蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第110話


【*】過ぎゆく夏、始まりの朝。

【前回までのあらすじ】

 

 

 淡島にある鞠莉の敷地、ホテルアワシマの近くの砂浜で無事PV撮影を行い終えた蒼一たち。 ミスを犯すこともなく通せたことが一番の収穫で、後は持ち帰って編集するのみとなった。

 

 

 一方、この撮影を見た内浦の面々に新たな感情が芽生え始め出すのだが―――――

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

「それじゃあ、無事PV撮影が終わったこと、合宿最終日であることを記念して……」

 

 

『かんぱ~~~い!!!!!!』

 

 

 

 明弘の音頭で始まったこの打ち上げ、撮影を行った浜辺にバーベキュー用具が出されて、その周りを囲むように食事を取るメンバーたち。

 もちろん、この用具を揃えたのは鞠莉によるものだ。 何でも、当初から予定していたらしく、すべての費用は持ってくれるとのことだそうだ。 費用を抑えたいこちらからすれば何から何までありがたい話だった。

 

 

 

「ハァ~イ、蒼一ィ! 楽しんでもらっているかしら?」

「鞠莉か。……って、両手に串物とか……むしろ、一番楽しんでいるのは鞠莉の方じゃないのか?」

「Of course! こういうのは、みんなで思いっきり楽しまないといけないからネ! 畏まって、じっと隅っこにいたらおもしろくないでしょ?」

「それもそうだな。 とはいっても、ここにはそんなヤツは1人もいなさそうだ」

 

 

 辺りを見回して、みんなはどんな様子でいるのかを確認して見ると、メンバーみんなは内浦の子たちと楽しく話をしていたのだ。 歳が近いことや同性だから話の合うところが多々あるのだろう、花を咲かせていたのだ。

 

 

「さっきのライブ、とってもカッコよかったですよ、穂乃果さん!! なんかこうキラキラしてて、光がぶわぁーって広がっていくような感じがしました!!」

「うん! ありがとね、千歌ちゃん! 穂乃果もね、ライブしている時にね、同じことを考えていたよ!」

「本当ですか!?」

「本当だよ! お日様の光だけじゃない、ここにしかない輝きを見た感じがするんだ!」

「輝きかぁ…それ、何だか分かる気がします!!」

 

 

 お互いに熱いオーラを纏わせて、目をキラキラと輝かせてみせている穂乃果と千歌。 天真爛漫な性格をした2人はすぐに意気投合しちゃって、擬音語満載の異次元トークを行っていた。

 というより、何を言っているのかが断片過ぎてて介入することが難しいと言うのが問題なんだけどな……

 

 

 

「ことりさんが作る衣装って、どれもカワイイですよね!! 私もこういう服を作ってみたいであります!!」

「うふふ、ありがとね、曜ちゃん♪ 今回は真夏の海をイメージして、水着のいいところを出来るだけ無くさないようにしたんだよ!」

「そうなんだぁ。 あっ! 私は個人的に、『これからのSomeday』で使っていた衣装がとっても好きなんです!! あのメルヘンチックなところが堪らないほどに好きで、何度も動画を見ているんですよ!!」

「ええっ?! そうなの!! ことりもあんなにカワイイ衣装を作ったの初めてで、どう見られているのか気になっていたの! だから、そう言ってもらえただけで、ことりは感激だよぉ~♪ あっ、ちょっと考えている衣装があるんだけど見てみる?」

「はいっ! 喜んで見させてもらいます!!」

 

 

 こちらは実に女の子らしいやんわりとした雰囲気が出ているな。 ことりの衣装話に興味津々に聞き入っている曜。 ことりの衣装についてあそこまで褒めちぎったのは曜が初めてじゃないかな? おかげで、ことりが活き活きと話しているのだ。

 よかったな、ことり。 やっぱり、お前の作ったモノは人に認められ、喜ばれるんだよ。 それがこうして花開いてきたんだ。

 

 

 

「まあ! 海未さんも日本舞踊を嗜んでいらっしゃるのですか!?」

「といいますと、ダイヤさんもですか?」

「はい。 他にも茶道や御箏なども励んでおります。 これも御家のため、そして、私のためにもなるのです」

「その気持ち、よく分かるような気がします。 私も、日々己を鍛えていくことで、自分と向き合えるような気がするのです。 身体ではなく、心で……です」

「その通りですね。 そして、絵里さんは生徒会長として学校を護ろうとしていたのですね……なんとも涙ぐましいお話しなのでしょう……」

「そ、そう言われると、何だか恥ずかしくなっちゃうわ……とは言っても、私1人だけでは何にもできなかった……自分の殻に籠りっきりだったからうまくいかないこともたくさんあったわ」

「そして、みなさんと出会ったのですね」

「ええ、今の私がここにいるのもみんなのおかげ。 何度も道を外してもまた元に戻してくれる人がいたから、私は私でいられるのよ」

「ふふっ、どうやらあなたがたは、その御方のことを十分にお慕いなさっているようなのですね♪」

「「えっ?!!」」

 

 

 こっちはこっちで、年齢層が一気に高まった会話が行われているなぁ……

 かなり落ち着いた姿勢を崩さないダイヤが、海未とエリチカのことをいろいろと探るように話をしていた。 ただ、核心的なところを突いてくるダイヤの問い掛けに、2人はおどおどしだしていた。 あれで本当に海未と同い年なのか? と思うほどに彼女が大人びいてに見えたのだ。

 

 

 

「あっ…あのっ……! みなさんのライブ……す、すごく良かったです……!」

「うふふ、ありがとね♪ そう言ってもらえると、花陽も嬉しいよ。 ね、にこちゃん?」

「ふふん! あったり前でしょ! お客さんの応援の声を聞いて喜ばないはずがないじゃない! そこのあなた、この世界ナンバーワンアイドル、にこにーのファンになる気はないかしら?」

「そ、そんなに押し付けるように言っちゃダメだy「はい! なります!!」…って、エエエ!? 急になっちゃうのォォォ?!!」

「はいっ…! それに、花陽ちゃんのファンにもなりますし、何よりμ'sのファンになっちゃいました!!」

「わ、私のファンにまでなってくれるの…!? エエエ!!? ど、どうしようにこちゃん! わ、私、嬉しすぎて震えが止まらないよぉぉぉ……!!」

「お、落ち着きなさいよ、このくらい……!」

「それに……お二人がアイドル好きって聞いて……ルビィもアイドル好きだから……そのっ……お話などしませんか…?」

「「もちろん、大歓迎!!!!」」

 

「かよちんがあんなにはしゃいでいるなんて……凛はそんなかよちんも好きだにゃぁ~(モグモグ」

「ルビィちゃんがあんなにはしゃいでいるなんて……やっと共通の話し相手が出来てよかったずらぁ~(モグモグ」

 

 

 キラキラと一際眩しい輝きを放っているこのグループでは、アイドルの話で盛り上がっているようだな。

 へぇ~、ルビィちゃんはアイドルが好きなのかぁ。 それじゃあ、あの2人は適任かもな。 ウチの超が付くほどのアイドルオタクだからな、どこまでついて行けるのかが心配だけどな。

 

……んで、その傍らで凛と花丸ちゃんは口いっぱいに頬張りながら喋っちゃって……どっちかに集中しなさいよ、まったく……

 

 

 

 

「それで……あなたは蒼一に助けてもらったのね……」

「そ、そうよ……それの何か問題でも?」

「いいえ……あなたがそういう気持ちになるのは仕方のないことだって思ってるだけよ」

「そ、それはどういう意味よぉ……?」

「どういう意味もこういう意味なんだから例えようが無いわ。 まあ、ただ……」

「ただ…?」

「だからと言って、彼は渡さないわよ?」

「だっ…! だれが蒼一のことを言ったのよぉ!!!?」

「あら? 私は誰も蒼一のことなんて言ってないのにね。 ふふっ、どうしてかしら…?」

「あっ……! ううぅ…」

 

 

 あっちでは、真姫が果南のことを弄っている様子が見られるなぁ……というか、あんまり果南のことをからかってやるなよ。 一体何を話しているのか分からんけど、喧嘩になるってことはよしておくれよな?

 

 

 

「むむむ……あなたからとんでもないくらいの邪気を感じるで……!」

「と、当然よ……! この堕天使ヨハネには、闇の力が付随しているのよ……クックック……あまりにも力が大きすぎる故に我が肉体から血のように流れ出ているのね……」

「イヤ、ウチが感じたことが無いくらいの不幸やで。 あと、もう少しでイヤ~なことが起きるで~?」

「嘘っ?! イヤよ! もうこれ以上不幸に見舞われたくないわ! こけるの? 水に濡れるの? それとも、海に落ちゃうのぉ~~~!!!?」

「落ち着くんや……まだ、決まったわけやないで……このスピリチュアルラッキーガールのぞみんに任せとき!」

「ほ、ホント!? じゃ、じゃあお願いするわね! 不幸から私を守ってぇ~~!!」

「………むむっ!! 来ました来ましたぁ~!! 不幸から逃れるためには………」

「のっ、逃れるためには………?」

 

 

「……ウチのわしわしMAXを喰らうことや~~~♪♪♪」

「ぎにゃあああああ!!!! なんでこうなるのよぉぉぉぉ!!!!?!?」

 

 

 

………これはひどい………

 

 希のヤツ、初対面の相手に躊躇なく決めていきやがった……いくらなんでもあれはセクハラとかで訴えられるだろうに……というか、これまでもいろいろとやってきていたのに、どうして御咎めなしでいるのが不思議な方だ。 すべては、スピリチュアルというやつで包まれているのか………?

 

 

 

 

―――と言った感じに、みんないろいろと交流(?)を深めているようだ。 ハメを外し過ぎな一面もあるが、それはまた後で何とかするしかないな……特に、希の餌食になった善子ちゃん……すまない……

 

 

 

 

 

「うふふっ♪ みんな楽しそうでなによりデース♪」

「アハハ……ま、まあ、楽しんでいるって言っちゃあそうだろうな………」

 

 

 実際、みんな沈んだ様子など見せず、明るい表情のみを曝け出しているのだから心の底から楽しんでいるモノと見受けられる。 これもみんな、鞠莉のはからいのおかげなんだな。

 

 

 

「ありがとよ、至れり尽くせりなことばかりさせてしまって」

「No problemデースよ、蒼一。 私はただ面白そうだからやってみただけのことよ。 それに、内浦のことを多くの人に知ってもらえる機会も得たことだし、ウチのホテルの集客に繋がるかも♪」

「ちゃんと、営業のことも考えてなのね……」

「もちろんよ!……ただね……それだけじゃないわ……」

「というと……?」

「あなたと出会えたことに感謝しちゃってたり……? ちょっとしたdestinyを感じちゃってるかも♪」

「運命ねぇ……さあて、どうなんだろうな?」

「あら、アナタは信じてないの?」

「信じてないわけじゃないさ。 ただ、これまでいろいろあり過ぎて、その運命すらもあまり特別なモノに感じていなかっただけのことさ」

「ウフフ♪ 蒼一って、本当に不思議な人なのね」

 

 

 そう言って、鞠莉は人差し指を口元に近付けて、ちょっと悪戯めいた笑みを浮かばせてこちらを見ていた。 何かを見通されているような、けど子供のような無邪気さを含んだかのようなその瞳に不思議と惹かれるモノを感じていた。

 だが、少し踏み出せば抜け出せなくなるだろう、と言う警戒心が俺を押し止めさせた。 そうした意味での危ない橋は渡りたくないものだ。

 

 

 

「あら、蒼一さん。 お楽しみいただけております?」

 

 

 静々と1つひとつが美しい足取りでダイヤが近付いてきた。 どうやら、海未とエリチカとの話を一時止めてこちらに来てくれたのだろう。 迎える側としてのその姿勢に嬉しく思いつつも、少し申し訳ない感じもしてしまう。

 

 

「ああ、もちろん。 こんなに手厚いもてなしをしてくれて感謝しているよ」

「そう言っていただけると、ありがたいものです。 どうか、ごゆっくりお寛ぎ下さいませ」

 

 

 これもまた丁寧な会釈をしてみせると、織物のように煌めく漆黒の髪がなびかせていた。 清楚な姿を決して崩そうとしないこの大和撫子もまた嬉しそうに微笑んでいるようだった。

 

 

 

「……あっ、そうでしたわ。 蒼一さん、あなたに少しお聞きしたいことがあることを忘れていましたわ」

 

 

 両手をポンと叩いて何かを思い出したかのように俺に尋ね出してきた。 一体何を聞きたいのだろうか、気になった俺は断ることなく了承したのだった。

 

 

「あぁ、何を聞きたいんだ?」

「そのっ……少し、御答えにくいモノなのですが……よろしいでしょうか?」

 

 

 答えにくい? 付け加えられたその言葉に、また関心が向かっていくので、押し止めることなくそれも含めて了承させた。

 

 

「構わないさ。 答えられるだけの範囲でなら答えてみせるさ」

「では………

 

 

 

 

 

 

 

 

 その……お身体に見えましたそのたくさんの傷……どうなされたのです……?」

「むっ……」

 

 

 その質問に対して、思わず身を怯ませてしまう。

誰もがそのことについてあまり触れようとしなかったため、俺自身もどう言うべきかやや俯いて答えあぐねてしまう。

 

 

 ふと、顔を上げると、μ’sの面々が俺のことを見ていた。 千歌たちもだが、彼女たちが見せるモノは真逆のモノだった。 ダイヤの言葉を聞いたのだろう、何も言わず、ただ少し悲しそうな表情を浮かばせていた。 それもそのはずだ。 この身体に刻まれた傷1つひとつは彼女たちによってついてしまったモノ、つけざるを得なかったものばかりなのだから……

 以前も同じような顔をして時があった。 彼女たちがあの状態から元に戻った直後のことだ、申し訳なさそうにやってきたのは。 過ぎたとはいえ、まだそんなに日は浅いほうであるから完全に立ち直るのは難しいと言える。 それほどまでに、心に深い傷を残すものだった……そう言えるだろう。

 

 

 けど、俺自身の考えはあの時とまったく変わることはない。 前向きに、それがあったからこそ得たモノがあると知っているからだ………

 

 

 

 しばらくの沈黙を置いて、首をかしげながら俺のことを待っている彼女にこう答えた。

 

 

 

「これはな……俺が大切にしているモノを護った……その勲章みたいなものさ」

「勲章……ですか?」

「人には、怖がられたり不気味がられたりするかもしれないが、俺は違う。 これら1つひとつをなぞる度に、俺がしてきたことの正しさの証明にもなるし、何よりも救うことが出来た喜びを噛み締めることが出来るのさ。 ちょっと、分かりづらかったかな?」

「いいえ、あなたのその想いはよく伝わりますよ……本当に、羨ましいほどに……」

 

 

 俺からの言葉に、澄ました表情をして聞き入っていると、小さく何かを呟くように口が動いたような気がした。

 

 

「ん、何か言ったか?」

「いえ、何も。 しかし、そのようなお話でしたか。 てっきり、極道かその類かと思いましたよ」

「おいおい、さすがにそれは勘弁してくれ。 というか、それに間違えられるそうになるって、なあ……」

「ふふっ、それは申し訳ありません。 しかし、すべて合点がいきました」

「それは何をだい?」

「それは私だけの秘密ですわ♪ ですが、一言だけ申し上げるとすれば……あなたがお護りしたその御方というのは、さぞや幸せ者でしょうね」

「……! ふっ、さぁ~てな、どうだろうよ………」

 

 

 一瞬、エメラルド色に輝いた瞳が俺の心を覗くように思えたので、身震いを起こした。 その言葉が核心を突き、まるで俺のことをそのレンズで見通されたみたいに感じたのだ。

 しかし、それはあくまでも俺自身の見解に過ぎない。 彼女の核心というのは、すぐ見て取れるようなものではないからだ。 故に、彼女と同じく心に秘めながら受け流した。

 

 

 この会話に答えなど存在しない。

 ただあるのは、お互いがこうして言葉を交わしたと言う事実のみしか残らない。 そうやって、お互いにこの会話に蓋をかけて終えるのだ。

 

 

 一夏の出来事として―――――

 

 

 

 その様子を当事者であった彼女たちは、朗らかな顔をしてこの会話を聞き入っていたのだと言う―――――

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

 親睦会と様変わりした打ち上げに熱が回り出している最中、俺は果南と共に島の沿岸沿いを歩いていた……と言うより、連れられていたと言った方がいいかな……?

 

 

「なあ、どこまで行く気なんだ?」

「まぁ、何も言わずに付いてきてよ」

 

 

 ゆったりとした滑らかな口調で言葉を返されつつも、抱く疑問の解消にはならない。 ここでまた言葉を投げかけても答えは見つからないのだろうと、鞠莉たちの会話を通して学んでいる。 ここは果南の言う通りに足を運ぶほかなかった。

 

 そして、しばらくすると、立派なログハウスに立ち止まった。

 

 

「ちょっとここで待ってて」

 

 

 そう言い残して、果南は中に入っていった。 知り合いの家なのだろうか? と思ったが、あまりにも手慣れた感じであったため、これは違うと判断した。

 そんな陳腐な考え事を余所に、果南はすぐに戻ってくるとまた歩き始めた。

 

 

「果南、さっきの家は?」

「あぁ、あれは私の家だよ。 ダイビングショップも兼ねて有るんだ」

「へぇ~、そうだったのか……」

 

 

 やはり陳腐に変わりない。 すぐに答えが出たのだから……

 

 少しだけ歩くと、彼女は海辺の小さな船着き場に出て一台の水上バイクらしきものに乗りこんだ。 そして、鍵を差し込んでエンジンをふかし始めた。

 

 

「さ、蒼一。 乗って!」

「えっ?! これにか?」

「いいから、早く乗っちゃって!」

 

 

 果南に急かされるまま、俺はシートに腰掛けた。

 だが、これには問題しかない。 バイク自体は2人乗りを想定してシートを大きくしているが、背もたれなど無い。 つまりは、俺の身体を押さえる術をこの機体自身が備えているわけではないのだ。

 

 

「な、なあ……これって、果南の身体にしがみ付けってこと…なのか……?」

「あっ……ま、まあ、そうなるよね……けど、しょうがないもんね! これは仕方がないことなんだから、やるしかないもんね!!」

 

 

 急に顔を赤くしだして戸惑い出しているところを見る限り、あまり考えてなどいなかったようだ。 ちょっとは考えてほしいと思うところだが、果南がどうしても見せたいモノがあるというのだから、ここは恥を忍んでいくしかないようだ。

 

 

「そ、それじゃあ、掴まらせてもらうぞ……?」

「う、うん……や、やさしく…ね……?」

 

 

 そう切なそうに言われると、逆にやりにくかったりするのだが……そんなことを強く思いつつも、要らんことをあまり考えずに果南の脇腹辺りに腕を通す。 へその辺りで腕を交差させてしっかり固定させるようにした。

 

 

「ひゃっ?!!」

「なっ?! す、すまない…!」

「い、いいの、いいの……ちょっと驚いただけだからさ………あはっ…あはは………」

 

 

 ぎこちない笑いを飛ばして何も無いようにして見せているが、内心かなり荒れているのだろう。 無論、俺がそうなのだから……というか、こうして女の子の身体にピッタリと自分の身体をくっつけるってどうかと思う。 アイツらならまだしも、逢ってそんなにしていない子にそうしているのは絵的にも危険極まりない。 都会だったら即逮捕、アイツらの前なら即折檻&オマケ付きなんだもんな……

 人目に付かず、法的管轄からやや離れた田舎でよかったと深く思うところだ。

 

 

 

「そ、それじゃあ行くよ。 しっかり掴まって無いと振り落とされるからね!」

「え……?」

 

 

 そう俺が呆けている間に、エンジン音が高まりアクセルが切られた!

 

 

「うおっ!!?」

 

 

 思った以上に身体に掛かる重力が強く、確かにこれは油断していたら海に真っ逆さまかもしれなかった。 そのため、腕にしっかりと力を込めて抱きつくのだが……これがあまりにも危険なことで……

 身体をかなり密着させていることで、果南の身体から出てくる潮と女の子の匂いが混ざり合った、非情にさっぱりとしたあまい匂いを身体に受けるのだ。 不可抗力が働いているからと言っても、一方的に感じさせられてしまうのだ。 故に、最近異性にかなり敏感になってきている俺の理性が麻痺しかかってしまいそうになる。

 無意識に力を緩めそうになるが、身体が激しく揺れ動く度に力を入れ直しては体制を整えるのだった。

 

 ある意味、生殺し状態をおよそ十数分もの間、保たなければならなかったのだったのである。

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 果南の後ろで揺られつつ目的地に到着する。 そして、目の前に広がる景色に思わず息を呑んでしまいそうになった。

 

 

 

「……綺麗だな……」

 

 

 打ち上げられる青い波、照り付ける黄色い日差し、それらの色彩が一同に塗り付けられようとしている白いキャンバス―――雪のように純白でありながらも、燃え尽きさせるほどに熱い砂浜―――が俺を待ち望んでいたかのように現れたのだ。

 

 

「そうでしょう? 私の自慢の場所なんだ♪」

 

 

 横に立って、この場所の良さをアピールしだす果南。 ここのことについて話をする彼女の表情は、弾けるような明るさを持って、とても活き活きしていた。 あたかも俺がここに来ることを想定していたかのように、流暢に話を勧め出すのを見ていると、思わずそれに聞き入ってしまう。

 それが今の俺にどんな得をもたらすのかなど関係の無いことだ。 今はただ、彼女の言葉に耳を傾けていくことが何よりも重要なことなのだと直感していたのだ。

 

 

 

「――――って言うね、いい場所なんだよ。……って、聞いてたの?」

「あぁ、もちろんだとも。 熱の籠った良い観光案内だったよ。 おかげで、ここの魅力を最大限に知ることが出来たようだ」

「そう言ってもらえると、連れてきた甲斐があったよ♪ 蒼一には、帰る前にどうしても見せておきたかったからね」

 

 

 綻んだ表情でやさしく語り出す果南は、弾んだ声を上げて、内心の喜びを表していた。 とても分かりやすく、裏表のないそんな性格であると言う新たな一面をまた見つけることとなる。

 

 

 ところで何故、果南はここを俺に勧めたのか、疑問を抱いてしまいがちになることだが言わずも分かることだ。

 

 

 

「もし…先にこの場所を紹介されていたら、四の五も言わずにここを選んでいたことは間違いないだろうな。 ここはそれほどにいいところだ」

「でしょう? 蒼一なら絶対にそう言ってくれると信じていたよ。 でも、結果的にはあっちの方がよかったかな? 鞠莉がずっと支えられる範囲にいたんだし、たぶんその方がよかったって思うよ」

 

 

 そう声を落ち着かせているのを聞いていると、少し眉を引き下げている姿を見ることとなる。 その気を持たせるような言葉使いが心の隙間に挟まるような感じがしたのだ。

 

 何かを求めようとしている。

 そう感じとった俺は、俯きがちになり掛かった果南の頭に手を乗せた。 いきなりのことだったので、身体を震えさせ驚かせてしまうが、手を動かし撫で始める頃には落ち着いていた。

 そして、憧憬を含ませた輝かしい瞳をこちらに向けてくるのを、今持てる精一杯の笑顔を持って応えるのだった。

 

 

「結果的にはそうかもしれない。 けど、果南がいいと言ってくれたこの場所は、あの場所には無い特別なものが詰まっている。 便利だとか、融通が利くとかそう言った一般的な良い面ばかりが評価されるわけじゃない。 本当に良いとされるモノは、情熱の籠った真剣さなのだ。 それを表現して人の心を奥底から掴み出すことこそ、俺が求める理想なんだよ。 そうした意味で、果南の言葉にはそれがあった。 だから、俺はここを一番いい場所だと言えるんだ」

「う、うん……あ、ありがと…ね……そう面と向かって感謝されると、ちょっと恥ずかしいかも……」

 

 

 頬を赤く染めだして、照れくさそうにそこを掻く仕草をしてみせる。 そこにはもう暗い影を落とす余地などなく、ただ素直に笑みを浮かべるだけのものでしかなかった。

 

 

 

 

「こんないいところをただ眺めているだけじゃもったいないな……そうだ! 果南、ちょっといいか?」

「え? なにをするの?」

「いいから、ほらこっちに来てくれ」

 

 

 折角、俺に教えてくれた場所なんだから、それを無下にするわけにもいかないさ。 彼女との想い出の場所として、記憶に刻み込むことを行うのだった。

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

 千歌たちとの交流の一時が過ぎ去ると、いよいよ帰る時がやってくる。 穂乃果たちはそれぞれ荷物をまとめ込み、いつでもバスに乗れる準備を整えていた。

 そして、俺もここでの出会いに感謝と別れを告げ始めていた。

 

 

「ありがとな、鞠莉。 おかげで、いいモノを作れることが出来たよ」

「こちらこそよ、蒼一。 ワタシもとってもhappyな時間を過ごすことが出来たわ! 今度、ウチの近くによるようなことがあったら、アナタのためだけにスウィートルームを貸し切ってあげるわよ♪」

「ははは……それはそれで考えておくわ……」

 

 

 冗談交じりに言い放つその言葉が、案外本気なのかもしれないとこの2日間で感じることとなったのだが、俺はそれを全力で回避したい……! 真姫の別荘から目と鼻の先にあるようなこの場所で、個人的に利用すればどうなるかなど知れたことだ。 ましてや、このエンジョイ系な女の子だ、何をしでかすか分かったモノではないのだ…!

 

 

「ヨーソロー! 蒼一さんからのお話をたくさん聞けて、大満足でありました!」

「好リアクションで反応してくれるから、こっちも話甲斐があったさ。 ことりとも意気投合しててよかったと思ってるよ」

「はい! ことりさんから衣装のこととかたくさん聞けることが出来て、本当によかったです! いますぐに家に帰ってこのインスピレーションを形にしたいと思っているところであります!!」

「あまり煮詰めるなよ? 焦ってもいいものはできないんだしな」

 

 

 ビシッと敬礼をして陽気に話しかける曜は、かなり活き活きしている様子だった。 気性が激しい性格なのだろうか? 熱が異常に籠り過ぎたり、はてまたは落ち着き過ぎたりする様子を見るとそう思えてしまう。 ちょっと忙しなかったりもするけど、とてもいい子だと思うし、あのことりにいい影響を与えてくれてたのだ。 この子もまた、いい作り手となって才能を開かせていくのだろうと思っている。

 

 

 

 

「もう行ってしまわれるのですね……」

「仕方ないさ、こっちもやることが山積しているんだし、ずっと踏み止まることもできないからな」

「そうですわね……もしまたお越しになるようでしたら是非ウチに寄ってみてください。 まだ得手とは言えないほどの腕前ですが、あなた様のために最高のもてなしをさせていただきますわ!」

「そうだな、その時が来れば……だな」

 

 

 この面子の中では比較的に落ち着いていたのは言うまでも無くダイヤだ。 少しお堅いところがあるモノの、いざ話をしてみれば、とても話しやすい子だった。 それに割といろいろなモノを理解していながらも受け入れている、そんな大人びた一面も印象的であった。 もし、本当に機会があるのならば、いろいろと話がしてみたいモノだな。

 

 

 

「うゆ……そ、蒼一さん……」

「おっ、ルビィちゃんか。 元気になってよかったな」

「あっ……あのっ………!」

「ん、なんだい?」

「あのっ……! もしよかったら、また来てくださいね……!!」

「あぁ、また来れるようにするからな」

 

 

 姉のダイヤの後ろで隠れるように顔を出している小さな女の子。 思えばルビィちゃんが溺れそうになったことから今回の話に繋がったんだよな。 あの時は助かって本当によかったと思えるし、今こうして話すことができることを考えればなおさらだろう。 とはいっても、あまり話すことも無かったんだよな……にこと花陽とはかなり打ち解けられてはいたけど、やはり異性となると抵抗があるのだろうか……?

 それも含めて、また今度ということにしておこうかな……

 

 

 

「蒼一……」

「そういう意味で、果南にはいろいろと世話になったな。 楽しかったぜ」

「私も楽しかったよ。 できれば、もっと地元のことを多く知ってもらいたかったんだけどね。 銛で魚を捕まえるとかね?」

「あはは……マサルになるかの話はまた今度ということにしておくさ……」

「それと……ね。 アレ、大事にさせてもらうから……」

「あぁ、俺も大切に持っておくからな」

 

 

 今回、内浦に来てからよく話をしたりしたのは果南だろう。 余裕があった時には、ここのことをいろいろと教えてくれたりしてくれた。 そして何より、あの場所の魅力を十二分に知ることが出来たのだ。 そうした意味で、とても世話になったのだ。 お礼をしたくとも持ち合せが無い。 それこそ、また今度返すことが出来ればとも考えている。

 

 

 

「蒼一さん!」

「あぁ、千歌ちゃんか。 見送りに来てくれてありがとな」

「ううん、蒼一さんにはたくさんのいいモノを見させてもらったからね、ちゃんとお礼はしておかなくっちゃってね!」

「いい心がけだ」

「それでね、私やってみようかと思うんだ」

「ん、何をだ?」

「私ね、ずっと自分には何もできないつまんない普通の女の子だなって思ってた。 毎日、こんな私が変われたらっていいのになって思うことがたくさんあったの。 そんな時にね、蒼一さんに出会って、μ'sのみなさんと出会ってわかったの。 どんなに普通な私でも変われることが出来るんだなって、そう思えるようになってきたの。 だからね、私もいつか蒼一さんたちみたいに自分を輝かせる人になりたいって思ってます!」

「……! なるほど、そうか……それもいい心がけだ。 そんな千歌ちゃんにいろいろな先輩としてのアドバイスをさせてもらうよ。 物事をやる時に一番大事なのは『やり始める勇気』だ。 どんなに過程を築こうとも、スタートを切らなければ何も始まらない。 ”やり始める”は”変わること”だ。 千歌ちゃんならできるさ。 キミにはその素質がある。 だから…待ってるぞ。 キミが俺と同じ場所に立つことをね」

「……ッ! ハイッ! 私、絶対になってみせますからね!!」

 

 

 瞳を太陽のように燦々と輝かせて俺を見上げるその姿は、誰かさんにホントそっくりだ。 千歌がそうした感情を抱いてくれるようになってくれたことに感謝したいと思っている。 同時に、どこまでやってくれるのか気になってしまったりもするものだ。

 こうして想いと言うモノは伝導していくものか、としみじみ感じていくのだった。

 

 

 

 

「おーい、兄弟! バスが来たぜ!」

「ああ、わかった。 すぐに行くから待ってろ!」

 

 

 どうやら、お別れのようだな。 たった4日しかいなかったというのに、ちょっと想い出の場所となったような気がしてならなかった。 彼女たちと出会ったことの喜びと別れる寂しさが一気に込み上がってくる。 少し、感情的なのかもしれないな……けど、悪いものでもない。 出会いと別れを身体全体で感じることが出来ることこそ、大切な感情なのだと俺は思う。

 だから、また出会えるということに期待したいのだ。

 

 

 

「それじゃあ、みんな。 またな」

 

 

 そう言って、見送りに来てくれた彼女たちに固い握手を交わすと、背を向いて立ち去った。 バスに乗り込んで一番後ろの後部座席に座ってからも、手を振って見送る彼女たちの姿を目に焼き付けていた。 そして、また逢えることを信じて小さく手を振ってその場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 新幹線に乗り込んで、あと数時間程度で東京に着こうとしている車内で、ぼぉーっとしながらこの数日間のことを振り返っていた。 思った以上に充実で、濃度の濃い内容で舌を巻くくらいのモノだったが、なんともすがすがしい気持ちだった。

 やはり、来てよかったと心からそう感じることが出来るのだった。

 

 

「……っと、メールか?」

 

 

 手持ちのスマホが震えだしたので、その内容を確認してみると、案の定それだった。 送り主は誰なのか、それは言わなくてもいいことだ。 言えばまた、隣にいる彼女たちがうるさく言うかもしれないからな……

 

 

 

「ん? どうしたの蒼君? なんだか、とっても嬉しそうな顔をしているけど?」

「ん、まあな。 楽しかったなぁって振り返っていただけさ」

「そうだね! 穂乃果もあそこでライブが出来てとってもよかったって思ってるよ!」

「うんうん、私もそう思います。 それに、大好きなアイドルの話もたくさんできて花陽も嬉しかったですぅ~♪」

「ことりもそう思うよ。 でもぉ~、ことり的には~蒼くんととぉ~~ってもあつぅ~~い一時を過ごせたことが嬉しかったりするんだけどなぁ~?」

「ぐぬぬ…一気に現実に戻すようなことを言うんじゃねぇよ……まったく、それも思い返したらキリが無いぜ……」

 

 

 別荘にいる時は、大抵彼女たちに翻弄されっぱなしだったような気がする。 よくもまあ、自分の体力が持ったなと感心していたりもする。

 

 だが、それも含めていい収穫があったと感じている。 これがラブライブに向けての大きな足掛かりとなれることを信じているのさ。

 

 

 

「蒼君♪ 疲れていたら穂乃果に甘えてもいいんだよ♪」

「あっ! 穂乃果ちゃんずるぅ~い! ことりも蒼くんのためなら何だってしちゃうよ♪」

「むぅ~……わ、私だって負けられません! も、もしよかったら、膝枕もしてあげます…!」

 

 

……とりあえず、今はどうやってこの状況から抜け出すかを考えないとな………

 

 

 

 

 

 

――

―――

――――

 

 

 

 翌朝――――

 

 

[ 内浦 ]

 

 

 

「んん~~……よし! 今日も張り切っていこう!」

 

 

 明朝、太陽が昇り始め出した頃に彼女は外に出ていた。 いつもであれば、この時間には寝間着のままベッドの上で休んでいるところなのだが、今日の彼女はいつもと違っていた。

 

 いや、今日から変わろうとしていたのだ。

 

 

 

「それじゃあ……行ってきます……!」

 

 

 身体を動かしやすい夏用の体操服に着替えて、ランニングシューズを履いて家を後にした。 沿岸沿いの歩道を自分のペースで走りだす。 慣れたことをしているとは思っていない、故に呼吸がすぐに苦しくなったり、身体のあちこちがすぐに痛くなったりもする。

 

 でも、へこたりなんかしたくなかった。 約束をしたのだから。 彼との約束を――――

 

 

 

 

「あっ! 曜ちゃぁーん! 果南ちゃぁーん!!」

 

 

 しばらく走っていると、船の渡し場近くに親友たちの姿を見つけると、思わず声をかけてしまう。 それを見た2人はひどく驚いた。 あのぐうたらな千歌がどうしてここにいるか? 今日は雪でも降るんじゃないのかと心配するほどだった。

 

 

「千歌ちゃん、どうしたの?! 何かあったの!?」

「よ、曜ちゃん……なんでもないよぉ……ただ、私も走りたくなっただけだよぉ………」

「ホントに? あまり無理しなくてもいいんだよ? これで身体壊しちゃ、元も子もないからね」

「もぉ~果南ちゃんまで~……」

 

 

 2人からの心配されたことに、少し不愉快な彼女は頬を膨らませてしまう。 だが、それは当然のことなのだが、彼女には分からないのだろう。

 

 

「私はね、今日から変わるの! 普通だった私も今日でおさらばなの! それでね、私もキラキラ輝ける人になろうって思うようになったんだ!」

「キラキラ……?」

「輝ける人……?」

「うん! そのためにね、まずは身体を動かさなくっちゃねって思ってね、今こうして走ってるの!」

 

 

 彼女の突発的な言葉に疑問符を浮かばせていると、昨日あの人が言ってたことを思い返してなんとなく納得した様子だ。 無茶だなぁ…と思いつつも彼女を止めようとはせず、むしろ応援しようと思うほどだった。

 

 

 

「それじゃあ、千歌ちゃんのために私、渡辺曜は全力全開で応援するであります!」

「しかたないね、まあ、倒れない程度にサポートしてあげるよ」

「曜ちゃん…果南ちゃん……! ありがとー!!」

 

 

 彼女のことを応援しようとしてくれる2人に、とても感謝していたのだった。

 

 

 

 

「……ん、メールかな?」

 

 

 そんな中、果南は携帯を取り出して内容を確認していた。 その様子を見ていた他2人は、彼女が携帯をジッと見ててとてもいい顔をしているのを見たのだ。 しかも、それは普段見せるようなモノとはまったく初めて見るようなそんないい顔をしていたのだ。

 

 

「果南ちゃぁ~ん? 何を見ているのなぁ~?」

「うわあぁぁ!? ち、千歌!? な、何でもないよ!」

「ほんと? なんかあやしい…………」

「な、何でもないってば!! ほ、ほらさっさと走るよ!」

「「なんかあやしい……」」

 

 

 千歌に指摘されて戸惑い始める彼女を見ていると、どうしてもあやしく感じてしまうモノだ。 しかし、それが何なのかを悟られまいと果南は1人先に走り出したのだった。

 

 

 けど、そんな中でもう一度携帯を取り出して、映し出された画面を見て綻んだ表情を浮かばせていた。 それはまるで、恋する乙女のようなそんな素顔だった。

 

 

 

「私も……がんばるからね……」

 

 

 そう1人呟くと、ペースを上げ出すのだった。

 

 

 

 

 彼女の携帯画面には――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの場所で2人並んで撮ったあの写真が映し出されていたのだった―――――――

 

 

 

 

 

 

(次回へ続く)




ドウモ、うp主です。

風邪をひいてしまいとてもづらいでず……()


そんなこんなで、『Summer Water~夏合宿編~』が終了しました。

初めて、Aqoursメンバーを扱ってみて、描きやすかったなぁなんて思っています。まあこんな感じかなぁ~っていう手探りな感じはしたけど、とても面白かったとおもっています。
そして、μ'sとはちょっとイチャラブなことを………うん、今のうちなのでやれる時にやっておこうかなと、思って描いてました。。。。


次回以降はようやくラブライブに向けてのライブのことばかりで忙しくなりそうですね。ここでもいろいろとやりたいことがあるので、是非とも見てもらいたいなと思っています。


では、次回で。



今回の曲は

TVアニメ『デジモンテイマーズ』より

和田光司/『The Biggest Dreamer』

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