なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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お久しぶりです、黒鬼です。
兄の襲撃、同学科の男子のセクハラ、男子と兄の対峙、友達のレズ化。
様々な事がありました。
しかし黒鬼は生還してまいりました。
細々と頑張っていきたいと思います。


じゃ、ダラっと行くのです。




『なんやかんやで顔合わせ?』

 

 

 

――駒王学園球技大会。

 

 

この行事は部活対抗戦やクラス対抗戦、男女別競技などが存在する。

野球やサッカー、バスケにテニスと球技と名のつくものを一日フルに使い楽しむという行事。

特に部活対抗戦には各部気合が入っている。

文化系や運動系など関係なく、部活である以上は強制参加なのである。

その上競技内容は当日発表。

面倒なことこの上ないのでサボりたいと常々思うが、我らが部長さんのやる気が半端ないのだ。

 

 

一昨日はサッカー、昨日はテニス、そして今日は野球。

めぼしい球技を一通り練習させられている。

もちろん強制参加である。

俺がピッチャーマウンドに立ち、塔城後輩がバッターボックスに入る。

ボールをギュッと握り締め、テレビで見たプロの選手のフォームをなぞる様に、

大きく振りかぶってぶん投げる。

球が通る直線上に砂嵐が吹き荒れ、けたたましい音と共にバッターへ向かって飛んでいく。

もはやデッドボール覚悟である。

補欠選手すら足りなくなるほど退場させれば試合続行不可能となり、勝てるんじゃね?

そんな素晴らしい作戦を思い付いたので、俺の投球命中精度を確かめたかったのである。

しかしバッターボックスに立つ塔城後輩もただ立っているだけではない。

俺の狙いを素早く察知し、半歩ほど即座にバックステップ。

その剛速球を塔城後輩がバットの芯で捉えた。

ボールが自身の体と並ぶくらいでバットに当てる。

狙いは中央、高さはそのまま。

 

そう、ピッチャー返しである。

 

だが、バキャッ!っという音が聞こえバットが砕け散り、

ボールは空気摩擦に耐え切れず燃え尽きる。

 

…引き分けか。

 

 

「……やりますね」

 

「そっちこそ」

 

 

にやりとお互いを讃え合う。

だが次こそは()()、俺も塔城後輩もそう思っている。

 

 

「二人で訳の分からない対決をしてないで野球をしなさい!」

 

 

突如リアスちゃんからの檄が飛んでくる。

サシでの勝負に水を差すとは何たることか、お仕置きが必要かもしれない。

取り敢えずドライグはシバく。

 

 

『何故俺に飛び火したっ!?』

 

 

倍化だかバイクだか知んないけど、あの喧嘩以来たまに籠手が出てきて光るから怖いんだよ。

あれなんなの? 異様に力が漲ってきたり、脱力したりするんだけど。

その度に先輩共がフィーバーし出すし、もう処理が大変なんだっつうの。

 

 

『それは相棒が神器を制御しきれてないからだ』

 

 

えー、覇龍出来るのにー?

 

 

『歴代赤龍帝共の怨嗟や怨念は掌握しているがな、神器の扱い方自体は未熟だということだ』

 

 

なにそれ、めんどくさ。

じゃあもうダルイから使わないって方針で行きます。

大体らしくもないほどこの前から頑張りすぎちゃったから、

当分は五割増しくらいでダラっとする。

よし決めた、ダラダラっといこう。

 

そしてなにより球技大会で勝ちたいのならば、

やはり正攻法なんて面倒なことをしなくてもいいではないか。

練習とか面倒だし、当日もサボって寝たいし。

それこそ楽な必勝法があるではないか。

 

 

「……そんなものがあるの?」

 

 

リアスちゃんはこちらにチラチラと赤い顔で視線を向けながら聞いてくる。

ああ、もちろんさ。

ゲームでもなんでも攻略法というものは存在している。

それは現実でも同じ。

その中でも必勝法と呼ばれるものはパターン化されているほど有名である。

戦わずして勝つ、まさにこれこそ最強への近道。

 

 

「前日に一服盛ってやればいい」

 

「対戦相手に危害を加えない方法を考えなさい」

 

 

最近は俺の扱いに慣れたのか、

俺が何を言ってもサラッと流せるようになってきたリアスちゃん。

先程のモジモジとした雰囲気も霧散し、淡々と述べた。

割と本気で言っているのだが気に入らないご様子。

楽なのにね。

この前お兄さんに負けたことが余程堪えたらしく、

勝負に関することなら異常な意欲を見せるようになったらしい。

やる気なのはいいことだけど、俺を巻き込まないでくれると嬉しいなぁ。

 

ざっと見たところ、リアスちゃんや姫島先輩はどの競技でも余裕そうで高い身体能力を見せた。

塔上後輩と木場ちゃんは言うまでもなく抜群に強い。

もっとも、最近の木場ちゃんはどうもポケーっとしていることが多く、

リアスちゃんに指摘されることもしばしば。

問題はアーシアちゃんである。

 

 

「ほら、アーシア! 行くわよ!」

 

「はぅ! あぅあぅあぅ……あっ!」

 

 

リアスちゃんがノックしたボールがコロコロとアーシアちゃんの股下を通過していく。

慌てて追いかけようとしたアーシアちゃんであったが、ズテッと転んでしまう始末。

見ていてほっこりとした気分になってしまうが、

勝敗を気にするならチームメイトとしては喉を通りにくいモノがある。

運動神経はあまりよろしくないようだ。

しかしそれでこそアーシアちゃんらしいというものである。

試合には負けたくないが、

運動神経バリバリのアーシアちゃんは見たくないというこのジレンマ。

難しい所ではあるがやっぱり可愛いは正義なのでそのままのアーシアちゃんを貫いてください。

 

 

 

 

次の日、昼休みのことである。

教室でお弁当をもぐもぐし終えた俺とアーシアちゃんは旧校舎のオカ研部室に向かった。

最近の昼休みはこうして部室にて誰かの淹れてくれた紅茶を飲んで、

一眠りか友達と悪巧みというのが日課になっていた。

部室に入るといつもよりも人数が多い。

ソファーに座ってる人物、よく見ると常日頃からお世話になっているソーナちゃんではないか。

 

 

「こんにちは、イッセーくん」

 

「うん、こんちは」

 

 

相変わらずパリッとした美人さんである。

後ろには複数人の生徒会のメンバーを控えさせている。

そのメンバー、よく見れば見慣れた顔がいるではないか、そういえばコイツ生徒会だったっけ。

 

 

「よっ」

 

「おう」

 

 

ご存知、匙元士郎である。

場を弁えているのか、こちらに手を挙げて返事をしただけで済ました。

何の用だろうかと思っていたら、アーシアちゃんに説明する為に姫島先輩が生徒会の事を説明。

そしてまさかのソーナちゃんだけでなく生徒会メンバー全員が、

悪魔を名乗る中二病患者だという衝撃の事実。

この学校の統括を行っている生徒会執行部でさえも中二病に侵されていたとは。

もう終わりだよこの学校。

え、匙も中二病なの?

ジーッと匙を見ていると、匙がこちらに歩いてきて俺に耳打ちしてくる。

 

 

「…悪魔とか何とかよく分かんねぇけど、本人たちが満足してんだからそっとしといてやろうぜ」

 

 

匙は正常らしい。

まさかあの厳格そうなソーナちゃんが中二病だとは……。

ていうか支取蒼那とソーナ・シトリーって…、考えるの面倒だったの?

まぁリアスちゃんなんかはガチの本名でいっちゃってるからねぇ。

……あれだね、ソーナちゃんに至っては姉がセラちゃんだもんね、

精神に疾患を患っても仕方ないのかもしれない。

やっぱりソーナちゃんには優しくしてあげよう、そう心に決めた。

うんうんと頷いていると、そういえば、と匙が言う。

 

 

「お前、この前リアス先輩の婚約者シバいたらしいな」

 

「うん、人生舐めてたから教鞭を取って指導してみた」

 

「おーおー、そいつぁ可哀想に」

 

 

ケラケラと笑って匙はお兄さんを心配した。

そしてケジメはつけてやったんだろうな?、と聞かれる。

もちろんである。

いつもの様に、とまでは行かないがトラウマを植え付けるレベルだったのには違いない。

この街の人間の様に根性が無かったらしく、お兄さんは未だに引きこもっている様子。

なので恒例の〝除夜の鐘の刑〟の執行は不要と判断した。

お礼参りは面倒なのでご勘弁なのである。

 

 

「けどよぉ、最近の中二病はスゲェよな。

 この間学内に侵入しようとしたはぐれ何とかってのを殺った時に会長、

 氷を馬鹿みたいに出して操るんだぞ? ヒエヒエの実の能力者かっつうの」

 

「だったら姫島先輩はゴロゴロの実の能力者だし、お兄さんはメラメラの能力だったよ?

 いや、トリトリの実のモデルフェニックスかもしれない」

 

「幻獣種かよ、捕まえて売っちまえばいくらだろうな?」

 

「考えたけど三男とはいえ貴族の子息に手ぇ出すのは処理が面倒だよ?」

 

「そりゃそうだ」

 

 

その後も和やかかつ血生臭い世間話をしていると、

オカ研部員と生徒会メンバーがこちらをジッと見ている事に気付く。

俺も匙もきょとんとしていると、部室内の女子全員がハァと溜息をつく。

どうやら会話の内容を聞かれていたようだ。

至って普通の世間話だったのに、何故皆が苦笑いを浮かべているのか分からない。

 

 

「リアス、お互い苦労している様ですね」

 

「ええ、本当に」

 

 

なんやかんやで今日ソーナちゃん達が来たのは、互いのルーキー紹介の為だったらしい。

こっちはアーシアちゃん、向こうは匙、………俺呼ばれる必要ないじゃん。

アーシアちゃんはリアスちゃん以外の上級悪魔?とやらと会うのが初なので、

ペコペコと何度も頭を下げていた。

そういえば魔王さんと契約交わしてる俺って悪魔業界ではどんな扱いなんだろう?

立ち位置というかどれほどの実権があるのかが気になる。

 

ソーナちゃんはリアスちゃんに球技大会のやる気表明をして匙と共に帰っていった。

匙もやる気なんだとしたらなかなか手強そうである、生徒会チーム。

まぁ、いざとなれば匙が一年生の子に熱烈なラブレターを貰っていた事を男子共に密告し、

暗殺を期待するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 





お久しぶりですね。
感想も本編と後書きがどうのこうのとかいう感想と信者と変態と応援のいつも通りです。
…………なにかがおかしい。
普通、小説の感想に信者とか変態とかいるのかッ!?
いや、今に始まったことじゃねぇ、こうなりゃ開き直って頑張るよ。

【一言】
更新お疲れ様です。一誠の家庭での一幕は一般的ではないでしょうねぇ。留置所拘留にヤクザへのカチコミ、機動隊との戦闘。普通に生きている内に経験することはほぼないでしょう。しかもそんなに若い時に。一誠のこれは全てが俺に対するメッセージなんですよ。僕はここにいるよ、と一誠が俺に伝えようとしているのです。だからわざと騒ぎを起こしているのです。全ては俺への愛が溢れてしまったが故に。つまりこれらの行動は一般的だとすると世界中の人が俺への愛が溢れていることになりますからね。そんな訳ない。あくまで一誠と作者さん限定での行動でしょうね。二人は俺への愛が溢れ過ぎているようですから。もちろん俺から二人への愛も溢れていますがね。俺への思いを込めて騒ぎを起こしてもらえれば俺はいつでも駆けつけますよ。例えその結果どんなことになろうとも。全ては作者さんへの愛が溢れてしまったが故に。まぁ、つまりは俺と一誠、作者さんはそれぞれ相思相愛ってことですね。では、作者さんが俺の為に騒ぎを起こしてくれるのを待ちながらさようなら。

………本編の感想は嬉しいけど何コイツ相変わらずヤバイ……。
やはり変態道のを最先端で突っ走る御人、侮るべからず………。

【一言】
エー黒鬼サンノ感想覧ハイツモ通リ平常運転変態ハ見当タラナイット。今日モ平和ダナ!(白目)

そうだね、いつも通りだね(白目)

前回の後書きにて建国すると言った結果、たくさんの感想に建国に関することが書いてありました。
作者、どうしたらいいのかもう分かんない。
この小説の感想欄は一体どこへ向かっているのだろうか?

まぁ、今回は軽めにこんなもんでどうでしょう。
ではまた次回、さようなら。


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