第36話
[ 明神・男坂門口前 ]
「はい、みなさ~ん。先ほど、不審者(ストーカー)が出てきました」
「「「「「「えええーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」
「でも、安心してください。害を加えるようなヤツじゃないので、気になっても無視しちゃってください」
「蒼君!その不審者さんはどんな人でしたか?」
「え~・・・小柄の女の子で、黒髪ツインテールで、どう見ても小学生じゃないかっていう自称・高校生です」
「マジか!!それはすぐに逮捕しなきゃいけないヤツだな!!犯罪のニオイがプンプンするぜッ!!」
「この状況下で一番犯罪臭が強いのはお前だ、アホ。後で、鉄槌を喰らわすから覚悟しておけよ」
「宗方さん・・・そのぉ・・・不審者さんは怖い人でしたか?」
「大丈夫だよ、花陽ちゃん。声で威圧は掛けてくるかもしれないけど、あんまり怖くないから安心していいよ~。逆に、俺にとって一番怖いのはことりなんだけどね」
「えぇ~!!ひどいよ蒼くん!私が何をしたって言うのよ~」
「まず、自分の胸に手を当ててからよ~く考えなさい。野獣のような視線を向けられるこっちの身にもなりなさい!」
「手を当ててもわからないので、蒼くんが手を当てて判断して下さい♪」
「明らかに俺を犯罪者リストに登録させる気満々な誘惑をするんじゃない!だから、怖いんだよ!・・・・それと、明弘。ことりの胸に手を伸ばそうとするんじゃない!」
「あっ・・・バレたかぁ・・・いやぁ~欲望を抑えきれn「ふんッッッ!!!(ドゴォ!!)」ふんぐうううううううおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!?」
「ナイス、海未ポリス」
「まあ、そんな感じなので今日一日がんばってね~☆」
「・・・なんか腹が立つ締めくくりね・・・」
「それと、今日の天気は雨になるっぽいので雨具の準備とかしておけよ~。そうなると、今日の屋上での練習は無くなるかもしれないからよろしく」
「なんか、本当に先生みたいだにゃ~」
「最後に、俺の冷蔵庫内がとても寂しいことになってしまったため、食材調達に出かけます。ということで、今日は練習に出ませんのでよろしく~☆」
「「「「「「「ええええええ!!!!!!!!!!!!????」」」」」」」
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冷蔵庫内がほぼすっからかん状態になっていることに気が付いたのは、朝食を作る時だった。
昨日は外食をして飯を作らなかったから確認はしなかったんだよなぁ~
・・・・マジで、ピンチだよこれ・・・
だがしかし!
喜ばしきことに俺の口座に6ケタの金額(※現在のレートに換算すると、およそ10万円である。)が振り込まれてあったのだ!ヒャッハ―!!久しぶりの仕送りだぁー!!これで俺は・・・あと、3カ月は戦える!!
買うものは・・・
緑野菜、根菜、卵、小麦粉、肉・・・といったところかな?
米がまだまだ残っていたのが幸いだったな・・・昼飯は学食で済ませて・・・朝は・・・
ふりかけご飯な・・・・
(※ふりかけ:現代の言葉に置き換えると、のりたまである。)
・・・・一々、古谷ボイスで説明しなくていいから。
(※アカギ、最大のピンチである。)
[ざわ・・・ざわ・・・][ざわ・・・ざわ・・・]
アカギじゃねぇよ!!!
[ざわ・・・ざわ・・・]
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[ 例のスーパー ]
「ふむ、買う物は今くらいでいっか」
野菜はキャベツにホウレンソウ、根菜はニンジンにジャガイモ、卵も小麦粉も買った。肉も豚と鳥の二種類も買ったし・・・もうこれで買う物はないな。
あと、何かあるか店の中を回ってみるか・・・
「おっ!のど飴が安い!!これは買いだ!!!」
1袋100円でこれだけの量というのはかなりのお買い得!いいねぇ、1つ買っちゃいますか。
袋に手を伸ばして掴もうとする・・・・が・・・・
「「あっ!」」
俺の視界範囲外から出てきた手が俺と同じのど飴の袋を掴もうとして、俺の手とぶつかってしまった。
「あっ、すまない」
「い、いえ、こちらこそすみません」
ぶつかってきた相手は小さな女の子だった。朝、明神の境内にいた女の子よりかは少し小さいがその後ろ姿はどことなく似ているような気がした。はて?この子はどこかで・・・??
「あっ!宗方先生!!」
「へっ?」
「私ですよ、私!」
そう言うと、その子は中指・薬指以外の指だけを立てた状態の両手を頭の上に付けた。
・・・ッ!!こ、このポーズは!!
「にっこにっこに~♪」
「矢澤 こころちゃん!!」
「はい♪思い出してくれたのですね!」
およそ、3年ぶりの再会だった。
〈ジジ・・・ジ・・・・・〉
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「たはは・・・こんなに大きくなっているなんて思っていなかったからね」
「はい!こころは大きくなりました!宗方先生もまた一段とかっこよくなってますよ!」
「うれしいことを言ってくれるじゃないか~♪」
俺とこころちゃんは共に会計を済ませて、帰路に立っている。
この時間に1人で出歩き、かつ、荷物を持っているなんていうのは大変だろうと思い、俺は荷物を代わりに持ち、こころちゃんを家まで送っていくことにした。
しかし、懐かしいな・・・・
矢澤 こころ
矢澤家4姉弟の次女で現在、小学校5年生になったばかりである。
およそ3年前に、学校の奉仕活動の一環として学童保育所の臨時保育士となっていた蒼一が、その時に偶然、入所していたこころとその妹・ここあのお世話をしたことがあった。また、蒼一はその姉や弟にも会っているのである。
「よく俺のことを覚えていたね~。3年も経ったから忘れられているのかと思ったよ」
「忘れませんよ!宗方先生にはここあ共々お世話になりましたし、お姉さまもよく話してましたから」
「こころのお姉ちゃんが?俺を??」
「はい、最近はよく話していますよ。何でも、お姉さまの学校に宗方先生が来ていらっしゃるって言っていましたから」
「えっ!?もしかして、こころのお姉ちゃんが通っている学校って・・・」
「音ノ木坂学院です!私の憧れの学校なんです!」
マジかぁ・・・!!お姉ちゃんが意外と身近に潜んでたー!!今日一番の衝撃的な話だぞ!!ということは、すでに会っていたり・・・?いやでも、こころちゃんに似ているよな子はいなかった・・・ような・・・??
「着きました、ここが私の家になりま~す♪」
そう言われて到着した場所は、かなり古さびれた感が漂うアパートであった・・・えっ?
「・・・ここに住んでいるの?」
「はい!家族みんなで楽しく暮らしています♪」
ぐふっ・・・!!
い、いかん・・・天使級の笑顔や・・・!!そんな子にこんな失礼なこと言っちゃいかんな!!
「宗方先生、こっちに来てくださ~い!」
こころちゃんは早々とそのアパートの二階に駆け上がり、自宅であろう部屋の前に立ち止まっていた。俺もその後を追いかけて部屋の前に着く。
「ただいま帰りました~♪」
こころちゃんは部屋の扉を開けて部屋の中に入っていき、居間へと続く廊下を走っていった。
俺は自分とこころちゃんの買い物袋を玄関口の床の上に置いて、持ち抱えていた腕の筋肉を揉みながら、暫しの休息を取っていた。
「お姉さま、来てください!会わせたい人がいるのです!」
「はいはい、そんなに急がなくてもいいじゃない」
居間の方からこころちゃんとそのお姉ちゃんの声が聞こえてきて、こちらに近づいてくる足音がした。先に、こころちゃんが顔を出してきて、それに続いてこころちゃんのお姉ちゃんが出てきた・・・・
小柄の女の子で、黒髪ツインテールで、どう見ても小学生みたいな高校生・・・・
・・・・え?まさか・・・・
「ご紹介します!宗方先生です!!」
「「あぁっ!!!」」
「朝のストーカーもどき!!」
「やっと、ウチに来てくれるようになったのね!!!」
俺とその女の子は互いに指をさし合いながら叫び合った。
・・・って、おい!!なんか変な言動が飛び出て来たぞ!?
「ここにいても話にならないわ、こっちに来て!!」
「って!ちょ、ちょっとぉ!!!?」
その子は何の躊躇もなく俺の腕を掴んで居間の方へ引っ張っていった。
こころちゃんはその光景に驚き口をポカンと開けながらたたずんでいた。
―
――
―――
――――
「せんせー、抱っこして~」
「おんぶ~」
「ええぃ!どっからでもかかってらっしゃい!!!」
居間に連れていかれた俺は何故か、こころちゃんの妹・ここあちゃんとその弟・虎太郎くんの世話をすることになった!?いやいやいや、おかしいだろ?赤の他人をそのまま家に入れて、妹たちの面倒を見させるのってどうよ??そのお姉ちゃんは台所で調理中とか・・・明らかにおかしいよ!!
「すみません、急に難しいことをお願いしてしまって・・・」
不安と困惑の感情を表に出しまくっていたのか、こころちゃんはその気を感じ取って俺に申し訳なさそうに謝ってきた。
「気にするな、子供の面倒は慣れているから・・・」
小さい子供とじゃれ合うことは嫌いではない、むしろ好きな方なのかもしれない。小さい子をあやしたりすることはずっとやってきたから苦ではない。だが、この状況下ではどう判断したらよいのかが分からないというのが実情と言ったところだろう・・・・
「ご飯の準備ができたわよ~さあ、準備して~」
「「「は~い!!」」」
矢澤シスターズ(+虎太郎)はその声を合図に、一斉に食事の準備をし始めた。テーブルを拭き、お皿を出し、お茶碗を用意して、御釜のご飯をしゃもじでかき回す。ここにいる家族全員で準備すると言うのは、ごくありふれた家庭風景と言ったところだろうか。俺はその様子を離れたところで見ていた。
「ほら、あなたもこっちに来て食事しなさい」
「えっ、俺?」
「そうよ、こころたちの面倒を見てくれたんだからお礼に御馳走してあげるわ」
「宗方先生、一緒に食べましょ!」
「せんせー、早くしないと冷めちゃうよ~」
「たべる~」
「はぁ・・・仕方ない、今回は御馳走されちゃいますか」
もうここまで来てしまったら腹をくくるしかないだろう、そう感じた俺は、矢澤家の独特の流れに身を任せて調和していくように俺のために用意された席につく。
「それじゃあ、いただきます!」
「「「いただきます!!!」」」
「い、いただきます・・・」
―
――
―――
――――
「「「すぅ―――・・・すぅ―――・・・・」」」
「はぁ~・・・・やっと寝たか・・・・」
食事の後、俺は帰ることができずにそのまま矢澤家に居て、シスターズ(+虎太郎)の世話をし続ける羽目になり、時計が午後9時を回る頃になってからようやく寝静まってくれた。
俺はイスに座り、意気消沈しかけていた。
「お疲れ様、これ飲む?」
そう渡されたのは、コップ一杯のキンッキンッに冷えたお茶だった。
くぅ~~~っ!!頭に響くくらいに最高にいい感じだ。うまい!!
「ごめんね、無理やり頼んじゃって」
「ホントだぜ、こんな時間まで子供をあやすなんてことはしたこと無いし、そもそも、そんなに面識のない相手から頼まれるなんてありえねぇわ」
「まあね」
「しかも、朝のストーカーもどきだし・・・」
「うぐぅ・・・やっぱり、バレてた?」
「バレるも何も、キミみたいな特徴的な子はいないし、こころちゃんから聞かされた話と合わせると合点もいくからな」
「あははは・・・・」
引きつった顔に冷汗を垂らしながらぎこちない笑いをして、この状況をどうにかしたさそうにしているのがよくわかる雰囲気を出していた。
「・・・んで、俺を家にあげて、シスターズの面倒を見させたのは何故?」
「え~~~っと・・・・その・・・何て言うかなぁ・・・・」
今更になって、しゃべりがぎこちなくなってきている。俺から見てもこの子とは、2、3度会ったくらいしかないため、正直言って話辛い。しかもだ、穂乃果たちと大して変わらない高校生と言うじゃないか。年頃の女の子の家に入っていくという始末。けしからん!実に、けしからん!!
・・・あっ、今の親父に似ていたような気がする。
「・・・・あのぉ・・・言ってもいい?」
「あぁ、言ってくれ。言ってくれないと俺も納得できないからな」
「じゃあ、言うね・・・・
すぅ―――・・・はぁ――――・・・・
・・・・あなたならいいと思ったのよ・・・・」
「はい???」
「だから・・・あなたなら妹たちを任せてもいいんじゃないかなぁって思ったのよ」
「マジで?」
「マジよ」
「「・・・・・・・」」
・・・・・・・・んんんんんんんんんんnnn??????
・・・・どういうことぉ――――――!!!!!
えっ、何!??それってあれか・・・例のあの某小説にあったとても意味深な難問そのまんまですよね??確かその主人公は・・・・え―――っと・・・・
・・・・・
つまりあれか!この子は急に、大胆な告白をしたって言うことぉ!!?しかも、『付き合いましょう』から始まる恋人関係では無くて、『家族になりましょう』のパターンっすか!!!
やべぇ・・・やべぇよ・・・・
俺の生涯18年間ある中でも1位、2位を争うくらいのハプニングだよ、コレ!!
つうか、コレの答えって何? Yes?or No?
俺にどうしろって言うんだ!!ルビコン・・・桶狭間・・・いや、これはまさしく・・・・
薩長同盟締結会議直前状態ですよねぇ!!坂本くぅ~~~~ん!!!!
そっちは日本の夜明けを語るだろうけど、俺は人生の夜明けを迎えようとしているよ!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・どうするのさぁぁぁぁ・・・・・
「ちょ?!どうしたのよ!!?」
「落ち着くんだ、少女よ・・・・いくらなんでもそいつぁ早すぎると思うぞ・・・俺はキミの名前を知らないし、第一、キミはまだ未成年者だ。そんなことは難しいだろ?」
「・・・えっ?何言ってるの?」
「いや!皆まで言うな。わかっている、キミの想いと言うのはよくわかった・・・だが、キミがその決断をするのに相当な時間が費やされたはずだ・・・俺にもだな、そうした時間をくれないか・・・」
「いやいやいや、やっぱり、何か勘違いをしているようなんだけど!!?」
「えっ・・・・家族になろうって意味じゃないの?」
「・・・・・・えっ?」
「・・・・・ん?」
「「・・・・・・・」」
「んなっ!!ななななななな、そそそそそそんなわけないでしょおおおおおおお!!!!いいいいいいくら、にこが結婚可能年齢になっているからってそんなことあるわけないでしょ!!!」
「まぎらわしい言い回しをされなかったらそんな勘違いをしなかったぞ!!?てか、あれはどういう意味で言ったんだよ!?」
「あれはただ単純に、にこの代わりに妹たちの面倒とか見てくれないかなぁって思っただけよ!」
「押しつけかよ!!!!」
・・・どうやら俺の勘違いだったらしい・・・・
だが、普通に聞いてもこれは意味深な方向性に行っちまうはずだよ!
あぁ、でもよかったぁぁぁ・・・・こんなところで俺の人生補完計画が完遂されちまったら、最早、どうすることもできねぇし・・・・
「あ~・・・なんか疲れた・・・・」
「それはこっちのセリフよ・・・・」
「「はぁ~~~~~・・・・・・」」
急に疲労が出てきたのだろうか、頭からテーブルの上に突っ伏してしまった。
なんか、すべてが面倒になってきたな・・・
初めに言っていたことについても詮索するのも面倒になってきた・・・
「そう言えば、まだ名前をちゃんと聞いていなかったな・・・」
「そうだったかしら?・・・以前にも、言った気がするんだけど・・・」
「覚えていないわ・・・シスターズは覚えているんだけどな・・・」
「そう・・・にこよ。矢澤 にこ。これで覚えたかしら・・・」
「あぁ、覚えた・・・。そうか・・・そう言えば、あのポーズもそう言う感じだったよな」
「ん?あのポーズって?」
「それはな・・・・」
俺は疲れた体を起こして、テーブルとの距離を置いて立った。
そして、こころちゃんが見せてくれたあのポーズをとり・・・・
「にっこにっこに~♪♪♪」
「!!」
ふんす!ざっとこんなもんだろう、我ながらいい出来であったと思うな。なんせ、これをやり続けてもう4年になるからな。
ん?にこがぼ――っとしているぞ?
「・・・・・・」
「お~い、にこさ~ん。応答してくださ~い」
「ハッ!いけない、ぼ――っとしていたわ!」
「何やってるさ?」
「だ、だって・・・私よりもキレがよかったから・・・見とれちゃったのよ・・・」
「ふんす!伊達にダンスはやっていないからな!これぞまさしく、無駄に洗練された無駄のない動きというものよ!!」
「そう・・・よね、確かにそうだったわよね。そのために、ウチの学校に来たのよね・・・」
「なんだ、スクールアイドルに興味があるのか?」
「べっ、別に!!そんなわけないじゃん!!」
「だが、朝に俺たちを見ていたのは何故なんだ?」
「そっ、それは近くを通りかかっただけよ!」
「グラサンとマスク、ロングコートまで着て?」
「そ・・・そうよ・・・」
にこの話に突っ込めば突っ込むほど、ボロがたくさん出てきそうだな、こりゃ・・・素直に見たかったんです!って言ってしまえばいいのに・・・なんというか、こりゃまためんどくさそうな女の子に出会っちまったようだな・・・・
・・・なんか、真姫に似ているかも・・・・
もう、長居をする必要はなさそうだな。御暇させていただきますか・・・
「まあ、理由が何であれ、あれ以上、不審な行動はしないでくれよ?男だったらぶっ飛ばしていたからな?」
「そうなの?!・・・今度から気を付けるわ・・・・」
「まあ、そうしてくれ」
俺は居間から出てゆき、玄関口に置いておいた自分の買い物袋を手に持ち、矢澤家を後にする。
「ねぇ!!」
アパートの階段を下り終え、そのまま、帰路に向かおう道路を歩いていたその刹那、にこが玄関から飛び出してきて叫んだ。
「今日はありがとう!!!」
彼女から感謝の気持ちがこもった挨拶を受け取った。
「あぁ、こっちこそ御馳走になったな、感謝する!!」
俺もそれに答えるように、挨拶を送り届けた。
秋葉原の夜は明るい。
だが、この場所は夜の本当の暗さを感じられるくらいに真っ暗で、にこの顔すら確認することができないほどだった。俺はそこにいるだろうと思われる場所に向かって、手を大きく振り、さよならの合図を送った。
それがちゃんと届いているかどうかはわからないが、玄関の扉の開け閉めの音がしなかったと考えると、にこの方からは俺の姿がはっきりと見えているのだろう。
にこが暮らすアパートが見えなくなるだろうところまで手を振った後、
そのまま、帰路に向かって行った。
―
――
―――
――――
『よぉほ―――!!!買い物は十分にできたのかい?』
帰ってきて早々、明弘からのうるさい連絡が入って来てその対応をする羽目になった。
俺は携帯を片手に、もう一方の手で買ってきた食材を保管場所に移動する作業を行っていた。
「今のところ2、3週間分は確保できたと考えている。あとは、これをどうやって長持ちさせていくのかが問題だけどな」
『朝晩と昼の弁当の分だもんな~、相当な器量が無けりゃ上手く出来ねえだろうね。まあ、俺には無理な話なんだろうけどwww』
「茶化しに来たんならすぐに切るぞ」
『あ―――っ!!ちょい待ちよ!報告があんだよ~、今日な蒼一が言ってた不審者が出たぞ』
「何ッ!?いつ、どこでだ!??」
『5時くらいだったか?練習が無しになって、代わりに新入部員の親睦を深めようとファーストフード店に行ったわけよ。バーガーやらポテトを食いながら今後のことについて話してたらよ、俺たちが座っていた横の席からそいつが出てきてよ、『あんたらがやっていることは、間違っているわよ!今すぐ活動を止めなさい!!』ってな、言ってきたわけさ』
「それで、どうなったんだ?」
『いいや、特に。それを言ってすぐにどっかに行っちまったぜ。おかしいだろ?』
「・・・ん、うんん・・・確かにそうだな・・・」
『どうした、歯切れが悪いぞ?何かあったのか?』
「いいや、別に。何でも無い」
『そうか。俺もその不審者は害があるようには思えなかったし、特に強気に出て、取っちめるようなことはしなくてもいいと思っているんだ。それでいいんだろう?』
「そうだな、それでいいんだ」
『報告はこれで以上になるぜ。そんじゃ、明日も頼むぜ、兄弟!』
「ああ、またな」
(ピッ)
「・・・・・・・・・」
「・・・・・何やっているんだよ・・・にこ・・・・・・」
(次回へ続く)
どーも、うp主です。
にこちゃん編の二話となっておりますね~
割と積極的なにこちゃんは結構好きです。うp主の理想的な女性像には、にこちゃんのように家庭的なところがグッときてしまいます。
それに包容感があれば・・・・・
・・・・バブりますね。
先生ェ・・・・・癒され・・・・たいです・・・・。
ほっほっほ、では、抱き枕でも使うといいですよ。もちろん、カバーは二次嫁で!
今回の曲は、
勘違いというのはよくあることだよね。そんな勘違いで有名になっちまったあの迷曲
TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』より
ST☆RISH/『マジLOVE1000%』
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