蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第???話


あらたなる日常の始まり
ただいま…


 

 

 

 

 

〈ジジ……………ジ……………ザ――――――――――――――〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日からどのくらいの日が経ったのだろう?

 

 

 いつもと変わらない日々が待っているものだと思っていた。

 

 何気ない日常の話題でアイツらとの会話に花を咲かせるものだと思っていた。

 

 アイツらと共に爽快な汗を流し、練習を積み重ねていることで成長していることを実感するものだと思っていた。

 

 何気ない平凡な日常が俺たちの事を待っているものだと錯覚していた。

 

 そう――――

 

 

 夜空のような漆黒の雲に覆われた空を見上げたあの日――――――すべてが始まった

 

 

 

 霧のように立ち込め出した狂気が彼女たちに摂り付く。 その狂気こそが彼女たちの関係を雷のように無残に引き裂いた。 それまで、互いに腹の底から笑い合うほどの仲が、一瞬にして、腸が煮え繰り返るような憎悪を示して互いを傷つけ合った――――――たったひとつの欲望のために

 

 

 

 彼女たちの想いが交差する。

 

 

 

 

『―――あなたは私からの愛に逃げている。 自分には応えられないからと言って………だから、一緒にいる私のことが目障りに思うのでしょ!?』

 

 

 

 大切なものに裏切られ、彼のことすら疑ってしまった彼女―――――

 

 

 

 

『――――私はおにいちゃんと一緒にいたいだけなのにどうしてみんなで私のことを止めようとするの!? ――――私にはおにいちゃんが必要なの!おにいちゃん以外あり得ないの!!それを私の前から取り去らないでよ!!!』

 

 

 愛しい人の姿を忘れ、欲望のために親友ですら傷つけようとしてしまった彼女―――――

 

 

 

『―――アイドル?―――μ’s? ―――あんなのどうでもいいわ……今の私には蒼一がいればいいの―――もし私の邪魔をするなら………この手で消してあげるわ――――』

 

 

 

 自らの信念を見失い、盲目に大切な者たちを薙ぎ払おうとした彼女―――――

 

 

 

『――――私は強くなりました!あなたを護ることが出来るほどに強くなったのです!!だから、あなたはずっと私のそばにいて安心していてくださいよ!!』

 

 

 忌まわしき過去に囚われ、狂気を身にまとった彼女―――――

 

 

 

 

『――――うるさい!! 私の蒼君を語るな!! お前なんか………蒼君じゃない!!!』

 

 

 親友の裏切りで心を閉ざし、愛しい人を殺めようとした彼女―――――

 

 

 

 

『――――私がやってきたことは決して無駄なんかじゃない!! あなたを私のモノとすることで私は完璧になれる! すべてを超越することができる!!』

 

 

 思い通りに行かないことに嫌気がさし、独り善がりに狂気へと落ちていった彼女―――――

 

 

 

『――――みんなのため……? みんなって誰のコト? μ’sって何のコト? それって、私から蒼くんを奪い取ろうとするヤツらのことだよね………!』

 

 

 すべてに絶望し、ありとあらゆるものを消し去ろうとした彼女―――――

 

 

 

 

『―――――私が欲しいのは、蒼一とえりちだけ。 あとは、み~んないなくなっちゃえばいいの♪』

 

 

 

 絶望が彼女を覆い隠し、独り善がりな世界を作りだそうとした彼女―――――

 

 

 

 

 

 

 いずれも8人の彼女たちの口から出た、心にまとわりつく憎悪に満ちた言葉だ。 俺を水底の闇へと突き落とし、内側から殺そうとした。

 

 

 閉ざされた扉をただ眺めながら、俺の身体は幾つもの黒い腕に抱かれ、絡まれて、ただ沈んでいくだけだった。

 

 息苦しい………身体の中に憎悪と言う水が呼吸すらできないほどに含まされる。 もがいても、抗っても、涙を流しても、それは悪魔のような笑みを浮かべて襲い掛かってくる。

 

 いずれ、この腕のように俺の身体も黒く汚れてしまうのだろうと……虚ろな瞳が曇天を見上げる

 

 

 

 希望の星などどこにもない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 諦めかけていたその時、救いの手が差し伸べられた―――――

 

 

 

 

 

『――――凛はかよちんのことも、真姫ちゃんのことも大好きだにゃ……凛の大切な親友だにゃ………だから、凛の大好きな人同士が傷つけあうところなんて見たくないんだにゃ……!!』

 

 

 

 大切な友達、親友を助けるために立ち上がった彼女―――――

 

 

 

 

 

『あなたたちは一体何をやっているのですか!! あなたたちの大切な人が大変なことになっていると言うのに、何いざこざを起こしているのですか!!』

 

 

 

 責任を抱きながらも全力を尽くして立ち向かう彼女―――――

 

 

 

 

 そして、

 

 

 

 

 

 

 

『来いよ、兄弟…………そして、もう終わらせようぜ、悪夢なんてもう見飽きただろう? 現実戻って、アイツらの胸ん中に飛び込んで、誰もが羨むハーレムエンドを飾って見せやがれ、コノヤロォォォォォォ!!!!!』

 

 

 

 

 すべてを知りつつも尚、身を削って俺を取り戻そうとしたアイツ―――――

 

 

 あぁ…………

 

 

 みんなの勇気が俺を解放させてくれた………

 

 

 

 

 そして、俺は―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ふう。 アイツらがいなくなったと思ったら、何だか急にウチが寂しくなっちまったな」

 

 

「ついこの間、ここにアイツらがいてくれていたんだよな――――」

 

 

「まったく、アイツらもモノ好きだな。 こんな面倒な男の事を好きになるだなんてさ――――」

 

 

「けど、それは俺も同じか―――――」

 

 

「アイツらなんて――――面倒で、おっちょこちょいで、堅物で、気が利かなくって、我儘で、言うことを聞かなくって、貪欲で――――」

 

 

「そして、溺れてしまうくらいに愛してくれるんだからさ―――――」

 

 

「――――っと、それじゃあ、行くとしますか」

 

 

 

 

 

 

 きぃぃぃ……………

 

 

 

 

 

 

 扉はもう、自分で開けることが出来る――――――

 

 

 

 

 

 

「――――っ!! 今日は目が眩むほどの快晴だな―――――!!」

 

 

 

 

 外に一歩出た瞬間、世界は元通りになる――――

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――いってきます――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ドウモ、みなさん。お久しぶりです。


外伝も終了し、晴れてこちらのほうに還ることが出来ました。

これからまた、蒼一たちがかなり忙しくなるだろうと思います。

そんなバカやって、イチャイチャして、時々、真剣な表情を見せる彼らのことを見守ってください。



それでは、参ります。




『C³―シーキューブ―』より

田村ゆかり/Endless Story

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