第78話
【プロローグ】
[ 音ノ木坂学院・部室内 ]
「よし、みんな集まったな…………」
今日の活動が始まる直前、俺は全員を呼び寄せて緊急会議を設けた。
「なになに? 何か始めるの?」
穂乃果が首をかしげながら俺に尋ねてくる。 他のみんなも穂乃果と同じ意見なのだろうか、言葉では言わないものの、俺に視線を向けて何が始まろうとしているのかを訴えかけてきた。
「ふっふっふ……今日はだな、重要な話があるから集まってもらったんだ………」
『重要な話???』
「そうだ、μ’s躍進の第一歩となる重大な話だ!」
そう言うと、昨日、謙治さんからもらった封筒から折りたたまれた1枚の紙を取り出して、それを広げてみんなに見せた。
「俺たちμ’sは………今度行われる街のイベントでライブを行うことが決まったんだぜ!!」
『えええぇぇぇぇぇぇ!!!!!!???』
突然のことで全員、驚きを隠せずに大きな声で叫んでしまっていた。
俺も最初、この知らせを見た時はかなり驚いたものだ。 なんせ、このイベントを開催する主催者側から直々のオファーだったので、何かの間違いではないのかと、始めはそう思っていた。 だが、後になってから主催者の方に連絡を取り合わせて確認すると、それが現実のものであることをようやく実感させられたのだ。
それと同時に、さらなる躍進に向けての算段を立てることができたのだ。
「このライブで俺たちに与えられた時間は10分くらいもあると聞いているわけなのだが……どんな曲でいこうかというのはすでに決めてある」
「10分ってことは………2曲分は、にこたちに与えられているってわけなのね」
「つまりは、これまでやってきたものの中から選び出したってわけなのね?」
「ああ、絵里の言う通り、過去のものを今回やろうかってのは思っていたところだ」
「ですが、今まで私たち全員がやってきたものは、本当に3曲くらいしかありませんし………今回はそのようにするということでしょうか?」
「正確に言えば、1曲なんだけどな。 1曲目は、その1度やった『ぼららら』でいこうと思う」
「それで、もう1曲はどうするのかしら?」
「もう1曲はだな…………今、取り組んでいる新曲でいくぞ!!」
『ええぇっ!!?』
オープンキャンパス以降、俺はラブライブ出場に向けての構想を組み立て始めており、その中で『ぼららら』に続く、新たな全員で出来る曲を作り上げようと海未と真姫を巻き込んだ制作陣で事を進めていた。 そして、ようやく新作の1曲が完成に行きつくことができたので、今回はこの曲で勝負をかけたいと考えていた。
「いきなりで申し訳ないと思うが、今のお前たちなら出来ると思ってこうさせてもらった………どうだろうか?」
質問をするかのような問いかけを投げかけると、やはり率先して応えてくれるヤツがいた。
「やろうよ! 蒼君が私たちをそこまで信用してくれているんだから絶対に出来るって!!」
穂乃果は、勢いよく立ちあがってみんなに同意を求めようと働きかけ始めた。 穂乃果の真剣で真っ直ぐな気持ちが言葉と態度としてあらわれ、それが嫌というほど伝わってくるので、みんなは快くそれに応じた。
「うん!! そうと決まったら、早速練習だぁ――――ッ!!!」
「まあ、待て。 一旦待ってくれ」
勢いが増していった穂乃果は、また部室から出て屋上に向かって練習をしに行こうとしていったのだが、俺はそれを静止させた。
「ん? どうしたの、蒼君??」
「穂乃果が早く練習をしたいって気持ちはよくわかるが、今日は練習を行わないで他のことをしたいと考えているんだ」
「と言いますと……?」
「そのうち分かる、ちょっとだけ待ってくれ。 もうそろそろ来るころなんだが………」
そう言った矢先に、こちらに複数の足音が近づいてくるのが聞こえてきた。
どうやら、やっと来てくれたようだな…………
「よぉーほぉー!! 注文通りに準備も整えたし、助っ人も連れて来たぜ!!」
まず、勢いよく入ってきたのは明弘だ。 そして、その後ろから入ってきたのは………
「呼ばれてしまってごめん遊ばせ、みんなの広報部部長・島田デ~ス!!」
「「「洋子ちゃん!!?」」」
洋子と友達である穂乃果たち2年生組は、彼女の突然の登場に目を見開いていた。 確かに、この状況下で彼女がやってくるのは場違いなのかもしれないが、今日やろうとしていることに必要不可欠な助っ人なのだ。
「蒼一……一体、何をする気なのです………?」
「それは、今から行くところに来てからのお楽しみだぜ♪」
不安を隠しきれなさそうな顔をした海未を裏腹に、俺は親指を立てながらちょっぴり笑いをこぼした。
―
――
―――
――――
[ 空き教室 ]
『わぁ~~~!!!』
「さぁ~て皆様方、私の撮影現場へようこそ~♪」
メンバー全員を連れて来させた場所は、部屋全体が真っ白な布で覆われた空間となった場所だった。 ここは、事前に明弘たちに頼んで作らせたもので、メンバー全員の写真を撮影するために急遽設けさせたのだ。
「………って、こんな教室ウチの学校にあったかしら………?」
「あはは、そこんとこは大丈夫ですよ、生徒会長! ここは、以前に申請させてもらった空き教室なのですから。 それに、即席で作ったものですから、この布をすべて取っ払えば元通りになりますよ♪」
「そ、そうなの………? ならいいのだけど………」
「さあさあ、時間がありませんからチャッチャと撮らせていただきますよ~!」
洋子は、せわしい様子でメンバーたちに促すと、この状況に理解が追い付かないまま立ち位置に移動させられるのだった。 さすがは広報部、自分のぺースへと強引に運んでいくものだ。
「それで、この撮影をする意味というのはあるのですか??」
「ふっふっふ……よくぞ聞いてくれたぞ、ウミチャー……この写真を使ってだな、ネット上に存在するμ’sの公式ページの写真としてアップロードするのだぁ―――!!!!」
「公式ページ!? な、何故私たちの写真をネット上にばらまくのです!! それに、私たちの公式ページがあっただなんて知りませんでしたよ!!?」
「はっはっは!! それもそのはずだ! この俺が勝手に作って、曲とPVができる度にひっそりと更新しているからな!! 誰にも知られないはずなんだぜ!!」
「ドヤ顔で言うことですか!!?」
明弘が言っていることは本当のことだ。 俺たちμ’sの公式ページが、いつの間にか明弘の手によって完成されていたのだ。 しかも、それができたのはファーストライブ以降だったというのだが、俺もそのことをまったく知らないでいて、つい最近になってからその実態を知ったにすぎないのだ………。
だが、俺はそれを好機と見たのだ!
何故ならば、ネットは不特定多数の人に見てもらえる絶好の場所であるとともに、宣伝には打って付けの場所でもあると踏んだからだ。 すでに、スクールアイドル専用ページにはPVを投稿していて、それを見た人たちがファンとなり、俺たちのランキングを高めてくれている。 そういった意味で、ネットの力というものを実感しているわけであるため、ここにもう一手を加えたいと考えていた時に、明弘のページが飛び込んできたわけだ。 これを上手く利用していけば、人気上昇への近道となれるかもしれないと考えた俺は、早速、メンバー紹介から活動報告などの写真を用意するために、今こうした撮影時間を設けたわけなのだ。
「まあまあ、ウミチャー……ただ写真を撮ってそれをネットにあげるだけの簡単な事なんだぜ? チャッチャと終わらせようぜ?」
「しかし! 私たちの写真を多くの人が見ることになると思うと恥ずかしいです!!」
「何言ってるのよ、海未。 すでに、にこたちはPVをネット上にあげちゃっているじゃないの? にこには、そっちの方が恥ずかしいと思うけど?」
「そ、それは…………」
「それに! スクールアイドルになったからには、徹底して自分たちのことをアピールしなくっちゃいけないでしょ? こんな撮影くらいでくよくよしていちゃ始まらないわよ?」
「にこちゃんの言う通りだよ、海未ちゃん!! 私たちはもうアイドルなんだよ! みんなに元気を与えるんだよ!! そして、この学校を守っていこうとしているんだよ!! こんなところでへこたれちゃダメだよ!!」
「にこ……穂乃果…………」
「それに、今回は制服姿とライブ衣装の2種類しか撮らない予定にしているからよ、ちょいと我慢してくれや」
「明弘………仕方がありませんね、そこまで言われては引き下がることはできませんね」
「よっし! そうと決まれば、早速始めちゃいますよ~!!」
海未の懐柔に成功した明弘たちは、早速、撮影の準備に取り掛かった。 顔や服装のチェックがメンバー同士で行われ、明弘は照明の位置をずらし、洋子はカメラのセットに取りかかっていた。 本来の撮影ならば、もう少し緊迫した空気が走っているものなのだが、俺たちはそんなプロのような存在ではない。 あくまでも、学生として和気あいあいとこの活動をしているわけで、楽しさの1つもなければみんなこの活動なんてしてはくれないだろうよ。
俺は、そんなみんなの様子を傍から見ながらも、ほんわかした気分でその様子を眺めていた。
「ああ、みなさん。 ちゃんといい感じの顔で写真に収まってくださいね~。 変な顔だったりすると後々大変ですよ~♪」
洋子がみんなに向かって撮影を行う際の注意を促していた。 さすがに、変な顔のモノをネットにアップさせるようなことはしたくないからな。 そこら辺に関しては、アイツらがちゃんとやってもらわないと困るのだ。
「ちなみに、ちゃんとした写真というのはこういうものでして………………」
そう言うと、洋子は
『おおおおおお!!!!!!』
「どうです? いい感じでしょう?」
アイツらから歓声が湧きあがったのを見ると、俺が思った通りのモノが出てきたのだと感じる。 なんか気になってくるなぁ……後で見せてもらうか。
「………今ならサービスでタダで差し上げますが、いりますか?」
『欲しい(です)!!!!!!!!!』
――――――――――ビクッ!?
………ん? 何だ、一瞬だったが、寒気がしたのだが…………?
「ねえねえ、洋子ちゃん……あのね……………」
凛が洋子の耳元に何かをささやいているようにも見えるのだが………何を話しているんだ?
「………あ~なるほど……ありますよ~。 ちょうど、出来立てホヤホヤのがあるんですよ~♪」
「そうなの!! やったぁー! 嬉しいにゃぁ~♪」
凛は洋子から何かを受け取ると、ぴょんぴょんと飛び跳ねて大いに喜んだ様子だった。 一体、洋子はみんなに何を渡したのだろうか…………?
真相は明かされないまま、撮影は始まったのだった……………。
―
――
―――
――――
「はいは~い! いい感じですよ~~♪ は~い、もうひと~つ♪」
テンションが上がりまくっている洋子の声が部屋中に響いてくる。
まず、制服の状態から撮影に入った彼女たちは、穂乃果から順々に始めていた。 しゅっ、とポーズを付けないものや、それぞれが思いついたポーズをとるなど多種多様だった。
元気いっぱいにポーズを決める、穂乃果と凛。
恥ずかしながらも小さく決める、海未と花陽。
凛として堂々と決めて見せる、絵里と真姫。
お茶目な感じで笑って決める、ことりと希。
そして、あれやこれやと欲張りながら納得がいくように決める、にこ。
次に、ライブ衣装を見に付けた状態で同じような感じで撮影に臨むのだが、始めと比べてみんな表情と動きが柔らかくなっており、見栄えが良くなりはじめていた。 そうした姿を見ていて、みんなの個性が浮かび上がってくるような表情と恰好でカメラに収まってくれるので、俺の口から安堵の声が漏れて出てくる。 これは気合を入れて、いいものを選別しないといけないな、と自分に言い聞かせて、どういった形の活動報告を作っていこうかと思考していた。
「よぉ~し!! 撮影完了ですぅ~♪」
いつもの練習時間を丸々使って臨ませた撮影も、誰もが気付かないうちに終わりを迎えていた。 撮影中、洋子からの指摘や要望などで、にこじゃないけど、みんなの中にアイドルとしての自覚が芽生えだし始め、最後のグループ写真では、気持ちの乗った表情を浮かび上がらせていて、まさに最高の一枚と言えるものを収めることができたと言えるだろう。
「サンキューな、洋子。 今日は助かったぜ」
「いや~こちらこそですよ~。 こんな機会は滅多にありませんからね、撮り終えたものは早速データにして送らせてもらいますね」
「わかった。 選別については俺が決めさせてもらうから、手元にあるその元のデータは洋子に任せるから保管の方はよろしく頼んだぜ?」
「おまかせ下さい! 私にかかればどんな輩だろうと、私のデータを奪わせませんからね!」
「ああ、そう言ってもらえると助かるな」
「はい♪ また、手助けが必要になった時には、いつでも呼んでくださいね~? すぐさま、駆けつけさせていただきますよ~♪」
そう言い残すと、洋子は教室から出て行き自分の部室の方に向かって走り始めたのだった。 俺たちは帰りの準備を行い始め、そのまま解散というかたちで今日の活動を終えることになった。
俺は、すぐに家に帰って洋子から送って来られるだろうデータの選別をしなくてはいけなかった。 明弘は、使用した教室の後片づけをするようで、先に帰ってくれと言われてしまったので、その言葉に甘えるような感じだが、そのようにさせてもらった。
その夜――――
洋子から今回の撮影のデータが送られたので、その中身を見させてもらったのだが、なんとも言えない卓越された撮影技術に驚きながら1枚1枚を見ていった。 どれもこれも外してしまうには、惜しい気持ちがあるのだが、そうした気持ちを抑えてこその選別作業なのだからここで踏ん張らなくてはいけないのだ。
「さてと………いっちょ頑張りますか」
それからの俺は、PCの画面とにらめっこを続けながら選りすぐりの逸品たちを選びぬいたのだった。 そして、この写真たちが、更新される公式ページの活動報告として張り出されるのだった。
―
――
―――
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[ 西木野家 ]
「ただいま~」
いつもの夜になる手前の時間帯までに帰ることができた私は、玄関を開けては、帰ってきたことをママに伝えたわ。
「あら、真姫ちゃんおかえりなさい。 今日も元気だった?」
「ええ、元気に過ごせたわよ、ママ♪」
「あらそうなの、よかったわ♪」
リビングの扉を開けては玄関までやって来て、いつもと変わらない会話を行っていた。 毎日同じようだと飽きてしまうかもしれないけど、でもそれが無いと私が家に帰って来たんだって気持ちにはなれないのよ。 これも1つの習慣みたいなものだけど、私はこんな何気ない時間も大切にしているのよ。
「真姫ちゃん、今日はね、パパが早く帰って来てくれたのよ」
「パパが!!」
私のパパは、病院の経営者である院長なんだけど、いつもは仕事が忙しくって私が眠る時間よりも遅く帰ってくるの。 だから、家でパパと会える時間は本当に休みの日くらいしかないから、こんな平日に一緒に居られるなんて嬉しいわ♪
「ん? おお! 真姫、帰ったか!!」
「パパ!!」
「うお!? あっはっは、今日も元気なんだな~!!」
言ったその矢先にパパは、ママと同じくリビングから出てきて私を笑顔で迎えてくれた。 私は、すぐに靴を脱ぎ、持っていたカバンを降ろしてからパパに抱きついたの。 パパは大きな腕を広げて、私が来るのを待ち構えていて、私はその腕に向かって体から飛び込んで行ったの。
あったかい―――――――
久しぶりに感じるパパの温もりに、今日1日の疲れがどこかに消し去っていったみたいだわ。 それほど、私は嬉しい気持ちでいっぱいだったの。
「そう言えば、真姫。 学校で部活動に入って活動しているって聞いたんだが、本当かい?」
「!!」
いけない! まだ、私がアイドル活動をしているってことをパパに話していなかったわ。 ママには、もう話はしていたけど、パパには話す機会が無かったし………それに、医者を志望している私がそんなことをしていたらどんな顔をするのか分からなかったの………。
「真姫、どうなんだい?」
「………ええ、やっているわ………」
不安はあったけど、パパが優しく問いかけて来るので、私は素直に答えるようにしたわ。
「ほぉ~……それで、何をやっているんだい?」
「………アイドル活動………」
「………………なに?」
「だから…………アイドル活動なの…………」
「それは…………真姫が音楽をまたやり始めたってことかな?」
「………え、ええ……そうなの………」
「……………………………」
私がこのことを隠さずに話すと、パパは黙ってしまったわ…………やっぱり、ダメなのかしら………? パパは私が医者になるっていった時から、少し厳しめになって私に様々な勉強を叩きこまされたの。 何よりも勉強の方を優先させてきたパパの方針から私は逸脱したことをしちゃったわ。 自覚はしているけど………でも、どうしてもやりたい!って気持ちが強くなってて………だからアイドル活動を行い始めたの。
それでも、パパは私のことを叱りつけるのかなぁ……………
そんな悲嘆な気持ちを抱えながら、私はパパからの返答を待つようにした。
そして、パパの口が開いて語り始めたの……………!
「…………………
……………………いいじゃないか!」
「へ?」
予想もしなかった言葉が出てきたことに、抜けた声が出てしまったほど、驚きを隠せなかった。 だって、パパがそんなことを言ってくれるだなんて思いもしなかったんだもの!
困惑し続けている私に、言葉をつづけ始めた。
「いやぁ~、まさか真姫がまた音楽をやり始めてくれるだなんて、私は大いに喜んでいるよ!!」
「…………パパは、怒ってないの………?…………私が医者の道に進もうとしているのに、こんなことをしてて………?」
「それは………う~ん、なんとも言えないな…………確かに、医者となる娘がこうしたことをするのは、普通では考えられないことだな…………」
「な、ならどうして…………?」
「そりゃあ、私の娘なのだから音楽もやりながらもちゃんと勉強もできるだろうと確信しているからね。 それに、私は真姫のピアノがまた聞けると思うと嬉しいと思っているだよ」
「パパ…………パパだぁーいすき!!!」
「うおぉぉ!! ……あっはっはっは!!! こりゃあ、まいったなぁ~」
パパが私のやっていることに関して全面的に肯定してくれたことに嬉しい気持ちでいっぱいになったわ! その気持ちをそのまま伝えるために、また強く抱きしめてしまったの。
「ふ~む………となると、一度は顧問の教師と話をしなくてはけないようだな」
「そうですね、真姫がお世話になっているんですもの、何かお礼の1つくらい差し上げないといけないですね」
パパとママは、笑いながら蒼一たちに何かをしてあげようと考えているようなの。 何を考えているのかはわからないけど、あまり派手にやらないでもらいたいわね。 こっちが恥ずかしくなっちゃうんだもの。
「それで、その顧問の名前はなんて言うんだい?」
「顧問はいないけど………臨時講師みたいな指導者が2人いるわ」
「ほぉ~……外部の人間なのか………それも2人も………」
「1人は、滝 明弘で、もう1人が、宗方 蒼一よ」
「「――ッ!!?」」
名前を話した瞬間、パパとママの体が震えたの。 どうしたんだろうと、2人の顔を見るととても険しい表情をしていた。 決して怒っているような顔ではなかったわ。 ただ、ちょっとだけ怖い気もしていたの。
「……さあ、真姫。 先に着替えを済ませてらっしゃい。 すぐに晩御飯にするからね♪」
「あっ……う、うん。 それじゃあ、着替えてくるわね」
そういうと、パパから離れて降ろしたカバンを拾って、私の部屋へと昇っていったわ。
けど、さっきはどうしてあんな表情をしていたんだろう? どこか体に悪いところでもあったのかな? う~ん……どうなんだろう………?
頭の上に疑問符を浮かばせながら、私は部屋に入って着替えを始めた。
―
――
―――
――――
「………美華………今、真姫は
「ええ、そのようですね、結樹さん……まさか、こんなかたちで再会していただなんて………」
「…………早めにあの子に会うようにしよう………その方が安心できる………」
「その時は、私も一緒にお願いしますよ…………?」
「ああ、もちろんだとも………何せ、キミが看病していたからね」
「あれからもう
「月日が流れるのは、早いものだな………」
険しく飾られた2人の表情には、悲しみがかかっていた。
(次回へ続く)
どうも、うp主です。
いろいろと長い前振りとかしちゃってすみません、なかなかいいように話がまとまらなくって思考錯誤していました。
それもこれも仕事疲れが原因なのかな?
この疲れを何とかしたいものだ。
さてさて、いい感じになってきましたよ~
ようやくここまで来たのですから、もう頑張るしかございませんね。
というわけで、次回から新編が始まります。
題名はもうすでに決まっております。それは…………
『哀しき幻想紅姫 Ⅱ ~for Answer~』
あの話を投稿して、早7ヶ月が経ちました。
あの話の真相編をようやくここでヒモ解くことが出来そうです。
ワクワクしてきましたよ~、自分がどこまで書けるのかがですけど………
この話を今年度中に、終わらせる予定を立てていましたが、どうもうまくいかなかったようです。最終話は、来年に持ち越しです!!
さって、がんばりますよー!!
次回もよろしくお願いいたします。
今回の曲は、
PC同人ゲーム『東方文花帖~ダブルスポイラー~』より
ZUN/『あなたの町の怪事件』
更新速度は早い方が助かりますか?
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ちょうどいい
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もっと早くっ!
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遅くても問題ない