蒼明記 ~廻り巡る運命の輪~   作:雷電p

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第8話やで!




パンドラの箱を開けるときは御覚悟を!

<前回までのあらすじ!!!>

 

 

 

『「おねがぁ~~い!!!」』

 

 

 

(ぐ、ぐほぉああああああああああああああ!???!!?!!!?!!)

 

 

 

宗方:う、うp主が死んだぁぁぁぁぁ!!!

滝:このろくでなしぃぃぃぃ!!!

 

 

 

海未:・・・始まります。

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

大学の初講義も無事に終わり、明弘と共に穂乃果の家である、和菓子屋『穂むら』に向かって歩いていた。

 

 

「あ~あぁ、めんどくせぇなぁ~・・・あの教授のくだらない話と、訳わかんねぇ内容を勉強させられるなんてよぉ・・・高校にいた頃の方がよかったなぁ・・・」

 

 

おいおい、講義初日からすでにここまでやさぐれるなんて・・・後々が大変じゃないか

明弘は昔から学校の授業を聞くのと勉強をすることを不得意としていることは分かってはいたが、もう大学生なんだぜ?しかも、自分で希望した学校じゃないか。そこは覚悟しておけよ・・・

 

 

「その様子だと、今日発表していた課題の話は聞いてなさそうだな」

「ダニィッ?!!課題だとぉぉ!!?うごごごご・・・・さらば、俺のキャンパスライフ・・・」

「はえぇよ、タコが!!しかし、この程度でうろたえるようだとホントにおさらばしなければならなくなりそうだな」

「ぐぬぬ・・・・だが、俺には奥の手がある・・・!」

「ここで奥の手を使わなければならないほどのお前の詰めの甘さに泣きたくなってきたわ・・・」

 

 

やれやれと明弘の現状に呆れ、右手で頭を抱えていた。

 

 

「奥の手は・・・・(ポン)」

 

 

そう言うと、明弘は俺の肩に手を置いてきた・・・あっ・・・(察し)

 

 

「教えねぇぞ、てめぇひとりでやれ」

「ふっ、俺が語らずとも察するとは・・・さすが、我が兄弟、我が半身よ!!!」

「俺はお前のことを自分の半身だとは思ったこともないし、今後もそんなことはあり得ないだろう」

「冷てぇこと言うなよぉ~」

「少しは自分の力で何とかしようとは思わねぇのかよ」

「学生の本分は、食べる!遊ぶ!寝る!の三つだろう?!勉強なんてするもんじゃねぇ!!」

 

 

どうしてこいつは大学に入れたのだろうか・・・俺と同じ一般試験で合格してきたのは知っているが、それなりに試験内容は難しかったはずなのだが・・・?・・・謎だな・・・

 

 

「これまで言っても、手伝ってくれないか?」

「ダメだな、なんとかしやがれ」

「何でもするからお願いしますぅ」

「何でもされたくないからさっさとやれ」

「・・・・・・・」

 

 

黙り込んでしまったか。まあいい、少しは自分の力で何とかしようとしないといけな・・・

 

 

「・・・・これで・・・・(スッ)」←[ 野口が二枚 ]

「いいだろう、我が半身よ(ガシッ)」←[ 野口は我が手中の内に!! ]

 

 

 

・・・・あっ・・・・しまった。←(哀れな奴)

 

 

 

いや、その・・・なんだ・・・親からの仕送りが無くて、今月ピンチだったんじゃないから!!

 

 

 

「べ、別にありがたく思ってねぇからな・・・」

「(計画通り!)」

 

 

 

くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!やられたぁぁぁ!!!!

 

 

 

こうして、蒼一は3日後に提出しなければならない課題量が倍に増えるのであった。

 

 

 

 

畜生めぇ!!!!(台バン)

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

なんやかんや、くだらない会話を繰り広げていたら目的地についていた。

家の方じゃなくて、店の方から入るか。

 

 

 

(ガラガラガラガラガラ)[扉が開く音]

 

 

 

「ごめんくださーい」

「はぁ~い、いらっしゃ~い。あら、蒼くんに弘くん、久しぶりねぇ」

 

 

 

この人は穂乃果の母親、高坂 めぐみ

ここ和菓子屋『穂むら』の看板娘であり、手作り和菓子の販売の方を担当している。

俺が幼稚園にいた頃に穂乃果と知り合ってから、よくここに顔を出していたこともあって、親しくさせてもらっている。

 

それで、その後ろの工房にいるのが穂乃果の父親、高坂 昌景

普段は無口で威厳のある風貌をしているが、内面はとても優しいお人だ。まあ、口で表現することが難しい少し不器用な人なんだけどね

 

 

 

「お久しぶりです、おばさん」

「こんちわ~す、めぐみさん!今日もお綺麗ですねぇ~」

「うふふ、弘君にそう言ってもらえると元気が出てくるわ」

「もう夕方なんですから、あまり無理しないで下さいよ」

「うふふ、蒼君もありがとね。穂乃果たちは二階の方にいるからお上がりなさい」

「「ありがとうございます!!」」

「蒼君たちがいつもこうしてくると、我が家に息子が出来たみたいだわ~」

 

 

穂乃果と雪穂の女二人姉妹の高坂家にとってありがたいことなんだなぁ、だが、穂乃果のような妹は勘弁だな。

 

 

「なるほどぉ・・・ってことは、穂乃果と雪穂ちゃんは俺の妹ってわけか!!と、ということは兄妹特有のモーニングコールが聞けるってわけか!!!」

 

 

 

(ゴッ!!!)[頭に断罪チョップ]

 

 

 

「黙れ変態!!」

「ぐおっ?!!」

 

 

こんなバカを引きずりながら階段を上っていき、アイツの部屋の前に来た。

 

 

 

 

(コンコン)[ノック音]

 

 

 

 

「穂乃果、入るぞ~」

「いいよ~!!」

 

 

 

(ガチャッ)[ドアノブを回す]

 

 

 

ドアノブに手をかけて回し、開いて入ると・・・

 

 

 

 

「それじゃあ、失礼するz「そ~~~~~う~~~~~く~~~~ん~~~~~!!!!!」

 

 

 

 

(ドゴッ!!)[Critical Hit!!]

 

 

 

 

「ぐぅぅぅうううおおおおおおお?!!!?!!?!?」

 

 

 

 

ほのヘッドが俺の腹に吸い込まれるように抱きつき(ぶつかり)、クリティカルヒットした。そして・・・

 

 

 

 

(ドンッ!!!)[壁ドン]

 

 

 

 

「ぐふぅぼわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!?!?!」

 

 

 

いやいやいやいや、違うからね!これは俺の知ってる壁ドンじゃないからね!!!

こんなZガンダムのカミーユがやったウェーブライーダーアタックみたいな殺人的攻撃をそんな生易しく言うんじゃぁない!!!!

 

 

 

「蒼君!会いたかったよ~(スリスリ)」

 

 

 

おいいいい!!!!お前の一撃必殺のせいでそれどころの話じゃないんですけどぉ!!

そして、やめて!喰らったところをえぐるように頭でスリスリしないでぇ!!!!

 

 

 

 

「穂乃果!蒼一が苦しんでいるではありませんか!!早く離れなさい!!!」

 

 

 

おぉ!ここに女神がおられるぞ・・・俺は二日立て続けに女神を見るとは・・・なんとも、恵まれたものよ・・・

 

 

「えっ??わあああ!!!蒼君!!!!ごめんねぇぇぇ!!!!」

 

 

やっと気付いたか、遅ぇぞ・・・・危うく気絶するところだったじゃんか。

 

 

 

「蒼一、大丈夫ですか?」

「あぁ・・・鳩尾だったら死んでいた・・・」

「そ、それほどの衝撃でしたか・・・」

 

 

うわぁ・・・さすがの海未でもそういう反応しちゃうか・・・まあ、無理もねぇな。本当に殺人的なロケット頭突きだったよ。エドモンド本田もびっくりするだろうぜ。

 

 

「それで・・・そこに寝込んでいる明弘はどうしたんですか?」

「あぁ、気にすんな。俺が制裁を加えただけだ」

「は、はぁ・・・?」

 

 

海未に明弘が穂乃果と雪穂を妹にした時の妄想をしていました、なんて言うと俺以上の鉄の制裁が来ることは分かっている。明弘、ありがたく思うのだな。

 

 

「そう言えば、ことりは来ていないんだな。てっきり、一緒に来ていたのかと思ったのだが・・・」

「ことりちゃんは用事があって、私たちとは別行動をしているよ。あと、もう少しで来るって連絡がきたから心配ないよ」

「そうか、それじゃあ中で待っているか」

「うん!さあさあ、中に入って!」

 

 

そう言うと、俺たちは部屋の中に入った。

 

 

 

 

 

 

・・・明弘を引きずりながら・・・・

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

「じゃぁ~ん!これがウチの新作・和菓子だよ!!食べて食べて!」

 

「「おお~!!!」」

 

 

穂乃果が出してきたのは、親父さん特製の桜の花をモチーフにした和菓子だった。

なんとっ!満開の桜の状態ではなく、7、8分咲きの状態を表現したもので、花びら一枚一枚が丁寧に仕上げられ、また、がくの部分も細かく作られており、立派な花となっている!

これは食べるのがもったいないなぁ。

 

 

「では、食べさせてもらうか・・・」

 

 

和菓子自身はピンポン玉よりも小さいので、一口でいけた。

 

 

「むむっ!!これは!!」

 

 

和菓子独特の餡のやさしい甘さに少しの塩辛さ・・・これはもしや・・・!

 

 

「このがく・・・桜の花びらを塩漬けにしたものを使っているな!!」

 

 

 

 

(ガチャ)

 

 

 

 

 

「その通りよ、蒼君」

「おばさん!?」

「お母さん?!」

「めぐみさん!!」

 

 

 

い、いつの間に!?ナゼ、ソコニイルノデス!!!

 

 

 

「餡の甘さを引き立たせるために、塩の味を付け加えてみたのよ。桜の花をただ見るだけじゃなくて、味わってもらいたいという気持ちを込めて、桜の花の塩漬けを入れてみたのよ」

 

 

まさか・・・発案者はおばさんだったってことなのか!?

 

 

「・・・あっ、このお饅頭お土産よ。たんと召し上がってね」

「えっ!あっはい・・・」

「それじゃあね~」

 

 

そう言い残して、おばさんは店の方に戻っていった。

えっ?何、この嵐が収まった後の静けさは・・・さすが、穂乃果の母親、その性格はそっくりそのまま娘さんに引き継がれてますよ。

 

 

「・・・さて、本題に入ろうか」

「そうだね」

 

 

こういうのは、スルーしてもいいよね?だって、どう対応すればいいのか俺にだって分かんないし、穂乃果だって分からんだろう・・・

 

 

「海未がここにいるということは、穂乃果たちにはもう伝えたんだな?」

「はい、おかげさまでちゃんと伝えることができましたよ」

「そうか!」

 

 

海未が見せる微笑みがすべてを物語っていた。うむ、いい顔だ!かわいいぞ!!

 

 

「えっ!蒼君が関わってたの?!」

「まあな、相談されたから答えただけだがな」

「わーい!!やっぱり蒼君は頼りになるぅ!!!」

 

 

穂乃果は両手をばんざいしながら抱きついてこようとした。

むむっ!危険な予感がする!!

抱きつかれる前に、穂乃果の両肩を掴んで動きを封じさせた。

 

 

「ちょっと~止めないでよ~」

「さっき、あれを喰らったばかりだからな、警戒したくなるだろう」

「え~折角、穂乃果がぎゅっ、てしてあげようと思ったのに~」

「だが断る。ぎゅっ、とされたらドカン!とされそうだし」

「ひど~い、蒼君は穂乃果のことを何だと思っているのさ!」

小悪魔(フランドール)

「むぅ~だったら本当に、ぎゅっとしてドカン!しちゃうぞ!!」

「や~め~ろ~話が進まねぇ!!!」

「俺だったらいつでも大歓迎だぞぉぉぉ!!」

「うるさい変態。お前は引っこんでろ」

 

 

 

穂乃果とじゃれ合っていて話が全く進む気配がない!!

何だこのカオスな状況は!!!

 

 

 

 

(ガチャ)

 

 

 

 

 

「みんなー!おまたせー!・・・ってどうしたの?」

 

 

「こ、ことり!よく来た!!早速だが、穂乃果を止めてくれぇ!!」

「ほんと・・・何が起こってたの?」

 

 

 

 

ことりがちょうどいいタイミングに来てくれたおかげで何とか穂乃果を止めることができたし、話を進めることができそうだ。

 

 

 

「ふぅ・・・ようやく、全員集まったか・・・」

 

 

俺と明弘と穂乃果、海未にことり。

このメンツが揃うのは久しぶりだなぁ~。おっと、思い出に浸りそうになった、早速始めるか。

 

 

 

「そんじゃ、今後の活動について考えるか」

 

「「「「おーっ!!!!」」」」

 

 

 

 

「では、始めにどんなことをするのかだが・・・」

「その前にみんな!私から伝えることがあるの」

「ん?何かあるのか、ことり?」

「うん、蒼くんがお願いしていたことなんだけど・・・」

 

 

 

あ~、理事長に俺たちが音ノ木坂学院に出入りさせてもらえないかって言う話か。無茶に近いようなあの話はどういう風なかたちになったんだろうか?まあ、無理だろうな。さすがに、男を校舎内に軽々しく入れるわけが・・・

 

 

 

 

 

「お願いできました~~♪」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「えええええ!!!!???」」」」

 

 

 

 

 

嘘だろ、ことり!!!そんなことが・・・そんなことがなぜ通ったんだ!!!??

 

 

 

「どうしたの、みんな?顔が固まっているよ?」

「どうしたもこうしたもねぇ!何故普通に通ったんだよ!!」

「そうです!お願いし始めたのは、つい先ほどのはずです!それが、言ってすぐに承諾されるなんて・・・一体、何があったって言うのです?!!」

 

 

 

俺と海未は身を乗り出してことりに近寄り、どうしてそうなったのかのを問いただしていた。

 

 

 

 

 

一方・・・

 

 

 

「やったね!これで蒼くんたちと一緒に活動ができるよ!!!」

「よっしゃあ!合法的に女子校内に出入りすることができる!!!」

 

 

なぁ~にのんきなことを言っていやがるんだコイツらは・・・!!

あと、明弘。あとでもう一回制裁を入れてやる。

 

 

「まあまあ、蒼くん、海未ちゃん落ち着いて、ただ、お母さんにお願いしたらOKしてもらえたんだよ~」

 

 

そんなバカな?!あの人がそんな簡単に承諾するのか!?

 

 

「ただ、お願いしたのか?」

「うん、そうだよ」

「ホントにそれだけ?」

「うん、それだけ」

「・・・・・・」

 

 

 

わからん・・・一体何があの人を変えたのだろうか・・・?

 

 

 

 

 

「あと、お母さんからこれを渡すようにって」

 

 

ことりがとりだしたのは、学院内に入るための許可証と誓約書のようだ。

 

 

「校内に入るときは常に許可証を持っていてくれって、あと、誓約書の内容を見て、記入できるところはすべてやってから直接渡しに来て下さいって、言ってたよ」

 

 

 

ふむふむ、このカードが許可証か、そして、誓約書は・・・・うわぁ、記入欄が至るところにあるじゃんか!

書くのが面倒だなぁ・・・

 

 

 

「・・・ちなみに、いつまでに持って来いって言っているんだ?」

「明日だよ」

「「明日!?」」

「大丈夫だよ、すぐに書けるよ~」

 

 

 

よくもまあ、そう簡単に言うもんだ・・・こっちは大学の課題もあって、大変なんだぜ?

こりゃ、寝るのが深夜になりそうだな・・・

 

 

 

「わかった、なんとかするさ」

「め、面倒だが・・・やるしかないようだな」

 

 

 

明弘も腹をくくったようだし、しゃーなしだ、やってやるぞ!!

 

 

 

 

 

「こほん」

 

 

 

海未が咳払いして、みんなの視線がすべて彼女の方に向いた。

 

 

 

「では、事が順調に運んでいるようなので今後の活動について考えさせていただきます」

 

 

順調に進み過ぎて逆に怖いのだが・・・

 

 

 

「まず、基礎体力の面ですが、穂乃果とことりは不足しているところがたくさんあると考えておりますので、こういったことをしていきたいと考えております」

 

 

 

 

そういって、海未が書いたメモ用紙を俺たちに見せた。

 

・腹筋20×4セット

・腕立て10×4セット

・男坂往復50回

・もも上げ100回

 

 

 

 

 

「・・・わーお・・・こりゃすげぇ・・・」

「・・・やべぇなぁ・・・こんな練習量を見たのは久しぶりだなぁ・・・」

 

 

俺と明弘はその内容に驚きながらも評価していた。全身体力の強化と持久力の確保、まさに、理に適っている練習内容だ。でも、俺たちが現役の時でもこんな練習はしたことがねぇな・・・

 

 

「無理無理無理ぃ~~~!!!私、そんなにできないよぉ~~~~!!!!!」

「私もそんなにできないよ~!!!!」

 

 

そりゃそうだ、海未とは違ってずっと本格的な運動をしていなかったんだから、すぐにやれといって出来るわけは無い。

 

 

「ライブできちんとしたパフォーマンスをするにはこうした練習は必要不可欠なのです!」

「「え~~~!!!」」

「うんうん、そのと~りだぜ。さっすが海未わかってるぅ~♪」

「おいおい、明弘。そんなことを言うと後で、穂乃果が突っかかってくるぞ」

「それ込みで煽ってます(笑)」

「おいバカ、やめろ」

 

 

女好きの性格はここまで人を変態の道に進ませてしまうのかよ。

コイツの次の段階にはマゾがあるかもしれないな・・・うわー・・・考えただけで頭が痛くなってきた・・・

 

 

「それとこのメニューを日課として、朝と夕方の2回行いたいと思っています」

「「え゛え゛え゛!!!!!」」

「「わーお・・・マジか・・・」」

 

 

穂乃果とことりの口からすごい声が聞こえたような・・・

しかし、もうこれは運動部と変わらんではないか?普通の女の子がやるような練習量ではないな・・・

 

 

「あとは、柔軟体操を入れるくらいでよいと思います。こんな感じでよろしいでしょうか?」

「よくないよ、海未ちゃん!!これじゃあ、ガッチガチのスポ根部活みたいだよ!!!キン肉マンみたいになっちゃうよ!!!」

「キツイのは最初だけです。日々、怠らずにやれば慣れるでしょう」

「ふぇ~~~ん!」

 

 

がんばれ、がんばれ、慣れれば楽だぜ。何事も日々の努力の積み重ねが大事だからな。

だが、安心しろ。この練習メニューでは筋肉隆々のマッチョマンにはならないから。

 

 

「蒼一たちはどうですか?」

「問題ないな。ただ、始めの方は腕立てとかの回数を少しだけ減らして、段々と増やしていくようにしていかないと体が持たないぜ?」

「そうそう、それにこの基礎練のあとにダンスの練習をするんだぜ?基礎練でぶっ倒れでもしたらもともこうもないぜ」

「そ、そうですか・・・では、始めは数を減らすということにします」

「「やったー!!」」

 

 

 

穂乃果とことりはうれしそうに互いにハイタッチしている。そんなに嫌なのかよ・・・わからんでもないがな・・・

 

 

 

 

 

 

「しかしだな、穂乃果にことりよ。俺がいいことを教えてやろう」

「「「「????」」」」

 

 

明弘は立ち上がって、俺たちに何かを語り始めた。

 

 

「いいか、この練習メニューを欠かさずに行えば、いずれ、お前たちは・・・このンミチャーみたいな綺麗な体つきになれるぞッ!!!」

 

 

 

な、なにを言いだすだァーーーー!!!!??

 

 

 

「な、何を言い出すのですかぁ!!!?」

「ふっふっふ・・・俺にはわかるぞ~、ンミチャーのこの・・・腕!おなか!!くびれ!!!そして、引き締まった太もも!!!!まさに、この練習メニューを欠かさずにやってきた結果がここにあるというわけだ!!!」

「や、やめてください!!恥ずかしいです!!!!」

 

 

わぁお!!両手をわしわししながら海未の体中を舐め尽さんばかりに見ていやがる!!!

そして、その口車に踊らされて、海未の体をまじまじと見ている自分もいるッ!!!

・・・・綺麗だなぁ・・・ハッ!?俺は何を・・・!!!

 

 

「このスレンダーな体こそ、女の子たちが求める究極のボディーではないのか!?」

「「!!」」

 

 

えっ?!なになに!?穂乃果たちよ、何を驚いているのだ!何を悟ったのだぁー!!!

わわわ、海未の顔が真っ赤になっていやがる!!すでにゆでダコ状態になってるぅ!!

 

 

 

「究極ボディーがほしいかー!!」

「「欲しい!!」」

「だったら、こなせるかー?」

「「こなしてみせるよ!!!」」

 

「よぉーしッ!!!」

 

 

 

 

明弘は大きくガッツポーズを決めた。ホント、アイツは女心を操るのがうまいなぁ。そう言うところは感心するな。

 

 

 

 

 

「ただし、胸が大きくなるという保証は無いぞ~なぜなら、見ればわかr「ふんっ!!!!!」

「ぐごごごぉぉぉおおおおおおおおおあああああありがとうございますっ!!!ぶぐおおおああ!??!!」

 

 

 

 

海未の右足から繰り出された目では捉えきれないほどのキックが明弘の顔を直撃し、その勢いで明弘は壁に直撃してしまった。

ん?何か聞こえたような気がしたが・・・・気のせいか。

 

 

 

「まったく、何を言い出すのやら・・・」

「しかし、明弘の言うことには一理あるかな」

「・・・蒼一もああなりたいですか?」

「いやいや、お断りするぜ。俺が言いたいのは、その練習をすれば海未のように綺麗になれるってことさ」

「ええええ!!?蒼一、何を言うのです!!!」

「だって、事実じゃないか?体がまっすぐで引き締まって整っている。それに、重心も安定しているから立っているだけでも綺麗に見えるんだぜ?綺麗なものに綺麗と言って何か問題でもあるのか?」

「い、いえ・・・あの・・・その・・・あ、ありがとう・・・ございます・・・」

 

 

ありゃ?また、ゆでダコ状態になっちまった。少し、言いすぎたか・・・?

 

 

「(いいなぁ~私も蒼くんにああ言ってもらいたいなぁ~)」

「(ことりちゃん、私たちも頑張って綺麗になろうね!)」

「(うん!蒼くんに綺麗になった私たちを見てもらおうよね!)」

 

 

 

「ん?どうした2人とも?」

「「ううん、何でもないよ」」

「?」

 

 

2人で一体何を話していたんだ?私、気になります!

けど、今はその話は置いといてと・・・

 

 

「そんじゃあ、基礎練は海未が考えたヤツで、ダンスの方は俺達で考えたヤツをやるということにするぜ」

「うん、そうしよう!」

「私も頑張るよ!」

「ダンスの方はお任せしますよ、蒼一」

「おう!」

 

 

へへっ、これである程度終わったかな?

 

 

・・・・あっ、一番重要なことを忘れてたわ・・・・

 

 

「そういやぁ、お前たち。歌はどうするんだ?」

「「「あっ・・・」」」

 

 

その反応を見る限りでは何もしていないように見えるな・・・

これが決まらなければ、何も始まらないんじゃねぇか?

 

 

「既存の曲でも使うのか?まあ、それの方がやりやすいって言うのはあるんだが・・・」

 

 

俺的にはこちらの方が無難なものだと考えている。早めに仕上げることができるというのもあるが、一番の問題はオリジナルをやるとして、その作曲と作詞を誰がやるということだろう。作詞ならやれないことは無いんだが・・・作曲はなぁ・・・いくら音楽をやっている俺でもそこまでのスキルは持ち合わせていないなぁ・・・

 

 

 

「いいや、蒼君。私はオリジナルの方がいいと思うの」

「えっ?!」

 

 

俺の聞き間違いか?オリジナルだとぉ?!ば、バカな!?どうやって作るつもりなんだぁ!!?

 

 

「蒼君、確かに元々ある曲を使ってライブをするのもいいかもしれないけど、私たちは私たちのライブがしたいの!私たちの思いを歌とダンスで伝えたいなって思うの!・・・どうかなぁ?」

「どうかなぁって・・・はぁ・・・」

 

 

うぅ~頭が痛くなってきた、どうすんだよ・・・穂乃果の言いたいことはわかるけどさぁ、限度というのがあるぜ。俺の知っているので作曲ができるヤツはいたかなぁ?あとで、調べておく必要があるかもな。

 

 

「ちなみに、作詞の方はもう何とかなってるよ」

「何!ホントか!?」

 

 

なんと!もうすでに決まっていたというのか!!意外と手回しは早いのだな。

 

 

「それで誰がやるというのだ?」

「それはね・・・ふっふっふ・・・」

「おい、悪い顔になってるぞ」

「ふっふっふ・・・・海未ちゃんだよ」

 

 

「!!!???」

 

 

「おい、海未が硬直してるぞ。事前に伝えてなかったのか?」

「いや、今初めて言ったんだよ」

 

 

ひでぇ・・・こいつはひでぇ・・・

 

 

「しかし、なぜ海未に頼むんだ?海未が作詞できるなんてわからないじゃないか」

「蒼くんは忘れたの?海未ちゃんが中学の時に書いていたアレを」

「アレ?・・・アレ・・・・・・・あっ(察し)」

 

 

その時、俺の頭の中に電撃が走るッ!!思い・・・だした・・・!!!あれかぁぁぁ!!!!

 

 

「そ、蒼一!何を思い出したのです!!」

「いや、その・・・俺は好きだったぞ・・・あのポエムは」

「いやあああ!!!!忘れてくださああああああいいいい!!!!」

「やめろぉ!!!その怒りの鉄槌をこちらに向けるなぁああ!!!!」

 

 

腕をぶんぶん振り回しながらこちらに近寄ってくるぞ!!く、くるなぁ!!!お前のパンチはシャレにならんぞ!!!

 

 

 

 

 

 

「・・・春風よ、教えて。わたしの・・・わたしの愛はどこに行こうとしているの?」

 

 

 

 

「「「「・・・・・・・・」」」」

 

 

一瞬何が起こったのかさっぱりだった。だが、その言葉は明弘の口から出たものだということがわかった。

つか、いつの間に起きたんだよお前!!

 

 

 

・・・・・海未の黒歴史(ヘヴンズ・ゲート)を持ちながら・・・・

 

 

 

「わたしのココロはここにあるのに、この愛だけはどこかに行こうとしているの」

 

 

 

・・・痛い!痛すぎる!!明弘!!!お前はとんでもないパンドラの箱を開いちゃってるよ?!

自分が書いたものを他人が詠むというなんという卑劣極まりないことを平然とやってのけるお前が怖いぞ!!!!

 

 

 

「あぁ、ならばその愛はわたしの愛しき方に届いてほしいの・・・だって、これが恋というものなのですから」

 

 

 

「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

(ドコドコドコドコドコドコボコボコボコボコボコ・・・・・)

 

 

「ぐぅお!ぐはっ!!ふぎっ!ぐふうぅお!!ではぁ!!あぎゃ!ぶへっ!あべばぁ!!・・・・」

 

 

コンマレベルで繰る出される海未の連撃はすべて明弘の体に吸い込まれるように入っていった。ミンチよりもひでぇや・・・・

なんと!まるで、どこぞの人類最強さんの猛獣の連撃のようじゃないか!!!!・・・明弘、生きろよ・・・

 

 

「ふう・・・ふう・・・ふう・・・聞きましたか・・・?」

「イイエ、ワタシハナニモキイテマセン」

「そうですか・・・・ふう・・・ふう・・・・」

 

 

もはや、鬼神状態になっているんですが・・・もしもーし、明弘生きてるかぁ~?

大丈夫だ、まだ息はある・・・

 

 

「・・・とにかく、私はやりませんからね・・・」

「で、でも、私は海未ちゃんがやってくれると嬉しいなぁ・・・なんて?」

「やりません!!」

「海未ちゃん、だめ?」

「・・・だめです・・・」

 

 

むう、俺も出来ることなら海未にやってもらいたいなぁ。あの詠唱がかけるくらいの表現力があれば十分だと思うぞ。・・・ぶっちゃけ、俺が書きたくないというのはあるけど・・・

 

 

「(蒼君からもいってくれない?私たちだけじゃ、どうにもならないよ)」

「(だとしても、どうすりゃあいいんだよ?)」

「(海未ちゃんは押しに弱いんだ~・・・あとはわかるよね?)」

「・・・・・」

 

 

 

それって・・・あれですよね・・・ラブコメとか、恋愛シュミレーションでよくあるやつだよな・・・

それをやれと?

 

 

 

(ぐっ!)d(・_<)

 

 

 

わ~お、穂乃果さんひっでぇ~。後で何かおごってもらうぞ・・・

 

 

 

 

俺は立ち上がって海未に近づいた。

 

 

「なんです?蒼一?」

 

 

うぐぐ、威圧感がハンパねぇ・・・目で人を殺せるぞ・・・ええい、ままよ!!やってやろうじゃねぇか!!

 

 

「海未!!」

 

 

そう言って、俺は海未の両肩に手を置いた。

 

 

「へ?あっ、そ、蒼一何を!!?」

「海未、聞いてくれ。お前が書いたあの詩は素晴らしいと思うぞ。いや、大好きだって言えるね!!!あんな、自分の気持ちをさらけ出しながらもその表現力を持って自然と融和させて美しく滑らかな旋律を生みだしている。そんなことができるヤツは他にはいない、ましてや、この地上のどこを探しても海未のように書けるヤツはいないだろう。これは海未にしか与えられなかった天賦の才だ。その才をこんなところで埋もらせるわけにはいかねぇ、是非とも、その才を俺のため、みんなのために使ってくれないか?」

 

「ッ!!!・・・え、あの・・・その・・・よ、よろしくお願いします・・・」

 

 

よっし!お許しが出たぞー!!!(白目)

全く何を言ってんだ俺は!!!自分で言ってて恥ずかしすぎるわーー!!!

 

 

「蒼君」

 

 

穂乃果がにっこりスマイルで近づいてきて、肩にポンと手を置いた。

 

 

「よかったよ!!!」d(・_<)

 

 

ぐわあああああああ!!!!!!よりによって、人に見られながら語ったんだった!!!!!

穴があったら入りてぇよ!!!!

 

 

 

「作詞の方はどうにかなりそうだね。あと、作曲のことなんだけど、私に少し心当たりがあるんだ」

「なんだって!・・・・また、事前に話してないのに決めようとしているだろ」

「大丈夫だよ!一応、話はしているよ!!」

「ほぉ~う、ではどこのどいつなんだ?」

「え~っと、ウチの学校の音楽室にいたピアノが上手な後輩!」

「・・・名前は?」

「知らな~い」

「頼まれてくれる気はあるのか?」

「わからな~い」

 

 

そうか・・・一応、話はしているだけなのね。それじゃあ、ダメじゃん!!!

 

 

「あのなぁ、承諾もしてくれてないのに決めつけるなよ!だいたい、お前にとっても初めて会うヤツによくそうしたお願いが出来たよな!!」

「えへへ☆ でも、作曲をしてくれないかって頼んだ時、やってくれそうな雰囲気だったよ!明日また会って、話してみるよ!!」

「へ、へぇ~そうなのか・・・そんじゃあ、話してみてくれ。向こうにとっては迷惑な話かもしれないが、やってくれることに越したことは無いからな」

 

 

ごめんよ、音ノ木坂学院の音楽室の守人よ・・・少しだけ、俺たちに力を貸してくれ・・・

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

「それじゃあ、明日から男坂で朝練をするぞ。時間は7時だからな!」

「うん、わかった!待ってるよ!!」

 

 

その後、なんやかんやあって、一旦、お開きにすることになった。

まあ、明弘と海未が倒れちまって、話合いにすらなんなかったのが理由なんだがな・・・

 

 

「それじゃあ、海未を頼んだぞ」

「任せて!!ちゃんと送り届けるから!!」

 

 

今もなお、気絶中の海未は穂乃果とことりに支えられながら、自宅に向かっている。

俺も明弘を担いで帰らないといけないからお互い様だな。

 

 

「よいっしょっと!」

 

 

明弘の体を横にして、俺の肩の上に載せ、しっかりと支えながら担いでいく。

知らない人が見れば、ただの不審者にしか見えんだろうけど・・・

 

 

「えーっと、明日までにやることは・・・大学の宿題×2とこの書類、飯の支度に掃除洗濯とやることが盛りだくさんだな・・・」

 

 

ウチの両親は現在も仕事で家を離れているから家事全般は一人でやらないといけない。そして、コイツもどうにかしなければならないし、明日からは、穂乃果たちの指導をしなければならない・・・

こいつはヘヴィーだな・・・

 

 

 

 

明弘を担ぎながら夜の神田の街を歩く蒼一は、今後起こる様々な出来事に振り回されていくことを知る由もなかった。

 

 

(次回へ続く)

 




初・1万文字越え!!!

最近、ギャグがやりたいと思っていたので、内容がかなりギャグ寄りに作ってみました。そうした結果がこの文字数だよ!!後になって、多くね?と思ったけど、これでも削ったほうなんだぜ・・・
(やっちまった感がハンパないッ!!)

今回も既存キャラに名前を入れてみました。高坂って聞くとどうしても、弾正!っていうイメージがあるのよね。こりゃ歴オタにしか分からんか。女性キャラの名前はティン!と思いついたのですが、高坂パパの名前はどうしようかなぁ、と悩んでいました。しょうがねぇから、同じ四天王のあの人の名前を借りさせていただきましょうということであの名前になりました。

次回はなんと蒼一、明弘に続く新キャラを登場させます。
どういう子なのかちゃんと見ていてくださいね!



今回の名曲は、
連続投稿で疲れているうp主にエールを!ということで、

大事MANブラザーズバンド/『それが大事』

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