【プロローグ】
「明弘くんありがとなぁ~、おかげでええのができたわ~♪」
「へっへっへ、この俺に任せればこんなもん、ちょちょいのちょいだぜ!!」
希は明弘によって編集された学校のPVを見て、満足そうな顔をして明弘にお礼をしていた。
確かに、このPVの完成度は非常に高い。明弘と希の解釈で音ノ木坂のいいところがより際だって見えるようになったのは大きな成果だと言える。それに、μ’sのこともちゃんと取り上げられているため、こうしたことで知名度を高めていくことができるという二段構えができている。
そして、この後にライブを行えば………
廃校阻止への布石を敷くことができると言うわけだ。
ふっふっふ………おもしろくなってきたじゃないか…………
「なあ、ずっと気になとるんやけど…」
希が唐突に俺たちに話しかけてきた。
何か、疑問に思うことがあったのだろうか?
「なんで、μ’sのリーダーは穂乃果ちゃんなんや?」
「え?」
「あっ……」
俺と明弘は顔を見合わせて、今まで何の疑問も抱かずにいたことについて、あらためて考えなければならないことだな、と察し合った。
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――
―――
――――
「これは由々しき事態ね……」
「今更感がハンパないのだが、何故に穂乃果がリーダーなのかが分からん…」
俺たちは早速メンバーを招集し、今後の方針についての会議を開くこととなった。
そもそも、俺はμ’sを立ち上げた時はリーダーが誰かなんてことをまったく決めていなかったのだが、今日に至るまで、メンバー内でなんやかんやあったようで、次第に穂乃果がリーダー的な存在になっていたらしい……
……って、そのなんやかんやってなんだよ!そこが重要じゃないの!?
「今回の事ではっきりしたことは……穂乃果にはリーダーの気質が無いということよ!」
ザックリとした意見をにこは言い放った。
そのことに関しては、俺もそうだが、明弘も真姫も賛同した。なんせ、μ’sの活動自体はほとんど俺や明弘、ことり、海未、真姫によって回っている。その中で、穂乃果は何をやっていただろうか?
飯食って、昼寝して、ゲームして、飯食って、テレビ見て、おやつ食べて、他のスクールアイドルの動画を見て、飯食って、漫画読んで、音楽を聴いて、ことり達と話して、寝る!!!
「お分かりいただけただろうか?これが、高坂 穂乃果の一日(休日版)である」
「ちょっとぉ!!休みの日でもちゃんとトレーニングはしているよ!!」
「それを抜いたらこれだぞ!?いくらなんでも、これは酷い!!」
「そんなことは!……」
「酷過ぎだぜ…」
「酷いです」
「あはは…」
「もう少し、外に出なさいよ…」
「食べて寝るのはちょっと…」
「だらけすぎだにゃ」
「ありえないわね」
「満場一致で、穂乃果の生活習慣が悪習であるとなりました」
「ふえぇぇぇぇんんん!!!!」
予想通り、全員が口をそろえて酷いということになった。どこぞのウラジミールみたいな生活をしていくと、本当にウラジミールになるからな?あんなブクブクな体になっちまうぞ~~
「…っと、穂乃果の悪習は後日考えるとして……さて、これをどうする?」
「私にいい考えがあるわ」
「はい、にこ。キミに決めた!」
「ポケモンじゃないわよ!!……こほん、リーダーになる人って言うのは、ある条件を満たす人でなければならないのよ……それは………」
「「「「「「「「それは?………」」」」」」」」
「それは………!!」
にこはホワイトボードの面をひっくり返して、あらかじめ用意したんだろうと思われる書いた文をみんなに見せた。
「リーダーとはッ!まず第一に、誰よりも熱い情熱を持って、みんなを引っ張っていけること。次に、精神的手中になれるほどの懐の大きさを持った人間であること。そして何よりッ!!メンバーから尊敬される存在であることよ!!!」
「なるほど、これこそリーダーにふさわしい条件であるな…さすがだ、にこ。いいセンスだ」
「そ、そんなに褒めても何も出ないわよ~~~」
「んで、それに当てはまる人物ってのは?」
「そう…その人物とはッ!!!」
「宗方先輩じゃないかにゃ?」
「なんでやねん!!!」
凛ちゃん?!何故に俺を引っ張りだしたのさ!!
「ちょい待ちよ、凛ちゃん。今はキミら生徒間でのリーダーの話なんだぜ?もし俺がリーダーになったらキミらと一緒にライブをやることになるんだぜ?」
「それはやってみたいかも!」
「おい、穂乃果。俺は言ったよな?ライブとかやるのはお前らで、俺はバックアップするって言ったよな?俺が出ていい訳がないだろ?」
「そっかぁ、だめかぁ~…」
だめかぁ~…じゃないよ!俺がお前と約束したことをもう忘れたのかよ!!いくら40話くらいの間隔が空いているからって、そう簡単に忘れるもんじゃないだろ?
「ともかく!ここはみんなの実力を見て判断するしかないわね!」
「実力?……にこちゃん、何をするの?」
「決まってるじゃない…………」
自信満々に話を進めていくにこには、何やら秘策があるようだな。
てか、自分がやりたいなら素直にやりたいと言えばいいのに……
……あっ、自分が言ったあの条件に何一つ当てはまってないか……そりゃあ、だめだな……
―
――
―――
――――
「…ということで、始まりました!第1回、μ’sカラオケ大会ィィィ!!!!」
「「「「イェ―――――イ!!!!!」」」」
穂乃果、にこ、ことり、凛が明弘の呼びかけに激しく答えている一方で、海未、真姫、花陽は、もじもじしていたり、めんどくさそうな感じを出して座っていた。
俺の心境?ああ、もちろん後者の方だ。だが、これはここにいるメンバーの現状の実力を知る上ではいい機会かもしれない。ちゃんと、聴いておかないとな。
「それでは、各自の十八番を入れて歌う準備に入ってぇぇぇくださ~い!!」
「それじゃあ、まずは私から行くわよ!」
マイクを手に取り立ちあがったのは、この企画の主催者である、にこだ。
さて、見せてもらおうか……世界のYAZAWAの実力というモノを!
「私が歌うのは…この曲よ!!」
にこが入れた曲とは………
むっ!!松浦 亜弥の『桃色片想い』ではないか!
さすがだ、にこ!ここに来て、アイドルソングをチョイスするとは…出来る!
「矢澤 にこ選手…………94点んんんんん!!!!!!!!!」
「よっしっ!!!」
ほぉぉぉ……これはなかなかいい感じじゃないの!あのウザいくらいのブリっ子っぷりを魅せつけるとは……にこ、恐ろしい子!!
「にこちゃん、かわいい~~!!!」
「さすが、にこ先輩だにゃ~!!」
「参考になります!!!(メモメモ」
メンバーからの好感もいい感じじゃないの?そして、花陽ちゃんは本当にブレないな!
「そんじゃあ、ドンドン行っちゃってぇ~~~~!!!!」
「次は、私だね!」
穂乃果が立ちあがり、準備し始めた。
穂乃果の選曲は、水樹奈々の『POP MASTER』だ。
とてもノリがよい曲で、よく穂乃果が口ずさむほど大好きな曲だと言っている。だが、穂乃果自身はこの歌の歌手の事をあまり知らないらしい。調べることをめんどくさがっているのか、単に、この曲しか知らないのか、その辺は疑問だった。
「高坂 穂乃果選手…………92点んんんんんんん!!!!!!」
「やったー!!!90点以上だよっ!!!」
おお!穂乃果が90点以上を叩きだすなんて、やるじゃないか!!
元々、声の質も悪くなかったし、何より声量があったのが最初の段階で分かっていた。音程を何とかしてやれば間違いなく光るだろうと考えていたので、こうやって結果が出てくれたのは嬉しく思っている。
「次、いきまーす♪」
3番目はことりだ。
ことりの選曲は、大塚 愛の『さくらんぼ』だ。
ことり曰く、この曲の最後の方にある〔もう一回!!〕というフレーズを気に入っているようだ。しかし、あの脳を直接攻撃するようなあの声で言われると、世の男性共は悶絶してしまうのではなかろうか?
「み、南 ことり選手…………90点んんんんん!!!!!!!!!」
「あはは、危なかったぁ~~」
こ、ことり………今、めっちゃ危なかったのは、俺と明弘だったから………くそっ!頭が……!理性がぶっ飛んでしまう………!!!!……はぁ……はぁ…………あれはマズイ……精神攻撃は卑怯すぎる!!以前に聞いた時よりもはるかにレベルアップしていやがるッ!……一体、どんな練習をしたらそんな声が出るんだよ………
「では…次、参ります!」
4番目は海未だ。
海未の選曲は、米倉千尋の『嵐の中で輝いて』だ。
これは俺が以前、海未に貸したCDの中にあった曲の1つで、それまで演歌しか聴かなかった海未にとってのターニングポイントとなった曲だ。初めて聴かせた時は、『世の中には、このような奥深いものがあったのですか!!』と言って、すごく感動していたなぁ………
それが今では、俺が持っているCDをすべて聴き漁り、その中でもお気に入りの曲はミュージックプレーヤーの中に入れて、肌身離さず聴いているそうだ。
「園田 海未選手………………93点んんんんんん!!!!」
「ほっ、恥ずかしかったです……」
恥ずかしかったって………あんなに堂々と歌っていたのにそういう気持ちになるのかよ。
しかし、海未の歌い方は独特なものがあるな。演歌しか聴かなかった時期が多かった為か、こぶしを上手に効かせながら歌っているため、力強さを感じることができる。いつか海未にソロ曲を歌ってほしいなぁ~、それも演歌のテイストも加えたものなら、かなり受けがいいのではなかろうか?要相談だな、これは。
「はいは~い!次、凛が行きまーす!!」
5番目は凛ちゃん。
選曲は、『勇気100%』だ。
イントロが違っているところを聴くと、Ya-Ya-Yahのカバーなのだろう。ちなみに俺は断然、光GENJIなんだけどな。島田も言っていたが、凛ちゃんは元気が一番の取り柄だと思う。そんな凛ちゃんにはぴったりな曲だと思える。
「星空 凛選手……………91点んんんんんん!!!!!!」
「えぇ~、もうちょっといい点数だと思ったんだけどなぁ~…」
うん、おしいな。点数が稼げなかったのは、ところどころで乱暴に歌っていたからだよ。力のコントロールがまだ出来ていないから音が狂ってしまうんだよ。力を入れ過ぎずに安定した感じで歌うようにすればもっといい点数が採れるだろうと思うぞ。これからの課題だな。
「つ、次は、私の番……です!」
6番目は花陽ちゃん。
選曲は………なんと、放課後ティータイムの『ごはんはおかず』!?
ええっ!?どうしてその曲を選んだのぉ?!歌だけど………歌だけど………………ある意味、お米に対する
「小泉 花陽選手……………………96点んんんんんんんん!!!!!!!!!!!!」
「や、やりましたぁ~!」
えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!うっそだろ!?HTTの唯ボーカルの曲って、歌いにくいランキング上位レベルの曲だぞ!!それをいとも容易く歌いきるって………俺たちは……とんでもないジョーカーを手に入れちまったようだな………ことりと同じような声質と安定した音程、変速テンポもこなすことができるとは、逸材だぜコイツァ!!!
………もしかしたら……いや、もしかしたら…ことりと組ませたら最強になるんじゃないか?
う~ん………これも要相談だな。
「最後は、私ね」
7番目の最後を飾ってくれるのは真姫だ。
選曲は…………おお!これは予想通りだ!!
平原綾香の『Jupiter』だ。
クラシックばかりを聴いている真姫にとって、よりクラシックに近い曲を選んだ結果がこれだろう。というより、クラシックをカバーして1つの曲としてリリースさせるその技術も凄いわけなのだが……これも、現代のクオリティってやつだな………
「西木野 真姫選手…………………98点んんんんんんんんん!!!!!!!!!」
「ふっ、当然の結果ね」
さすがだな、真姫。みんなの選曲の中でも、最難関の曲をこんなにいい点数でクリアしちまうなんて………伊達にピアノはやっていないようだな。音程よし、テンポよし、声量よし、そして、感情までもが完璧となると、最早、だめだしするところは無いな。
「はいはーい!全員歌いきったようなので、結果発表になりまーす!!結果はご覧の通り、真姫ちゃんの98点になりましたー!!!」
「「「イェ―――――――――イ!!!!!おめでとー真姫ちゃん!!!」」」
「ヴェェ…あ、ありがとう……」
「花陽ちゃんもすごいね!真姫ちゃんの次に高い点数だよ!!」
「えへへ、ありがとうございます♪」
「しっかし、全員90点以上かよ。やるじゃねぇか!!」
「これもみんな蒼君のおかげだもんね!」
「そうですね、蒼一の指導がよかったからここまでの実力を発揮できたのですよ」
「はっはっは、褒めても何も出ないぞ~」
「ば、化け物じゃないの?」
短期間とはいえ、俺の指導だけでここまで実力を伸ばしてくれたのはかなり嬉しい。また、今回の企画のおかげで課題も発見できたことだし、それを踏まえて練習を行って行く必要があるな。
「それじゃあ、これでお開きっちゅうことd「待ちなさい!!」…えっ?」
明弘が終わらせようとしたところを、急ににこが止めに入った。
一体、どうしたというのだろうか?
「折角なんだから、蒼一たちもやっていきなさいよ」
「「ん??俺が???」」
「そう、あなたたちよ」
えぇ……ここで俺たちに振るの?確かに、自然な流れではあるけどさ、そんなに時間はあるのか?第一、明弘がやる気じゃねぇだろ?…………
「よっしゃ!!やってやるでぇ~~~!!!」
………って、やる気満々かよ!!!
「わぁ~、久しぶりに蒼君たちの歌が聴けるんだ!」
「蒼く~ん、がんばってね~~~♪」
「期待してますよ」
「トリなんだから上手く締めて頂戴ね」
「どんな歌が聴けるのか楽しみだにゃ~♪」
「参考にさせてもらいますっ!!!」
わお……ギャラリーができ上がっちゃってるじゃん。これじゃあ、逃げることは出来ないな……仕方ない、ここはひとつ腹を決めるしかなさそうだな
「兄弟!ちょうどいい機会だ、どちらが上なのかはっきりさせようじゃないか!!!」
「はっきりさせるって……また、やるのかよ……」
「前は負けちまったが今回は負けるつもりはないぜ………こういう日のために、俺は準備をしてきたのさ!!」
「はぁ……どうやら、このケンカは逃げられないようだな………いいだろう、徹底的にやってやろうじゃないか!!!」
「その意気だぜ、兄弟!!!!」
こういうやりとりって、前からかなりの回数やっているんだけど、そのすべてが俺の勝利で終わっている。今回の勝負にはアイツなりに勝算があるのだろうな……多分、
「兄弟!!俺が歌うのは、DOESの『曇天』だ!!!この曲で今度こそ勝って見せる!!!」
「ほぉ………それで来たか……ならば、こちらも十八番で挑ませてもらう!!!!」
明弘が持つ十種の十八番の1つのそれで来たか!それ以外の9種はすべて俺の十八番の前では屈服したが……はてさて、どうなるかな?
「蒼君の十八番って、アレだよね!」
「アレはいい曲だよねぇ~」
「私もアレはいい曲だと思います。蒼一が初めて私に貸してくれたCDの中にもありましたが、なんとも言えない感動が込み上がってきます」
「「「「????」」」」
「あのぉ~、アレって何ですか?」
「それはだな…………ROMANTIC MODEの『Resolution』だ!!!」
ここに、第11次カラオケ大戦の火蓋が落とされた……………のか?
「得点は…………弘君が98点!!蒼君が………………99点!!!!蒼君の勝利!!!!」
「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
「当然だな……」
どうやら今回の大戦も俺の勝利で終わりのようだな。
だが、点数がこんなに均衡するとは思いもよらなかった。一歩間違えれば、こちらが負けていた………コイツも力を付けていやがる!!
「す、すごいにゃぁ……」
「きゅ、99.999点って……それって、100点ってことよね?」
「わ、私、初めて見ました……!!」
「圧倒的すぎてて、何にも言えないわ………」
結果的に、俺の1人勝ちのような形で閉めることとなったわけなのだが、にこはまだ何かをやるつもりらしい………一体、何をしようというのですかい?
『ドゥンドゥン家を焼こうぜ!』(うp主)
ジェラルミン星人検定じゃねぇよ!!!!!!!!!!
(次回へ続く)
どうも、うp主です。
妥協しようと思ったけど、妥協しなかった結果がこういうことになりました。
それぞれにあった曲を選んでみたのですが、どうでしょうか?
私自身、一番あっていると思うのは、花陽ちゃんだと思います。何故って、性格のことを考えればね…(笑)
逆に、どうなんだろうと思うのは海未ちゃんかな?できることなら、演歌系を持っていきたかった、坂本冬美さんとか…… 陰陽座や和楽器バンドでもいいかもしれないかも……
ここら辺は、蒼一と要相談ですな(笑)
ここサムの話は、あと2回で終わらせることにします。(できるのぉ~?)
今回の曲は、
蒼一が………というよりか、私の十八番です。
TVアニメ『機動新世紀ガンダムX』より
ROMANTIC MODE/『Resolution』
更新速度は早い方が助かりますか?
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ちょうどいい
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もっと早くっ!
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遅くても問題ない