前回は穂乃果ちゃんをメインとしました。
今回は海未ちゃんをメインとした話にしています。
<前回までのあらすじ>
何に影響されたのか分からないが、アイドル活動を始めようと考えた、俺の幼馴染の穂乃果
だが、一体誰が参加するのかやどういった活動をするのかとかなんも考えてやしねぇ・・・
はぁ・・・大丈夫なんかなぁ・・・
しかし・・・アイドル・・・か・・・
いつまでも過去を引きずるわけにもいかねぇ・・・前に進まねぇと!!
よし、俺ももう少し頑張りますか!!
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―――
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みなさん、はじめまして。園田 海未と申します。
早速ですが、私は今窮地におちいっております・・・
何があったのかと言いますと少し時を遡ります―――
――― 「セ―――フ!!!・・・ふぅ、なんとか間に合ったよ~」
授業が始まる合図のベルが鳴る数秒前に登校してきたのは私の親友の穂乃果です。しかし、穂乃果は寝坊することが多くて、今日みたいに遅刻ギリギリの状態が続いているのです・・・
はぁ、どうしてもっと早く来れないのでしょうか・・・
「おはよう、海未ちゃん!ことりちゃん!」
「おはよう、穂乃果ちゃん」
「おはようございます、穂乃果。また寝坊ですか?」
「いや~今日はね、ちょっと寄りたいところがあって遅れちゃっただけだよ~」
「そうなんですか?」
穂乃果にしてはめずらしいですね、一体どこに寄って来たのでしょうか?
(キーンコーンカーンコーン)
「あっ、授業が始まる!授業が終わった後に詳しいことを話すね!」
「わかりました」
「何かおもしろいことでも見つけたのかなぁ?」
ことりは楽しそうに言っていますが、私は何か嫌な予感しかしないのですが・・・
・・・気のせいでしょうか?
―
――
―――
――――
「海未ちゃん!ことりちゃん!私ね、いいことを思いついたの!!!」
一時限目の授業が終わると、早々私の机に来て、目を大きく輝かせて言ってきました。
「一体何を思いついたのですか?」
「いいことってなぁに?」
「へへん!それはね、スクールアイドルをこの学校で結成させようと思うの!」
「「スクールアイドル?」」
「そうだよ!」
そういうと、穂乃果はカバンの中から様々な雑誌を取り出し、スクールアイドルに関する記事を私たちに見せてきました。これがスクールアイドルですか・・・話には聞いていましたが、全国各地の学校で結成されているのですか・・・ふむふむ
「スクールアイドルはね、今、若者から注目されているんだ!特に10代の女子に人気があって、有名なスクールアイドルが活動している学校は毎年毎年多くの入学希望者がいるんだって!だから、私考えたの。うちの学校にもスクールアイドルを結成して、人気を集めて、入学希望者を増やしていこうと思うの!いいと思わない?」
確かに、人気のあるグループがいる学校は入学希望者が多いとこの雑誌に書いてありますが、しかし・・・
「そんなことで本当に入学希望者を集められるのですか?」
「うぅ・・・そ、それは人気が出なければ・・・」
「私はうまくいくとは思いません。その雑誌に出ているスクールアイドルは、日々努力し、真剣にやろうとしてきた人たちではないですか?思いつきでやっても絶対にうまくいくはずがありません!」
「そ、そんなぁ~・・・ガクッ」
やっぱり、思いつきでしたか。穂乃果らしいといえば穂乃果らしいのですが・・・
しかし、何故スクールアイドルを始めようと思ったのでしょうか?
その時、穂乃果の雑誌と一緒に机の上に出ていたパンフレットに目が合いました。
これは・・・UTX学院の入学案内?
「穂乃果、まさか遅刻しそうになったのはUTX学院に行っていたからですか?」
「あっ!・・・えへへ、ばれちゃったかぁ」
「はぁ、スクールアイドルをやろうと思ったのは、この『A-RISE』を見たからなんでしょう?」
「そうなんだよ、海未ちゃん!あの人たちはすごいんだよ!なんていうか、惹きつけられる何かを持っていたんだよ!!」
「そうなんですか・・・」
つまり、穂乃果は彼女たちの影響を受けて、やろうと言い出したわけですか。全く、困りましたね・・・
そういえば、ことりは?
ことりの方に目を向けると穂乃果の持ってきた雑誌をじっと見つめていました。
「ことり?どうしたのですか?」
「ほへ~・・・いいなぁ~」
「はい?」
「私もこういう衣装を作って誰かに着せたいなぁ~」
「はぁ・・・」
その雑誌に出ているスクールアイドルたちの衣装を見て、とろけたような顔をしていることり。そう言えば、ことりは昔から何かを作ることが好きだったんですよね。しかし、ここまで食いつくなんて・・・
「ことりちゃんだったら作れるよ!」
「穂乃果ちゃん?」
「ことりちゃんは昔から手先が器用だし、人形やその衣装だって作って来たんだもん。ことりちゃんだったらこの雑誌に出ている衣装よりももっとかわいいものが作れるよ!」
「本当!ありがとう穂乃果ちゃん!」
「うん!そうだ、ことりちゃんがスクールアイドルをやってくれれば、衣装は作り放題だし、着せ放題だと思うよ!!」
「作り放題・・・着せ放題・・・ほへ~」
「こ、ことり?」
「うん!私もスクールアイドルやる!」
「ありがと~ことりちゃん!!」
「え、えぇ・・・」
「海未ちゃんもやろうよ!」
「海未ちゃんやろう!」
えぇ・・・どうしたことでしょう・・・ことりがあっさり引き受けてしまうなんて・・・
はぁ・・・私はどうすればよいのでしょう・・・
―
――
―――
――――
その後も放課後の今に至るまで穂乃果とことりは私にスクールアイドルをやろうと誘ってくるのですが、私は嫌です!だって、だって・・・あ、あんな短いスカートや布が薄い衣服を着るのですよ!そして、ひ、人前で歌って踊る・・・いやいやいやいや・・・考えただけでもだめです!恥ずかしいです!破廉恥です!!!
・・・はぁ、しかしどうすればいいのでしょう・・・このことを誰に話したらよいのでしょうか・・・
「あっ・・・!」
そうでした。忘れていました。穂乃果たちの話がとてつもなく強烈だったためにずっと忘れていました。
そして、カバンから携帯を取り出し、電話をかけました。
(TLLLLLLLL TLLLLLLLLLLL・・・ガチャ)
『はい、もしもし?』
「あっ、蒼一ですか。今、時間はよろしいですか?」
『ん?海未か。今なら問題ないぞ?』
「そうですか、実はですね、今日穂乃果から相談を受けまして」
『あぁ』
「私にスクールアイドルにならないかって誘ってくるのですよ」
『あー・・・そうきたんだ・・・まぁ、なんとなく予想していたがやっぱりか・・・』
「蒼一は知っていたのですか?」
『あぁ、朝早くに穂乃果から連絡が着て、いきなりスクールアイドルをやるって言いだしてな、まだ思いつき始めたばかりだったんだろう。話を聞いていると所々で、ん?と思うところがあったな』
「そうだったのですか・・・では、蒼一は穂乃果がスクールアイドルをやることにどう考えているのですか?」
『・・・・そうだな・・・正直言って、とても難しいことだと思っている・・・タイムリミットがそんなに無い中で人気のあるスクールアイドル達と互角程度になるまでの歌と踊りを作り上げ、尚且つ、人気もなければならない。並大抵な努力では決して出来る話ではないと考えている』
「やはりそうですか、では、蒼一はこの考えには反対しているのですか?」
『いいや、そうじゃない。むしろ逆に賛成するし、応援もするさ』
「えっ?どうしてですか?」
『確かに、並大抵な努力なしには達成することができない内容だってことは分かっている。けど、アイツが今までやろうと言ってきたことに対して、俺は一度も後悔したことは無かった。むしろ、楽しかった。まぁ、とんでもない無茶ぶりでいろいろと振り回されることはあったが、アイツとお前、ことりに明弘、俺達の5人が一緒にやってきたことは俺にとって最高の時間だったと思っている。今アイツがやろうとしていることも、また、俺にそんな時間をくれると信じているのさ』
「最高の・・・時間・・・」
その一言が私の心に突き刺さりました。
伝統ある由緒正しき園田の家元に生まれた私は、幼い頃から日本舞踊をはじめ、剣道に弓道、薙刀に古武術・・・私が持つほとんどの時間がそれらの稽古に費やされていました。日々精進してゆくことで自分の技が磨かれ、その姿を両親に見せ、褒められてもらうことが幼かった私にとって何よりもうれしいことでした。
ですが・・・そんな生活を送っていく中で、私の中で何かが違うという思いがふつふつとわき上がっていました・・・私と同い年の子と比べて、みんなは楽しく笑って一緒に遊んでいるのに、私ひとりだけただひたすら稽古をしている・・・そんなことを思い続け、胸が苦しく、張り裂けそうになった日が何度もありました・・・
・・・暗闇で覆われたように、私の目の前は真っ暗でした・・・
・・・・わたしは・・・・ひとり・・・・・
・・・だれともいっしょになれず・・・まいにちをすごす・・・・・
・・・・たのしくない・・・・
・・・それが・・・わたしの・・・・まいにち・・・・
・・・・そう思っていました
― ねぇ!わたしたちといっしょにあそばない?
その太陽のような眩しい笑顔を私に向け、手を指し延ばしてくれたのは・・・穂乃果でした。
ずっと・・・ずっと待ち望んでいたその手を私に向けてくれた・・・
この時ほど、うれしい気持ちになったのは初めてでした。
私はその手を取り、穂乃果が見せてくれるあらゆることを私は見ました・・・・
これが、私の望んでいた世界・・・
友達がいるというとても充実した生活を私はやっと送ることができたのです。
それが・・・私の最高の時間・・・!!!
『・・・・おい、海未!』
「はっ、はい!なんですか?」
『なんですかじゃないよ、どうしたんだ、急に黙り込んで?』
「あっ・・・いえ、なんでもありません」
『ん?そうか・・・それで、お前はどうするんだ?』
「えっ?」
『お前は穂乃果たちからの誘いを受けるのか?』
「私は・・・・」
私の答えはもうすでに決まっていたようですね。
私の答えは・・・・
「私は・・・穂乃果たちと一緒にやります!」
穂乃果がいるその先にはきっと・・・・
―
――
―――
『それでなんだが、穂乃果に、この後お前の家に行くぞって伝えてくれないか?』
「いいですけど・・・どうしてですか?」
『あぁ、それはだな。俺と明弘がお前たちをサポートするためさ!』
「えええ!!なんですかそれは!!!私は初めて聞きましたよ!!!」
『安心しろ、ついさっき考えついたから穂乃果たちにも言ってない!』
「安心できるわけ無いじゃないですか!!!」
『まあまあ落ち着けって、一応、穂乃果には何か考えついたらサポートしてやるみたいなことは言ったんだがなぁ・・・』
「・・・それも初めて聞きました・・・」
『あー・・・伝わって無かったか・・・まあいい、お前もこの後、穂乃果の家に行くんだろ?』
「まあ、一緒にやるということを報告しなければなりませんからね、ことりと一緒に行くことにします」
『そりゃよかった。今後どうするのかについて考えていたからな、一気に話せた方が俺にとってもお前たちにとっても都合がいいだろう?』
「それはそうですけど・・・しかし、蒼一たちはどうやって私たちを支えるつもりなんですか?」
『ん~そこなんだよなぁ・・・歌と踊り、基礎練習などを教えることはできるが、練習場所がこの周辺にはないからなぁ・・・』
「そうですよね、うちの学校でやりたいという考えはあるのですが・・・女子校ですからね・・・」
『だよなぁ・・・なあ、ことりのお母さんにダメ押しでもいいから頼んでみてくれないか?』
「理事長にですか!さすがにそれは・・・」
『まあ、それはことりに言ってくれ。まずは、話し合うことから始めようぜ』
「わかりました。穂乃果たちにそう伝えておきます。蒼一も早く来てくださいね」
『おう!わかった。そんじゃ後でな』
「はい!」
(ピッ!)
「ふぅ・・・」
蒼一と話したことで自分の中にあった悩みが無くなった気がします。
しかし、今思い返すと、あぁ・・・私にアイドルが務まるのでしょうか?
あの雑誌にあったあんな衣装を着て、歌って踊れるのでしょうか?
・・・はあ、考えれば考えるほど後悔したくなっちゃいます・・・
でも、どうにかなるでしょう。
穂乃果がいますし、それに・・・・
― よう!おれは、むなかたそういち!きみは?
蒼一、あなたがいますから・・・
― わたしは・・・うみ・・・そのだうみ!
― うみ!きょうからおれのともだちだ!
― ・・・うん!
私を導いてくれたその強い手を、私は忘れませんよ。
こんにちわッス!!
試験もレポートの提出期限もいろいろと差し迫っている中で、テンション高めに書いております。・・・・ほんと、何やってんだよ!!
今回の海未ちゃん視点での話で悩んだのは、心に秘めていることかな?
口調とか、考え方というのは、アニメや公式書籍を参考にしているので、PON☆と出てくるのですが、心に秘めていることはどうも納得がいかないことがありまして、ここだけに、時間を割いて何通りかを思考していました。
それで納得しているのが、こうしたような感じです。
悪くはない・・・ですよね?・・・・
それと、来週から投稿ペースを上げてみようと思います。
ん?なぜ今になって上げるのかって?
・・・詳細は、活動報告で!!
今回の名曲は、
PCゲームからPS系列の移植版を経てアニメ化を実現することができた、名ブランドkeyからの使者、『リトルバスターズ!』から
Rita/『Little Busters!(オリジナル版)』
更新速度は早い方が助かりますか?
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ちょうどいい
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もっと早くっ!
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遅くても問題ない