第35話
やさしいストーカーは一割未満な現実
【プロローグ】
ファーストライブが行われた時、観客の中に誰にも気づかれないように講堂に入ってライブを見、そこにいた誰よりも早くその場から立ち去った少女がいた。
その少女はライブのチラシをクシャクシャに握りしめ、歯ぎしりしながら廊下を早足で歩き、校内にある小さな個室に入っていった。
薄暗い部屋で少女は地団太を踏み
うなり声を出し
うずくまり
1人泣いていた。
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―――
――――
「朝の明神はいいねぇ、心を潤してくれるよ・・・」
昨日はまったくひどい目にあったな・・・・ことりに襲われるわ、黒歴史を自ら創っちまうわと・・・あぁ~完全に墓穴掘ったわコレ。俺は調子に乗ると、こういうバカなことをしちまうんだよなぁ・・・
蒸し返されなければいいのだが・・・・・
『前回のあのセリフ、売るよ!』
うp主ェ・・・少し黙れよ!!!
「む~な~か~た~さ~ん!!!」
「ん?」
この声の主は、凛ちゃんだった。
その後に続いて、花陽ちゃんと真姫が一緒にやってきた。
「おはようございますにゃ!」
「おはよ!今日も凛ちゃんは元気だなぁ~」
「えへへ、凛は元気が取り柄だからね!いつもテンションは上げ上げなんだにゃ!」
朝から、ぴょんぴょんよく飛び跳ねるなぁ~。体力使い過ぎて授業中寝ないでくれよ。
「宗方さん、おはようございます」
「おう、おはよ。ん?メガネはどうしたんだ?」
「あっ、はい、練習にメガネは邪魔かなと思ってコンタクトにしてみたんです」
「ほぉ~、結構いい感じじゃない~。なるほど、こういうのもありか!」
メガネとコンタクトの二つの素顔が見れるのはいいねぇ!萌えポイントが高いな・・・これがいわゆる二刀流と言うヤツか!・・・・悪くない!
「おはよ、蒼一」
「オッス、真姫。おっ!めずらしくやる気じゃんか」
「めずらしいってどういうことよ!私はいつだってやる気あるわよ!」
「あれ?いつもめんどくさそうな感じだった気がしたのだが・・・?あれもやる気があるって言う姿だったのか?」
「い、いや・・・あれは・・・」
「真姫ちゃんは凛たちよりも早く来て、待っててくれたんだ~。真姫ちゃんはとってもやる気なんだにゃ~♪」
「凛!それは今ここでいうことじゃないでしょ!」
「え~、あんなに張り切って歩いていたのに?」
「あ、あれはただの準備運動みたいなものよ!大きく動けばそれなりにいい柔軟になるのよ」
「へぇ~そんなんだぁ~・・・やっぱり、今日の真姫ちゃんはやる気全開だにゃ~!!」
「ヴェェ、どうしてこうなるのよ~・・・花陽、どうにかして!」
「ふふっ、真姫ちゃんも素直になればいいと思うよ」
「は、花陽~・・・」
「あきらめろ、真姫。お前のやる気についてはよ~~~くわかった。まあ、頑張れ!」
「絶対何か勘違いしているでしょ!!」
「はっはっは、何のことかわからないなぁ~~。そういえば、みんなはもう名前で呼び合うような仲になったのか?」
「えっ?そ、それは・・・」
「「うん、そうだよ!」」
「ヴェェ!?」
「真姫ちゃんが名前で呼んでもらいたいって言ったから、私たちもそうしようかなって思ってやってみたんだ。私はこの方がいいと思うよ」
「凛も、凛も!!こうやって、言い合えると友達がまた増えたような気がするんだにゃ~。だから、今日から真姫ちゃんは凛の友達だにゃ~!!」
「ちょっと、凛!離れなさいってば!!熱ぐるしいわよ!!」
はっはっは、仲善きことはすばらしきことなりだな。よかったじゃん友達が増えてよ、話し合える友達がいればもう1人で抱え込むようなことは無いはずだぜ、真姫。
しっかし、1年生はこんなに早く来ているのに、上級生である穂乃果たちはまだなのか?それに明弘の姿も見えねぇ・・・何をしているのやら・・・・
・・・・ん?
今、何か気配を感じたぞ!
鳥?・・・動物?・・・いや、この感じは人のようだな。
数は1人で割と小さい・・・?
この時間にいるとしたら希かと思うのだが、気配が違う。だとしたら・・・
俺が察知した気配は明神の境内の中で感じられた。こっちを見ていたようにも感じられるから物陰に隠れているのだろう・・・
よし、それならば・・・!
俺は不審者(?)と真姫たちに悟られないようにその場を離れ、明神の正門に回った。
ここから男坂門までのどこかに、その不審者がいるはずだが・・・
・・・・あれか?
黒深い茶色のロングコートを身にまとい、マスクとサングラスを着けているツインテールの女の子が物陰に隠れて真姫たちの方を見ていた。しかし、ずいぶんと小柄な女の子だな、小学生だろうか?だが、この時間に小学生が出歩くはずはないだろうが・・・・ちょっと、聞いてみるか・・・
俺はその子に気付かれないように忍び足で近づく。
スニーキングミッションなら任せろ、こういう時にメタギアと言うものは役に立つな。
こちら、スネーク。目標に近づいた。指示を頼む。
『実にすばらしい動きだぞ、スネーク。さあ、そのまま近づいてアクションボタンで尋問するんだ!』
ああ、そうさせてもらう・・・・っておい!!そんなことしたらこっちが不審者扱いで逮捕されちまうじゃねぇーか!!てか、俺の思考に入ってくるな、うp主!!!
『すでに、キミのナノマシーンに同化させてもらったのだ。いつでも、私からの指示が送れるようになっているぞ~』
ふざけるな、冗談はほどほどにしろ!!
『アッ、ハイ・・・』
まったく、アホに付き合ってたら日が暮れちまう。
さて、もう目の前に来たが、この子はまったく気づいていないようだな・・・ちょっと脅かすか?
少し声帯をいじって・・・っと、よし!
「キミはこんなところで何をしているのかね?(※低い声)」
「ひぃぃぃ!!す、すみませんでした!!」
急に話しかけられたためか、その子は前に倒れ込み、その状態から少し俺との距離をとった。
あら、かわいい反応じゃんか。やっぱ、小学生なのか?
「子供がこんなに朝早い時間に出歩くもんじゃありません。お母さんが号泣するぞ」
「誰が子供よ!私はこう見えても高校生なのよ!!」
高校生・・・だと・・・!?
最近の高校生はこんなに背が小さい子もいるもんなのか・・・う~む、小鳥遊君が発狂しそうな世界がもう着々と築かれているようだな・・・
「大体何よ!急に後ろから話しかけてきて、あんたは一体なん・・・なの・・・よ・・・!!」
その子はこちらを振り向いたとき、驚いた表情(マスクとグラサンが邪魔で見えん!!)をしていた。
「ん?」
俺の顔に何かついているのか?
・・・あれ?この感じどこかで・・・・
「蒼一~!そんなところで何しているのよ~!!」
「!!」
真姫が俺のことを呼びながらこちらに近づいてきた。
その子は真姫の声に反応し、倒れた体を起こして、すぐさまこの場から立ち去っていった。
あの子は一体何だったんだ?
「蒼一!なんで急にいなくなったのよ!心配しちゃったじゃない!!」
「ん!ああ、わりぃ・・・今、不審者みたいなのがいたからさ、追っ払ってたところなのさ」
「えっ?!不審者!!」
「大丈夫だ、小柄な女の子だし襲いかかってくるようなことはしないだろうよ」
「でも、大丈夫なの?ストーカーみたいに私たちを執拗に追いかけてくるのだったとしたらどうするのよ!!」
「大丈夫だ、俺が何とかする」
「でも・・・」
「悩んでも仕方ねぇだろ、今は心配するより体を動かすことに集中した方がいいぞ。明弘たちの練習メニューはキツイぞ~」
「・・・そうね、そのことは蒼一に任せるわ。蒼一だったら安心できるし」
「へぇ~言うようになったねぇ~。友達ができて、結構やわらかくなってきたじゃないの」
「な、なによ!!別にいいでしょ!!」
「はいはい、わかりましたよ。さあさあ、早く行った行った」
「ヴェェ、はぐらかさないでよ!!」
しかし、実際、本当にストーカーといった不審者が現れるのは困ったことだな。俺たちの活動が始まってから、早一ヶ月近く。ファーストライブが行われてから約一週間。この期間で、ほんのわずかだがファンは生まれているはず・・・だとしたら、そういった輩が出てきてもおかしくは無いのだが・・・・やけに早いな・・・
だが、コイツらは結果的に多くの人から注目を浴びて人気者となり、音ノ木坂の廃校が阻止できるほどの名声を持つことになるのは時間の問題となるだろう・・・
・・・となると、その中にも必ず生まれてくる輩が出るはずだ・・・
・・・・俺たちにとって、害悪となる輩が・・・・
もしも、そいつらがコイツらに害を及ぼすようなことになれば・・・俺は・・・・
「必ず、守って見せるからな・・・」
「えっ?何か言った?」
「・・・いや、別に・・・」
コイツらには同じような目には合わせない・・・絶対にだ・・・!
この時、あの日に傷ついた左腕が痛んだ・・・・
(次回へ続く)
ドーモ、うp主です・・・・
にこ編に突入することになりましたが・・・・・
あ、あついぃぃぃ・・・し、死ぬぅぅぅ・・・
熱い日が続くから、体力や気力だけじゃなくて、SAN値までもが急激に低下している毎日を送っております。そこにきて、寝不足の日々が続いているので・・・・
・・・・執筆に力が入らないです・・・・
一か月前まではテンションは高かったよ!でも、こうなるなんて思ってなかったもん!遅めの五月病みたいのが来たんだよ!そうだよ・・・きっとそうに違いないんだよ!!!(確信)
おのれ、真夏よ!!部屋をガンガン涼しくして体力を回復しちゃうんだからね!
今回の曲は、
SAN値ピンチ!SAN値ピンチ!SAN値ピンチ!
TVアニメ『這いよれ!ニャル子さんf』より
後ろから這いより隊G/『恋は渾沌の隷也』
更新速度は早い方が助かりますか?
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