なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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お久しぶりです、黒鬼です。
約一月ぶりの更新ですね、まだ見てくださっている読者さんはいるのだろうか…。
だいたい黒鬼って名前が厳つくてダメだよね。
くろおにってひらがなにしとけばちょっと可愛いかなぁとかどうでもいいこと考えてみる。

久しぶりなんで作者的にはギャグを頑張ってみたつもりです。
楽しんでくだされば幸いです。


ではでは、ダラッといきまっせ。





『なんやかんやで共倒れ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は既に夜とも呼べる暗さになりつつある頃。

白いローブと十字架を身につけ夜な夜な歩き回る不審な集団がそこにはいた。

無神論者が多いこのご時世そして宗教的観念が薄いとされる今の日本においてはそんな恰好をしていれば、不審者かコスプレイヤーにしか思われないだろう。

そんな頭の痛い恰好をしている一歩間違えれば通報ものの恥ずかしい奴らはどこのどいつだろうか。

 

 

「…気を付けて、何か来るよ」

 

 

木場ちゃんのドシリアスな声がぼそっと聞こえる。

そう、不審者は俺だった。ていうか不審者集団は俺たちだった。

なにが悲しくてこんなコスプレしなけりゃならんのだと咽び泣きながらドライグを惨殺してやりたいところだが、これには事情がある。

事情もなくコスプレしてたら間違いなく不審者なのではあるが。

 

 

先日の話し合いの結果、教会二人組は目的をエクスカリバーの奪還から破壊に切り替え、俺、匙、塔城後輩、そして木場ちゃん達との協力体制をしいた。

 

その話し合いで木場ちゃんが言うにはフ…、フリ…、…フリーダムとかいう男がここ駒王町に派遣されていたリアル神父を殺害していたらしい。

しかも殺害に使用した獲物はエクスカリバーだというではないか。

神父を殺害と聞くととんでもなく罪深い気がするが、そこは名前の通り自由なお方らしい。

名は体を表すというが、もし俺の名前が一誠ではなく惰眠とか怠惰とかならもっと人生楽に生きれたかもしれない。

………いやでもきらきらネームにもほどがあるね。

先輩たちはどう思う?

 

 

『もし変態という名前なら呼ばれただけで罵倒してもらえるのか…、辛抱たまらん…!』

 

『粗○んという名前なら俺は呼ばれただけで扉開けるぞ!』

 

 

なんの扉だよ。

名前が普通でも立派なド変態だよゴミクズ野郎共。

ちなみに後者の方の名前ならリアルに自害を考えるか親を訴えて親権取り上げても文句言われないレベル。

ていうか役所がそんな名前受理しねぇよ、モンスターペアレントの対応頑張ってください。

 

 

少し話が逸れたが、神父が襲われるんなら神父の恰好すればいいじゃんという単純思考の結果こうなったのである。

久々に言うとなんやかんやでこうなった。

ていうかエクスカリバーってコカビーだかカルビーだかいう堕天使に盗まれたんじゃなかったっけ?

カルビーがフリーダムくんと結託したらどうなるんだろう。

頭のおかしい変な味のポテチとか作るのかもしれない…、じゃあなんでエクスカリバー盗んだんだろう。

ジャガイモ薄く切るのにちょうど良かったんだろうか? 

もっと他にあるだろ、発想が自由(フリーダム)というより迷子である。

 

 

「ひゃっほう!神父の一団にご加護あれってね!」

 

 

上から下品で愉快な声が聞こえたかと思うと西洋剣持った白髪頭のお兄さんが降ってきた。

そう、さっきから話題に出ていた彼である。

 

 

ガキンッ、と金属音が鳴り響く。

木場ちゃんがいつもの手品で西洋剣を出してフリーダムくんの攻撃を受け止めたのである。

いつも思うがどこにあの剣隠してるんだろう?

数多の場数を踏んできたと自負している俺だが一向にあの剣を取り出す手品のタネが分からない。

今度隠し方教えてもらおう、ピッキングツールをサツにばれない様に隠したい。

そうすれば手錠をかけられても外して逃げられる。

匙も同じことを考えているのだろう、木場ちゃんの手元をじっと見て感心していた。

 

青髪メッシュちゃんやイリナ、塔城後輩はすぐに動きやすいよう散らばり、

敵側の増援に気を付けながら木場ちゃんと戦うフリーダムくんを警戒していた。

するとフリーダムくん、俺を見るとにやりと口角が上がった。

…え、やだ、そっち(同性愛)系の人ですか?

 

 

「おんやぁ、これはこれはあの時の人間君じゃあーりませんかぁ?こんなところで再会出来るなんて僕ちゃん感激!

 感動の再会を祝してぶっ殺していいかい!?」

 

「初めまして」

 

「サラッと忘れてんじゃねぇよ」

 

 

何故だかすっごく怒られた。

木場ちゃんと塔城後輩も何故だか馬鹿を見る目を向けてくる。

 

 

『あんな冷たい視線…、気持ちいいよぅ…』

 

 

引っこんでろクソ野郎。

なんも意図してないのに勝手に左手に例の赤い籠手が出現し、緑の宝玉とやらが点滅して『Boost!』『Boost!』鳴り始めた、なにこれ怖い。

なんなの、ドMセンサーなの? マゾ心に反応して変態パワーが溜まっていくの? なんだよその無駄過ぎる超技術。

やめろよ俺そんな気持ち悪いパワー使いたくねぇよ。

 

 

『ああ!所有者である王にまで気持ち悪がられてる!なにこれ新感覚!』

 

 

セルフでセンサー反応してんじゃねぇか、とてつもなくダメな永久機関である。

もうほんとにどうしようもねぇ…。

それと王って呼ぶんじゃねぇ、テメェらみたいな気色悪い馬鹿共のボスになるつもりはない。

そう言ったらまた左手に力が溜まった、もう左手ちぎっちゃおうかなっ。

 

 

もう精神内では既にグロッキーな俺に匙が話しかけてきた。

 

 

「なんだ兵藤、知り合いか?」

 

「彼曰く前にどっかで会った事があるらしいフリーダムくん」

 

「もうそれ完全忘れたってことだろうが、それと俺の名前はフリードだ!」

 

「誰それ」

 

「俺だっつってんだろ!」

 

 

おかしなテンションでいきなり絡んで来たのに今度はキレだした、これだから最近の若者は。

情緒不安定なのでだれか彼にお薬出したげてくださいな。

ヒ素5gくらいでいいんじゃない? そしたら静かでおとなしくなるだろうし。

 

 

『それは確実に死ぬだろう……』

 

 

俺には害が無いので一向に構わない。

清々しいほどのクズっぷりを遺憾なく発揮するイッセーくん。

両親から受け継いだクズの才能は脈々と芽吹いている模様、

もっとマシなもん遺伝して欲しかったと嘆く今日この頃である。

 

 

木場ちゃんの持つ魔剣とやらではかの聖剣エクスカリバーと打ち合うのは役不足らしく、ぱきんっと小気味のいい音と共に折れてしまう。

しかしそこは手品師木場祐希、すぐまた次の剣を出現させて応戦する。

さすがといえる手品の技量に舌を巻いているとフリーダムくんの持つエクスカリバーの速度が異常に速くなった。

相手の攻撃数が急激に増加したため段々と攻め込まれてしまっている。

サシの喧嘩の邪魔しちゃいけないしなぁと思いながら駆けつけようとする塔城後輩を押さえながら見守っていると、

例の教会二人組が堂々と介入していった。

え、そこ乱入しちゃってもいいの? 俺もフリーダムくんと遊びたい。

 

 

俺が駆け出そうとするといきなり黒い触手のようなモノがフリーダムくんに絡みつく。

出所を見ると匙の手元から放たれたらしい。

白髪で剣振り回す少年と黒い触手を操って縛ろうとするヤンキー、なんだこの状況。

俺の中二っぽい籠手はまだしも触手はないわー、誰も喜ばないよそんな特殊な光景。

心底蔑みを込めた視線を向けると匙はコメカミをヒクヒクさせながら俺を睨んだ。

 

 

「俺だってこんなもん手から出したくねぇよ、それより目的はあの白髪だろ?

 逃がさねぇことが先決だろうが」

 

触手戦士匙元士郎(ヘンタイ)(哀)」

 

「よーし白髪なんざ放っといてまずテメェをぶっ殺す」

 

 

そして始まる醜い仲間割れ。

奇襲してきた敵はガン無視して本気で殴り合いを始め出した俺達を見て一同ぽかーんとしていた。

動きの速さや一撃の威力なんかの馬力は俺の方があるけど、いかんせんこの(ヘンタイ)は頭が良く立ち回りが上手い。

俺がいつ殴るか分かってるのか、さらりと避けて俺にも触手攻撃してきた。

この変態見境無いのか。

 

 

お互い本気ではないにしろ、奴の術中に嵌り見事触手に絡め取られてしまった。

本気なら匙には負けないだろうが、こんなド変態になり下がったゴミクズでも辛うじてはギリで友達である。

本気出して奴が策を練ろうとも丸ごとぶっ潰す規模と威力の攻撃を認識できない速度で繰り出すなんてことは友達相手なら偶にしかしない。

 

 

『偶にはするんだな…』

 

 

したとしてもこうして生きててこうして馬鹿やってるから友達なのである。

なんとしぶとい奴らであろうか、生命力の強さが唯一の取り柄とでも馬鹿にしてやろう、わっはっは。

 

 

『クズ具合が年々熟成されてきている…!』

 

 

そう、そして我が友は皆こう思っていることだろう。

あの脳筋バカいつか殺すと。

いろんな意味で俺達は対等なのである、これ友情じゃなくて腐れ縁だよね。

 

 

触手に左手を絡め取られた俺ではあるが、先ほども言ったように俺の方が馬力がある。

絡め取られてもこっちがその触手を引っ張って間合いを調整してやればいい。

なので変態を一本釣りしてあのスカした顔面に一発闘魂注入してやろう。

そう思って触手を握った瞬間、込めていた力が抜けた。

匙を見るとにやりとして俺から距離をとる、するとまたもや力が抜けた。

恐らくその触手の力なんだろうが、どういうタネか全く分からない。

漫画や小説だったらご丁寧に自分の能力を説明してくれるが、そんな親切かつ頭の悪いことを匙がするはずがない。

むしろ絶対俺だけには教えてくれないレベル、こういう時の為の伏せ札なんだろうね。

さて、どうしたもんか。

 

 

俺は中二病患者と多く接してきたが、能力の判別がつくまでどっぷり浸かってはいない。

なら中二界のカリスマにして専門家であるクソトカゲに意見を仰ごう。

あれなぁに?

 

 

『色々とツッコミ所はあるがこの際置いておこう…。俺達と同じ龍の気配だ、恐らくはヴリトラ…』

 

 

知り合いか、ならとっとと脅して止めさせてこい。

 

 

『魂だけの俺にどうしろと!?それにヴリトラの魂の反応が弱い、奴は確か魂を分断されて神器に封印されたはずだ。

 意識が戻るほどの力はないんだろう、俺が呼びかけても起きる可能性は薄い』

 

 

じゃあ、あの脱力感に心当たりは?

 

 

『ヴリトラは邪龍、それも呪いなどを得意としていた。恐らくだが、相棒の力を吸い取って己の糧にしているんじゃないか?』

 

 

なるほど、それは厄介な。でもでも吸い取られるんなら丁度いい。

この際だから先輩の一人や二人引き取ってもらおう。

そう考えた俺は取り敢えず露出癖がありドMで両刀使いの変態、通称鮮烈のエリックを流し込んでみた。

 

 

「ゲボッ」

 

 

びちゃびちゃびちゃびちゃ。

匙が耐えきれず嘔吐した。

 

 

「…ごふっ、…な、なんだ今のは…!この世のものとは思えない光景が頭の中を駆け抜けて…!」

 

 

ふはははは、策士策に溺れるとはこのことだ匙め。

奴はドMでいつも縛れてなければ気が済まない、その上露出癖まであるのだ。

全裸で局部を強調するかのように縛りあげられた筋骨隆々な大の男が自らの醜態を見せびらかす為に、

突然意識の大部分に侵入しその汚らわしい局部を強調した衝撃的なポージングを脳に焼き付けてくるから鮮烈のエリックと恐れられている男なのだ。

おそらく触手を通じて匙の精神に侵入した瞬間に奴の五感をジャックし、己の恥態をダイレクトに植え付けたのだろう。

 

 

ざまぁみろバカめ、今の内に息の根を止めてやゲロゲロゲロ。

 

 

エ リ ッ ク ま さ か の 帰 還 。

 

 

俺の精神への帰還時に脳裏に焼き付けられた新たなトラウマに吐き気が止められなかった。

匙の方にいるよりも俺の方にいてあの触手を股間につないで吸い取ってもらいたいとかなんとか、おえっ。

え、勝手に行き来出来るもんなのあれ。

 

 

二人して両手を地についてゲロゲロしている姿に敵味方問わずドン引き。

結局俺と匙が仲間割れしてる間に聖剣計画の黒幕であるバンパーだかなんだかいうおっさんが来てフリーダムくんと一緒に逃げたらしい。

それを木場ちゃんと教会二人組が追おうとしたが、幼馴染がゲロゲロしてるのが放っておけなかったのか、イリナはこの場に残り俺の背をさすってくれた。

 

 

気持ち悪さは残っているがやっとこさ吐き気から解放された俺達は今日のとこは解散しようということになった。

なんで生きてんだテメェと言わんばかりの視線を向けてくる塔城後輩と苦笑いが抑えられないイリナを宥めて帰ろうとした瞬間。

 

 

「力の流れが不規則になっていると思ったら……」

 

「これは困ったものね」

 

 

額に怒りマークが浮かび上がっているリアスちゃんとソーナちゃん、そして申し訳なさそうな顔のアーシアちゃんがいた。

匙と顔を見合わせ、逃走しようとしたが塔城後輩に裾を掴まれたため逃げられなかった。

 

 

……無念。

 

 

 






主人公がまったく役に立っていない。
むしろ宣言通りにしっちゃかめっちゃかにしてる…。

新たな先輩も登場したことですしね、一覧表は今頑張って書いてます。
黒歌お姉さん成分が足りないとおっしゃる読者さんがいらっしゃったので、
三章終りの番外編は一覧表と黒歌お姉さんの話にします。

数は少なくなってますが変態も信者もまだいます。
なんてしぶとい奴らなんだぁ…!
しかしこの度は今まで後書きの載せていたほど量と密度ではなかったので変態コーナーはお休み。
我らがレジェンドオブ変態さんも自重されてたしね。
でもしっかり本編は読んでくれててうれしかったよ!

イッセーくんの壊れ性能だしてギャグ絡めたら面白いかもとの意見もほかの読者さんから頂きました。強敵とまみえる際には思いっきりイッセーくんふざけさせてやろうと考えてます。
お楽しみに。

飲み物や食べ物を口にしててえらいことになっちゃった読者さんがちらほらいらっしゃるようで…。
ユーザー名見たらハンバーガー噴き出しちゃったのかなぁと心配になったり…。

それでも止めない自重しない!もっとくだらなくて笑っていただけるようなものを書いていきたいと思います!
それでは皆様、さようなら!




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