なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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前回の久々の投稿で漫☆画太郎先生作、浜田さん風の生存確認をされた作者です。
えぇ、何とか生きてました、皆々様のおかげで頑張って生きております。

はい、そろそろ三章もクライマックスです。

いつものセリフも、ここは彼にお願いしましょうか。


『なんやかんやで到達者』

 

 

 

 

 

本来交わるはずのない聖と魔の融合。

 

 

この世の理を越える禁じ手とはよく言ったものである、覚醒条件も困難ながらそれに見合うだけの能力発現がある。

覚醒した持ち主の思いに応えるためならば常識的概念すら踏み越えることも厭わないということだろうか…。

 

 

とかドライグが抜かしているが何のことだかわからんちん。

聖と魔とか言われましても…、綺麗な光りとドス黒い闇っぽいのがグルグルしてるのは分かる。

 

しかし、肌に感じる雰囲気はかなり鋭くなった。

こんなに変わるもんかね。

 

 

『ああ、歴代赤龍帝達も禁手化して白い龍や各勢力達と戦い、世界中から恐れられたものだ』

 

 

え、こんな奴らが?

 

 

『その剣で俺を掘ってくれ!貫いてくれぇ!俺を鞘にしてくれぇ!』

 

『突っついてよ!その切っ先で僕をツンツンしてよぉぉぉぉ!』

 

『ンッハァァァ!漲ってきたぁーーーーー!

 その剣で○○して××した後△△を◇◇で《自主規制》を《閲覧禁止》に《投稿不可》で《――世に出すのも憚られる――》して頂きたい!!!』

 

 

…え、こんな奴らが?

 

 

『……強い力の波動に反応して目覚めてきたな』

 

 

そらこんな奴ら恐れられるわ、完全に頭の配線が違うもん。ショートってレベルじゃねぇ。

全員もれなく火災発生レベルである。

この世で一番恐ろしいのは何を仕出かすかわからないやつクルクルパーなのだ。

 

 

『まずいぞ相棒。最近こいつらは鬱憤がたまっていた。

 それを身近な者の神器が禁手に覚醒するという非日常と覚醒したオーラに当てられて正気を……、元から失っているがより言動が酷くなるぞ。

 下手したら表層意識まで出てくるという強硬手段に出かねない』

 

 

なにその最悪の時限爆弾。

なんで俺そんな頭のおかしい爆弾背負って生活していかなきゃいけないの?

もういっそのことこいつらをパージしたい。

そのためならこのおかしな籠手のついてる左腕を失うことも辞さない覚悟。

 

しかしこのクソ共は俺の魂にへばり付いているらしく、籠手が出現する左腕を引きちぎったところで何も変わりはしないという。

生まれながらに業を背負うなど中二病が歓喜の声をあげそうな設定ではあるが、実情抱えているのは愚にもつかない変態共である。

こんな奴らを表層意識に出したら業と一緒に汚名まで背負わされるのは明白。

故に早急に対処が必須。

 

 

木場ちゃんの突然のパワーアップによってフ、フリー…、フリーマーケットくんとの喧嘩も形勢逆転しそうな感じである。

フリーマーケットくんも木場ちゃんの剣を見て冷や汗を流しており、

件の木場ちゃんの表情には先程までの焦りは微塵も感じられないほど落ち着き払っている。

それに青髪メッシュちゃんも「そろそろ奥の手を出そうか」とアップ始めてる様子、おい最初から出しとけよ。

まあエクスカリバーとの打ち合い鍔迫り合いに木場ちゃんの剣が勝てば一応復讐の目的としては及第点は達成できるだろうし、

そこからなら青髪メッシュちゃんやイリナの介入も看過していいだろう。

 

 

なので俺のやることは時限爆弾(変態共の鬱憤)が爆発する前に目の前のコカなんとかさんで爆弾処理(ストレス発散)を行うことだ。

色々とふざけてきたしウチの両親の思わぬ攻撃で醜態を晒したコカなんとかさんであるが、

しかし感じるプレッシャーは焼き鳥お兄さんなど比にもならないほどである。

もちろん両親、特にいつも殺り合っている父ほどではないと思いたいが強いことは間違いない。油断はならない。

久々の大物との喧嘩、それも結界とやらのおかげで周囲の破壊も気にせず暴れられる滅多とない機会だ。

ドライグもウズウズしているのだろうか、左手に籠手が勝手に出現し宝玉が光りだした。

先輩達もワクワクしているのだろうか、妙に嫌な悪寒と冷や汗がふき出した。

 

まぁいい、喧嘩の前に気が高ぶるのは当然だ。

さてさて喧嘩だ、てめぇら腹はくくったか。奴さんを地の果てまでぶっ飛ばす準備はできてるな。

 

 

『ムラムラしてます』

 

『くくるどころか縛られたい』

 

『ぶっ飛ばされる準備なら既に』

 

 

興奮はしているらしい、性的に。

そしてぶっ飛んでいた、理性が。

 

 

『相棒、そろそろ限界だ、やってしまおう。

 聖書にも記された伝説の堕天使、地に墜としてやろうじゃないか』

 

 

さてコカなんとかさん、俺の睡眠を邪魔した罪、そしてサシの喧嘩にチャチャ入れた罪は重いぞ。

俺の自己満足と爆弾処理の餌食となるがいい。

 

足に力を籠め、拳を握り、敵に目掛けて飛び出した。

唯々愚直に真っ直ぐに、邪魔するものは拳で砕け。

 

 

さぁ、ダラッといこうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――木場祐希―――

 

 

 

 

巨大な光の槍が至る所で炸裂し、打撃音と衝撃波が鳴りやまない。

お互い小手調べも済み、本領発揮といったところなのだろうか。

 

赤龍帝と伝説の堕天使の戦い。

なんと豪快だろう、なんと凄惨だろう。

僕らから見ればすべてが必殺の威力にして、それを億劫なほど繰り出す両者。

 

 

巨大な光の槍を無数に作り出し、周囲から逃げ場なく射出するコカビエル。

直線に対象へ向かうのではなく予測困難な軌道で迫りくる数千にも及ぶ攻撃、そしてそのすべてが一本で体育館を消し飛ばす以上の光力が込められている。

まるで流星群のように眩い光景であるが、並の者では跡形も残らないほどの攻撃の嵐だ。

 

しかし対するイッセーくんも負けてはいない。

迫りくる光の槍を悉くその拳で、その蹴りで打ち砕く。

先程の僕への不意打ちの時のように気を少しも抜いてもいないのだろう。

彼は今、膨大ともいえる赤い龍の波動を身に纏い、全くの無傷で槍の弾幕を迎撃する。

そして防御だけではない、時折拳から衝撃波を放ち槍をある程度まとめて破壊すると、弾幕にできた隙間から飛び出してコカビエルへと迫る。

コカビエルは近接にてイッセーくんを迎え撃つため手に光の槍を携えて斬りかかるも、拳を手刀に変えたイッセーくんに受け止められ鍔迫り合う。

何故一撃で景色や地形を変えられる威力の攻撃を素手で受け止められるのかは甚だ疑問だが、イッセーくんが防戦一方ではないことに安堵する。

 

 

そして何より、僕には僕のやるべきことがある。

彼が、そして小猫ちゃんや匙くん達がここまでお膳立てしてくれたんだ。

そしてなにより同志達の思いが、魂が、今も僕を支えてくれている。

双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』。

それが僕の禁手、僕たちの新たな剣。

僕が彼らを想い、憎悪の中で生み出した魔の力。

彼らが僕を想い、希望の中で見出した光の力。

肉体は滅びても彼らは生きているのだ、僕とともに、魂が。

常に見守り、思ってくれていた。

 

 

それを知った今、()()()()()()()如きに負ける気がしない。

白と黒の入り混じったこの異様な剣を見てエクスカリバーを持つフリードは鬱陶しそうに吐き捨てる。

 

 

「カッ! 今更秘められた力が覚醒してパワーアップとかありきたり過ぎなんですけどぉー。

 なになに?やだっ、これがわたし…っ!みたいな感じですかぁ? 呑気に幽霊と聖歌なんか歌っちゃってさぁ。

 そーいうの超超超うぜーんだけど、ちょんぱしちゃっていい?いいですよねぇ!この最強のエクスカリバーちゃんでさぁ!!!」

 

 

言い終わるが早いかわからないほどの速度でこちらに斬りかかるフリード。

エクスカリバーの能力の扱いにも慣れてきたのか、刀身を幾重にも枝分かれさせて僕を狙う。

それだけではなくすべての剣の枝の速度が著しく上がった。その上刀身が透明化された。

なるほど、統合された能力の掛け合わせが出来るんだったね、この短期間で聖剣の力をものにしつつある、はぐれ悪魔祓いとしてもその実力は本物だ。

 

しかし、たとえ見えなくても、枝分かれしても、速くとも、君の殺気は分かりやす過ぎる。

その強い殺気や彼の性格が攻撃の場所を知らせるようにわかる、頭、首、心臓、人体の急所を執拗に狙っていることが手に取るように。

先程まで感じていた焦りが嘘のように、僕は冷静に攻撃への対処を可能としていた。

一合剣を交えるたびに折れていた魔剣も、仲間たちとの力で聖魔剣へと昇華し、折れるどころか刃こぼれ一つない。

火花と甲高い音をかき鳴らしながら、殺気を感じる方へ剣を滑らせる。

冷静に、的確に、今まで培ってきた技術で点や線での攻撃を防ぎきる。

 

 

そして自前の速度を活かし、フリードへと迫る。

彼も即座に反応し迎撃しようとするも、焦りからか『擬態』の能力で枝分かれさせた攻撃も直線的で、彼からの一方向だけだ。

隙間を縫うように、攻撃を横にいなして逸らしながら。

刀身が高速でせめぎあい、甲高い音と火花が散りゆく。

 

 

一瞬の隙と油断で命を落とす。

 

 

それでも僕は、僕たちは落ち着き払っていた。

大丈夫、負けやしない。

だって今、僕たちは一つになったのだから。

 

 

フリードへと迫り、彼の持つ本体の聖剣へと斬りかかった。

彼は驚きながらも、先程までのようにこちらの持つ剣を破壊しようと試みる。

だが折れはしない、この(こころ)は、この(たましい)は。

 

 

「そうだ、そのままにしておけ」

 

 

横殴り気味にゼノヴィアが介入してきた。

しかし手には何も持っていない。

空の右手を宙に掲げる。

 

 

「ペトロ、パシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。

 我が声に耳を傾けてくれ」

 

 

言霊を発すると空間が歪み、一本の剣が。

なんだあれは…。

 

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。――デュランダル!」

 

 

かのエクスカリバーにも並び立つ、伝説の聖剣。

この世に切れぬものはないとまで称された剣をなぜ彼女が!?

 

 

「私は元々デュランダルの使い手だ。エクスカリバーは兼任に過ぎない。

 まぁ数少ない天然ものの聖剣使いである私だからこそではあるがな」

 

 

ゼノヴィアの言葉にほぼ全員が絶句していた。

生まれついての聖剣使い、神に愛された少女。

それはバルパーの研究を真っ向から否定する存在だからだ。

誰でも聖剣が扱えるように、それだけを目指して人道から道を外した。

しかし今になって……。

 

 

「こいつは想像以上にじゃじゃ馬でね。使い手の私の言うことすら聞いてくれない。

 故に普段は異空間にでも隔離しないと何でもかんでも切ってしまうんだ。

 さぁフリード・セルゼン、聖剣頂上決戦と行こうか!せいぜい一太刀で死なないようエクスカリバーを使いこなしてみろ!」

 

 

エクスカリバーを超える聖なるオーラを振りまき、光り輝く聖剣デュランダル。

剣呑なだけでなく、神々しく輝く刀身を見てどこか心奪われる。

異形に落ちた聖剣ではない、純然たる神の結晶。

 

 

「そんなご都合主義の後付け設定いらねぇんだよクソビッチが!」

 

 

そんなゼノヴィアに枝分かれさせた透明の刃を向かわせるフリード。

しかし迫りくる刃もなんのその、たった一振りですべてを切り砕いた!

 

 

「所詮は、折れた剣か…。このデュランダルの相手にはならないか」

 

「うっそーん!マジカマジかよマジですかー!?伝説のエクスカリバーちゃんがまるで歯が立たなくってよ!

 リサイクル精神はエコでコスパはいいですが、質では純正品に劣ってしまうのですかぁ!?

 なぁんて地球に厳しいのでしょう!しかしそんな色々を見て僕チンは学んで大きくなっていきまぁす!」

 

 

言葉とは裏腹に動揺し、殺気の薄まった彼に接近する。

僕の目的は最初から一つ。

もう復讐なんて言葉は使わないよ。

これはリベンジだ!

 

 

「ハァァァァァァァァァ!」

 

 

バキィィィィン!

儚く金属音が夜の帳に消える。

鈍色の結晶が宙を舞い、散っていく。

聖剣エクスカリバーの悲鳴だ。

 

 

「みんな、見ててくれたかな?

 僕らは今、エクスカリバーを超えたよ」

 

 






はい、木場ちゃん覚醒回でございました。

長く投稿から離れていたにも関わらず、感想を送ってくださった、延いては読んでくださった読者様に感謝です。
いやぁ、本当にありがたいです。感想っていうのはホントに励みになりますね。
昔はあまりの濃度に恐れおののいたこともありましたが、それも遠い記憶です。
こんなに更新が遅れたダメ作者にもご感想をくださったお優しい読者様はそんな――

【一言】
待ってました!何年でも待ちますとも!この作品の終わりを見届けるまでは!
相変わらず人の名前覚えない一誠に、そういや女だったなっていう木場ちゃん、何年額から血流してるのかなコカビエルくんまでまた会えて実に嬉しい。
聖剣編でいい感じにまとめて終わるのか、まだ原作続けるのかはわかりませんが、どんな形になろうと「なんやかんやで赤龍帝」を応援し続けます!
次回更新も頑張って下さい。
ところで作者さん本人からのぶってください発言ということはこれはもうオールオッケー何をしてもいいという流れでは?
安心してください俺はぶつ方もぶたれる方もいけますから。グフフ。


――そんな中にも変態性を有している方がいらっしゃいました。
しかもこの方初期から見てくださってる読者様です。
ありがたいと同時に変態の根が深すぎるぅ…。

しかしありがたいのもまた事実!
今後ともよろしくお願いしますということでまた次回!
さようなら!


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