俺たちはディアベルに先導されボス部屋の前に来ていた。
キリト「いよいよだな。」
ハチマン「もう俺帰っていいかな?だるいし。」
アスナ「えー、ここまで来たなら頑張ろうよー。」
ユウキ「そうだよハチ兄ー。」
ハチマン「わかったよ、わかった。」
正直めんどい。あー、やだやだ。
ディアベル「じゃあ俺から言うことはたった1つだ。勝とうぜー!」
そのときにディアベルがなんか言っていたが気にしない。さてとやりますか…。
ボス部屋の中では、コボルドの王――第1層ボス《イルファング・ザ・コボルドロード》と、取り巻きの《ルイン・コボルド・センチネル》三匹が待ち構えていた。とりあえずβテストと同じか。
ディアベル「よし、みんな俺に続けえええ!!」
「「「オォォォオ!!!」」」
はいはい、うるさい。君たちここで死んだら現実でも死ぬことになるのわかってるんですかね?というかディアベル黙れ。
俺たちの班は4人。俺とアスナ、キリトとユウキに分かれている。その方が効率が良くてアスナと一緒にいられる。1粒で2度おいしいとはこのことだ。
アスナ「ハチマン君、スイッチ!」
ハチマン「あいよ。」
こうして黙々と狩っている。暇だなー。
ユウキ「キリト、スイッチ!」
キリト「はぁー!」
うんうん、キリトとユウキも順調でなりより。
ハチマン「アスナとどめよろしく。」
アスナ「うん!」
こうして着々と取り巻きはなくなっていく。前にキリトに言われたんだが俺のやり方はえげつないらしい。アスナには「かっこいい///」と頬を染めながら言われたが。
だって俺の戦い方とかいたって普通だろ。素早く的に近づいて次に急所にソードスキルをぶち込むか普通に斬り刻むだけ。いたってシンプル。アスナは俺のやり方を間近で見ているせいかスタイルが似ている。それを見てキリトは若干引いていた。ユウキは「さすがハチ兄だね!」と言われた。なに?アスナとユウキって天使なの?と、そこでキリトが話しかけてきた。
キリト「よ、お疲れハチマン。」
ハチマン「もう働きたくないけどな…。」
キリト「あはは…。」
ハチマン「で、ディアベルはどうだ?」
キリト「順調かな?怖いぐらいに…。」
キリトがディアベルを見ながら言う。
確かにボスのHPはあと少しで1本になるという所まで削れているくらい順調だ。けどこういう時に限って不足の事態になりやすい。
今までβテスト時と正規版では変更点が多くあったと思う。にもかかわらずボスだけ変更点が無いというのは茅場が考えていないはずがない。
事前にアスナやキリト、ユウキ、アルゴには言ってあるので何が来ても大丈夫なように備えてはいるが。
『グォォォォオ!!』
ボスの雄叫びがボス部屋に響き渡る。
どうやらHPバーが最後の1本になったみたいだ。
《イルファング・ザ・コボルドロード》が手に持っていた武器を投げ捨て、腰からタルワールを抜き、装備した。
…ん?あれは!マズイ!
そう思った俺はすぐにボスに向かう。βテストと同じならここはチャンスだ。同じならな…。
ディアベル「みんな!一旦退がれ!後は俺がやる!」
やはりディアベルは…
後ろでキリトもモヤットボールならぬキバオウともめてるが無視。
ちょうどその時ディアベルにボスのソードスキル《浮舟》がヒットしそうだった。俺はすかさずそこへ飛び込んだ。
ディアベル「あ、ありがとう。」
ハチマン「そんなことはいい。ユウキ!こいつを受け取れ!」
ユウキ「りょーかい!」
腰が抜けたディアベルをユウキ目掛けて投げた。あとは知らん。
人の死にそうなところを見た周りの連中は唖然とし、死の恐怖を感じて士気が下がっている。
はあー、こんなんで大丈夫なのか?これから…。それにこのままだとさらに死者が出る。
さて、どうしますかね。
ボッチの俺に励ますのは無理。ということはボスを倒す。はい、終了ー。
ハチマン「アスナ!キリト!ユウキ!俺たちでやるぞー!」
アスナ「うん!」
キリト「おうー!」
ユウキ「おー!」
ハチマン「俺とアスナで攻撃を弾くからキリトとユウキはその隙に攻撃してくれ!あ、あと他の連中の士気を先にあげといてくれ。それまでは時間を稼ぐ。」
2人「「了解!」」
ハチマン「行けるなアスナ?」
アスナ「もちろん!」
キリト「ハチマン、アスナ死ぬなよ。」
ユウキ「ハチ兄とアスナも気をつけてね。」
ハチマン「ああ。死なないように頑張る、それ以外は頑張らないけど。」
キリト「あはは!ハチマンらしいな。」
ユウキ「それでこそハチ兄だよ!」
ハチマン「じゃ、行くかアスナ。」
アスナ「うん!」
ボスの懐へ入り野太刀を弾く、弾く、弾く。その間にキリトとユウキが士気を上げたやつらが参加する。キリトとユウキも追いついて俺とアスナがあけたボスの隙に遠慮なくソードスキルを放つ。
ハチマン「おぅー!」
アスナ「はぁー!」
後はボスを倒すだけの簡単なお仕事。
その考えが一瞬の油断を一瞬の油断を生んでしまった。マズイ!
ボスのフェイントに引っかかり、ソードスキルを外してしまい完全な無防備状態となってしまった俺。その隙をボスが見逃すはずもなくボスのソードスキルが俺を襲う、ばずだったが…
ガキィィィン
俺を盾を構えた肌の黒いスキンヘッドのおっさんが守ってくれた。
ハチマン「すまないな。」
エギル「いいってことよ!それよりも…。」
ハチマン「ああ!」
ハチマン「アスナいくぞ!」
アスナ「ええ!」
その後俺とアスナ、キリト、ユウキの猛攻を他の連中でカバーしていった。最後にキリトがとどめを刺して終了ー。お粗末様でした。
《Congratulations!!》
男「か、勝った……勝ったぞぉぉぉ!!!」
誰かの叫びをきっかけにボス部屋に歓喜の声が響き渡った。
アスナ「やったよー、ハチマン君!」ダキッ
ハチマン「ああ、そうだな。」ナデナデ
アスナ「えへへ///」
ユウキ「あー、僕も僕も!」
ハチマン「はいはい。」ナデナデ
ユウキ「えへへ〜。」
キリト「よっ!ハチマンお疲れ。」
ハチマン「お前もなキリト。」
みんなボスを倒して喜んでいた。
そのとき
キバオウ「なんでや!なんでディアベルはんを見殺しされそうになったんや!」
キリト「見殺し……?」
キリトがなに言ってるだこいつ?というかんじでキバオウを見た。
てか、こいつアホなの?バカなの?
というかキリトの邪魔したのあんただろ。
キバオウ「せやろが!お前さん、ボスの使う技知っとったやないか!それをディアベルはんに伝えていれば死にそうにはならなかったやないか!」
男「そうか!あいつβテスターだ!だからボスの使う技知ってたんだ!!」
キバオウの言葉を聞いた周りは次々にβテスターを非難し始めた。でも、お前らを率いてたディアベルもβテスターだからね?
はぁー、めんどくさいがしょうがないか。
集団を一致させるもっともいい方法は?
答え 共通の敵を作ること。
俺がそうして声を上げようとしたとき、アスナがキバオウの方へ歩いて行った。そして…
バチーン
ハチマン「………へ?」
キバオウの頬を思いっきり叩いた。
アスナ「いい加減にして!」
ハチマン「え、あの、アスナさん?」
アスナ「どうしてキリト君やハチマン君を責めるの!ディアベルさんを助けたのはハチマン君でしょ!?誰1人死ななかったからそれでいいじゃない!それにキリト君がディアベルさんを助けに行こうとしたら止めたのはキバオウさんじゃない!キリト君が行けばもっと安全だったのに!あなたは何が不満なの!?あなたに何が言えるの!?ディアベルさんが死にかけたのはあなたのせいでもあるのよ!ハチマン君とキリト君を悪く言わないで!」
キバオウ「わ、わいはそんなことしてへん!このお嬢ちゃんが適当なこと言ってるだけや!」
めちゃくちゃ責任転嫁してるし…。
男1「いいや!俺は見ていたぞ!お前がキリトの邪魔をしていたのを!」
男2「お、俺も見たぞ!そこのキリトってやつがディアベルさんの所に行こうとしたらこいつが通せんぼしてたぜ!」
俺を守ってくれたやつからだんだんとキバオウを非難する声が上がってきた。
キバオウ「っぐ、だったら何でわいらにソードスキル教へんかったんや!あんさんらβテスターだろうや!」
ハチマン「たしかに俺とキリトはβテスターだが言ったところでお前は信じたか?いや、信じない。なぜなら会議のときあんだけβテスターを毛嫌いしていたくせに何言ってるの?バカなの?アホなの?」
キバオウ「っぐ!」
正論を言われて何も言えなくなったキバオウさん(笑)。周りの見る目が冷めているが気にしない。
ハチマン「じゃあ、俺たちは先に行ってるのであとはよろしく。アスナ、キリト、ユウキ行こうぜ。」
3人「「「うん!(ああ!)」」」
そう言い歩き出す。
ハチマン「あ、アスナ。さっきはありがとうな。俺たちのために怒ってくれて。」
アスナ「うん、当然だよ!2人は悪くないもん!」
ハチマン「嬉しかったぞ。」ナデナデ
アスナ「えへへ〜。」
2人「「甘いよ、2人とも…。」」
こうして第1層ボス攻略は終わった。