蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第14話





善意とセクハラは紙一重

 

 

 

<前回までのあらすじ>

 

 

 

俺と明弘が音ノ木坂に来て、初めてのアイドル活動の練習を行いことになった。

ようやく始まったって感じか?だが、これからが問題になるんだ、気を抜くことはできねぇな。

 

よし!練習をビシッバシッ!とやっていくからそこんとこよろしく頼むぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「よぉ~し!!今日はここまでだ!!!」

 

 

 

「はい!」

「「・・・は、はぁ~~~い・・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・」」

 

 

 

 

学院内でダンスの基本ステップの踏み方と発声の練習を終えた後、その足で神田明神の男坂に行き、朝行った園田流・基礎体力向上プログラムを一通り行い終えたところだ。俺と明弘、そして海未にとっては何でもないような内容なんだが、どうも穂乃果とことりにはまだ負担が大きいように見えるな。

 

 

 

 

「お前ら大丈夫か?かなり息が上がってるぞ」

「はぁ・・・はぁ・・・えへへ、久しぶりのハードな運動だったからね。少し疲れちゃったよ・・・」

「ことりも脚が痛くて歩けないよ~・・・」

 

 

 

何?!それはまずいな、これで筋肉痛になってしまったら明日以降の練習に支障が出るな。

 

 

 

「今日の練習の疲れは今日中に取らないとな。ことり、脚を出せ」

「ふぇ?どうして?」

「脚が痛いんだろ?軽くマッサージしてやるからこっちに来な」

「ふえぇぇぇぇ?!い、いいよぉ、大丈夫だって!」

「そうもいかんだろ、それで明日、筋肉痛になっても知らないぞ。どんな状態のヤツでも俺らは躊躇なく練習させるからな」

「うー・・・・そ、それじゃあ、お願いするね」

 

 

 

ことりは諦めた様子でフラフラと覚束ない足取りでこっちにやってきた。

まあ、俺は本気で状態の悪いヤツを練習させるつもりはねぇがな。これもことりの為だ、我慢してくれよ。

 

 

 

「基本的に背中とふくらはぎ、そして足の裏の3ヶ所の筋肉を揉みほぐすからな。ここの階段に座って、靴は脱いでおけよ」

「う、うん」

 

 

 

ことりは俺の言うとおりに階段に座り、靴を脱いだ。

 

 

 

「それじゃあ、始めるぞ」

「う、うん。・・・や、やさしくね・・・?」

 

 

 

うん、それは保障できんわ。

筋肉の緊張をほぐすだけじゃなく、ツボも押すから場所によっては痛みを感じるかもよ?

 

 

 

「まずは肩から背中な」

 

 

 

肩に両手を置いて、緊張している部分を探し出す。ちょうど、肩から背骨に沿った僧帽筋が緊張しているようだ。まずはここからだな。

 

 

 

ここをさするように撫でて・・・・・・

 

 

 

 

 

「ん・・・・!」

 

 

 

 

 

反応あり、ここが痛むのか。こういうのはあまり強く揉まないでさすって解していくのが上策だな。筋肉があるところに沿ってさすっていく・・・・

 

 

 

 

 

「ん・・・!!」

 

 

 

 

ことりの体に触れて改めて思うが、俺と比べたら本当に体が小さいんだな。ずっと一緒にいて気付かなかったが、こんな小さな体で学院の廃校を阻止しようと活動をし始めるという大事をやろうとしているんだよな・・・穂乃果や海未と共に、学院にいる生徒たちの思いを受け止めて活動しようとしている、昔と比べて、ことりも大きく変わったんだな・・・

 

 

 

 

 

 

 

「んん・・・・!!」

 

 

 

・・・・なんか、変な気分になるな・・・・

さっきからさすっていると、何度もことりの口から甘い声が出てくるのだが・・・・

 

 

 

「んんん・・・!!」

 

 

 

ほらまたぁ・・・・痛くて我慢しているのなら痛いと言えばいいのに、中途半端に我慢してしまうと逆に悪くなっちゃうんだよなぁ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・よし、上半身はいいな!

 

 

 

「次は、ふくらはぎのところをやるぞ」

「ふぁ・・・ふぁ~~い・・・」

 

 

 

そんなに痛かったのか?それじゃあ、こっちはもう少し力を弱めるか・・・・

 

 

ことりのふくらはぎに手を触れる・・・・

 

 

 

 

「ひゃあ!!」

「えっ!?どうした?!痛かったか!?」

「い、いやそうじゃなくて、蒼くんに触れられて少しびっくりしただけだよ・・・」

「そ、それならいいんだが・・・」

 

 

 

 

・・・気を取り直そう。

ふくらはぎに手を置き、さする・・・・

 

 

 

「あっ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・なんか、さっきより悪化してない?

なんというか・・・・そう、いやらしい声になってんだけど・・・・

 

 

 

 

・・・いかんいかん、ほぐすことに集中だ。ふくらはぎにある筋肉の下腿三頭筋を上下にさすり・・・・・

 

 

 

 

「あっ・・・」

 

 

 

 

横にさすりながら上下させて・・・・

 

 

 

 

「ああっ・・・・」

 

 

 

 

 

そして、下腿三頭筋を揉む・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ああんっ・・・・♡」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

「・・・・これで終わりにしようか」

「えっ!まだ、足の裏があるんじゃないの?」

「ほぐしている最中に何度もそんないやらしい声を聞いていたらためらうだろ・・・」

「だって、気持ちいいんだもん~。蒼く~ん、もっとやってぇ~」

「やったらやったで、またいやらしい声を出すんだろ!仮にもここは神聖なる神社前だぞ!そんなところでそんな声をまた出してみろ、ここの関係者に怒られるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうやでぇ~、こんなところで何やらしいことしとんのかなぁ~蒼一?」

 

 

「げ!の、希!!」

 

 

 

あ、ありゃりゃりゃ!?の、希・・・さん?い、いやぁ~気付かなかったわ・・・・

まさか、今日もここで働いていたなんてなぁ~・・・

そして・・・・う、う~ん・・・・その笑顔が怖いのですが・・・・

 

 

 

 

「あっ!副会長さん!!」

「こんにちは、ことりちゃん。久しぶりやね」

「あっ、はい!さっきはどうも」

 

 

「ことりは希のことを知っているのか?」

「うん。さっき穂乃果ちゃんたちと一緒にこの活動についての説明で生徒会に呼ばれて・・・」

「そういうことや。ウチら生徒会は理事長から連絡を受けてなぁ、蒼一たちがしとるアイドル活動を同好会レベルで認めるようにって言われてな、それでことりちゃんたちを呼んで活動についての説明をしたんよ」

「あぁ、そういうことなのね」

 

 

「・・・ところで、蒼一。ちょ~っと来てもらえへんかなぁ?」

「あははは・・・・今じゃなきゃだめ?」

「だぁ~め♡」

「拒否権は?」

「そなもんあらへんよ・・・・返事は?」

「い、イェア・・・・」

 

 

 

あ、あう・・・これ怒ってますよね、マジで怒ってらっしゃいますよね!?

 

 

 

「ことりちゃん、蒼一をすこ~し、貸してもらうで」

「あ、はい・・・」

 

 

 

ことりも希の表情を見て何かを感じ取ったのだろう。さっきとは打って変わってすんごく固まってるのが分かるぞ。分かる分かる、でもその原因はことりかも知れんのだぞ・・・・

 

 

「ことり、穂乃果たちと先に帰っとけ」

「蒼くんは?」

「・・・・察してくれ・・・・」

「・・・・うん・・・・」

 

 

 

察してくれてありがとな、ことりはかしこいなぁ~・・・・俺はいつ帰れるのかなぁ~・・・・・

 

 

 

「さ、蒼一、行こか?」

「お、お手柔らかに・・・」

 

 

 

希に手を引かれてそのまま神社の中に連れていかれてる俺。どこまで連れていく気なんだよ~・・・・

 

そう言えば、明弘たちが見えなかったな・・・アイツらどこに行ったんだぁ?

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「ふぅ、あの子、蒼一を神社の中に連れていきやがった。一体何する気なんだろうな?」

「今日の副会長さん、何だか変なオーラが出ていたように見えたんだけど・・・気のせいかな?」

「気のせいじゃないでしょう、あれは只ならぬオーラを感じ取れました」

 

 

 

蒼一とことりが階段のところでマッサージをし始めて、その様子を遠目で見ていたら、急にとてもいやらしい声が聞こえやがった!そ、蒼一・・・まさか、こんなところでマッサージと称したセクハラをしてんのかっ!と考えたが、アイツにはそんなことはできねぇはず。只単に、ことりのヤツが発情でもしてんじゃねぇの?と思ってみたり?

ただ、結構大きな声だったからなぁ・・・・神社の境内に筒抜けだったからすぐにさっきの巫女さんがやって来たな。いやぁ~かなりの美人だった!!・・・・けど、雲行きが怪しそうだったからこうして穂乃果と海未と一緒に隠れているってわけさ。出ていかなくてよかったぁ・・・・とばっちりでも喰らいそうな雰囲気だったぜ。

 

 

 

「そういやぁ、あの子を副会長って言ってたけど、何モン?」

「ウチの学院の生徒会副会長だよ。さっき会ったばかりなんだぁ」

 

 

 

何ぃ?!・・・そうか・・・・アイツが東條 希か・・・・

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()・・・

 

 

 

 

「それにしても、副会長はどうして蒼一を連れていったのでしょうか?」

「会話を聞いてると蒼君のことを名前で呼んでいたみたいだけど、知り合いなのかなぁ?」

「そうか・・・お前たちは知らないんだよな」

「「えっ?」」

「あれは蒼一が小4の時に知り合った友人らしい。ただ、お前らと会う前にすぐに転校しちまったんだ」

「「えっ?!」」

「俺は当時のあの子に何度か会っているが、まさか、ここ最近まで東京にずっといたなんて知らなかった」

「そうなのですか・・・」

「あともう少し長くいたら穂乃果たちの友達に慣れたかもしれないんだよね・・・」

 

 

 

穂乃果たちはあの子のことを思ってまるで自分のように辛そうな顔をしている。余計なことを言っちまったかぁ・・・只でさえ感情的なヤツらだし、引きずってしまうんじゃねぇか?こういう時、蒼一は何て言うんだろうな・・・・結構単純なことかもしれないな・・・・

 

 

 

 

「おい、お前ら。何くよくよしてんだよ?過去に友達になれなかったら、今で友達になりゃあいい話じゃねぇか。こまけぇこと気にするもんじゃねぇよ。もっとポジティブに行けよ!!」

 

 

 

んん~我ながらいいことを言うじゃねぇか♪俺もやればできる子なのよね!

 

 

 

「弘君の言うとおりだね!この1年で友達になればいいんだよね!」

「たまにはいいことを言うじゃないですか。もっとそういうことが言えるように努力して下さいよ」

 

 

 

うるせぇw 俺は欲望に忠実なだけなの!こうした発言がいつでも出来りゃこっちだって苦労はしねぇよ!

 

 

 

 

これを機会に俺もあの子に接近してみるとしますか。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・蒼くんが副会長さんに連れていかれちゃったよ~。まだ、途中だったのにぃ~残念だなぁ。それにしても、蒼くんのマッサージは気持ちよかったなぁ~。ことりの痛いと思っていたところを的確に揉みほぐしてくれたから今は体の痛いところはさっきよりも減っていたよ!蒼くんありがとね。これで筋肉痛にならずに済むよ!

 

 

 

 

 

それにしても、蒼くんの手、大きかったなぁ~。その手でことりの体をさすってくれた時、とっても気持ち良かったよ~♪今度またお願しようかなぁ~♪

 

 

 

 

 

(次回へ続く)

 

 

 





ことり、マジで勘弁してくれ・・・・(切望)


しかし、ことりって結構大胆な子じゃないか?ことりのソロシングルやデュオとか聴いていると恋にまっしぐらって感じがするんだよね。それが何故かこういう結果に結びついてしまうという・・・・た、大変だぁ・・・・

出来ることなら、ピュアな頃に戻したい・・・・・・あれ?ピュアな頃っていつだ?



蒼一がやったマッサージは実際に運動などで疲れた際にやると筋肉痛の痛みがかなり減りますので、やってみたいと思ったらやってみてください。




今回の曲は、

俺は・・・犠牲になることを・・・強いられているんだ!!

という、蒼一の想いを汲みとってこの曲を!


乃村健次/『Desperado Blues 』

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