なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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前話に対して誕生日おめでとう的な内容の感想が多く送られてきました。
いやはや、ありがたいものです。うん、本当にありがとうございます。
いつもは変態かはたまたより危ないものかの極致ギリギリを突っ走っておられる後書きに毎度お馴染みの彼も真面目に感想を送ってくださいました、ありがとねみんな。

いろいろな感想が送られてきてはいますが、それはまた後書きでご確認を。
今回の話は我らが主人公がまた久しぶりに頭を使います。主に悪知恵でしかありませんが。
しかし上には上がいるものです。
作者のお気に入り回です、楽しんでいただければ幸いです。

じゃあ、ダラっと行きゃあいいさ。



『なんやかんやで悪巧み?』

 

 

 

 

 

 

 

説明会もなんやかんやで終わり、取り敢えずは帰路につく俺とアーシアちゃん。アーシアちゃんはまだ聖剣計画とやらについて思い悩んでいるのか、なんだか辛そうな表情だった。他人の為に本気で怒ったり悲しんだり、はたまた喜んだりしてあげれる人は中々いない。大抵の人間は他人の話を聞いても何処かで自分の事じゃないとタカを括っている。

 

お悩み相談なんて内容なんぞ聞かずとも取り敢えず、「もっと熱くなれよ!」とか「諦めんなよ!」とでも交互に連呼しときゃなんとかなる。松岡さんリスペクトして取り敢えずは熱くなって諦めなかったら人生勝ち組。そして世の若者達は努力の尊さと世間の荒波、人生の険しさや才能の壁を思い知り、ガッツだけではどうにもならない現実を理解して大人になっていくのである。

 

そんな世知辛い世の中でも自身も辛い過去を持ちながら本当の意味で他者を思いやる心を忘れないアーシアちゃん。

 

俺がなにを言いたいか分かるな?

結局アーシアちゃんは天使。異論反論があるならかかってこい、兵藤家総出でお相手致す。

 

 

唇をキュッと結び、くりっくりのお目々がうるうるとしているアーシアちゃん。さすがにこのままで家に帰るわけにもいかない。こんな状態のアーシアちゃんを見たら学校でイジメられたのかと勘違いした両親が元凶の場である駒王学園そのものを物理的に消そうとトチ狂ったことしでかすかもしれない。今までは子供が俺しかいなかった為、か弱く守ってあげなくてはと思わせる娘にウチの両親はデレデレである。蝶よ花よと育てたい愛する娘の為ならばと地球上からお国の一つや二つは平気で消そうとしちゃうかもしれないほどだ。

 

まったくもって頭のおかしい連中である。そんなイカレポンチ共の血を引いているかと思うと恥ずかしい事この上ない。国ごと消し飛ばすとかテロリストでもしねぇよ、常識というものを知れと言ってやりたいほどだまったく。そんな仰々しいことしなくともこの場をスマートにおさめられる方法なんていくらでもあるじゃないか。

 

取り敢えずは何も言わずアーシアちゃんの頭をぽんぽんと叩いてみる。俺の意図はそれだけでなんとなく伝わったのか、唇をもにゅもにゅとさせて俺の腕を抱きしめて額を俺にぐりぐり押し付ける。何この子可愛過ぎでしょ、誰だこの子をこんな気持ちにさせたのは。

ウチの可愛いアーシアちゃんを悲しませる宗教などこの世にいらん、聖地もろとも消し飛ばしてくれる。取り敢えずは聖地のあるヴァ○カン…、もうめんどくさいからイタ○アごと消しちゃえ(錯乱)。

 

 

『…あの親あってこの子ありか……』

 

 

ついでにトカゲも消しちゃおうかな、うん。

 

 

家の玄関が見えてくるとアーシアちゃんの表情が変わった。ぷるぷると震えながら俺の手を握る。……まるで何かに恐れているようではないか。ははーん、わかったぞ。今日の抜き打ち小テストの点数が芳しくなかったんだな。だが安心なさいアーシアちゃん。キミを溺愛してる我が両親は悪い点数をとってしまったくらいで殺しはしないよ。俺だったらともかくアーシアちゃんだったら「次は頑張れ」って言ってデコピンで済むんじゃないの?母のデコピンなら脳漿ブチまけて痛みも感じず死ねる、どうせなら苦しまないに越したことはない。あれ、これじゃ結局死んじゃうや。

 

 

『……〝次は〟とは来世のことなのか………』

 

 

母のデコピンに耐えられる生命体は恐らく現世冥府天界を見渡しても我が父だけである。奴ならば辛うじて原型くらいは残るだろう。

 

小テストの点数に対する怒りの対象が俺ならば肢体引き千切られて目の前で四肢をグチャグチャにすり潰されて、ペースト状になったそれを頭にかけられながらダルマになった俺を紐で吊るしてサンドバックにした後燃やして箱詰めして埋められる…。もし俺だったら………、欠片たりとも冗談だと笑えないのが我らが兵藤家なのである。

 

 

『そもそも溺愛されているアーシア・アルジェントならデコピンすらされないんじゃないのか?』

 

 

なにその差。 実の息子に情状酌量の余地は無いのか。

 

 

『今までの経験から逆算してみろ』

 

 

……さて、家に入る前に準備をしておこうじゃないか。備えあれば憂い無し、何事にも準備というものは欠かしてはならない。喧嘩にしろ、勉強にしろ、スポーツにしろ、下準備がモノをいう世の中だ。相手は両親、特に我らがゴッド・マザーなのである。万全の体制にして挑むほかないだろう。

 

生まれてこの方十七年、幾度の修羅場を切り抜けてきたと思ってやがる。この程度の障害、乗り越えなくてなんとする。ああ、やってやるさ。 見せてやる、俺の切り札にして最終手段。父より授けられし兵藤家男子の奥義……。

 

 

――土下座をな。

 

 

『……相当点数が悪かったんだな』

 

 

抜き打ちテストを敢行しやがった担任は必ず殺す。古文ってなんだよ、あんなの分かるわけないじゃん。他国で使ったら暗号扱いされちゃうレベルだよおい、昔の日本人いとおかし。あ、これじゃ面白いになっちゃうや。

 

 

ぶつくさ言いながらもガチャっと玄関のドアを開けて俺達二人はやっとこさ帰宅。しかし見慣れない靴が二足あるではないか。お客さんでも来たのだろう。今時では見かけない、カラフルさも装飾もデザイン性も織り込まれてない質素な靴だ。恐らく日本製ではない、そして型が全く同じの靴が二足という事は何処かの組織から支給された靴という可能性が高い。そして二足とも靴の大きさから察するに子供か女性だと思われる。予想としては後者だ、何処かは知らないが所属組織不明の女二人組がウチに何の用だろうか。

 

 

『相棒、強い聖なるオーラが感じられる。 アーシア・アルジェントに気を付けてやれ』

 

 

久々登場ガチの中二用語。しかも聖なるオーラって……、もう在り来たり過ぎじゃね? ネタが尽きたの?悪魔だの堕天使だのが来たから今度は天使的な何かかおい。そういうの絶対宗教混じってんじゃん、絶対面倒な感じじゃん。止めろよ、お前の中二病の発作が始まったら毎回毎回厄介事なんだからさ。切り刻んで薬味とつなぎ混ぜて団子にして鶏ガラスープで煮込んでやろうか。

 

 

『是非お願いします』

 

 

先輩共(お前ら)じゃねぇ。

 

 

赤トカゲによると、悪魔に転生したアーシアちゃんは弱点である聖なるオーラを察知し、悪魔としての本能が恐怖を感じているのだそうだ。なにそのメンドくさい体質、それ絶対教会に対するトラウマとかでしょ。〝私の可愛いアーシアちゃんを害するモノは神でも殺せ〟と母から仰せつかっているので、取り敢えずキリスト教信者は兵藤家ブラックリストに記載しとく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お客さんは客間、というよりリビングに連れられてるだろうと思い、俺の服の後ろを掴んだままビクビクしているアーシアちゃんと共にリビングへ。そこには栗毛ツインテールと青髪ショートに緑のメッシュが入った年若い女の子が二人。白いローブを羽織り、首から十字架を下げた二人は並んでソファーに座っており、対面するソファーには母がいる。

 

はて、宗教勧誘だろうか。

その昔、父にシバき倒された神父さんが「奴こそ悪魔だ」とでも言っていたらしいが、険悪な雰囲気は二人からは感じない。だから神敵滅殺が目的でもないだろう。むしろ栗毛ツインテールの方は機嫌が良さそうである。だとするならば、どっぷりハマっちゃってるガチ信者による勧誘か、はたまた法外なお布施を頂く為に母が教会へと忍ばせた草の者か。

 

後者ならば成果を独り占めする為には金銭を年がら年中亡者の如く欲している父は邪魔者である。奴の姿も気配も無いという事は、母が何らかの手を投じて他所へ追いやったという可能性が有力である。父の琴線に触れる事柄といえば――。

 

 

賭け事か裏取引、それか新しく思い付いた悪徳商売。うん、我が父ながらどれもこれも真っ当とは程遠い選択肢である。その中で今日の日付である○月×日という情報を照らし合わせ、父が喜んで外出しそうな答えを探る。

 

裏取引は確か新聞紙に包まれたちょっと重たくてゴツイ物をダンボールいっぱい持って帰り、

 

「ああ、全部確認したけどよ。メイドインチャ○ナばっかりだな、わっはっは。

 なぁに、あそこの組の連中は脳筋ばっかだから分かりゃしねぇって。

 10丁くらいは確実に粗悪品が混じってんだろうが、売っちまえばこっちのもんよ。

 暴発して指が飛ぼうが知ったこっちゃねぇ」

 

と言って何処かに電話していた。

 

取引は成立したのはしたらしいのだが、警察に勘付かれて暫くは取引は大人しくすると言っていた。悪徳商売も一ヶ月ほど前にやり始めたモノが順調に行っているらしく、これも違う。だとすれば賭け事である。競輪、競馬、競艇、パチンコ、カジノや博打屋にスポーツ賭博、さらには自作の賭け勝負などの可能性もある。その中でも日付とこの時間帯を考慮すれば……。

 

確か今日は新幹部就任を祝して確か今頃△◇競馬場で地元ヤクザ還元の出来レースがあったはず。何番が勝つように仕組まれているのかさえ分かれば、これほど鉄板なレースは無いだろう。確実に勝つ馬が決まっているのならその馬にピン賭けしておけばかなりの金が手に入る。そして母はその勝ちを決められた馬の情報を奴に渡したということだろうか。

 

ということは教会のお布施は出来レースよりも利益があるということになる。なるほど、他者に少しばかりの蜜を与え、その隙により多くの蜜を掠め取る。なんと狡猾なやり口だろうか、流石は我が母である。俺は尊敬の念を込めてジッと母を見つめる。すると俺の視線に気付いた母はこちらに向いてにっこりと笑いかける。

 

 

「あら、おかえりなさい、アーシアちゃん、イッセー。

 ちなみにイッセー、今日△◇競馬場で行われるはずだった第三レースに地元ヤクザ連中並びに要注意危険人物が姿を見せるっていう情報が県警にリークがされたらしくて、今日のレースは中止になるそうよ」

 

 

前言撤回、一滴たりとも蜜を与えてなかった。

 

全部自分の総取りである。リークも恐らく母の仕業だろう、警察という国家下治安維持組織と何らかのコネクションを持っているからこそ出来る芸当だ。ただの一般人ではない母からの情報提供だ、無碍にはせず警察も今後警戒して巡回を強化することだろう。現在科学技術が目覚ましく発展しており、その最新技術を存分に扱える法の犬の視線を掻い潜りながら、本来違法である出来レース開催は難しいだろう。そこで母は恐らく警察の方へ手を回し、見逃してもらえる環境を整えて地元ヤクザにその環境を提供。お礼にはたっぷりと諭吉さんがお越しになることであろう。いやいや、もしかしたら前金を地元ヤクザから徴収し、警察の手は伸びないと思っていた所に警官突入。情報提供及び善意による協力によるお礼という名の諭吉さん達大勢を迎え入れたりするかもしれない。なんという素晴らしい作戦なのであろうか、夢が広がるというものだ。というより何も言ってないのにこっちの考えが筒抜けである、何この人悟り開いてんの? 心の声聞けちゃうの?改めて尊敬の念を強めた視線を送る。

 

 

「イッセー、あんたが思ってる様な面倒な事して稼がないわ。

 もっと楽で簡潔にいっぱい稼げる事をしなきゃ」

 

 

どうやら客である信者達は母の回し者ではないらしい。しかし母の口振りからすると他のことで今現在稼いでいるようである。だがご本人様である母はこうして自宅でのんびりとしていらっしゃる。他の誰かが汗水垂らして母の為に諭吉さんを掻き集めているのだろうか。

 

頭の出来が根本から俺や父とは違うらしい。尊敬が崇拝になりそう、やっぱり現人神として崇めてもいいレベル。司るのは悪と知恵と力と金、考えられる限り最凶最悪の邪神誕生である。

 

 

「あははは、相変わらずね」

 

 

俺が片膝をついて目の前の邪神に祈りを捧げようとしたら、栗毛ツインテールが俺達を見て苦笑しながら言う。はて、その言い方だと何処かで会った事があるようだ。首を傾げて不思議そうにしていると、母が例のアルバムを持ってきて一枚の写真を俺に見せる。そう、木場ちゃんがガン見していたあの写真である。昔親交のあった一家とウチの一家との集合写真。俺と幼馴染が並び立ち、その後ろでにっこりおしとやかな笑みを浮かべる無敵のマザーズと完全にカタギじゃない笑みを浮かべるキチガイファザーズ。

 

 

「覚えてない? ほら、昔仲が良かったイリナちゃん」

 

 

母の口からその名前を聞いて思い出した。小学生の時よく一緒に遊んで、イタズラして、好き勝手しまくった女の子。頭が現代医学では治療不可能なほどイッちゃってる父親を持つ幼馴染。海外への引越しが決まり、最初は泣きながらも結局めちゃくちゃやる気で海外へと発った悪友。その子が約十年ぶりにこの地へ戻ってきた。

 

なんて声を掛ければいいのか。

そう思っているとイリナは懐かしむような笑みを浮かべてこう言った。

 

 

「久しぶりだねイッセーくん、またこうして会えた事、私はすっごく嬉しいよ。

 でも、お互い遠く離れてる内に色々と変わっちゃったみたいだね」

 

 

笑みによって細められた視線の先は、俺の隣にいるアーシアちゃんに向けられていた。

 

 

 

 




悪巧みしてるのは主人公ではありませんでした。
てゆうか主人公って大抵は善人だよね?なんでこの小説の主人公はこんなんなんだろう。しかも家族が一番悪いって…、まぁそんなこともあるよね。

感想欄見て思ったのが、感想に対してGOODとBADの評価がつけれて、BADが五つ貯まると一先ず非表示になるんだね、知らなかったよ。そして前話の後書きにて不快になった感想が気付けば非表示に…。ウチの読者の仕事が速すぎる!ビックリしたよ!作者なんて未だにGOODとBADの付け方分かんないのに!でもまぁ、なんとなくありがとうございます。

いやぁ、しかし本編についての感想の少ないこと少ないこと。他の小説の感想欄なんて「この場面が面白かった」とか「このキャラのこの行動に感動した」とか詳細な内容にピックアップして書かれてたりしてました。こういうのだよ作者が求めてんのはさぁ。
この小説の感想なんてな…。
【一言】
何かこの小説を友達に紹介したらホモになって俺のケツを狙ってくんだけどどうすればいいと思う昨日掘られかけた(涙)

知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
もうお前の純潔なんて捧げちまえ! 異国の地で籍入れて幸せに暮らせバカタレが!
なんなんだよこの差は!こんなのあんまりだよ!こんなのってないよぉ…!

取り乱して申し訳ない。しかし前回は作者におめでとう的な感想が多かったので変態は少なかったです。まぁそれでもいたのはいたんですがね…。でも褒めてくださる読者様もいらっしゃいまして、登場人物の心理描写や戦闘シーンなどを褒めていただいたりしました。なんともありがたい、ありがたいけど作者は恋愛描写になると全然キャラが可愛くないのです、そして情景描写も下手くそです。誰か才能分けてくださいな!

さて質問ですか。イッセーくんとサーゼクスさんはどっちが強いのか。
いえいえ、ここらへんは不透明に書いていたので謝っていただかなくても…、こちらが申し訳ない。
肉弾戦ならイッセーくん、魔力使うならサーゼクス、何でもありの殺し合いなら苦戦しながらもサーゼクスの方が強いでしょうね。生きてきた年月、積んできた経験が違います。もちろんこれはお互いノーマルの状態なので、サーゼクスの超越者状態とイッセーくんが神器使いこなしたり禁手に至るといろいろ変わってくるかと。でもイッセーくんが覇龍使ったら無条件で大抵のキャラよりは強いでしょうね、多分使ったらイッセーくんは死ぬでしょうけど。
まぁ色々と物語が進むごとにイッセーくんの抱える爆弾とかが分かってくる筈です。そこら辺はそこそこ考えているので、全部を詳らかには出来ません、謎のままとっといてください。

さて、最後に。
【一言】
とりあえず誕生日おめでとうございます。折角のおめでたい日ですからたまには真面目な感想を書きたいと思います。まだ原作は全然進んでませんが、この作品がどんな展開でどんな終わりを迎えよとも最後までお付き合いさせてもらおうと思います。どんなことがあっても挫けずに完結まで頑張って下さい。以上たまには真面目になる俺からの応援メッセージでした

これからも頑張っていく所存ですので、どうかよろしくお願いします、読者の皆様方。
ではまた次回、さようなら。


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