そういう時は、身を隠すんだ!
<前回までのあらすじ?>
「時に島田よ・・・」
「ん?なんですか、滝さん?」
「・・・・ぬるぽ」
「ガッ!!!」
「(にやっ)」
「(にやり)」
(*´・∀・)爻(・∀・`*)ピシガシグッグッ
「・・・・何やってんだ?」(蒼一)
―
――
―――
――――
「音楽室は・・・確かこの廊下を真っ直ぐ行ったところか?」
明弘と島田と別れてから音楽室に向かっている俺。
さっき島田から場所を教えてもらったばかりだからすぐに行くことができるだろう。
しかし・・・一体なんだったんだ、あの痛みは?
「あ、蒼一!もうこちらに来ていたのですか!!」
ん?その声は・・・海未か!!
「蒼一たちがもう来るだろうと思って、穂乃果たちと校門で待っていたのですよ」
「ああ、すまないな。早めに来ちまったし、その後すぐに、いず・・・理事長と話し合っていたんだ」
「そうだったのですか。では、今から校内を見学するのですか?」
「いやぁ、それがだな・・・すでに済ませているんだ」
「えっ・・・・」
「島田って子が校内を案内してくれてな、今さっき全部見終わったところなんだ」
「洋子が?・・・はぁ、そうですか・・・」
やけに寂しそうな顔をしているな、何かまずい事でもしたのかな?
「(折角、2人で一緒に行こうかと思ったのですが・・・残念です・・・)」
「ん?何かいったか?」
「ふぇっ!!い、いいえ!何でも、ありませんよ!!!」
「どうしたんだよ、急に焦って?危ないぞ?」
「だ、大丈夫です!!あ、そうです。一応、作詞してみたのですが・・・見てもらえますか?」
そう言って、海未は2つに折りたたまれた紙を俺に手渡した。
「あの後に、すぐ書いたのか?流石じゃねぇか!」
「そ、蒼一が私の書いた詩を褒めてくれましたし、それに蒼一のためにと思って書いただけなんですから・・・」
「そうか、そいつはうれしいな。それじゃあ、見させてもらうぜ」
折りたたまれた紙を広げると、そこには海未が作りだした詩が書き綴られていた。
そして、その詩の題名は・・・
「『START:DASH!!』・・・か」
― 生まれたての小鳥がいつかは大空へと飛び立つ翼を手に入れる
― その日が来ることを信じて、前に進もう
― 悲しみに暮れるのはやめよう、明日は…未来はきっと切り開かれる
― 喜びを受けとめて進もう
― 夢のチカラを信じて進もう
― さあ、走り出そう
(要約版)
ああ、いい詩だ・・・
自分たちを生まれたての小鳥と称して、夢と希望を持って進んでいこうとする気持ちが俺にひしひしと伝わってくる。純粋に、ただひたすらに進んでいこうとするその思いは海未だけのものじゃない。穂乃果とことりの思いも詰まっている。まさに彼女たちにふさわしい詩だ。
詠んでいると体中のあらゆるところから勇気と力が湧きあがってくる。不思議だ、こんな気持ちになれたのは久しぶりかもしれない。
歌いたい・・・声に出して詠みたい・・・!
いや、これは俺が歌うべきものではないな・・・
これは彼女たちの詩だ。
「どう、ですか・・・?」
「ああ海未・・・これはすばらしい。なんていい詩なんだ・・・」
「そうですか!!」
「ああ、何度も詠み返したくなる力強くも勇気がわいてくる詩だ。さすが海未だ!やっぱり、海未には詩を書く天賦の才が与えられているんだ!!!」
「そ、そうですか。そう言われると、少し照れてしまいます///」
海未はすごいなぁ。こんないい詩を書けるなんてうらやましいな。
俺もこんな詩を書いてみたいが、あいにくこれほどの表現力は持ち合わせていない・・・
誇ってもいいんだぜ海未。
あっ!そうだ、いいことを思いついた!!
「海未!その詩をもらってもいいか?」
「えっ!?」
「これから穂乃果が言っていた1年生に会いに行くんだ。作曲してもらえるかどうかわからねぇが、すでに詩が出来ていたら話が変わるかもしれないんだ。頼む!!」
海未は難しい表情をして悩んでいた。そりゃあそうだ、海未が書いた詩を俺たち以外の人に見せるというのはとても勇気のいることだってことは百も承知だ。だが、現状で作曲ができるヤツは俺たちの中にはいない。その1年生が可能性を秘めているのであれば、何としてでもお願いしたい!承諾してくれる材料が一つでも多い方がこちらとしてはありがたいんだ。
海未、頼む!!
「・・・わかりました。蒼一の頼みです、断れませんよ」
「ホントか!!」
「ただし、その1年生以外の人に見せないでくださいね。・・・恥ずかしいですから」
「ああ、わかってるさ。海未がくれたこのチャンスは無駄にはしないぞ」
「どうか、良いように進むように祈ってますね」
「ありがとな。それじゃあ行ってくる。海未は屋上に行ってくれ、明弘が待っている」
「わかりました。では、気を付けて!」
海未から渡された詩が書かれた紙を手に音楽室に向かっていく。
アイツが勇気を振り絞ってくれたんだ。俺もそれに応えていかねえとな。
―
――
―――
――――
「・・・確か、ここだったはずだな」
扉の上には【音楽室】と書かれた札があった。ここに間違いなさそうだ。
「それじゃあ、入るか」
ドアに手をかけ、扉を横にスライドさせて開いた。
「ん?」
音楽室に入ったものの中には誰もいなかった。
「ありゃ?入れ違いだったか?それとも、まだ来てないのか?」
俺の中では後者の方であってほしいと願った。ここまで来て、何の戦果も上げられませんでした!!なんてことがあっては困るからな。
俺は閑散とした音楽室内を歩きまわることにした。
他の教室よりも広々としたその空間には、1クラス以上が座れる机と椅子が設置されている。すべて床と固定されており、動かしたりすることはできない。それらの机の前に見えるのは、黒光りしているピアノだ。グランドピアノってやつだったか?よくオーケストラで使用されているのと同じようなものがここにある。
「例の1年生はこのピアノを弾いているのか・・・」
昔、親の奨めでピアノの練習をさせられたが、どうも才能が無かったらしくすぐに辞めさせれたんだっけな。まあ、俺自身もあまり興味は無かったし、好きでも無かったからな。その結果、歌の方の練習をさせられるようになって、今の自分がいる。自由に歌を歌うことができる、そういう意味では、あの時ピアノを辞めてよかったと思っている。
(・・・・カッカッカッカッカッ)
「!!」
誰か来る!音が大きくなっているということは、こっちに来るってことか!
やべぇな、こっからじゃあ誰が来るなんてわかんねぇ。ここの先生だったらまずいかもな・・・隠れよう。
すぐさま、後ろの方にある机の中に身をひそめるようにした。
(ガラっ)
扉が開いたか。・・・誰だ?誰が来たんだ?
机からわずかに見える隙間から覗いてみると、この学院の制服を着た生徒がピアノの椅子に座っていた。
「あれが、例の1年生・・・」
見ていると、その子はピアノの鍵盤蓋を開き、その上に手を置いた。
弾くのか!!
そう思っていると、その子はピアノを弾き始めた。
(~~♪~~~~♫~~~~~♪)
滑らかなタッチで弾き始め出したその音色はとても柔らかかった。
何かをやさしく包み込ませるようなそんな音色がこの教室中に廻っていた。
そして・・・
「口を開いた?まさか・・・!」
[愛してるばんざーい!ここでよかった
私たちの今がここにある
愛してるばんざーい!始まったばかり
明日もよろしくね
まだゴールじゃない]
・・・驚いた。ただ、演奏するだけかと思ったのだが、弾き語りをするのか。
しかも、この曲は聞いたことが無い。ということは、あの子が考えた曲なのか。
うん、これはいい詩だ。海未が書いた詩も良かったが、こちらも負けてはいないようだ。自分の気持ちを素直に表現したものなんだろうか?詩を聴いているとそう思ってしまうな。
・・・だが・・・
「あの子・・・・・」
その時、俺の中に一つの疑問が渦巻いた。
「・・・なぜ、悲しそうに弾き語っているんだ?」
(次回へ続く)
やったね、真姫ちゃん。初登場だよ!!!
『イミワカンナイ!!!』从廿_廿c彡☆))Д´) パーン
ぐふっ・・・・あ、安心して下せぇ・・・次回はちゃんと出ますから・・・・
話は変わりますが、スタダっていい曲ですよね!TV第一シーズンの中では一番好きかもしれないです。ありがとう、海未ちゃん!
本文中に書かれてあったあの要約は自分が初めて聞いて感じたものをそのままトレースしています。つまり・・・約3年前の言葉がここで活かされるという謎の展開が!!
人生いろいろですね~。
今回の一曲は・・・・
3年前かぁ・・・月日が経つのは本当に早いものですね・・・
そんな時代に聴いていたアニソンです。
栗林みな実/『ZERO!!』
更新速度は早い方が助かりますか?
-
ちょうどいい
-
もっと早くっ!
-
遅くても問題ない