蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第51話





少~しも恥ずかしくないわ~♪

 

 

【プロローグ】

 

 

 

公園での話合いから幾日かが過ぎた。

 

 

 

穂乃果たちはこの期間、海未たちによってたっぷり絞りに絞られ、嫌とも言わせないような勉強時間を過ごしていた。

 

 

 

 

 

そして、試験もすべて終わり結果を待つ朝がやってきた。

 

 

俺の方も何とか考査を終わらせ、その結果を待っている。

 

 

 

だが、ただ待つと言うのはどうも俺の性に合わない。

 

 

 

「走るか……」

 

 

 

俺は日課としているランニングを始めるため、服を着替え直し、玄関の戸を開けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

「はぁ…………はぁ……………はぁ…………」

 

 

俺一人だけで走るのは久しぶりだ。

いつもならば、横に明弘や凛ちゃんが並んでもう少し早いペースで走っているところだ。だが、今はまだ活動停止期間中だ。アイツらにとってはいい休養期間となるだろう。

今はそっとしておくか。

 

 

 

アキバの街をぐるりと1周して、最後に男坂を登ってスパートをかける。これが俺の体力を高めさせてくれる最高のメニューだ。この角を曲がれば男坂はすぐそこだ、早く終わらせて飯の準備をしなければ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?誰かいるのか?」

 

 

 

角を曲がって視界に入ってきたのは、あの坂を上り下りしている人がいる光景だった。日がまだちゃんと昇っていない薄暗い中で、運動をしているのは誰なのだろうか?

近寄って、誰なのか確かめることにした。

 

 

穂乃果か?……それとも、凛ちゃんか?

 

そんな推測をしながら近寄ると、それが誰なのかがはっきりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「およ?蒼一やん、今日もここで走り込みするん?」

 

 

ジャージ姿の希がそこに立っていた。

 

 

 

「何をやっているんだ?」

「う~ん……そうやね、軽い運動みたいなもんかな?」

「こんなに朝早くからか?そんなもんは昼間にやればいいじゃないか。ん、もしやお前………」

「な、なんや蒼一………」

「お前…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……この期間に太ったんじゃねぇのか?」

 

 

「女の子に対して体重の話をするのはタブーやって言わんかったかなぁ~?そんな悪い子には、ワシワシMAXやでぇ~~~………」

「わ、ワシワシだとぉ!?や、やめろ……どこをどうする気だ!!?」

「さぁなぁ~~~どこかわからんでぇ~~~………覚悟するんやでぇ~~~~……………」

「三十六計逃げるに如かずよ!!!」

「まてぇぇぇぇぇ!!!!!!!蒼一ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」

「待たんんんんんんん!!!!!!!!!」

「まてぇぇぇぇぇぇ!!!!!その体おいてけぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「げぇ!!豊久!!?ならば、余計に逃げるしかないじゃないか!!!」

 

 

 

 

俺と希は男坂の階段を行ったり来たりと、何度も往復し、捕まらないように必死に走り回った。

 

 

 

朝っぱらから何をしているのやら……………

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「「はぁ…………はぁ…………はぁ……………」」

 

 

およそ5分間の死闘の後、双方ともに体力が底をついてしまい倒れてしまった。

 

 

くっ………アキバ1周なんてしなければ振りきれたものを…………

 

 

 

 

「しかし…………お前、いつの間にそんな体力をつけていたのか…………」

「てへへ………来るべき日のためや………準備はしておかんと…………」

 

 

来るべき日?………何だ、それは?

 

 

今の俺にはその意味を理解することは出来なかった。というか、疲れ過ぎて今は何も考えたくない………

 

 

 

日が少し出てきた時刻になり、俺はそのまま立ちあがって家に帰ろうと考えた。

 

 

 

「さて………一応、運動になったことだし、帰るとしますか…………」

 

 

 

 

だが……………

 

 

 

 

(ガシッ)

 

 

 

 

「へ?」

 

 

希に腕を掴まれて身動きが取れなくなった………

 

 

 

 

「蒼一ぃ~~~……ウチ、今めっちゃ動いたから汗がたくさん出てしもうたんよ………」

「へぇ~………早く家に帰ってシャワーでも浴びて流すんだな………」

「うん、せやから貸してくれへん?」

 

「はい???」

 

「せやから、蒼一ん家のシャワーを貸して」

「ナニヲイッテイルノカガワカラナイノデスガ?」

「貸してくれへんと…………ワシワシMAXの刑と海未ちゃんに今のこと話しちゃうでぇ~?」

「ダニィ!!?」

 

 

 

わ、ワシワシに海未の説教(折檻)のダブルパンチだとぉ!!!??

 

 

い、嫌だ………只でさえ、海未の説教は尋常じゃない長さでどれだけの精神力を持って行かれるのかわからないのに、ワシワシという得体も知れない技をかけてくるなんて………

 

 

 

 

……死ぬるッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくなる選択は…………………

 

 

 

【しょうがねぇ、貸してやんよ(意味深)】

【貸してやるが、俺も一緒に入るぞ(そのまんま)】

【ワシワシ☆(意味深・極)】

 

 

『蒼一、究極の選択に迫るッ!!!』(cv.立木)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくな選択肢がねぇえぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!!!!!!!!!!

つうか、うp主が久々に作品乱入してきやがった!!

これはどう見ても、うp主の願望MAXじゃねぇか!!(意味深)って、なんだよ!!運営からの規制が来てしまうじゃないか!!まだ、タグに【R‐15】すら入れていない健全な作品だぞ!!それを一気に飛び越えて、【R‐18】にする気か!!!

 

 

 

 

 

『女の子と一緒に居たいと思うのは、男の願望やで……(キラン☆)』

 

 

 

かっこよく言っても意味ないからな!!!欲望が抑えられず、シャングリラを目指そうとしているスタイルだよ、これ!!!

ええい!!!俺の選択肢は…………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「しょうがねぇ……肉体的ダメージをこれ以上増やしたくないからな………貸してやるよ」

「ホンマ!!ちょっとまってて、着替え取りに行って来るわ!!!!」

 

 

希は猛ダッシュで境内に入ってゆき、更衣室の自分のロッカーから着替えを持ってきた。

はぇよ、希……疲れていたんじゃないのかよ…………

 

 

 

「さぁ!れっつごー!!!!!!」

「えっ?ちょ、待てよ!!!」

 

 

 

俺の腕を掴み先に進んでいく希。待ってくれ、この体制はバランスが……!!

あれ、これは前にもあったような…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

 

[ 宗方邸 ]

 

 

 

 

(ジャァァァァァァァァ……………)

 

 

「~~~♪~~~~~♪」

 

 

鼻歌なんか流して御機嫌がよろしいようですなぁ………

 

 

希が家に連れて来て、風呂場の場所を案内したらすぐに入りたいと言って、現在のような状況である。着替えはちゃんと畳んで俺が指定した場所に置かれているが、着ていたジャージはそのまま放り投げた状態に…………だらしねぇな…………

 

 

さすがに、下着までは放られていなかったので安心はしているが、もししていたら本当にだらしないヤツだよ………

 

 

 

 

 

 

「蒼一ぃ~、シャンプーのボトルってどっち?」

「青いボトルの方だ。黄色がリンス、緑がボディーシャンプーだ」

「おおきになぁ~♪」

 

 

 

いかんいかん、脱衣所に長居してはいけないな。居たら希に何か言われそうだし、それよりも………………うp主の熱い視線が気になる……………

 

 

 

 

『蒼一、なぜそこで行かないのだ?男ならば当然、倍プッシュだろう?』

「倍プッシュって何?何をプッシュするんだよ!?」

『欲望を抑えていた壁をプッシュでブチ壊し、さあ、ありのままの欲望を晒すのだ!!!』

「できるか!!そんなことぉ!!!!!!!」

『ありのぉ~~ままのぉ~~~♪姿(欲望)を晒すのよぉ~~~~~♪』

「やめろぉー!!!それ以上の愚行は許さないぞ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼一、誰と話とるん?」

 

「いや、何でもない。何でもないんだ………」

 

 

 

あ、あぶねぇ……うp主の話を聞かれていたら、海未の折檻どころの問題じゃなくなりそうだったぜ………おのれ、うp主めぇ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼一、ちょっとええか?」

 

 

希が急に話を持ちかけてきた。何だろうか?

 

 

 

 

「実はな、蒼一にお願いしたいことがあるんよ」

「何だ?」

「それはな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………えりちを助けてほしいんよ」

 

「なに?絢瀬がいったいどうかしたのか?」

「蒼一は昔のえりちを見とるからいろいろと分かるところがあるんやと思うんやろうけど、ここ最近のえりちの変化は知らんやろ?」

「あ、ああ……確かに、俺はここ3年間のことは何も知らない。何故、絢瀬があんな状態になったのか俺には理解が出来ない…………何か知っているのか?」

「知っとるで……だって、ウチは高校に入った時からのえりちの親友なんやもん」

「だったら教えてくれ。アイツに何があったのか………何がアイツを変えてしまったのかを!!」

「そうやね………それじゃあ、話すで……ウチとえりちが出会って今日までの日々を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

 

――2年前の春、

 

 

 

希は音ノ木坂学院に入学することになった。

親の反対を押し切って、1人暮らしをすることを条件にこの学校に入学したのだ。転勤族だった希にとって、友達と呼べる存在はこの学校には居なかった。唯一の話相手は、この俺だけだったそうだ。入学の数日間はまだ馴染めず、浮いていた存在だったので、ちょくちょくメールのやり取りをして気を紛らわしていたそうだ。

 

 

 

そんなある日………

 

 

 

 

 

『東條 希さんね?』

 

 

希に話をかけてくる女の子が現れたそうだ。そう、その子こそ絢瀬 絵里だったのだ。

 

 

人付き合いがよく、明るく話す性格だったのだが、絢瀬自身がロシア人とのクォーターだった故に、学校内で浮いた存在となっていた。同じ浮いた者同士、互いに引かれ合ったのだろう、これをきっかけに絢瀬と希は友となり、親友となっていったのだった。

 

 

 

 

 

 

……が、絢瀬に最初の変化が訪れたのは1年生の秋頃、ちょうど、2学期が始まる頃に音ノ木坂に廃校の噂が立ち始めた頃だ。まだ、確定されたことでは無かったので、希は気にも留めなかった。だが、絢瀬はその噂を耳にした時、硬直したそうだ。希はその時の様子をこう言っていた………

 

 

 

………体は真っ直ぐに立っていたが、今にも倒れそうだった。目は光を失って動揺しており、体のあらゆる部位から汗が滝のように出て着ていた服を濡らしてしまっていたという。

 

 

 

その日を境に絢瀬は変わっていったそうだ。

 

 

生徒会の役員に立候補して、廃校にしないためにはどうすればよいのか考え続けていたと言う。希もその後ろを追うように役員になり絢瀬を支えていた。それからというもの、絢瀬は次第にストイックな性格に変わってゆき、学院のために何とかしなければと奔走していたという。生徒会長になってからは、その性格がさらに強くなり、周囲の生徒に自分の考えを押し付けるようになっていったそうだ。当然、生徒はそれに賛同はしなかった。中には、絢瀬に恨みを抱いている生徒もいるくらいだと言う。

 

 

 

 

 

希は次第に、変わっていく親友の姿をただ悲しくなっていったという。

 

 

 

 

 

 

そして、今年度の最初のあの発表で絢瀬は完全に心を閉ざしたと言う。

 

 

 

絢瀬の中には自我というものが忍し隠れてしまい、学院のために……学院のために………と言って、今日まで活動してきたというのだ。いずみさんに見せていたあの企画書も学院のためと思って作成したものらしいのだが、過去10近くの企画すべてが却下されたそうだ。そのすべての理由は、同じだった。

 

 

 

『個人の考えで作られたものを認めるわけにはいかない』

 

 

 

………だそうだ。

 

 

 

 

 

だが、今の絢瀬にはもうそれを修正することができる体力も気力も無かった。すでに、絢瀬自身が壊れかかっており、同じような企画を立て続けで作成して提出していたと言うのだ。この前に提出していたあの企画もそうだったという、だから、いずみさんはあんなことを言っていたのだ。

 

 

 

 

 

そして、今日に至ると言う話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「お願いや蒼一、えりちを………えりちを助けてくれへんか………?」

 

 

鼻をすすったような声が浴室の方から響いてきた。

 

 

そうか………アイツが変わったのはそんな時からだったのか………すべては、音ノ木坂の廃校が絢瀬を苦しめていたというのか………

 

 

 

 

 

 

「希、具体的にどうしろと言うんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼一、えりちをμ’sに入れてあげて」

 

 

「んな?!正気なのか!?」

「至って正気やで。それにえりち1人だけってわけじゃないし」

「それって……まさか……!」

「そうやで、その時はウチも一緒に入る。その足掛かりを頼みたいんや」

 

 

 

希が走り込んで体力をつけていたのはそう言うことだったからか!

だとすると、希は最初からそのつもりであの名前を俺たちに与えてくれたと言うのか!?

 

 

ふっ、スピリチュアルな話だな……

 

 

 

 

 

「わかった、何とかしてみる。絢瀬の身体能力が高いのは重々承知しているつもりだ。なんせ、アイツはバレエをやっているからな」

「そのことなんやけど………蒼一、えりちはもうバレエをやっとらんのよ」

「なっ!!どういうことだ!?」

「理由はウチにもわからん……けど、高校に入学した時にはもう……」

「………そうだったか………俺はいいとして、アイツらを説得させるには絢瀬のバレエをやっている姿を見せたいと思っていたんだが……当の本人があれでは無理か………」

 

 

正直言えば、穂乃果はいいとして、海未たちを説得するには絢瀬の実力を見せつける必要があった。絢瀬と言う存在が自分たちにどんな影響を与えるのかを知ってもらいたかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えりちのバレエの映像なら持っとるよ」

「ホントか!それを是非とも貸してくれないか!!」

「ええよ、ウチの携帯の中にデータとして入っとるから後で渡すなぁ~」

 

 

 

よし、そうと決まれば早速行動に出るとするか。ちょうど今日が活動が再開されることになっているからな、このタイミングで話ができれば上々ってとこかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼一……もう、出てもええかなぁ?」

「ん?あっ!!わ、わりぃ、すぐに出ていくわ!!!」

 

 

そうだった、希はシャワーを浴びていて裸の状態だってことを忘れていた!

やべぇ、こんなところでラッキースケベになってたまるかっての!!

 

 

 

「そうだ、希は朝飯は食ったか?」

「ん?いいや、まだ食べとらんけど?」

「それじゃあ、一緒に食べるか?今からちゃちゃっと作ることになっちまうから、多分、焼肉になっちまうけどいいか?」

「焼肉!!!ええなそれ!!!!!」(バンッ!)

 

 

 

焼肉という単語を聞いた瞬間、浴室の扉を開いて反応した。

 

 

 

 

 

 

「「あっ………」」

 

 

 

 

うん、つまりだな……………避けられなかったのさ……ラッキースケベ的展開を………

 

 

 

 

 

 

「希ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!服ぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!」

 

 

 

しょうが無かったので、そこら辺に置いておいたバスタオルを投げつけてその場を立ち去った。

 

 

 

 

「あかん………少し見てしまったかも…………」

 

 

 

 

朝から刺激的なものを見せやがって………うp主めぇぇぇぇ……………

 

 

 

 

 

 

(次回へ続く)

 

 

 

 

 






どうも、連続投稿で疲れていると思いきや、ツイ企画当選とセガグッズが届いたことでハイテンション状態になっております、うp主です☆


やったぁ!!!俺のID入りのバッチがこれで2つ目だ!!スピリチュアルすぎるぜ!



さて、絢瀬編第5話です。
タイトルがアレなのに後半が少しシリアス気味ですw


この作品における場合の絢瀬の過去のことを書いてみました。
アニメでも、KKEな絢瀬がどうしてあんな感じになってたんだろう?って思うと、やはり過去に何かあるんじゃないの?って思うのです。


そんなエリチカさん、もっと暗いお人になりそうな予感………



P.S.
男に生まれたからには、欲望というか、願望みたいなのは抱いてもいいよね?



次回もがんばります!!



今回の曲は、



ありのぉ~♪




……が、出ると思ったな?


それは幻だ。



TVアニメ『ToLOVEる-とらぶる-』より


THYME/『forever we can make it!』


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