蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第30話





奇跡とは…偶然で起こるものではない…

 

【プロローグ】

 

 

[生徒会室内]

 

 

 

 

 

 

「よっと、これでお終いかなぁ~?」

 

 

 

ふぅ~、面倒な書類も片付いたことやし、はよ蒼一のところに行かんといけんなぁ。

ウチのカードには、行かないと後悔する、っていうお告げがあったし、カードの運命には逆らえんからなぁ~。荷物も持ったし、さあ、行っちゃいますか~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、希。どこに行くの?」

 

 

 

 

鋭い目つきでこっちを見てくる、生徒会長でウチの親友はそう尋ねてきた。

 

 

 

「ん~?ちょっと、用事で行かなあかんところがあってなぁ。えりちも来る?」

「私は・・・・こっちの書類が終わってから考えるわ・・・」

 

 

 

そう言って、断っているようなんやけど、書類なんてもう何も残っとらんのよね。んも~、変なところで意地を張るんやから困ったもんやなぁ~・・・

 

 

 

「わかったわ~、ほな先に行っとるで?」

「えぇ、わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 

待っとるで、えりち・・・・

 

 

 

 

 

 

さて、行くとしますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・ん?なんや、あの子たちは・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

 

 

 

「兄弟・・・・時間がもう無いぞ・・・」

 

 

 

 

 

 

観客数、実質0人。まさに、俺が想定していた最悪のシナリオそのままだった。

頼みとしていた花陽ちゃんはここにはいない。

 

 

「クッソ・・・!ダメなのかよ・・・・!」

 

 

明弘の苛立ちは尋常じゃないほどに膨れ上がっていた。

 

 

 

 

 

「宗方さん・・・・どうしますか・・・?」

 

 

ヒデコちゃんがこの状況を見て、開演することが難しくなったと判断して指示を仰ぎにやってきた。素人でもわかることだ、開演数分前でこの状況はどう考えたってマズイことだ。すぐさま中止してしまうことが先決となるのだろう・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・だが、俺の考えは一切変わることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・開演だ・・・」

「「えっ?」」

「聞こえなかったか?・・・開演するからサイレンを鳴らしてくれ」

「兄弟!!」

「宗方さん!!」

 

 

明弘とヒデコちゃんは驚いてこちらを見た。常識では考えられないことをやろうとしているのだ、そういう反応するのは当たり前のことだ。

 

 

 

「お前たちが言いたいことはわかる。だが、ここで中断させることは、アイツらがやってきたことをすべて否定することにもなるんだ!!」

「ぐっ!・・・そ、それは・・・」

「アイツらはこの学校のためにと思って、この数週間、毎日毎日必死になって俺たちの練習についてきたんだぜ?あのすぐに飽きてしまう性格の穂乃果がだぞ!?そんな穂乃果たちが今、頑張ろうとしているんだ。それを支えてきた俺たちが信じなくてどうする!?たとえ観客が来なくとも、俺たちが観客となって見てやればいいじゃないか!違うか?!」

「・・・ぐっ・・・!けど、それじゃ「わかりました・・・やりましょう!」・・・って、ヒデコちゃん?!」

「穂乃果は前からやるときは全力でやる子だから、中途半端で終わらせることはしたくないと思います。だから、どんなことがあってもやらせてあげたいと思ってます!」

「そうか!すまないな・・・」

 

 

 

 

「・・・んあぁぁぁぁ!!!しゃぁ~ねぇ~なぁ~!!!もうどうなっても知らねぇぞ!!?」

「わかってる。安心しろ、俺が何とかしてやるさ」

 

 

 

 

 

 

 

全員の意見が一致した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時間で~~~す!!!開演しま~~~~す!!!」

 

 

 

(ブーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!)

 

 

 

 

 

開演の合図が講堂中に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

そして、舞台の幕が上がる・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

 

 

大きな幕で閉ざされた舞台に3人で上がり、自分たちの立ち位置に立った私たち。

 

 

ようやくこの日を迎えることができたんだね・・・・!

 

 

 

 

「海未ちゃん!ことりちゃん!いよいよだね!!」

「うん!」

「はわわわわ・・・・・・」

「大丈夫だよ、海未ちゃん」

 

 

 

私は右手で海未ちゃんの手を、左手でことりちゃんの手を握った。

 

 

 

「私たちがついているから!」

「穂乃果・・・!」

 

 

 

 

こうしていると何だか安心してくるんだよね。なんというか、こう・・・みんなの気持ちが一つになっているような気がするんだ。それがなんだか心地よくて・・・うれしくって・・・・!

 

 

 

 

「こういう時って、何て言えばいいんだっけ?」

「ことりちゃん、それは・・・・μ’s!ファイト、オー!!だよ!」

「それでは運動部みたいじゃないですか・・・・」

「え~そんなぁ~・・・」

 

 

 

 

私的にはいいと思ったのに~・・・・残念だなぁ・・・・

 

 

 

 

 

「じゃあ、番号を言うのってのはどうかなぁ?」

「それだ!!じゃあ、私から言うね!」

 

 

 

大きく息を吸って、まずは私が第一声を言います!!

 

 

 

「1!」

 

 

 

「2!」

 

 

その次に、ことりちゃんが大きな声で言って、

 

 

 

「3!」

 

 

海未ちゃんが大きな声で言い終える。

 

 

 

 

 

 

 

「「「うふふふ、あはははははは・・・・!!!」」」

 

 

 

 

 

 

初めてやったのに、タイミング良く出来ちゃったから何だかおかしいね。そのおかげかな?緊張がどこかに行っちゃったような気がしたよ!これならいいライブができそうだよ!!

 

 

 

 

 

「μ’sのファーストライブ、最高のライブにしよう!」

「うん!」

「もちろんです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ブーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

開演のサイレンが鳴り響いた。これから私たちがこの場所で踊るんだ!うわぁ・・・ドキドキしてきちゃったよ。さっきとは違った緊張が全身を包んでいるように感じられた。

私たちは目をつぶって、次に開いた時の光景に心を躍らせていた。

 

 

 

 

 

 

そこに何があるんだろう?

 

 

 

何が待っているんだろう?

 

 

 

・・・・わからない。

 

 

 

でも、そこに広がっている光景は私たちがそれまで見ていたモノとは違っているんだと思う。

 

 

 

 

 

だって、これが始まりなんだから・・・・!

 

 

 

 

舞台の幕が開く音が聞こえた気がする。

 

 

 

 

 

私は自分が持つ最高の笑顔でその光景を見た・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・だが、そこには誰も座っていないとても寂しい光景が広がっていた。

 

 

 

 

「・・・・・・!」

 

 

 

 

私はその光景に、ただ、呆然と立つことしかできなかった。

 

 

私の目に映る誰もいないこの場がとてつもなく大きく感じられ・・・また、とてつもなく真っ暗に感じられた・・・

 

 

 

私は生徒会長が言ったあの言葉を思い出した・・・『無駄なことだ』、その言葉が何度も何度も頭の中を走っていく。それがだんだんと私の心に突き刺さっていく。

 

 

 

痛い・・・痛いよ・・・こんな・・・こんな辛い気持ちになったのは・・・久しぶりだよ・・・

()()()のように何かを失うんじゃないか、そうした思いが込み上げてきそうだった・・・

逃げ出したい・・・早く、この場所から逃げ出したかった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

誰か・・・・誰か助けて・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・蒼君!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ジジ・・・・ジ・・・ジジジジ・・・・・〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諦めるか、穂乃果?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!」

 

 

 

「さあ、どうする?やるか、やらないか?」

「そう・・・くん・・・・!」

 

 

 

 

蒼君が客席のちょうど一番前に座っていて、私たちを見上げていた。その顔には自信があふれ返っていた。そんな眼差しを私たちに向けていた。

 

 

 

 

 

あぁ・・・そうだった。私は1人じゃないんだ・・・

 

 

隣には、海未ちゃん、ことりちゃんがいて・・・・

 

 

放送室には、弘君、ヒデコちゃん、フミコちゃん、ミカちゃんがいて・・・・

 

 

そして、ここに・・・・

 

 

 

 

 

 

蒼君がいるんだ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

誰もいないんじゃない。

 

 

仲間がここにいるんだ!

 

 

 

 

 

私がみんなを信じないでどうするの?ここまで支えてくれたみんなに感謝しないと!!

 

 

 

 

 

 

「やるよ!蒼君!!」

「穂乃果!」

「穂乃果ちゃん!」

「ここにいるのは私たち3人じゃない、みんながいるんだ!ここにいるみんなが今日の私たちμ’sのファーストライブの観客だよ!!そんなみんなのために!!私、全力でやりきるよ!!!」

 

 

 

 

 

〈・・・ジジジ・・・ジジジジジ・・・・・〉

 

 

 

 

 

「そうか・・・わかった・・・」

 

 

 

 

そう言うと、蒼君は立ち上がって後ろに向かって歩いていった。そして・・・・

 

 

 

 

 

 

「穂乃果、お前は俺たちだけが観客だって言ったな?いや、そいつは違うね」

「えっ?」

 

 

 

私は蒼君の行動とその言葉の意味が分からなかった。だけど、その意味がすぐにわかった・・・

 

 

 

中扉の前に立ち、取っ手に手をかけた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「観客は・・・ここにいるぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼君は力一杯にその扉を全開にした。

 

 

すると、そこから出てきたのは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ジジジジジジ・・・・ジジジジジジジジ・・・・〉

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ?宗方さん?ライブは・・・?」

 

 

 

メガネをかけた小柄な1年生だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、花陽ちゃん。ちょうど今から始まるところなんだよ」

「そ、そうなんですか!!よ、よかったぁ~間に合って・・・」

「それじゃあ、好きなところに行って見てね。今日はキミだけの貸し切りライブだよ」

「ええええ!!!わ、私のために!!!うれしいです!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちのライブをそこまで期待してくれたんだ・・・!

 

 

 

 

やらなきゃ!あの子のためにも最高のライブを!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未ちゃん!ことりちゃん!始めるよ!」

「はい!!!」

「うん!!!」

 

 

 

 

 

 

始めよう・・・・私たちの始まりを・・・・・!!!

 

 

 

 

 

 

 

〈ジジ・・・ザ、ザ―――――――――――――――――――――――!!!!!!!!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『START:DASH!!』

 

 

 

 

(~~~♪~~~♪~~~~~~~♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

 

 

(~~~♪~~~♪~~~~♪・・・・・・)

 

 

 

(パチパチパチパチパチ・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

「・・・どうやら、無事終わったみたいだな・・・」

 

 

 

中扉を開けて、花陽ちゃんを中に入れた後、俺は舞台の横に入って穂乃果たちのライブの様子を見ていた。ライブが始まってから凛ちゃんや真姫、島田、そして、遠くで見にくかったが2人が入っていったのが確認できた。観客は俺を合わせて11人ってとこかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いや、12人か・・・・

 

 

携帯を取り出して、さっき来たメールを見直す。

 

 

 

 

 

『そっちに急いで走っていく子がおるから、なんとかしてなぁ~☆』

 

 

 

 

 

送り主は、希だ。

 

 

 

このメールが来なかったらどうしようかと思ったわ・・・しかし、本当にいいタイミングで来てくれたなぁ・・・何故、わかったし?アイツの言う、スピリチュアルパワーってやつなのか?・・・わからん。

 

 

 

ともかく、成功したんだから問題は無いな。さて、片づけをしますか・・・・ん?

 

 

 

 

 

穂乃果が誰かと話している?誰だ?

 

 

 

 

「・・・・これ以上続けても意味があるとは思えないけど?」

「やりたいからです!今、私もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。きっと、海未ちゃんもことりちゃんも・・・こんな気持ち初めてなんです!やって良かったって、本気で思えたんです!今はこの気持ちを信じたい・・・このまま誰も見向きもしてくれないのかもしれない・・・応援なんて全然もらえないもしれない・・・でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい。今、私たちがここにいる、この思いを!

いつか・・・いつか私たち必ず・・・ここを満員にして見せます!!!」

 

 

 

ほぉぉぉ・・・穂乃果がこんなこと言うなんてな、このライブで一皮むけたのかな?というより、ここまで大きく成長するとは思わなかったな・・・・

 

 

 

・・・懐かしいな・・・・この気持ち・・・・いつだったかな、俺たちの始まりは・・・・

 

 

 

 

 

そう言えば、穂乃果が話している相手は誰なんだろうか?客席の方に戻るか・・・

 

 

一番前の座席近くに来てみて、その相手を見る・・・・・

 

 

「・・・そう、なら頑張りなさい・・・」

 

 

「ッ!!」

 

 

 

俺はその子に見覚えがあった。

その容姿は、金髪でポニーテールの日本人離れした白人よりで、背丈もしっかりと伸びていて高め。きりっとした目つきと、遠くまで響くその甲高い声の持ち主は・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「絢瀬・・・か・・・?」

 

 

その言葉に反応するかのように、こちらを振り返って言った。

 

 

「宗方・・・・先輩・・・・!?」

 

 

 

その時、確信をした。

 

 

この子は・・・・

 

 

 

絢瀬 絵里。

 

 

 

俺の小学校、中学校時代の後輩だ・・・!

 

 

 

(次回へ続く)

 





どーも、、、うp主です。


はぁぁぁぁぁ・・・・・ようやく終わったぁぁぁぁ・・・・・


長かったなぁ・・・1クール分使ってこの原作進行、長い!!!
自分で言うのもなんだが、長すぎる!(笑)


あぁ・・・疲れた。でも、次の話を書かなきゃ・・・(使命感)




これ以降は一応、原作通りに行こうかと思いますが、また、ひねくれを起こしてオリジナル要素を点在させてしまうかもしれませんが、どうぞ、よろしくお願いいたします。




今回の曲は


島谷ひとみ/『Perseus~ペルセウス~』

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