なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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いやもうまったく思いつきません、展開が。
書きたいシーンはちらほらとあるにはあるのですが、そこまで行くのがメンドくさい…。
そのシーン同士つなげるのも一苦労です。
文才が欲しいよぉ…、てかアイデア出すから誰か代理で書いてくれ…。

なんか他の作者さんと意見交換をしてみたいと思う今日この頃。
どこが良くてどこが悪いとか言ってもらえばもう少しマシになるのかな?
直せる技量がこのアホ作者にあればの話だがな!

さーて、愚痴もここまでにしましょうか。

今回の話は段落ごとに雰囲気がガラッと変わります。
最初はシリアス、後半はギャグです。その温度差を感じ取って頂ければ幸いです。
そんじゃまぁ、いつも通りにダラっと行こうぜ。



『なんやかんやで平穏願望』

 

 

 

 

結果として木場ちゃんは俺の喧嘩を横取りし、敗北した。

青髪メッシュちゃんとやりあったのだが、ぶっちゃけ手も足も出せなかったのだ。実力差がそこまで隔絶していたわけでもない、木場ちゃんのコンディションが悪すぎたわけでもない。

 

 

単純に獲物の性能と精神面において激しく劣っていたからにほかならない。七分割されたとはいえ、世界的にもその知名度と性能は最高峰とされる聖剣と、ちょっと珍しい中二的能力によって量産された魔剣とやらじゃハナから勝負にもならない。

そして木場ちゃんは激しい憎悪により自身のアドバンテージである高スピードにより敵を翻弄し手数で攻める戦法を捨て、相手の土俵である力勝負で真っ向から叩き潰された。

 

 

いつも冷静で微笑みを絶やさない木場ちゃんがあそこまで激情に駆られ、殺意と憎悪に塗れた表情を浮かべるほどだ。

やっぱり部外者である俺達には決して理解し得ないほどの思いなんだろう。

 

 

しかしそれほどの執念を燃やす相手なら尚の事負けてはならないはずだ。

どのような手段を用いようとも、他の何を差し置いても勝たねばならない、成さねばならない土壇場だったはず。

それなのに彼女は負けたのだ。完膚無きまでに叩きのめされ、己の失策を指摘までされたのだ。

その心情は他人が察するには余りある。

 

 

だがしかし、勝負の理はいつの世も厳しいもので、敗者に何かを語る術はない。

全ては勝者が正しく、善であり、真実となる。

故に敗者はただ、それを受け入れるほかないのである。

 

 

今回の勝負の敗者は木場ちゃんだ、酷なようだが負けた木場ちゃんが悪いのだ。憎悪猛々しく呪うエクスカリバーが、そして何よりそれに敗北を喫した自身が許せない。

 

 

「……同志達が生き永らえさせてくれたこの命、彼らの為に、彼らの思いを魔剣に込めるしかないんだ…。

 ………僕には、それしか出来ないのだから…」

 

 

消え入るように木場ちゃんは呟き、その場から消えた。

悲痛な顔持ちで木場ちゃんの名前を呼ぶリアスちゃんの声が辺りに響き、より一層空気は悲壮感を増した。

 

 

そんな雰囲気で俺も喧嘩をする気分にはなれず、イリナが青髪メッシュちゃんを引き連れて退散していった。去りゆく前、イリナは俺を見ていた。

視線には気付いてはいた、でも気付かないフリをした。

 

 

せっかく会えた幼馴染だ、いっぱいいっぱいお話したい。積もる話が山ほどある。

イリナが外国行っちゃってちょっぴり寂しかったこと、でも一緒にバカ出来る男友達ができたこと、未だに父に喧嘩で勝てないこと、母の黒さが底無しなこと、妹的な存在ができたこと。思いつくだけでこんなにも話したいことがある。

昔みたいに時間を忘れてバカな話して、バカな事して、母にシバかれて、それでもケラケラ笑いたい。

 

 

過ぎた時間は取り戻せはしない。

時は人を変えていく、何も気にせずにいられたガキのまんまじゃいられない。

 

 

それはきっと俺も、そしてイリナも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで? なんで俺は呼び出されたんだ?」

 

 

木場ちゃんが消えた次の日の休日。

俺と匙、そしてまさかの塔城後輩は駅前のコンビニの駐車場に(タムロ)していた。駐車場のタイヤ止めのブロックの上に腰を据えている匙が俺に問う。

 

 

「……そうです、何をするつもりなんですか」

 

 

相変わらずの眠そうなジト目で俺を睨む制服姿の塔城後輩。俺が呼んだのは匙一人、では何故この場に塔城後輩がいるのだろうか。それは恐らく、俺を張っていたのだろう。

昨日の今日で俺が何らかの行動を起こすというのは予想の範疇だったのであろう。

どんだけ信用無いんだよ俺、すべては日頃の行いの賜物である。

そう考えると欠片も反論の言葉が出なくなってしまったイッセーくんは相も変わらずお茶目さん。

 

だがまぁいいさ、俺の用事は人手が多い方が楽だし。

 

 

「あの教会コンビを探して欲しい」

 

 

俺の言葉に二人は目を見開いた。

 

 

それはそうだろう、匙には昨日の対談での出来事は話してるし、塔城後輩はその場にいたのだ。二人が危惧するのも分かる、昨日の時点で俺と青髪メッシュちゃんは一触即発な雰囲気にまでなったのだから。

そして親が死のうが惰眠を貪るだろうともっぱらの噂の超絶めんどくさがり屋さんである俺がそんな奴を探して欲しいと言ったのだから。

歴代赤龍帝(センパイ)共もこの珍しい事態に慌てふためいている。

 

 

『わ、我らが王が自主的に何かを行うだと…!』

 

『天変地異の前触れか!?』

 

 

余程死にたいらしい。覚えとけよゴミカス共、後で目にもの見せてやる。

 

 

だがまぁしかし、勘違いしないで欲しい。

俺は昨日出来なかった喧嘩をする為に探すのではない。

理由は単純。

 

 

 

そう、全ては世界平和の為なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「探せって言ってもよぉ、ダチの頼みだし聞いてやりてぇが俺にも立場があんだよなぁ…」

 

「生意気なこと言うな」

 

「…テメェ頼む立場ってこと忘れてんじゃねぇぞコラ。

 俺は…、なんつったかな、シトリー眷属?とやらに所属してっから会長の許可なく動いたら面倒な事なるんだよ。

 テメェみたいに自由気ままな無所属のちゃらんぽらんニートとは違うんだよ」

 

「黙って働け」

 

「テメェを黙らせてやろうか」

 

 

取り敢えずは渋々だが手伝ってくれる匙。軽口を返したら俺の両頬を掴んでムニムニと引っ張り回してくる、痛い痛い、痛いってばもう…。あーだこーだ文句垂れながらも手伝ってくれる匙には頭が上がらない。なので俺も匙に何かを頼まれたら決して断るまい、俺達は対等なのである。

 

 

俺らのやり取りを見て訝しげな顔をしながらも塔城後輩はついて来た。俺の動機が判明するまでついてくるのだろうか?

だが動機などハッキリしている、そう、さっきも言った世界平和のためである。

 

 

なぜあの教会二人組を探すことが世界平和につながるのか。

 

 

考えてもみてほしい、あの二人…、特に青髪メッシュちゃんはアーシアちゃんに目をつけていた。魔女だと言ったという事は、アーシアちゃんの教会在籍時及び追放理由について細かく知っているということだ。

悪魔は敵対関係であり存在すらも悪だと教わった敬虔な信徒ならば、その悪魔を癒すということ自体考えられないはず。その上自らも悪魔になったのだ、下手をすれば即処罰か断罪対象とみなされてもおかしくはない。

別に他人に迷惑を掛けた訳でもないんだから放っといてくれればいいのだが、そういうわけもいかないらしい。

 

 

だからこそあの会談の場においてあのような事を言ったのだ。実際に剣まで抜きかけ、その切っ先をアーシアちゃんへと向けた。

あの時は俺、木場ちゃんが割って入ったので殺傷沙汰にはならずには済んだ。

木場ちゃんが考えなしで喧嘩を売ったわけではない、確かに私怨が理由の大多数を占めるだろうが、あそこで誰かが会話なり喧嘩なり青髪メッシュちゃんの相手をしてアーシアちゃんへの関心を背けるのが一番効果的だった。

それを理解した上であの場に乗ったのであろう。

故に喧嘩を取られはしたが、木場ちゃんには感謝の念しかない。

 

 

もし木場ちゃんが割って入らなかったら、恐らく場は荒れていたであろう。もちろん木場ちゃんが動かなければ俺が入っていたが、それでもだ。アーシアちゃんになにかあっては目も当てられない。

可能性に0%と100%はありえない。

しかしあの場でアーシアちゃんにほんの少しでも危害が加わるようなことなどありえてはならない。

もし、もしもだ。万が一にアーシアちゃんにカスリ傷一つでもつけられようものなら――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、SEKAI NO OWARIである。

 

 

流行とか独創的な世界観とかそんな事を抜かす暇などなくマジで物理的に終わっちゃう。我が両親、目に入れても痛くないほど溺愛しまくっている愛娘アーシアちゃんの為ならばどんな犠牲も厭わない。

 

まずは手始めに可愛いアーシアちゃんを傷付けた罪深き下手人を、未然に防げなかった息子もろとも見るも無残に惨殺するであろう。

 

言うまでもなく俺のことである。息子犠牲にされちゃうのかよ。

 

そして下手人が所属しているであろう団体、組織を壊滅し、一族郎党皆殺しした後、生まれ故郷を焼き払い、そのまま勢いで母国を、いやその国がある大陸ごと世界地図から消えてなくなっちゃうかもしれない。

 

後世の学生たちが地理の授業で覚えることが少なくなるねとかそんな悠長な事考えている場合ではない。

ウチの両親ならやりかねない。

 

 

『冗談だと欠片も笑えないのがなんとも言えんな…』

 

 

そう、ドライグの言う通り。

頼むから日本にお住まいの皆さん、アーシアちゃんに危害を加えようなどと馬鹿な考えは今すぐ捨てていただきたい。

極東の島国、我らが愛すべき母国、日本が海底都市アトランティスになっちゃう。

もしくは第二のムー大陸か。

 

そんな神話レベルの天変地異をよりにもよって身内に起こされたんじゃあ笑えない。

だからこそこちらから危害を加えそうな危険分子にコンタクトを取り、言い含める。

もしくは言っても聞かない場合は即刻対処せねばなるまい。

大を救うには小を犠牲にしなければならない時もある、そう、決断の時なのだ。

青髪メッシュちゃんはどこの国出身なのかは知らないが、イリナに至ってはモロ日本出身、その上俺ら兵藤家とも面識がある。

 

我が両親のイカレ具合を熟知しているイリナがそんな愚行を犯すとは到底思えないが、青髪メッシュちゃんが暴走することも考えられる。

その青髪メッシュちゃんと行動を共にしていたイリナも奴らの断罪対象となりうる。

ついでに俺も「知り合いならちゃんと止めろや」という事で縊り殺されちゃうかもしれない。

 

俺はついでなのかよ。

 

 

まぁ、そんな感じであの二人とまずは話し合いをせねばなるまい、ということなのだ。

言って聞かせられるならそれに越したことはない。

 

 

「つっても、探すってどこ探しゃあいいんだろうな?」

 

「取り敢えず人通りの多いとこ?」

 

「あー、だから駅前集合ってことか。 でもそう簡単に見つかりゃ苦労しねぇ…、おいどうした?」

 

 

俺と匙が捜索について案を練っていると俺達の服の袖をくいくいと引っ張る塔城後輩。

結構真面目に話してるので邪魔しないで欲しいんだけど。

これでしょうもない用事だったらパイルドライバーの刑に処さねばなるまい。

 

 

「……見つけました」

 

 

そう言って指差す塔城後輩。その方向を見てみると、普通に目立つ白いローブを着た二人組が天に祈りを捧げながら黄昏ていた。

さすが俺の見込んだ塔城後輩、マジ愛してる。

 

 

『心変わりの早さが尋常じゃないな……』

 

 

いやー、前々から思ってたんだよね、塔城後輩は優秀で可愛い子だってことに。

背も胸もちっちゃくてお菓子をあむあむ食べてる姿はもうマニアにはたまらんもんでしょう。俺そんな属性ないけど。

ちゃんと職務は果たすっていうか、なんていうの? 抜け目がない?

 

 

『ほとんど褒めてないぞそれは』

 

 

人を褒めることが滅多にないから言葉が浮かばん。

取り敢えず褒めたいけど言葉が思いつかないのでハグしたあと高い高いをしてあげた。

無表情で小さい女の子を高い高いしている男と無表情で高い高いをされる小さい女の子、そしてそれをこれまた無表情で見つめる男。

とにかく不審な光景がそこにはあった。

 

 

まぁ、いつまでも遊んでいる訳にはいかない。さっさとあの教会コンビに接触を図ろう。

決して高い高いの勢いが強くて制服のスカートがめくれ、猫さんプリントの白い何かが目に入ったので鼻で笑ったら、そのまま顎を蹴られて状況が終結したからではない。

 

 

さて、どうやってあいつらに話しかければいいのだろうか?

二人、特に青髪メッシュちゃんは俺を警戒しているだろう。

なら、どう言えば彼女らを無用な警戒心を抱かせず、話し合いに持ち込めれるだろうか。

 

 

「迷える子羊にお恵みをぉぉ!」

 

「天の父に代わって哀れな私たちにお慈悲を…!」

 

 

道行く人々にそう訴えかけている彼女らを見ていると、俺の中で名乗りをあげる奴がいた。

 

 

『王よ。この場はどうか、この私めにお任せを』

 

 

この女の名はベルムット、通称(いばら)のベル

我らが変態共、それはもう数えるのが億劫になるほど様々な倒錯した性癖を持つ馬鹿共がいる。その中でもメジャーなのはやはり被虐趣味、つまりはドMである。

しかし世は表裏一体、Mがいれば当然Sもいるのである。

S属性を持つ輩は数多くいるのだが、この女は普通とは少し違う。

大多数は他者を言葉や暴力で痛ぶり、悔しがり痛がる相手を見て興奮するものらしいが、この女は刺付きのムチで他者を痛ぶり、そんな自分に酔いしれることで快楽を得て達するという中々にハイレベルな変態である。

そう、他人なんて見ていない。他人を叩いている自分に興奮しているのだ。

つまり他人など自らが快楽を得るための道具に過ぎず、鞭で叩いた時の衝撃が手に伝わってくる瞬間が至高の瞬間らしい。

取り敢えずとんでもなく迷惑な変態ということである。

 

 

さすがにこんな馬鹿に俺の体を任せたら大惨事になるのは目に見えている。

それはダメだと断ろうとしたらいつの間にやらドM属性の奴らに俺の精神は取り押さえられ、体の主導権はベルに渡っていた。

どうやら協力すればご褒美(苦痛)をくれてやると唆され、こんな暴挙に打って出たらしい。

取り敢えず加担者は皆殺し。

 

 

ぐぅぅぅと腹の虫を盛大に鳴らして地面にへたりこんでいる二人に近付き、俺の体を使って奴はこう言った。

 

 

「そんなにお情けが欲しいかい、この卑しいメス豚共」

 

 

誰が本当の豚野郎なのかこのクソ女に教えてやる為に、精神内で俺は持てる力の全てで反撃を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 





後半はやっぱり両親が怖い話でした。
この小説、本筋の話は中々思いつかないのに、両親の話になると俄然筆が進むといいますか、アイデアがポンポン浮かびます。ダメだこの作者。

イリナについてですが、そうですね。やっぱり兵藤家両親について知っているので敵対すればどうなるかはよく知ってます。なのでアーシアちゃんの面倒をみろと両親がイッセーくんに言ったという事はアーシアちゃんは家族と思われている、だから手を出せばあの両親が出張ってくると思ってゼノヴィアを止めようとしています。

ギャグ小説なのに最近ギャグが冴えないねと言われています。最初はまぁ勢いがありましたよね、竜頭蛇尾です、今はしっぽさんなのです。
なのでよろしければなんですが、今までの話の中で笑った点や面白かった点を細かく教えていただけたりしたら今後のギャグにおける非常に嬉しい参考になります。天丼ネタにしてもいいですし、ネタの種類のウケも分かれば書きやすいです。

前回の前書きで何が面白いのか分からないと自虐ネタをかましたところ、非常にありがたい励ましの言葉が複数ありました。こういう方々のお言葉は本当にありがたい限りです、これからもよろしくお願いします。
そしてお帰りなさいと温かく受け入れてくださった方々にも深い感謝を。
例のとんでもない変態さんも大きくお帰りなさいと叫んでくれました、ただいまです。

すごくいっぱいの励ましとお帰りの言葉に感動が隠しきれないと思えば、やっぱり変態はしぶとく息づいていたり、取り敢えず下ネタ書いとけみたいなアホがいたり。
本編の感想書けや、テメェが巨乳好きか貧乳好きかなんざ興味ねぇよおばかちん!
作者ちょっと怒ってんだからな!ぷんぷん!

という感じで今回は幕引き。
ではまた次回、さよーならー。

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