第5話です。
<前回までのあらすじ!!!>
生き倒れ寸前だった蒼一を救った女神・東條希!
ありがてぇ・・・ありがてぇ・・・
そんな彼女から音ノ木坂学園の状況を伝えられる。
また、彼女の胸の内に秘められていた思いを蒼一は知る。
「『大切な思い出の場所』か・・・こりゃあ、責任重大かもしれないな・・・・」
蒼一はそんなことを思いながら帰路に向かうその頃、老舗の和菓子屋の2階で穂乃果は悩んでいた。
―
――
―――
――――
「う~~~~~ん~~~~~~・・・・」
穂乃果は悩んでいた。
蒼一から言われた、自分で考えるようにということで、蒼一に連絡して以降ずっと海未とことりの三人でいろいろ考えたが、いい案が出てくることは無かった。
そのため、今日は帰って明日また考えることにするということとになり、現在、穂乃果は自宅である老舗和菓子店・ほむらの2階にある自室でベッドに寝そべりながら考えていた。
「・・・ん~~~~~~・・・・あああ、もう!どうすればいいかわかんないよー!!!!」
蒼君には自分で考えてみるって言いきっちゃったけど、私の頭の中にはいい考えが何にも思いつかないよ!ふえぇぇぇ・・・・どうしよう・・・このままじゃ、何も思いつかないまま明日の朝を迎えちゃうよー!
ん~~~~・・・・・・
「よし!こうしてても何も浮かばないから何か食べに行こう!」
疲れた時とか、考え事をするときにはやっぱり甘いものは大事だよね!!
お菓子を食べるとなんだが元気が出てくるもんね!
そうと決まれば早く行かなくっちゃ!!!
穂乃果は大急ぎで階段を下り、茶の間に来て、戸棚に隠しておいたイチゴ大福を手に取り、
そのまま口に入れた。
「んー!おーいしいー!!!」
あ~幸せだなぁ。大福はそんなに好きじゃないのにイチゴを入れただけでどうしてこんなにおいしくなるのかなぁ~。もう、やみつきだよ!!!
(もぐもぐ・・・)
そう考えながらそんなに大きくないイチゴ大福を大事に、大事に食べた。
「・・・ふぅ~おいしかった。さぁ~て、もう一度考えにいこー!!」
そう言って、茶の間を通り抜けて行こうとした時、テーブルの上にあったパンフレットに目がとまった。
「なんだろう・・・これ?」
手に取ってみると、そこに書いてあったのは、最近新しくできたあの『UTX学院』の文字が・・・
「これって・・・!」
穂乃果がそれを見て驚いていると玄関の戸が開く音がした。
「ただいま~」
帰ってきたのは私の妹・雪穂。私より二つ年下なんだけど、私とは違ってとっても真面目で勉強もできるいい子なんだよ!でも、最近私に冷たいところがあるんだよね・・・・私は悲しいよ・・・・
「お帰りぃ~雪穂」
「ああ、お姉ちゃんいたんだ」
うう・・・ねっ?私になぜか冷たいでしょ?お姉ちゃんは雪穂の将来が心配だよ・・・・
「・・・あっ、それ私の!」
「えっ?」
そう言って、雪穂が指をさしたのは、私が持っているこのUTX学院のパンフレット・・・・えっ!?
ええええええええええ!?
「も、もしかして・・・雪穂はUTX学院に入学するつもりなの!!!」
「えっ!?う、うん。そのつもりだけど・・・・」
えええええええええええええええええ!?
はうぅぅぅぅ・・・・お姉ちゃんは悲しいよ・・・・雪穂は・・・雪穂だけはうちの学校に来るんだって、思ってたのに・・・・
「どうしてなの、雪穂!どうして、音ノ木坂を受験しないのー!!」
「だ、だって、あそこ廃校になるんでしょ?もう、そのうわさが飛び交っているんだよ」
「えっ!?もう、広まっているの!!?」
えええええええええ・・・・そんなぁ・・・そんなうわさが広まっちゃったら、来年度の入学希望者が本当に0になっちゃうよ!!
ああ・・・どうすればいいんだろう・・・・
ティン!
その時!穂乃果の脳裏にある閃きが走るッ!
はっ・・・!そうだ、UTXに行ってみたら何かいい考えが思いつくんじゃないかなぁ!
うん!そうしよう!
「雪穂!これ借りてくね!」
「ええっ!?」
「大丈夫、明日にはちゃんと返すから!」
UTXのパンフを手に穂乃果はそのまま自分の部屋に行き、明日に向けて準備を進め始めた。
「先に海未たちに連絡しておかないと・・・あっ、でもUTXの話をしたら何か言われそうだなぁ・・・うーん・・・その話はしないで先に学校に行ってて、と伝えておこうかな!」
携帯を取り出し、ことりに連絡し始める。
「もしもし、ことりちゃん?あのね・・・・」
―
――
―――
――――
「行ってきまーす!」
ふわぁぁ・・・いつもよりも早く起きちゃったからまだ少し眠いや・・・
はっ!だめだめ!こんなところで眠っちゃだめだよ!
今日はUTXに行くって決めたんだもん!そのために早く起きたんだから!
ガンバレ私!今日も一日、ファイトだよ!!!
うちからUTXまではそんなに遠くは無いんだよね。距離的には、音ノ木坂と変わらないくらいかな?そういえば、駅の近くにあるって書いてあるけど、どれなんだろう?
パンフレットに書かれてある建物って、校舎なのかなぁ?ということは、あれかな?
・・・って、なにこれ!?
その校舎は確かに駅の近くに存在した。
だが、それは穂乃果が想像していた学校像とは全く異なるものだった。
これが学校なの?何かの会社のビルじゃないの?これが学校だなんて信じられない!
そう圧倒されていると、外に設置されてあるライブモニターに向かって大きな歓声が飛び交っていた。
えっ!?なになに?何が始まるの?
そう思って、モニターを見てみると、
ここの学校の生徒らしき3人の女の子が歌と踊りを披露していた。
―滑らかでありながらも力強い優雅な動き
―3人からこぼれ出る余裕と美しさを持った笑み
―相手を魅了してしまう耳に突き刺さるような甘い声
―そして、彼女たちからあふれ出る圧倒的なカリスマ性
―それらがここに集まる観客を惹き付け熱狂させているのだ。
「!!!」
声に出なかった、あの人たちのすごさ表現する言葉が見つからないよ・・・
すごい・・・すごいよ・・・!もう、興奮しちゃったよ!
あの人たちのためだけにこんなに人が集まるなんて!すごいよ!!
かわいいし、かっこいいし、きれいだし・・・・・・うん、これだよ!
私がやりたいと思っていることはこういったことだよ!!!
「あの人たちはなんて言うのかなぁ・・・?」
穂乃果は手元にあるパンフレットを開いて彼女たちのことを調べた。
「えっと・・・あった!名前は・・・あ・・・あらいず・・・?」
彼女たちは『A-RISE』。UTX学院で結成されたスクールアイドルであり、全国各地に存在するスクールアイドルの中でもトップクラスにあるグループである。因みに、スクールアイドルは学校生活を送りながらアマチュアで活動するアイドルのことである。最近では、若者を中心に人気があり、学校の宣伝として活動しているグループも少なくないという。
「スクールアイドル・・・・これなら、廃校にならずに済むかもしれない!!」
今、私の中にびびって来たよ!うちの学校でもスクールアイドルを結成して、ライブとかやって人気が出れば、入学希望者が出るんじゃないかなぁ!?そうすれば、廃校にならずに済むよ!!
うん!きっとそうなるに違いないよ!!!
早く、海未ちゃんたちに相談しないと!!
そうだ!まず、蒼君に連絡しておこう!!
「えっと・・・蒼君の番号は・・・あった!」
(TLLLLLLLLLL、TLLLLLLL・・・ガチャ)
『は~い・・・もしも~し?』
「あ!蒼君!聞いてよ聞いてよ!!私ね、今とっっってもいい考えを思いついちゃったんだよ!!!」
『えっ?ん?あ、ああ、あれね・・・んで、その考えってのはなんだ?』
「うん!それはね・・・スクールアイドルだよ!!!」
『・・・・はい?』
「蒼君知らないの?今の時代はスクールアイドルなんだよ!!スクールアイドルやって、ライブをやって、そして、人気が出て!!そしたら、入学希望者が沢山増えると思うんだ!!いい考えだとは思わない!?」
『・・・いや、スクールアイドルは知ってるし、今人気があるってことも知っているさ・・・悪い考えではないんだがな・・・』
「でしょでしょ!!だったら、今すぐにでもグループを結成して、人気を出さないと・・・」
『待て、待て!気が早いぞ!第一、グループと言っても誰が入るんだよ?』
「・・・あっ!まだ決めてなかったや」
『はぁ・・・そういうのは決めてから考えるものだぜ・・・』
「えへへ・・・でも、海未ちゃんたちだったら一緒にやってくれると思うよ!」
『その根拠は一体どこから出るっていうんだ?』
「わかんない。でもそう感じてるんだ、海未ちゃんたちだったら私と一緒にやってくれるって!」
『理不尽だなぁ・・・海未、ことり・・・がんばれがんばれ・・・』
「それじゃ、海未ちゃんたちと話し合ってみるね!」
『おいおい!まだ話は・・・』(ぷつん・・・)
さて、蒼君には話したし、早速、海未ちゃんたちに話に行ってこよう!
穂乃果はその足でそのまま音ノ木坂に向かって走っていった。
「えーと、時間は・・・う、うわぁ!!!!あ、あともう少しで遅刻だあぁぁぁぁぁ!!!!急がないと!!!!」
そう言い、穂乃果は全力で走り抜けていった・・・・。
―
――
―――
――――
「おい!穂乃果!!!・・・ちっ、切れちまった・・・」
「・・・・」
アイドル・・・・・か・・・・・
大学で初めての講義が行われる朝の通学路で、明弘と話しながら歩いていた時にかかってきた
穂乃果からの電話の内容に俺の心は揺らいでいた。
それは懐かしくも辛く感じるものだった。
「ん?どうした蒼一?」
「ん、ああ・・・穂乃果からの電話だ・・・」
「ふ~ん。んで、なんて?」
「アイドル活動を始めようかって思っているようだ・・・」
「なっ!?」
常ににこやかだった明弘の表情がその一言で固まった。
コイツも思ったんだろう・・・俺が・・・俺たちが歩んできた道に何があったのかを・・・
どんな結果になってしまったのかを・・・
「・・・っ!」
治ったはずの左腕に一瞬、痛みが走った。
あの日からもういくつもの時が経ったというのに未だに痛みを感じるとは・・・
「まだ痛むのか?」
明弘が心配そうに言うが、俺は平気だ。
「ああ、問題ない」
そうは言うものの、すべてが問題ないというわけではない。
俺の内にはまだ癒えないものがある・・・
それは他人に治せるようなものじゃない・・・自分で治さないといけない・・・
乗り越えなければならない・・・・
・・・そのためには・・・・
「・・・明弘」
「なんだ?」
「俺・・・アイツのやろうとしていることを手伝うことに決めたよ・・・」
「!?・・・おい、それはどういうことか分かっているのか?」
「・・・ああ・・・」
「アイツがやろうとしていることは、俺たちがやってきたことと然程変わらないことなんだぞ!」
「・・・ああ・・・」
「下手したら、俺たちと同じようなことが起きることだって・・・」
「わかってる!!!」
明弘の言葉をさえぎるように俺は叫んだ。
「わかっているさ・・・そんなこと・・・」
「だったら・・・なぜなんだ?」
「・・・俺は俺自身と向き合わなければならないんだ・・・過去の俺と・・・。未だに、この左腕に痛みが走るのは、過去の俺があのことをずっと引きずったままなんだ・・・だから、この機会にもう一度向き合うことをしてみることにしたんだ・・・変われる、いや変わらないといけないんだ・・・もう、あの時の俺じゃないんだ・・・それに・・・」
「それに?なんだ?」
「アイツと約束したからな・・・全力でバックアップするってな・・・アイツに何が起ころうとも俺がなんとかしてやるって決めたんだ」
「・・・ったくよぉ、お前は昔から変わらねよなそういうところは・・・」
頭をかきむしりながら、呆れた顔を向けてくる。
わりぃと思っているさ・・・
けど、そうしないといけない気がするんだ・・・何故なのかはわからないけど・・・
「そういうことだ・・・穂乃果と今後のことについて話し合うことをするから、今日は講義が終わった後はひとりで帰ってくれ」
これは俺とアイツとの話だ。明弘には関係ないことだ・・・
「だが断る」
「えっ?」
どういうこっちゃ!何を言い出すんだコイツは!?
「その話、俺も乗らせてもらおうか!!」
「はあ!?」
なんだそりゃ!?まるで意味が分からんぞ!!!
「アイドル活動だろ?だったら、歌ったり踊ったりするはずだからよぉ、それを指導するヤツが必要だろ?そんなんならこの俺が踊りについてある程度指導してやろうって言ってんだ!ありがたく思えよ!!!」
まあ、確かにそう言ったことを指導するヤツは欲しいと思っていた。
だが、そのために明弘がやる必要はないじゃないか!
なぜそうしようとするんだ!?
「それによぉ・・・俺たちゃぁ一緒に過ごしてきた仲じゃねぇか。てめぇだけにそんな大きな荷物を持たせるわけにはいかんだろ。こういう時だからこそ協力が必要だろ!」
「明弘・・・!お前・・・」
ふっ、こういう時だけはかっこいいところ見せつけるじゃねぇか・・・全く、いい憎めねぇやつだぜ・・・
「・・・んじゃ、早速体力づくりの打ち合わせでも考えときますか!」
「んなっ!」
「指導をするには、まず自分ができなきゃいかんだろ。だから、そのために体力づくりをしねぇとな」
「・・・まじかよ・・・」
「そんじゃ、いくぞ!!!」
「・・・はぁ・・・」
全くふざけた野郎だ、
いい加減すぎだろ・・・全く!
だが、ありがとな・・・俺のために手伝ってくれること、感謝するぜ・・・!
さてと、俺ももう少し頑張るとしますか・・・・
〈ザー・・・ザッ!〉
ん?今、何か聴こえたような・・・気のせいか・・・
(次回へ続く)
どうもです。
本編中で穂乃果が思っていることと、作者視点の解説の違い見分けがつきましたか?
恥ずかしながら、自分が投稿する際に見返した時、どちらかわかりませんでした。(笑)
・・・致命的なんですけどね。
気付いているかもしれませんが、アニメから見れば、まだ一期の1話が終わってません!!
す、すまねぇ・・・俺の妄想が膨らみ過ぎてこんなに長々しいことになっちまった・・・
現段階まで作ったプロットでは、もうμ's(9人+2人)ができているところまで来たんですけどねぇ・・・本編を書くペースがねぇ、遅いの・・・
一応、一週間ペースで投稿しているのですが、もしかしたら、前回みたいに週の半ばに投稿するかも?
今回も蒼一たちの過去のことが出てきました。
はてさて、一体何があったのか・・・
そのことは、順々に話していければと思っております。
今回お届けする曲は
A-RISEが初登場(?)しましたので彼女たちの曲を紹介しましょう。
A-RISE/『Private Wars』
更新速度は早い方が助かりますか?
-
ちょうどいい
-
もっと早くっ!
-
遅くても問題ない