーくんは何で私を責めないのよ・・・」

「ことりちゃんもそう思う~?」

()って、瑠菜ちゃんも・・・?」

「わたしだって何度も思った事あるよ~」

「で、でも瑠菜ちゃんは・・・」

 

それどころか瑠菜ちゃんは、

地獄のような中学生活を送ってきた

ゆーくんの側に居てあげたのに、

どうしてそう思うのか私には

分からなかった・・・

 

「わたし達は、ゆうくんの近くにいたのに

結局、何もできなかった・・・

学校に来るたびに、ゆうくんは暴力で怪我を

負わされて、授業中でも落ちこぼれって

周りから言われる毎日・・・

それどころか下級生にも嫌がらせを受けた

ゆうくんは、わたし達から距離を置くように

なっちゃった・・・

だけど、わたし達の前では笑っててくれた。

ゆうくんに、これ以上関わるなって言われた方が

どれだけ楽だった事か・・・

何が幼馴染みだって何度も思ったよ・・・」

 

瑠菜ちゃんは、

そう言うけど私の場合は違う。

たまにしか会えない

ゆーくんに会えるのが嬉しくて

辛い思いをしていた事に気づけなかった・・・

それどころか私達はのうのうと高校生活を

送っていた・・・

私は自分の、又は他人の奥底に眠ってる感情を

読み取る事が出来る。

ゆーくんが転入してきた日、私が読み取れた感情は

『何も無い自分の事なんか忘れてもいい』という

周りが暗く見えてしまいそうな酷過ぎるものだった。

私は、ゆーくんが普段何を思っているのか

気になり悪いとは思いつつも、

ゆーくんの更に奥底に眠る感情を読み取る事にした。

だけど、そこから読み取れた感情は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『死にたい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は認めたくないと思い、

次の日も、その次の日も、

何度も読み取ってみたが結果は

同じだった・・・

そしてμ'sの復活ライブが終わった

その日に私が知らなかった

ゆーくんの中学時代の3つの真実を

瑠菜ちゃん、ティアちゃん、花怜ちゃん

から聞いた・・・

それを聞いた表の私は耐えきれず

ずっと泣きっぱなしだった。

そして、ゆーくんは声も出せないながらも

私達を責めるどころか慰めてくれた。

 

「それで私は今の状況に耐えられなくなって

強引に憑依したのよ・・・」

 

私の呟きに納得したのか

瑠菜ちゃんは・・・

 

「ことりちゃんの選択は間違ってないと思うよ。

だってこうでもしないと危ないって思ったんでしょ?」

 

何も言い返せなかった。

12月に入った途端、ゆーくんの感情は

自己犠牲が激しい狂気的なものに変わってた・・・

 

「そうね・・・

基本的に私、ゆーくんの為にしか

動かない性分だし・・・」

 

こうして2人で

歩いていると誰かが倒れている姿が

見えた・・・

 

「瑠菜ちゃん、あれ・・・」

「ゆうくん!」

 

私と瑠菜ちゃんは

血だらけになりながらも倒れている、

ゆーくんの元に駆け寄った・・・

 

「酷い・・・」

「ゆうくん、まさか1人で・・・」

 

いくら痛覚がないからって言っても

ゆーくんだって人間だ。

体が悲鳴を上げてもおかしくないくらい

ボロボロだった。

しかも・・・

 

「ア、アハハ・・・」

「ゆーくん?」

「あれ?、走馬燈か、な?。ルーちゃん、

こと、ちゃんが見え・・・」

「ゆうくん!!、今は喋らないで!!」

「そうよ!!、お願いだから喋らないで!!」

 

まずい!

早く病院で治療しないと

このままじゃ本当に、

ゆーくんは死んでしまう!

 

()()で運ぶわ・・・」

「ことりちゃん、いいの・・・?」

「躊躇う理由はないわ。」

「なら早く、ゆうくんを運ぼう!」

「ええ!」

 

私と瑠菜ちゃんは、

意識が朦朧としている

ゆーくんを抱え空を見上げ

背中に意識を集中させた・・・

 

「ゆーくん、すぐに病院に連れて行ってあげるから!」

「ゆうくん、少しだけ耐えてて!」

 

私は背中に黒い光の翼を

具現化させた・・・

瑠菜ちゃんも自分の背中に

緑の光の翼を具現化し

私達は、ゆーくんを抱え

花怜ちゃん達が待つ

展望台に向かって飛び立った・・・

 

「ゴ、メンナ、サイ・・・」

「「っ・・・!!」」

 

私達2人が聞いたのは、

ゆーくんの啜り泣いた声だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回も暗い感じに
なりそうですが
よろしくお願いします。

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