なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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大変お久しぶりでございます。
更新が遅すぎる糞ごみくずカス作者でございます。
えー、ギャグとほんの少しのシリアスが売りのこの駄作でございますが、
久々の更新にも関わらずシリアス気味というこの失態…。

………………もうぶってください。


この章は前々から書き辛いだろうなぁと思いながらも更新が年単位とか馬鹿じゃん。
こんな更新も遅く、何が面白いのか分からねぇ、読み進めることが苦痛、自転車のサドル盗まれたなどの大絶賛を受けるこの駄作、読んでくださる方が一人でもいらっしゃればと願いながら、不謹慎にも……。

ダラッとやりますか。





『なんやかんやで負け戦』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神々しい光をまとう、かの伝説の聖剣。

七分割されたうちの四本の分かたれた聖剣を束ねた、文字通り木場ちゃんの怨敵。

 

 

それをニタニタと軽薄な笑みを浮かべた白髪の神父が携える。

素振りのようにエクスカリバーを右に左に振り回し、感触を確かめながら木場ちゃんへと近づいてくる。

それに応対するように木場ちゃんは両手に一本ずつ剣を出す。

頬には一筋の汗を流し、剣を握る手は若干の震えが見て取れる。

その震えの正体は何だろう。

本能的な恐怖か、それとも長年夢見た復讐の成就による武者震いか。

 

 

『魔剣創造で作り出した魔剣では分が悪いぞ…、あの女死ぬかもしれんがいいのか?』

 

 

俺の仕事は木場ちゃんとフリ…、フリー……、フリーランスくんとのサシの喧嘩を邪魔させないこと。

俺が割って入ったらそれこそ邪魔者でしょ。

それに相性がとか分が悪いとか木場ちゃん本人が一番わかってる、

でもそんなもんもはや関係ないとこまで行っちゃってる。

たとえ死んでもって覚悟持ってヤッパ握ってんだから、俺はそれを尊重するね。

戦場の華は愛でるタイプのイッセーくん、おそらく長生きは出来ない思考回路である。

 

 

なんの合図もない。

 

 

目が合った、そして構えた。

 

 

その瞬間に始まった、殺し合いが。

 

 

 

 

 

 

 

 

統合されたエクスカリバーは統合前の四本の能力を同時に使うことも可能のようで、

フ…フリースタイルくんは様々な能力を余さず多用している。

一方で木場ちゃんの神器とやらは様々な属性、形状、能力を持つ魔剣を作り出すというものだそうで、臨機応変に対応が可能。

四種類の能力を持つ一本、無数の能力、形状の複数。

まさに質と量の戦いである。

しかしながら獲物のレベルが違う。

片や個人の能力で作る量産型、片や伝説として語り継がれる世界で最も有名な至高の剣。

いくら完全体ではないとはいえ、七分の四、過半数の能力を持っている。

それを完全に受け切り、捌き切るのは至難の業。

剣を生み、振るい、防ぎ、攻め、その度に折れ行く己の剣。

その光景を目の当たりにし、己が仇敵の強大さを思い知ると同時に、己の至らなさを痛感していることだろう。

 

どれだけの屈辱か、どれほどの怨嗟か。

他人には到底計り知れない。

 

 

多様な属性を付与し、様々な形状で攻め込み、無数の刃で攪乱する。

特性である速度を活かし、武器である数の利を活かす。

されどあの輝きには至らず。

己の魔剣は砕け散るばかり。

 

 

一合二合と刃を交えるたびにフリースタイルくんは自身の獲物の感触に慣れ、木場ちゃんは精神をすり減らしていく。

結果は見えていた。

ただ、時間の問題というだけで。

誰の目にも勝敗は分かりきっていたのだ。

 

それでも、二人の戦いを邪魔するものはいない。

性能テストという観点もあるのだろう。

しかし彼女の必死極まる表情になんの感情も抱かなかった者もいない。

勝てないと分かってもなぜ続けるのか、無駄に疲れ苦しむだけだと分かっているのに。

何が彼女を駆り立てるのか、無意味に己を傷つけるだけなのに。

 

 

神器とはイメージが大事。

これは俺が再三、耳にタコが出来るほどいろんな人に言われてきたことである。

神器とは魂に根付いて、同化している。

故にその時のコンディション、体調や感情に左右されやすいという。

怒りや憎しみなどの激情の時はすさまじい火力を、集中や平常心を心掛ける時は緻密な精巧さを発揮する。

 

 

今の木場ちゃんはどうだろうか。

仇敵を前に、己が剣を幾度も折られ砕かれ、その度に己の無力さを痛感し。

その間にも敵は得物の感覚に慣れ、より使いこなしつつある武器で木場ちゃんの武器を砕き続ける。

 

精神的にも相当な負担だろう。

ただでさえ相性の悪い聖剣、それもかのエクスカリバーである。

一撃でも当たれば消滅は免れまい。

 

 

自分一人の責任ならいい。

自分一人が勝手に死にゆくだけなのだから。

 

しかし彼女には託された思いがある。

救われた恩がある。

 

 

自分が死ねば、あの凄惨な実験から逃がしてくれた最愛の同志達の無念を誰が晴らすというのか。

ここまで紡いできた命は、歩んできた道は、彼らの為にと繋げてきた自身と彼らとの絆の力。

苦しかったろう、逃げたかったろう、生きたかっただろう、それでも皆が何の迷いもなく自分を逃がしてくれた。

復讐など頼まれてもいない、彼らが願ったのは、生きろと、ただそれだけだった。

許せるものか、こんな理不尽があっていいものか。

ならば壊してやる、彼ら彼女らに与えられたこの命で。

神も仏もない、同志に与えられた命、悪魔に与えられたこの体で。

 

 

自分が死ねば、身寄りも伝手も無く死にかけていた自分を救い導いてくれた我が主と仲間にあの刃が向けられるのだ。

なんの得も無いだろうに、リスクを冒してまで貴重な駒を使いここまで生き永らえさせてくれた彼女へ向くやもしれぬ危険を、

誰が看過できるものか。

死にかけた心と体を癒し、実に素晴らしい師までつけてくれ、そしてこんな身勝手な自分を今も我が事のように心配そうに見ている主と仲間。

あの不条理を、あの屈辱を繰り返してなるものか。

今度こそ守ってやる、大切なものを。

救われたこの心と体で、己の信じるこの剣で。

自分に出来る唯一の使命、主と仲間に支えられてきたこの力で。

 

 

目で見える情報、表情や動きのキレ、そして何より剣を握る拳を見ただけでこれだけの思いが読み取れる。

なんという強い思い。

なんという深い優しさ。

 

 

薄情なはずの俺でもそう感じ、応援したくなる。

しかしながら現実は甘くはない。

 

 

魔剣の壊れる回数は目に見えて多くなる。

疲れと焦りで魔剣の硬度や精度も低下しているのだろう、表情にも現れてきているようだ。

必死に様々の属性、形状の剣を創り出して斬りかかる木場ちゃんであるがその悉くがあっけなく砕かれている。

身にまとう服には避けきれなかった斬撃のせいであちらこちらに斬り跡があり、素肌が見え隠れしている。

強い聖なる力とやらを間近で浴びているせいか、顔もだんだんと青ざめているではないか。

恐らく終わりは近いのだろう。

どのような結末でさえ。

 

 

しかし俺は手を出さない。

木場ちゃんが死ぬことになろうとも、サシの喧嘩にチャチャは入れない。

嫌いじゃない、むしろ好感を抱いている木場ちゃんだからこそ邪魔はしない。

 

 

だからこそ――。

 

 

「もういい、性能は把握した。茶番は終わりだ」

 

 

――喧嘩に水を差すバカは嫌いなんだ。

 

 

木場ちゃんに向けて巨大な光りの槍を投げたコカなんとかさん。

しかし俺が間に入ってその槍をぶん殴って砕いた。

 

油断というか、舐めていた部分もある。

槍を砕いた右手の甲から指にかけて皮がめくれた、火傷のような…。

血が滲み、じわじわと熱さと痛みがせりあがってくる。

 

 

それがどうした。

 

 

「シバくぞおっさん」

 

 

テメェの相手はこの俺だ。

木場ちゃんの一世一代の大喧嘩、邪魔はさせない。

……その覚悟認めたダチとして。

 

 

「ほう、ようやくやる気になったのか赤龍帝。

 いくら貴様が神滅具をその身に宿していようとも、貴様は所詮人間、精々俺を楽しませてみろ」

 

「額の出血止めてから言えよ雑魚」

 

 

母から受けた傷、早々は治らまい。

図星を突かれたコカなんとかさん、払拭したタイムリーな黒歴史をほじくり返されマジギレである。

 

さぁ、双方拳を握り槍を出し、喧嘩も二陣展開と行こうかと思っていた矢先である。

 

ゾワッと背筋が寒くなった。

気配を感じる方へ俺もコカなんとかさんも慌てて顔を向ける。

 

 

耳には多くの子供たちの聖歌が、

眼にはうっすらと透ける子供たちに囲まれる木場ちゃんが。

そして感覚にはドンドン強くなる木場ちゃんの気配。

手には宝石のような綺麗な石。

 

 

『相棒、よく見ておけ』

 

 

ドライグ、あれなんなの?

急に気配が変わったし、強くなった。

よく分かんないけど、色々とごちゃごちゃしてて、温かい。

 

 

『神器は所有者の想いを糧に様々な変遷を重ねゆき強くなる。だがそれとは異なる進化というものがある。

 謂わば臨界点の突破だ。所有者の想い、願いがこの世の流れにすら逆らうほど強く劇的な転機を感じた時至るもの。

 何度か話したことがあるだろう?』

 

 

どこか楽し気な声で、感心したようにドライグは言う。

 

 

『あれが禁手(バランス・ブレイカー)だ』

 

 

 

 

 

 





二話続いて引きで締めるという…。
いやぁ書きづらい。


いやね、この作品書き始めたのは作者の友達のキャラ設定案と作者の書きたかったほんの一握りの場面を壮大なその場しのぎな接続文章でつなぎ合わせたものなのです。
あ、このギャグ書きたい。
あ、こんなかっこいい台詞思いついたから書いてみたい。
それがこの駄作の始まりなのです。
つまりギャグだろうがシリアスだろうが、元案を主案を思いついてすらなかったこの章は作者的に地獄です、そして木場に涙…。
しかし、原作は笑いあり涙あり、手に汗握る熱血さもある名作。
その上無印は完結とのことではありませんか。
作者が原作に追いつけるのは何百年後になるのやら…。
ということで無理にでも復活したごみ作者でございます。

もはや読者様には見捨てられるのも無理はありませんが、それでも一人でも多くの方にみていただけたら幸いです。
この作品の感想欄を賑わせた変態も若干数ながら生存していらっしゃるらしいので…。

ご感想お待ちしております。
では次回、さようなら!



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