はじめに………
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外がとても騒がしい―――――
その様子を見ようと、舞台袖から観客席の方を見渡す。
「おぉ………す、すごい数だ…………!」
夜の薄暗さが会場中を包んでいたが、それを上回るほどの無数のサイリュウムが夜空に瞬く星々の如く、照り輝いていた。 それらの光を1つ1つ数えていこうとしたが、途中から光が他の光と重なり合ってしまい数えられなくなってしまう。
まるで、1つの光となってしまっているかのようだった。
その光景は今までに見たこともないほどに美しく輝いていた―――――
あの光の中にどれだけの数の人々がいるのだろうか―――?
そう考えると、胸の高まりが抑えられなくなってしまう――――!!
「すぅ―――――――」
鼻から大きく息を吸うと、ふぅ……と全身の力を一緒に逃すように息を吐く。
ふっ、可笑しい話だ。 裏にいる俺がどうして緊張せねばならないのか?
考えるだけで、笑いが込み上がる。 俺が舞台に上がって歌い踊るのであれば、どうということではないのだがな…………
けれど今は、こうして裏方として働いている俺は今までにない緊張感を味わっている。 逆に、アイツらよりも俺の方が先にダウンしちゃうかもしれないな…………
「おいおい、落ち着けって、蒼一」
そう言って背中から声を掛けてくれたのは、俺の親友であり悪友でもある、明弘だ。
ニヤついた表情で俺のことをおちょくりに来たように見えるのだが、少しぎこちない。
なんだ、こいつも緊張していますって感じじゃないか。
そんな悪友の姿を見て笑みがこぼれる。
「そう言う明弘こそ、緊張してるんじゃないか?」
そう言ってやると、コイツはさらにニヤついてくる。
「なぁ~に、ソイツはお互い様ってやつだろ?」
くししし、と歯を見せながらの笑いに少し呆れてしまう。
「はぁ………まあしかし、お前と話して少し気が楽になったな」
「はっはっは!! 感謝するのだな、この俺に!!」
「だが断る…………と言いたいところだが……ありがとな」
「…………なんか、気持ちが悪いな……………」
「おいてめぇ!! 俺のささやかな親切心を返せ!!!」
「まあまあ、落ち着けって蒼一! どうどう…………」
「人を動物扱いするんじゃねェェェ!!!!」
と言った感じの三文芝居並のコントみたいなことをしてしまうわけなのだが、実際、コイツと話をしている時は、自然と緊張感が解れていくのだ。
一応、感謝はしているつもりさ。 一応な!
「もぉ~! 蒼君! 弘君! あともう少しで本番なんだよ!! こんなところでふざけないでよぉ!!」
そう言って、俺と明弘との間に割って入ってきたのは、我らが『μ’s』のリーダー様だ。
俺たちと比べたらかなり小さいヤツなのだが、これまでにあった様々な困難を乗り越えて、よくここまでたどり着いたものだ……………
俺はそんなコイツらのことを密かに尊敬していた。
「もぉ~~!! 話聞いてるのぉ~!?」
「はいはい、ちゃんと聞いてますから………」
「ホント!!?」
「うるせぇ! ちゃんと聞こえているんだから、こんな耳元近くで大声を出すんじゃない!!」
「ぶぅ~……蒼君がいけないんだよ~」
コイツは身を乗り出すように、俺の目の前にまで顔を近づけてくる。
まったく、お互いの鼻がくっ付いてしまうくらいに近づいていたじゃないか! そろそろ、女子としての恥じらいと言うヤツをだな、学んでもらいたいものだ。
「穂乃果!蒼一たちを呼んでくるのにいつまで時間をかけているのですか!?」
奥の方から清涼感あふれる澄みきった声が響いてくる。
アイツもまた、コイツと同じようなヤツだ。
ただ一つだけ違うとしたら、逆らったらちょっと怖いってところかな――――?
いや、ちょっとどころの問題ではないかもな…………
「ごめん、海未ちゃん! 今からそっちに行くからね!!!」
アイツは足早に声の下方向に向かって行ったのだった。
俺たちを置いて行ってな…………何しに来たんだよって話だよ!
「仕方ないな、俺たちもさっさと行こうじゃないか」
「そうだな、兄弟。 早くいかねぇと、ま~た怒りの鉄拳を喰らっちまうじゃんかよ!!」
互いにそう言い合いながら、俺たちは“みんな”がいるところに向かって走りだす。
そう、俺たちの―――――『μ’s』のみんながいるところに―――――――――――
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「「「「「「「「「「「μ’s!ミュージック、スタート!!!」」」」」」」」」」」
(次回から始まる―――――)
読者のみなさんはじめまして、雷電pといいます。
今回初めて、こうした形で小説を書かせていただきました。
自分の中に溜まっている妄想を吐き出すために書いているのですが、やはり、文章を作成する能力が足りないことを実感します・・・
この物語に出てくる主人公・蒼一くんはほぼ自分のようなヤツです。
彼が物語中で様々な行動するのですが、それらは過去に自分がやっていたことをそのまま行動させていたりしております。
彼の姿を見て、うp主はこんなぶっ飛んでいるやつなんだなぁ~などと思ってください。
それでは、またお会いしましょう。
《追記》
自分が作家を迎えて1周年経ちました。
それを記念するというわけではないのですが、この話をリメイクさせてもらいました。
以前のモノよりかは、読みやすくはしていますが、実際はどうなのかは自分でも分かりません。
そんな万年初心作者がお送りしますこの作品。
長い目を持ってこの物語を読んでいただきたいと思います。
それでは、次回からよろしくお願いします。
2017/04/04
雷電pより
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