蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第22話





【希 生誕祭】その花びらは誰がために

【前回までのあらs・・・ちょっと、まったあああ!!!!!!!!

 

主「あれぇぇぇぇぇぇ!!!!!;;;;;」

 

 

 

ふっふっふ・・・・今日はウチがここを支配させてもらうで!!!

 

 

主「あ、アイエエエエ!!!希=サン!!!ナンデェェェェェ!!???」

 

 

ウチが来たからにはもう安心やで!!

 

 

 

 

さあ!!終わらないパーティーをはじめようやん♡

 

 

 

 

真姫「それ私のセリフ!!!」

 

主「諦めが肝心だぜ、真姫ちゃん」

 

真姫「イミワカンナイ!!!!!!!」

 

 

 

 

よしいくでぇ~~~・・・レッツゴ―――!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼一「ゔゔゔっ!!??い、いま悪寒が走ったような?!」

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

 

「はあ?!なんだってぇ!!!???」

『せやから、10時にアキバ駅前に集合やって言うとるやろ!』

「だぁ~かぁ~らぁ~!!!どうして、今日行かねばならんのだよ!!!」

『ウチが誘っとるんよ!来ない気なんか!?』

「行かないと言っていない!!ただなぁ・・・・」

『ただ・・・?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝5時に連絡する内容じゃねぇぞ!!!!」

 

 

 

『・・・・・・』

「って、おい」

『それじゃあ、10時に待っとるからなぁ~♪(ガチャ)』

「ぅおおおおおおおおおおおおいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

朝っぱらから脳内から家中にまで響き渡る、とんでもねぇモーニングコールであった。

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「お待たせ~♪待った~?」

「いいや、別に・・・・」

 

 

AM10:00ぴったりにアキバ駅前広場に登場してきた今日のメインヒロイン・東條 希さんはなんとも御機嫌がよいご様子ですこと。ちなみに、俺は30分以上も前からここで待っていたんですけどね!!! 

 

 

読者諸君、特に男性読者にはよ~~~く覚えておいてほしい。

 

 

彼女を待つ時は集合時刻の1時間前から30分以上前には到着しておくことが必要だからな!!これ鉄則!遅れてくると面倒な事になったり、本日のデートは失敗に終わってしまうこともあるから気を付けるんだぞ!

 

 

 

「蒼一、何しとんの?」

「いいや、別にぃ~。それで今日はどこに行こうっていうんだ?」

「ふふ~ん、それは行ってからのお楽しみ♪」

「そうですかい・・・・」

 

 

 

希よ、テンションがいつもよりか高くなっているのは俺の気のせいか?俺はかなり低いのだが・・・・

 

 

 

こんな感じで始まろうとするこのハチャメチャ待ったなし!のお出かけは一体どうなってしまうのだろうか・・・・・

 

 

 

ちなみに、うp主も分からないそうだ。

 

 

 

「ぅおい!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

 

「うわ~きれいやなぁ~」

「へぇ~アキバにこんな場所があったのか」

 

 

まず初めに訪れたのはガラス細工が数多く並ぶ店だ。食器や蛍光カバーなどの日用品から動物や不思議な模様といったアクセサリーや小物など数多くの種類が置いてある場所だった。

 

どれもこれもめずらしいものでここにあるものすべてが手作りだという。職人の技恐るべし!!

 

 

 

「蒼一!こんなんどう?」

 

 

希が見せてきたのは、かわいい猫の置物だった。色はブルーで手のひらサイズの大きさなため持ち運びがしやすそうだ。

 

 

「これが欲しいのか?」

「うん・・・・だめかなぁ?」

 

 

 

 

【希が物欲しそうな顔をしてこちらを見ています。どうしますか?】

 

 

何、この唐突過ぎるRPG形式!?やれと?やれと言うんだな!!

 

 

 

 

 

【購入する】【仕方ない、俺が払ってやんよ!】【みんなには内緒だよ?】

 

 

 

クソゲー決定待ったなしの絶望的選択肢!!買うという言葉の言い方をいろんな形で変えただけじゃねぇか!!!拒否権くらいつけろ!!!

 

 

・・・しょうが無いので、【仕方ない、俺が払ってやんよ!】で・・・・

 

 

 

「仕方ない、俺が払ってやんよ!」

「ホント!!ありがとう!!!」

 

 

 

はっはっは!希は大喜びだぞ!!さあ、これをレジに持っていこうじゃないか!!

 

 

 

 

 

 

「1500円になります」

「・・・・・・はい・・・・」

 

 

(チーン¥)

 

 

・・・・甘かった・・・・小さいからって油断してた・・・!!意外といい値段するのね、コレ・・・・

 

 

 

早速、買った猫を希に手渡す。

 

 

「ほら、お前のだ」

「うわぁ~、蒼一ありがとう!!!」

「いいってことよ、いいって・・・・」

 

 

 

こりゃあ、今日の浪費はヤバイことになりそうかも・・・・死ぬな、コレ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・アレを買うためのお金あるかなぁ?

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

「蒼一!見て見て!!これ!!」

 

 

希が指をさしている方向を見てみると、そこにあったのは色鮮やかな服がたくさん並んでいた。どれも派手な色ばかりを使ってはいるが、どれもいいセンスだ!

 

 

「こういうものとかいいんじゃないのか?」

 

 

着合わせてみると、肩から首まわりまでが露出されていて割と涼しげな恰好のものを希に見せてみた。

 

 

「これええなぁ!ちょっと着てくるね!」

 

 

そういうと店の奥の方にあった更衣室に向かって行った。

さて、俺はその他に何があるのか見てみるか。今後の衣装決めにいい参考になるかもしれないし・・・・・

 

 

 

 

「着替えたで!!」

「早っ!!!」

 

 

マジかよ!ちょっと早すぎはしませんか?

 

 

「どう、蒼一?似おうとるかなぁ?」

 

 

うむ!俺の予想通りの感じになってすばらしい!!肩と首まわりが出ていることで少し大人らしい演出をしてみようかとしてみたら大当たり!!これはいい絵になりますなぁ~

 

 

「いい感じじゃないか!色も今の季節に合っているから、よりきれいに見えてくるぜ!」

「き、きれいって・・・・そんな・・・恥ずかしいわ・・・・」

「次着てみるかい?インに色の濃い半袖服と素材も色も薄めの羽織り物、そしてスカート!!この三点でいってみようか!!!」

「ちょっ!蒼一、テンションが上がり過ぎとちゃうかい?」

「ぶっちゃければ、こっちが本来の俺だよ!!さあ、さあ、さあ!着て見ようじゃないの!!」

「ふ、ふぇ~~~ん・・・・」

 

 

結局、その後も俺が選んだセットをいくつか着ることとなる。また、1セットだけを購入した。

 

 

 

もちろん、俺払いでな!!!(さらば、諭吉さん・・・・)

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「そろそろお昼にするか」

「せやねぇ、ウチはもうおなかペコペコやで・・・・」

 

 

 

腕時計の針が12時を回り始めてきたこともあり、そろそろここら辺で食事でもするか・・・・さて、どこに行ってみようかな?

 

 

「蒼一!これこれ!」

「ん?」

 

 

 

希が示したのは屋台めしの看板だった。

 

 

 

「え~っと、『今日は全国各地の名産品を楽しめる屋台メシフェスタです。せひ、楽しんで食べてみてください!』だってさ」

「うわぁ~夢見たいや!ここにいるだけで日本一周ができるみたいやん!!」

「ははは、そうかもな。それじゃあ、行ってみるか」

「うん♪」

 

 

アキバの某広場に広がっている様々な屋台をいろいろめぐり歩くことにした。北海道に福島、新潟に広島、沖縄まであるのか・・・・どれもこれも美味しそうだな・・・・・・

 

 

「蒼一!これこれ!ウチ、これが食べてみたいんよ!」

「山梨の鳥モツ煮丼か!いいな、それ!買ってみるか!」

「うん!小さいサイズも売ってんよ、こっちを買おうか!」

「100円でお椀サイズというのはお得すぎるだろ・・・・」

 

 

砂糖と醤油のみで作り上げられたタレがいい味を引き出していてご飯にあう!うぉん!箸がすすむぞ!!

 

 

 

「お次は明石焼きか!ダシに浸して食べるこのタコ焼きはたまらんのだよ!」

「はふ、はふ・・・うぅんんん!!おいしいなぁ~」

 

「佐世保バーガー!この肉厚がたまらん!!」

「卵入りもなかなかええやん!くせになりそう♪」

 

「ヨーグルッペ?!・・・そういうものもあるのか・・・・」

「飲むヨーグルトとは少し違うんやね、舌触りがええなぁ~」

 

「お次は・・・・」

「う~ん、たまらないわ・・・・・」

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

「ふう、いっぱい食べたなあ~」

「不思議だ・・・1000円くらいしか払っていないのに、こんなに満足するなんて・・・ヤバイな・・・」

 

 

お互いのお腹が満たされたところで次に行こう・・・・と、その前に・・・・

 

 

 

「飲み物でも買ってこようか?」

「せやね、頼むわ~」

 

 

 

結構、味の濃いものを食べたからな。飲み物で口の中をスッキリさせるか。

どれにしようかな?希は・・・・三ツ矢で・・・・俺は・・・・お茶でいっか。

 

自販機にお金を投入し、お互いの飲み物を購入した。

 

 

 

「ほい、三ツ矢」

「わぁ~ありがとな!ウチの好きなもの覚えとったんやね!」

「どれくらい一緒にいるんだよ、好きな飲み物くらいはわかるぞ」

「ふふふ、それはおおきにな♪」

 

 

 

キャップを開き、お茶を体内に入れる。ん、んぐ、んぐ・・・ふぅぅぅ・・・・やはり、お茶はいい。体を内からスッキリさせてくれるよ、流石だね。

 

 

 

「・・・・んぐ・・・んぐ・・・・・・ぐふっ!ゴハッ!ゴハッ!!」

「!!!お、おい、希!!大丈夫か!?」

「ゴホッ、ゴホッ・・・・ハァ・・・ハァ・・・・あかん、しんどかったわ・・・・」

「全く何やってんだよ、炭酸を奥まで流し過ぎたんだろ?それでむせちまったんだろ」

「う、うん・・・・ごめんな、蒼一・・・・」

「いいんだよ、そんなのは後でもいいだろ?ほら、タオルで濡れたところを拭いてきれいにするぞ」

 

 

 

幸いにも服自体に対した汚れは無かったし、このまま行動するのにも支障はない状態だった。あとは、何が問題かな・・・・

 

 

 

「あっ・・・・!三ツ矢・・・・」

 

 

 

むせた時に手から放してしまったんだな。あぁあぁぁ・・・もう残って無いのに等しいな。

 

 

「三ツ矢・・・・」

 

 

 

希はひどく落ち込んでしまったようだ。めちゃくちゃ好きなんだもんな三ツ矢・・・・・

 

 

 

「ほらよ」

「えっ?」

「三ツ矢じゃねぇけど、今はこれで我慢してくれないか?」

 

 

 

そう言って手渡したのは、俺の飲みかけのお茶だ。量的には十分あるから問題は無いかな?

 

 

「ええの?」

「心配すんな、俺は少し飲んどけばへっちゃらさ」

「そうなん・・・・(蒼一の飲みかけ・・・・)(ゴクッ」

「早く飲んでおけよ、これから暑くなりそうだし水分補給はしっかりしないと」

「えっ!あっ、うん、わかっとる。今飲むな」

 

 

 

希はキャップを開けて飲もうと口を近づける・・・・だが、飲もうとしない。

 

 

「お茶は嫌だったか?」

「ひやぁ!!え、いや大丈夫よ。ちゃんと飲めるで」

「ん、そうか、わかった」

 

 

「(これはアレやん、間接キスやろこれ・・・・うわぁ~・・・どないしよ、緊張してきたぁ・・・・ゴクッ・・・蒼一の・・・・お茶・・・・!!)」

 

 

「ゴクッ・・・ゴクッ・・・・ふぅ・・・・」

 

 

希もちゃんと飲んでいるようだし大丈夫だな。

 

 

 

「希、行くぞ?」

「ふぇ?!う、うん、ちょっと待っててー!」

 

 

 

だが、待てんな。さあ、次はどこに行こうかな?

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

「おっ!ゲーセンか・・・・何かあるかな?」

 

 

アキバと言えば、ゲームセンターが盛り沢山で有名な場所でもある。セガやタイトーなどの大手から自営業のところまで盛り沢山なのでこれらを巡るだけでも半日は過ごせるかもしれないのだ。

 

 

「おおお!!柴犬のぬいぐるみじゃないか!!!」

 

 

両腕で抱えるくらいの大きさで触り心地も抜群なこのぬいぐるみはどの店に行っても売り切れてしまう。ここにあるのはホントに奇跡みたいなものだった。一方、希はと言うと・・・・

 

 

 

「じぃーーーー・・・・・」

 

 

 

絶賛、その柴犬を見ているところです。どうやらお気に召したご様子で・・・・一つとってやるか・・・・

 

 

 

(チャリ~ン)

 

 

3本掴みのクレーンは大体はランダムで掴みの威力が変わってくる。初めはどうかな・・・・?

 

 

(ガシッ!・・・・・ボトッ!)

 

 

 

ありゃま、そんなに力は無かったか・・・・でも、出口の隣に置けたのは大きいぞ!次の一手で決めてやる!

 

 

(チャリ~ン)

 

 

持ち上げた時の揺れのことも計算に入れて・・・・・掴む!

 

 

(ガシッ!・・・・・ボトンッ!!)

 

 

「よしっ!!」

「やったぁ!!」

 

 

成功だ!まずは一匹目だ。さて、もう一匹も同じように確保しますか・・・・

 

 

(チャリ~ン)

 

 

コツは掴んだからな、これでいけるかな?

 

 

(ガシッ!!)

 

 

うおっ!掴みが強い!!もしかすると、もしかするのでは?!

 

 

(・・・・ボトンッ!!)

 

 

「よっしゃあ!!」

「やったあ!もう一匹やん!」

 

 

おおお!!掴みMAXだったか!!うんうん、まさにこれが確立機よ!一発で取れるとは思ってなかったぜ!

 

 

 

落ちた景品を取り、一つは希に、もう一つは俺が持つことになった。

 

 

 

「貰っちゃってええの?」

「だって、欲しかったんだろ?顔に出ていたぜ」

「う~・・・・ありがとう」

 

 

 

希はうれしそうに柴犬を抱えていた。 持ち運ぶときはちゃんと袋に入れておこうな。

 

 

 

 

「・・・・あっ!」

 

 

 

ゲーセンの隣に例のモノを頼んでおいた店があった。ちょうどいいかも、もうモノを取りに行くか。

 

 

希が他の景品に夢中になっているすきに店の中に入る。そして、例のモノをお願いする・・・・

 

 

「アレをお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

 

夕方になり、時刻も5時くらいになろうとしていた。俺たちはアキバからの帰路に立っていた。

 

 

 

「う~~~ん!!今日は本当に楽しかったなあ!!!」

「ああ、そうだな。おかげでいいものが手に入った!」

 

 

あの後、いろいろなところを練り歩き、またしても買い物や食べ歩きなどをしていた。おかげで財布の中身が空っぽになっちまったんだけどな・・・・サンキュ、諭吉!バイバイ、諭吉・・・・

 

 

 

「今日はホントありがとな。ウチの我がままに付き合わせてすまんかったなぁ」

「とんでもねぇ、こっちも十分楽しんだし、今日は誘ってくれてありがとな」

「えへへ、どういたしまして♪」

 

 

 

満面の笑みで返事をする希はとても輝いて見えた。

 

 

 

 

 

「あっ!明神さんに行ってみよか!」

「何故、いつも通っているところに今日も行くのだよ・・・・」

「ええやん、ちょっと占って行こか!」

 

 

 

ようはただ単に運試しがしたかったわけなんですね。はい、分かります。それでは行こうじゃないですか。俺たちは明神の中に入り、占いをやってみることにした。

 

 

すると・・・・

 

 

 

「おっ!大吉じゃん!!なんと、今日付いていたのはこういうことだったのか!」

 

 

 

大吉が出るなんて珍しいこともあったんだな。そのおかげか、今日はいい日になったわけだよ。・・・・希はどうだったんだろうか?

 

 

希の方を向いてみると、ひどく落ち込んで見えるようだった。何があったんだろうか?

 

 

「希?」

「・・・・蒼一ぃ・・・ウチ、大凶を引いてしもうた・・・・」

「ええっ!?」

 

 

 

めずらしいこともあったもんだな!あのスーパーラッキーガールである希がここで大凶を引いてしまうなんて、あ、ありえねぇ・・・・・

 

 

 

「ウチ、大凶を引いたのは今回が初めてなんや・・・・辛いなぁ・・・・大凶になるってこんな感じなんかぁ・・・・」

 

 

 

この落ち込みようはただものではないようだな。しゃぁない、ひとつ言ってやるか。

 

 

 

 

「希!」

「えっ・・・?」

 

 

 

 

俺は希の手を握り締めた。希は驚いた様子でこちらを見ていた。

 

 

 

「希、お前は大凶かもしれないが、俺は大吉だったんだ。この意味が分かるか?」

「なんやそれ、ウチに対して嫌がらせかいな?」

「いいや違うさ。いいか、希。大吉はな、大凶を打ち消すことができるんだよ。つまり、俺がお前と一緒にいる限り、お前が不幸になることは無いってことだよ」

「蒼一・・・!」

「残りの時間、ずっと一緒にいてやるよ」

「!!!」

 

 

 

希はとても驚いた表情をこちらに見せた。ふふっ、そりゃそうだ。ずっと隣にいるって言えば誰だって驚いてしまうものさ。まあ、そうなるように仕向けたのは俺なんだけどな。

 

 

 

「ずっと、一緒にいてくれるん?」

「ああ、今日の残りの時間はずっと一緒にいてやるよ」

「うれしい!!!ありがとな、蒼一!!!」

 

 

 

希はうれしさのあまり、俺に抱きついてきた。うおっ!!今日買った荷物やらなんやらがこちらに襲いかかって来た!!いろんな意味で息苦しいのですが!!離れてぇ!!!

 

 

 

「希!苦しい!!」

「ああ、ごめんな」

 

 

 

ふう、なんとか解放された・・・・ヤバかったな、結構絞まってたかもしれない・・・

 

 

 

 

 

 

あっ!そうだ、このタイミングなら・・・・・

 

 

 

 

「希」

「ん?何、蒼一」

 

 

 

俺は服のポケットの中に忍ばせていた例のモノを取り出した。

 

 

 

「これを希に」

「ウチに?なんやろ?開けてもええの?」

「ああ、いいぜ」

 

 

 

希はそのモノの包装を剥がしていった。そして、その中にあったモノは・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!・・・・きれい・・・・」

 

 

 

俺が希に用意したのは、花の髪留めだ。少し小さいけど、希にぴったりじゃないかって頼んでいたものだった。

 

 

 

「これ付けてもええの?」

「ああ、付けてみな」

 

 

 

早速、希は髪にそれを付けてみた。するとどうだろう、ぴったりとはまっていていい感じになっているではないか。うんうん、俺の目に狂いは無かった。

希は境内あった鏡で自分の姿を確認した。とても満足そうな顔をしていた。

 

 

 

「蒼一ありがとう!ウチのために用意してくれてたんやね!!」

「ああ、それはお前だけの髪飾りだ。世界に一つだけの髪飾りだ」

「世界に一つだけ・・・・・うれしい・・・うれしいよ、蒼一!!」

 

 

 

希はまたしても俺に抱きついてきた。よっぽどうれしかったのだろう、少し声が震えているように聞こえた。

 

 

 

 

「この花は希の誕生花であるスイートピーをモチーフにしてもらったんだ。どうだ?」

「うん・・・・うれしい、こんないいものをもらえるなんて思ってもみなかったわ・・・」

「希、お前は俺たちのグループのために名前をくれただろ?そのお返しさ」

「ふふっ・・・やっぱり、蒼一にはわかってしもうたのね・・・かなわんなぁ・・・」

 

 

 

俺と希の笑い声は境内中に響き渡っていた。

 

 

誰もいない閑散としたその場所は一瞬だけだが賑やかな空間へと変わっていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼一」

「なんだ?」

「これからもずっとそばにいてくれるん?」

「お前が希む限りずっと居続けてやるさ」

「ふふっ、ありがと。ずっと、一緒やで」

「ああ、ずっと一緒だ」

 

 

 

髪飾りに秘めたその思いは、何時しか優しい思い出として思い返されるのだろう。

 

 

そんな願い込めながら2人は歩き続けたのだった。

 

 

(次回へ続く)

 




希、誕生日おめでとう!!!!


そして、これからもよろしくな!!!!!




今回の曲は

そんな二人のためにあります。


柩(寺島拓篤)&橘(下野紘) /『一輪花』

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