蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

30 / 230

第28話





希望って・・・・即席で作れるモノかよ・・・・

 

【プロローグ】

 

 

「島田いるか?」

「あ、はい!あれ?宗方さんは今、宣伝をしているんじゃありませんでしたけ?何かあったんですか?」

「いや、大したことじゃない。調べてほしいものがあってな・・・その・・・俺たちがこの前ドンパチやったことなんだが・・・」

「アレ・・・ですか・・・?あれの情報ならありますけど?」

「あぁ、その情報がほしい。中でも、あの時の女子生徒のことが知りたいんだ」

「なるほど・・・・了解で~す♪・・・・っと!これです、これです!」

「あぁ、この子たちだ。名前は・・・・小泉 花陽と星空 凛・・・か」

「ふふ~ん♪宗方さん、誘うなら花陽ちゃんがいいですよ~♪」

「ほぉ、何故?」

「実はですね・・・・・―――――――なんですよ」

「なるほど。わかった、そうさせてもらうわ」

「はいは~い♪それじゃあ、宣伝頑張ってくださいねぇ~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「さて・・・蒼一はどこだぁ?」

 

 

時刻は16時半近くを回っているな。俺の持つ情報によれば・・・・授業も終わり、部活動をする生徒以外はこの時間帯にはほとんど下校している、とあるな。となると、現在の正門付近というと・・・・

 

 

 

「うほぉ!!たくさんの女の子たちがいるじゃんよ!!」

 

 

んん!ビンゴだねぇ!!!俺もあの中へ、ダーイブした~い!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

・・・・って、そんなことをするんじゃないんだった。

 

 

落ち着け・・・落ち着くんだ・・・俺の・・・・俺の欲望!!!

 

 

 

 

「あっ!」

 

 

よく見たら、校門近く木の下にアイツがいるじゃん!!

 

 

「よお、兄弟!!元気にやってるか~い?」

「なんだ、明弘か・・・その様子から察するに講堂の方は終わったんだな?」

「おうよ!後はヒデコちゃんたちが何とかやってくれるそうだとよ。そっちも順調ってとこか?」

「まあ・・・そんな感じかな?ことりが作ってくれたチラシをほとんど配り終えたところさ」

「へぇ~チラシねぇ。準備がいいんだな」

「まったくだ。今、残りのビラは穂乃果たちに任せているのさ」

「ほぉ!てことは、蒼一も見れたんだな~ライブ衣装?」

「いや、それが見れてねぇ。俺はずっとここにいたし、穂乃果たちは制服の状態で手伝いに来たんだから見ることは出来なかったぞ」

「そうかぁ~・・・それじゃあ、明日のお楽しみってことだな」

「だな」

 

 

 

そう考えるともう明日なんだなぁ~ライブ。この数週間、アイツらは俺の練習メニューをきちんとこなしてきたし、実力も付いてきている。まさかねぇ、本当に迎えられるとは思っても無かったんだけどねぇ~。これもいわゆる、愛の力ってやつか?

・・・・ん~、違うな。しっくりとこない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、明弘」

「ん?どうした、蒼一?」

 

 

やけに深刻そうな顔をしてんなぁ?なんだ、何かあったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直に聞きたい。・・・・お前、明日のライブは成功すると思うか?」

 

 

 

 

 

 

 

「は?・・・・・」

 

 

な、何を言っているんだぁ???

それを今、このタイミングでいうのかぁ?!この前、いけるんじゃないかって話したばかりじゃねぇか!それを何故ここで盛り返す!?

 

 

 

「お前が言わんとしていることはわかる。だが、このタイミングだからこそ聞きたいんだ。これはアイツらのため、今後のため、そして、俺たちのためでもあるんだ・・・」

「・・・・・・・」

 

 

 

・・・・と、言われてもなぁ・・・言っちゃってもいいんだよな?

 

 

 

 

「それじゃあ、言うぜ?」

「ああ、頼む」

「これまで俺たちが経験してきたことを総合的にまとめて考えると・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・結論からして、無理だな。」

 

 

「・・・ほお、その心は?」

「だってよぉ、よ~く、考えてもみろ。活動を始めて、たった数週間だぜ?素人がそんな簡単に上手くなれるはずなんてねぇ、無茶ぶりに近いぜ!」

「ふむふむ・・・」

「正直、俺だったらそんな無茶はしないで、ちゃんと実力を持ってからやるようにするな・・・・というのが、俺の感想さ」

 

 

 

あ~、言いたいことを全部ぶちまけたって感じがする~・・・・こりゃ、なんか言われそうな気がするなぁ~。実質、俺は蒼一にくっついてきたような輩だし、こんなにボロクソ言えるような立場じゃあないんだけど・・・・どうなんだろ?

 

 

「なるほど、お前の言いたいことはよくわかった。それじゃあ、俺も言うぞ・・・」

 

 

ほらぁ・・・なんか言うんだってよ。なにを言われるのやら・・・おぉ、こえぇ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・正直、俺も無理だと考えている・・・・」

 

 

・・・・は?えっ、何を言っているんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・だが、希望もある」

 

「・・・!!」

 

 

なん・・・だと・・・!?無理はあるが希望がある?そ、そりゃあ一体どういうことだってばよ!!

 

 

「明弘、この前にも言ったようにアイツらのパフォーマンスは即興で作り上げた感じがあることは否めない。だが、いくら完成度が高くても披露するヤツがポンコツじゃあ、本番で上手く出来ずに失敗に終わる。どっちもどっちって感じさ」

「それじゃあ、無理だって言ったのは!」

「人が集まらない、つまり、ライブ自体が成り立たないということさ」

「・・・・ああ!!そういうことか!!」

「そういうことさ。さっき、お前が指摘してくれた事ってのは、今の1年生はともかく、2,3年生はなんとなく理解していると思う。穂乃果たちのことや俺たちのこと、練習状況を見て判断しているのだろうな。チラシを配ってもそれをチラッと見ただけで片付ける子が多かった。つまり、この学校のアイドル活動には興味がありませんが、頑張ってください!影ながら応援させていただきます!とでも言うのが一般からの感想なんだろうな」

「そうなると、あの講堂には俺たちとヒデコちゃんたちしかいないってことになるのか?」

「そう、そこが問題なのだ・・・今後のことを考える上で、どうしても俺たち以外の観客が必要なのだ。たった1人だけでもいればモチベーションも変わるだろうよ」

「だが、この学院には来てくれるヤツはいないだろ?」

「ところがどっこい。それがそうでもないんだよなぁ~」

「どういうことだ?」

「どうやらこの学院の生徒に興味を示してくれる人がいるようだ。しかも、()()()()()()()()()()()

「それってのは、一体誰のことを?・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの!・・・・宗方・・・さん・・・!・・・滝・・・・さん・・・!」

 

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

 

 

 

突然、俺たちの会話にとある生徒が入り込んできた。しかし、この声はどこかで聞いたことがあるような?はて・・・?誰だっけ?

 

 

思考を巡らせながらその声の主の方に体を向ける。すると、そこに立っていたのは・・・・・

 

 

 

「こ、この前は・・・あ、ありがとうございました・・・!」

 

 

 

 

 

あの時、アキバで助けた女子生徒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、小泉 花陽ちゃん。その後は変なヤツに声を掛けられなかったかい?」

「は、はい!・・・宗方さん、私の名前・・・知っていたんですか・・・?」

「まあね。とは言っても、分かったのはついさっきなんだけどね」

「そう・・・だったんですか。でも、覚えていてくれてうれしいです・・・!」

「そりゃあ、助けた子のことくらい覚えているのは当然のことさ」

 

 

 

う~む・・・蒼一とあの子が楽しそうに話している・・・・・

 

 

 

 

 

う~~~~ら~~~~~や~~~~ま~~~~しぃ~~~~!!!!

 

 

俺もおにゃの子と話したいぃ~~~~!!!

 

 

 

 

「・・・蒼一さんは今、何をやっているんですか?」

「あぁ、チラシを配っているのさ。・・・・これをね」

「これは?・・・・えっ!ウチの学校でライブが行われるんですか!!!?」

 

 

 

 

うぉ!?物静かな少女が急に情熱的になっているぞ!?こ、これはいかに・・・!?

 

 

 

 

「ふふふ、アイドル好きな花陽ちゃんならそう言う反応をすると思ったよ。そうさ、俺と明弘が指導したグループが、明日、講堂で行われるんだ。出来ることなら見に来てほしいのだけど・・・どうかな?」

「私のこと知っているんですか!?もちろんです!!友達と一緒に行かせていただきます!!」

「そいつはありがたい!友達というと・・・・あの時一緒にいた、星空 凛ちゃんのことかな?」

「はい、そうです!凛ちゃんのことも知っていたんですね!!」

「まあね~☆ それじゃあ、明日、待っているぜ?」

「はい!それじゃあ、また明日!!」

 

 

 

 

 

そう言って、チラシを握り締めて正門をくぐって帰っていった。

 

 

 

しかし、驚いたなぁ。人見知りで内気な性格の子かと思ったが、急にグイグイ前に出るんだもんな!おもしろいもんだなぁ~。

 

 

 

 

 

「明弘、さっきの話に戻るぞ?」

「ん?」

「俺が無理だと感じた理由というのはさっき言ったとおりだ。そして、もう一つの希望というのは・・・花陽ちゃんだ」

「はい???」

 

 

 

一人の少女に一体何ができると言うんだ?

 

 

蒼一が何を言っているのかが、一瞬、分からなかった。

 

 

 

 

だが、蒼一がさっき言っていた言葉を思い返してみると理解ができた。

 

 

『・・・たった1人だけでもいればモチベーションも変わる・・・』

 

 

というのは、逆にいえばその一人のためにライブを行うことにもなると言うことだ。しかも、それが穂乃果たちの知らない赤の他人だったら気合の入れようも違ってくるだろう。やりきった時の達成感も違ってくるだろう。初めにそういう現実を与えながらも、観客に見せる時の喜びを抱かせるようにする・・・・無茶なやり方だが、それがいいのだろう。

 

 

 

 

「花陽ちゃんに全てがかかっている、とでもいいたい感じだな?」

「アイツらを向上させるために、ありとあらゆる可能性を使っていく。責任を押し付けるような感じで少し引け目になるが、期待するしかない」

 

 

 

 

時々、冷静に淡々と話す蒼一が非情に思えてくることがある。

 

 

 

だが、本気でそう話しているわけではない、大局を見据えた上での発言である故に出てくる言葉だ。蒼一の中ではすでにこの先見える最高のシナリオと最悪のシナリオのどちらをも想定しているところだろう・・・ 生憎、俺にはそういう先を見据えることなんて出来やしねぇ・・・俺はそれを支え、見守ることぐらいしかできねぇからな・・・

 

 

 

 

「・・・そうなると、ダメになった時はどうするんだ?生憎、俺にはフォローする勇気なんて持ち合わせちゃあいないぞ?」

「その時は・・・・俺に任せろ。何とかしてやるさ」

「ふっ、蒼一らしいな。じゃあ、そん時には任せるぜ?」

「ああ、任せとけ。だから心配せずにお前の務めを果たしてくれ」

 

 

 

 

まったく、こういうことを平気で言っちまうなんてよ・・・やっぱ、すげぇーよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼く~ん!!配り終わったよ~!!!」

「お~!!そんじゃあ、帰るか!!」

「うん!早く行こうよ!」

 

 

どうやら、穂乃果たちのチラシ配りも終わったようだ。

 

 

これで準備が整ったってわけか・・・はてさて、どうなることやら?

 

 

 

 

(次回へ続く)

 

 

 





どーも、うp主です。


ようやくですよ、ここまで来たの!!
やっと、次からライブの話ができる!!うれしぃ~~!!!


勝手ながらも、かよちんをキーマン?にさせてもらってます。
ファイトだよ!かよちん!!


多分、高確率で「ダレカタスケテー」と叫んでいることでしょう。



まあ、なんやかんやでここまで来ました。
これからが本当のスタートラインです。読者のみなさん、頑張ってください!(無責任)



今回の曲は

こんな無責任なうp主つながりで・・・


TVアニメ『無責任艦長タイラー』より

佐々木真里/『just think of tomorrow』


更新速度は早い方が助かりますか?

  • ちょうどいい
  • もっと早くっ!
  • 遅くても問題ない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。