なんやかんやで赤龍帝 作:黒鬼
まぁね、今話もダラっと行ってみようか。
閃光と爆音と衝撃の嵐が巻き起こり、パリーンと何かが割れる音が聞こえた。
最後の最後、俺はお兄さんに拳を当てなかった。
いつもの寸止めにしておいたのだ。
貴族を殺したら公式な場でルール上問題ないとしても、後腐れは確実に残る。
いくら魔王さんを後ろ盾に得たとしても全ては抑えきれないだろうから、
芽が出そうな部分はあらかじめ排除するに越したことはない。
視覚や聴覚に急激な刺激を受けて怯んでいる一同。
光が収まって、目を開けてみると俺の前方には何にもなかった。
なにかとてつもなく巨大なモノが一直線に引き摺っていかれた跡みたいになってた。
………あれ?
足元には寝っ転がってるお兄さんと、ビクビク震えてる縦ロールちゃん。
……うん、俺もここまで威力が出るとは思わなかったよ。
母のデコピンくらいは威力があるんじゃないだろうか。
なにそれヤバイ俺超強い、そして母が超怖い。
取り敢えずお兄さんは意識無いし、縦ロールちゃんは腰抜かしてるし、
動けそうにないから抱えて戻る。
パーティー会場に戻っても静まり返ってる、あの魔王さんでさえ黙って俺を見ている。
なので一先ずお兄さんと縦ロールちゃんを空いてる椅子へと座らせて、
魔王さんの元へとゆっくりと歩いた。
「力は十分示したと思うけど?」
このぐらいは俺にとって余裕だ、そういう態度で言う。
力は十分に余裕を持っているほどだと思わせれれば重畳である。
『あまり俺を無碍に扱うと
そんな脅しの意味合いを込めている。
魔王さんは聡明だ、俺の考えは分かってくれるだろう、
もしかしたらもっと深読みするかもしれない。
俺に少しでも恐怖心を抱いてくれたら儲けモノだ、多少の警戒心は拭えないのは間違いないが。
まぁこれで俺との契約は断るに断れない。
ここで断れば、組織のトップが一人のガキに臆したことになる、証人は大勢の貴族がいる中で。
逃げられないのは俺じゃない、あんただよ魔王さん、ガキだと思って甘く見たか。
今までのは全て布石に過ぎない。
最後の最後、本当に最後の一突きで貫き殺す為の下ごしらえだったのだ。
返りのついた針は抜けない、気づいた時にはもう遅いのさ。
メイドさんには一杯食わされたけど、魔王さんにまで良い様にされるのは嫌だったんだよね。
そう悠々とした態度で立っていたら、誰かに胸ぐら掴まれて後ろを向かされた。
やぁリアスちゃん、こんにちは。
ぽかりと頭を叩かれる。
泣きながら、ぽかりぽかりと叩かれる。
痛くはないが、避ける気にも止める気にもなれない。
「…馬鹿、どうしてあなたは無茶ばかりするの…! いくら強くても心配はするんだからッ…!」
そう言われては耳が痛い。
これで貴族とは無縁の生活はもう出来まい。
後ろ盾があるとはいえ油断は出来ないだろう、ああ面倒な。
オカ研部員のみんなも「一人で無茶をするな」と俺を叱る。
いいじゃんかー、結果としては縁談ブッ壊して破談に追い込めたんだしー。
過去の事は言ってても仕方ないよ、ダラっと
そう言ったらガチで怒られた、しょぼん。
マジで帰りどうしようとか思ってたらソーナちゃんが俺に一枚の紙を差し出してきた。
「なにコレ」
「帰りの事なんてあなたのことだから考えてないのでしょう? なのでコレを使ってください」
聞けば、帰る足としてソーナちゃんの家で使役している使い魔の一匹を貸してくれるらしい。
ソーナちゃんマジ天使、あ、悪魔だった、でも俺の好感度的に天使。
俺が乗れる使い魔ってやっぱり大きいのかな。
いや待て、デカかろうが強かろうが現世の日本に帰れなきゃ意味が無いんじゃ……。
そこも聞いてみた所、問題無いとの事。 やっぱりソーナちゃんは天使。
セラちゃんが「ソーナちゃんは完全無欠な超絶可愛い女の子☆」と称するだけはある。
「君の力は見せてもらった、やはり赤龍帝の力は伊達ではなかったようだね。
さぁ、約束通り、リアスは君のモノだ、連れて行きなさい」
いつの間にやら俺の近くまで来ていた魔王さんが言う。
あ、そっか、俺がリアスちゃんを連れて帰らないといけないのか、そうですか。
つまり契約は成立ということか、え、ホントにリアスちゃんくれんの?
いやいやいやいやちょっと待てよ待ちなさい。
リアスちゃんはグレモリー家の次期当主で婿を取らないといけなくて、
でもでも俺がリアスちゃんを所有しているという事に形式上はなってる訳だから……。
あれ? 余計に面倒なことになってきてない?
だって今後縁談が持ち込まれたら必然的に、
リアスちゃんの権利を握ってる俺が関与しないといけなくなる。
その度にこんな面倒なことしなきゃダメなの?
簡潔に言うなれば貴族社会に俺は引きずり込まれて、リアスちゃんの管理監視役に納まったと?
……………これが狙いだったのか魔王さんめ。
結局は妹が望む相手が見つかるまで俺にお世話してろ、と言いたいのか。
リアスちゃんが気に入る男が出来るまで俺に自由は無い。
しかもこんな裏の展開まで読めずに契約を成立させてしまった。
しかも俺から望んだという形で。
最悪だ、逃げ場がない。
あの魔王さんとメイドさんの事だ、隙など作ってはいないだろう。
というか隙があったら十中八九が罠でしょそれ。
「じゃあ、連れて帰るね」
リアスちゃんの手を引いて魔王さんの前から逃げる様に歩く。
これはリアスちゃんに社交会やら表の貴族の交流場に出てもらって、
相手を探してもらうしかない。
ていうかなんでリアスちゃんってお兄さんの事嫌だったんだろ?
結構ハイスペックじゃなかった? 情緒不安定だけど。
うんうん唸っていると先輩方から『鈍感イカレポンチ』と称賛頂いたので、
「イカレポンチはお前らだ」という訂正の言葉と共に本気の鉄拳も添えてお返しした。
なんと親切な子かとさぞ喜ばれることだろう。
ここでフと思いつく。
このまま帰ってもいいのだろうか。
どんな手段を用い、どんな味方や後ろ盾を得ようとも、
俺が貴族の婚約を邪魔した事には変わりない。
一般階級であり悪魔至上主義の彼ら彼女ら悪魔とやらは、
人間である俺が貴族の邪魔立てをしたという事実自体が気に食わないだろう。
どれだけ正当な理由で正当な手段を行使しようが、
自分達より格下である者の思い通りになるのは看過出来ないのではないだろうか。
そんな理不尽な思考回路をしているのが上流階級の常である。
ならばこちらの息のかかった者を敵陣営に送り込むか、元々敵陣営である者と内通するか。
難易度で言うと後者の方がやりやすい。
今の状況での敵陣営というのはもちろん今回の縁談を解消されたフェニックス家、
そして他の貴族の来賓客だ。
出来ればフェニックス家、それもフェニックス家でもある程度の権限を持つ者がベストだ。
…………ああ、ちょうどいい人材がいるじゃないか。
そう思った俺は彼女の元へと行き先を変える。
テクテクと歩き、椅子に座って未だ震えている彼女の顔を覗き込んだ。
「大丈夫?」
そう、縦ロールちゃんである。
聞けば彼女はフェニックス家の末子であり、兄妹唯一の女だ。
現当主にもかなり可愛がられているのではないだろうか。
交渉や社交会などの表舞台に特化させて教育し、
今回の様に魔王の妹と三男の婚約という一大事の交渉を任される。
かなりの信頼を寄せられているに違いない、間違いなくお兄さんよりは信頼されているだろう。
そんな彼女と親しくなり、懇意にされれば……。
フェニックス家からのアクションを激減、又は消滅することすら望める。
俺の言葉にビクッとして顔を上げ、そして怯える縦ロールちゃん。
まぁ、荒事に慣れてない女の子がアレを間近で見たらこうなるのも仕方ない。
しかもあの時は俺と相対していた訳だ。
つまりあの力が自分に向いてもおかしくない状況だったということだ。
それならばこの怯え様にも納得がいく。
「さっきはビックリさせてごめんね?」
恐慌を来している今は完全にパニック状態であろう。
落ち着いて考えれず、恐怖に心が満たされている今現在、誰かに優しくされる。
吊り橋効果が狙えるのではないだろうか?
好意を持たれるとまで行かずとも、多少の好印象は持たせれるかもしれない。
恐怖の対象である俺が謝罪の言葉を俺自身が直接口にする、そんな誠意を見せてやればいい。
きょとんとした顔で俺を見て、心底驚いている縦ロールちゃん。
少しだけ口を開いたままポケーとしている様子はちょっと可愛い。
ここで焦ってはいけない、早急に事を成そうとすればどこかで躓く。
どうせこれからは貴族とは関わらざるを得ないんだ、
なら社交の場で彼女と会う事も必ずあるだろう。
その時にでも取り入ろうとすればいい。
このまま優しくしても打算的かつ作為的だと周りに見られそうだし、
内心のボロが出ちゃまずいし、何より俺も縦ロールちゃんも疲れたでしょ。
早く休んだ方がいい、絶対いい、だから早く帰って寝ようそうしよう。
「じゃあね、ばいばい」
と小さく手を振ってみると、戸惑いながらも小さく手を振り返してくれた、可愛い。
うん、まずまずかな。
リアスちゃんの手を再び握り、引っ張って会場を後にする。
ソーナちゃんがくれた紙には魔法陣が書いてあり、そこから翼の生えたデッカイ獣が現れた。
何かは分からないが、背中に俺達二人を乗せてくれて飛び立つ。
体に当たる風が心地いい。
さぁ、魔王さんやメイドさんに一杯食わせてやる為に帰って寝よう。
………寝る子は育つんです。
いやはや、非常に勘の良い読者様がいらっしゃる様で。
そうです、そろそろタグにある勘違いをさせてみようじゃないか。
という事で次回はとある人物から、つまりは別視点から見たこの度の戦いを書きます。
他人から見たらどうなるんでしょうね、コレ。
【一言】
更新お疲れ様です。中二発言を指摘されて顔を赤くしてる一誠を想像してみた。......おっといかん、鼻から愛が溢れてきてしまったようだ。ティッシュが足りなくなりそうだ。一誠をゲイにしようとするドライグは死すべし。...とりあえず俺はどちらでもイケます。作者さんも一誠もいつでもウェルカムですよ。ムーンウォークを極めても作者さんへの道のりは遠いですね。いつになったら会えるんでしょうかね。作者さんの涙で濡れた枕を競り落とすオークションが中止になったと聞いて発狂しかけました。......でもよくよく考えれば本人に会えれば別にいらないかなぁ、ということに気づきました。用意してた金は旅費にでも使いたいと思います。では、作者さんに会うための飛行機に乗り込みながらさようなら。
……ええ、今回の後書きはのっけからこれです。
もはやどこからツッコんでいいのか分かりません、芸人さん教えて下さい。
【一言】
投稿お疲れ様です。最新話読みました。イッセーくんが無双してましたね(笑)ライザーのイチモツが封印されて不能にならなかったのは残念ですが(チッ感想覧は相変わらず荒ぶっていますね、まぁ自分もその中の一人なのですが。黒鬼さんは大学生でしたか。なんかいろいろと大変そうですが頑張ってください。次回の話も楽しみに待っています。現役女子大生って、なんか良いですね。なんていうか大人に入り掛けだけどまだ大人になりきれてないというか、妙な艶やかさを感じるというかなでなでしたくなるというか、グヘヘなことをしたくなるというか、☆♪〆<<€<+→…:=2¥$€なことをしたくなるというか、黒鬼さんLOVE、超LOVE、LOVE、LOVE、LOVE、LOVE、LOVE、LOVE、LOVEぅぅぅぅぅぅ
日本の未来はどこに向かってるんでしょうか?
ニュースを見ても政治系の問題が色々と取り上げられていますが、
そんなことより作者は自身の貞操と社会秩序の崩壊を危惧しております。
という訳でお巡りさん、コイツもです。
【一言】
貴女に恋をした。貴女に跪かせて頂きたい花よこの思い遂げるためなら万象あらゆるすべてが貴女のための舞台装置、我が脚本に踊る演者なりさあ、信者の者達よ。我らが女神のために今宵の恐怖劇を始めようその筋書きはありきたりだが何せ役者が良い、至高と信ずるよ故に我らが女神よ。面白くなると思うよ
信者さん達は着々と勢力を拡大してる模様。
近いうちに変態と信者の抗争になりやしないか、ビクビクしています。
最近スランプが酷いですが、頑張りますよ作者は。
さて、最後になりますが、作者は自らの過ちを悔いております。
何故あんな事を言っちゃったのか……。
【一言】
前回の感想で作者様に未熟といわれ、己を見つめなおしてまいりました。ムーンウォークを習得しド○キーでパピヨンマスクと全身タイツを購入し目を覚まさせていただいたお礼の為に作者様の家へと向かわせていただきます!ps.タイツはピンクです。
変態が変態してド変態になっちゃってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
誰か対テロリスト特務部隊連れてきて!
ではまた次回、さようなら!