現実side2話目になります!
修学旅行の後からの結衣視点でお送りします。
ではどうぞー!
あれから奉仕部の空気は重い。
今までみたいな空気はなくって、ゆきのんも、ヒッキーも、何かを言おうとして何も言わない。 そんなギクシャクした雰囲気に包まれてしまった。
きっかけは修学旅行でのことだ。
八幡『ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください』
わからない。なぜヒッキーがそんなことを言ったのか。なぜ嘘告白なんてしたのか。私はバカだから考えてた。考えて考えて、それでもわからない。それにゆきのんもわかっていない。
戸部っちの依頼は姫菜への告白のサポートだった。私は当然応援したくなりゆきのんを説得して依頼を受けた。ヒッキーは最初から乗る気ではなかった。それで結果はこうだ。
どうして人の気持ちがわからないの?
ヒッキーが傷つくのを見たくないのに…
なんでそんなことをしたの?
そんなことを思った私とゆきのんはヒッキーのいない部室で言ってしまった。
結衣「正直ヒッキーにはもう…来てほしくないよね…。」
雪乃「さっきからそう言っているじゃない。彼はもうココには必要のない存在だわ。」
その次の日、ヒッキーは部活に来なかった。
学校には来ているけど部活には来なかった。
私も声をかけようとしたけどかけられなかった。
それから数日立ちヒッキーは学校を休んだ。
そして次の日も休んだ。気になった私はゆきのんと一緒に平塚先生のところへ行ったがわからないらしい。それも連絡もなくかけても出ないそうだ。
小町ちゃんなら何か知っているかもしれないと
思った私たちはさっそく連絡をとり翌日会う約束をした。
・・・・・・・・・
私とゆきのん、小町ちゃんは今ファミレスにいる。飲み物を頼んだ後に小町ちゃんが切り出した。
小町「で?なんですか、話って。」
そう言うとゆきのんが答えた。
雪乃「小町さん、比企谷君が最近学校に来ていないのだけど何かあったのかしら?」
結衣「うん、私もそれが聞きたくて…。」
小町「実は…」
それから小町ちゃんは話してくれた。ヒッキーが『ソードアート・オンライン』というゲームに閉じ込められたことを。そのゲームで死ぬと2度と現実には帰ってこれないということを。
雪乃「そんな…。」
結衣「ヒッキーが…。」
私とゆきのんは絶句した。ヒッキーがいない?
最悪死ぬ?私の頭はこんがらがってきた。
そんなときに…
小町「あと雪乃さん、結衣さん。兄が修学旅行から帰ってきてからずっと変でした。何かあったんですか!?教えてください!」
雪乃「え、ええ。それは…」
いきなり小町ちゃんに言われた私たちは話してしまった。修学旅行のことや文化祭などの今までの依頼のことを。それを聞いた小町ちゃんはこう言った。
小町「最低ですね。」
雪乃「ええ、小町さんもそう思うでしょう?」
そうだよね!こんなことってないよね!小町ちゃんもそう思うよね!?
しかしそう思った瞬間思ってもいなかった言葉が小町ちゃんの口から飛び出した。
小町「いえ、兄ではなくあなたたち2人が。」
2人「「え….」」
え?私たちが最低…?どうして?
小町「雪乃さん、今聞いた話しだと文化祭の時兄に理解していると言ったんですよね?」
雪乃「え、ええ。」
小町「なら、なんで修学旅行のときは兄を否定したんですか?今回も文化祭の時と似ていると思うんですが。兄がそういう行動をとることは分かっていたはずですよね?さらにあなたは兄に任せると言った。ならなぜ兄を否定したんですか?おかしいでしょ!」
雪乃「……………」
小町ちゃんがゆきのんに有無を言わせないように言うとゆきのんは黙ってしまった。
小町「それに結衣さんも結衣さんです。」
結衣「え?私…?」
小町「兄にあなたはこう言ったんですよね?『人の気持ち考えてよ!』 と。」
結衣「う、うん。」
小町「じゃあ結衣さんは兄の気持ちを考えたんですか!?こんなことを言う気持ちを考えたんですか!?あなたはあなたの気持ちしか考えてない!兄の気持ちを考えてくださいよ!」
結衣「……………」
ヒッキーの気持ち…?考えたよ!考えた!
でもヒッキーは自分だけ傷つけば、それで良いと思ってるんだ。でも、それをそばで見ていたあたし達の気持ちなんか考えてない!なんでそう言われなきゃならないの!?
そう思ったが私は声が出なかった。
小町「それに依頼を受けたのは2人ですよね?軽はずみに結衣さんが受けてそれに雪乃さんが賛同した。兄は元々受ける気はなかった。それなのに尻拭いを兄にさせておいて何が『あなたのやり方嫌いだわ。』ですか!何が『人の気持ちを考えて!』ですか!」
2人「「そ、それは…。」」
小町「それに理由がなければそんなこと兄はしません!それによりによって嘘告白なんて…。」
雪乃「それはどうして…?」
ゆきのんの問いに小町ちゃんが悲しそうな顔をしながら答えた。
小町「昔兄がやられたからですよ…、それはかなり傷ついて数あるトラウマの中でも触れてはいけないことです。それなのに…それなのに!そこまですると言うことはそれしかなかったってことなんです!それしか方法がなかったから兄はやったんです!」
2人「「……………」」
え…?ヒッキーが嘘告白された?そんなこと一言も聞いてない。私とゆきのんはそれを聞いて呆然とした。
小町「兄がなぜそんなことをしたか…。それが分かるまで私に会おうとしないで下さい。不愉快です。では私はこれで帰ります!」
雪乃「待って小町さん!」
結衣「お願い!待って小町ちゃん!」
私たちの言葉には耳を貸さず小町ちゃんは店を出て行ってしまった。
それから数分は何も喋ることなく過ぎて行ったが、ゆきのんが切り出した。
雪乃「…とりあえず比企谷君がどこの病院にいるか探しましょう。携帯で調べた限りではそのゲームに閉じ込められた人はどこかしらの病院に運ばれているはずだわ。」
結衣「…うん!そうだね!でも、どうやって探そう?小町ちゃんは教えてくれそうにないし…。」
そうするとゆきのんは携帯を取り出して電話した。数分後、ゆきのんのお姉さんが来た。
陽乃「ひゃっはろー!雪乃ちゃん、ガハマちゃん!いやー、まさか比企谷君があのゲームに閉じ込められたなんてね。お姉さん驚いたよ!」
雪乃「姉さん御託はいいから比企谷君がいる病院を教えてくれる?」
そうかさっき連絡していたのはゆきのんのお姉さんなんだ。だから、嫌そうな顔をしながら電話していたのか。
陽乃「もうー、雪乃ちゃんのイケズー。で、本題を言うと比企谷君が入院している場所はわかったよ!」
雪乃「!?本当なの!?早く教えなさい!」
結衣「教えてください!」
陽乃「〜ん、でも場所が場所なんだけどねー。」
雪乃「いいから教えて!」
ゆきのんが急かすように言うとお姉さんは「しょうがないな…。」と言ったあと答えてくれた。
陽乃「比企谷君が入院している病院は東京のとある病院。でも、問題があるんだよね〜。」
お姉さんは一息ためるとこう言った。
陽乃「そこの病院は結城家の関係の病院で、比企谷君の病室には関係者以外立入禁止になって入れないの。」
結城家?ゆきのんの家と同じかんじなのかな?
雪乃「でも、私たちは比企谷君の関係者よ!それでも入れないの!?」
陽乃「うーん、なんか家族以外完全に立入禁止になっていて雪ノ下家の権力を使っても入れないようになっちゃってるんだよね…。」
雪乃「そんな…。」
結衣「うそ…。」
こうして私たちはヒッキーに会う手段をなくした。