なんやかんやで赤龍帝 作:黒鬼
じゃあ、いつものようにダラっと行くべ。
『……相棒、このままでいいのか?』
何が?
『随分と淡白に答えるじゃないか、もう動く気はないのかと聞いている』
俺の役目は既に終了してる。
もう関わり過ぎなくらいに介入して関わって、助力した。
それであの結果なら当の本人様もさぞご満悦だろうよ。
今現在、場所は俺の部屋。
もちろん一人である、両親は一階のリビングに居る。
ゲームからは三日経った。
リアス・グレモリーはゲームに負けた。
三日前にメイドさんから聞いた結果だった。
深夜に部室に集まり、震えるアーシアちゃんの隣で手を握ってあげていたのが懐かしく思える。
深夜零時ちょうど、光に包まれてゲームフィールドとやらに消えていった部員達。
送り出した後は俺は家に帰った。
かなり長引くと予想されてはいたし、ここまで俺が関わる必要は無かったのだ。
余分なほど関与した。
そして負けた事をメイドさんが俺の家に言いに来た。
しかもご丁寧に婚約披露宴の招待状まで持って。
なんでも相手であるヤンキーお兄さん、
自分が勝つ事を信じて疑わずにゲームが決まったその日から用意し始めていたらしい。
実際に勝ったのだから何の問題もない、勝者は全て正しく、敗者こそが誤りなのだから。
そして俺への招待状は当て付けのつもりだろうか。
あそこまで交渉で叩き潰しておきながら本題のゲームで負けた。
それを俺にも自覚させ悔しませるのが目的とか……。
もしそうなら随分と程度の低い、子供染みた真似をしてくれる。
保険として、一応作っておいた
あの人ならちゃんとリアスちゃんのお兄さんに届けてくれるはずだ。
アレを見て、リアスちゃんのお兄さんは何て言うだろうか。
分が悪い以前に、何一つとしてコチラの傾く裏付けが無い。
もはやリアスちゃんのお兄さん次第である、他人に委ねるというのはどうも気に入らない。
リアスちゃんからの連絡は無い。
確か婚約披露宴は今日だったはずだ、行く気はあまり起きないが。
美味い飯くらいはタダで食えるだろうが、あのヤンキーお兄さんに何こそ言われるやら。
考えただけでイライラする。
らしくない、こんな他人事で心を揺さぶられているなんて。
ゲームではかなりの善戦だったそうだ。
未経験のド素人でも細かな作戦を立て、
少ない人数でも相手の戦力を分断して戦力の集中化を防ぎ、
十日間の修行の成果を存分に発揮し、
着実に一人ずつ相手を倒して優位にゲームを進めていたらしい。
しかし相手が〝僧侶〟と〝女王〟〝王〟だけの三人になった時、
相手はそのゲームにおいて初めて連携をとったそうだ。
それほどまで格上を追い詰めたという事ではあるが、相手も本気になった。
〝僧侶〟はあくまでサポートに徹し、
〝女王〟と〝王〟が一斉に広範囲の攻撃をしてきたという。
そしてリアスちゃん側は連携も崩され、一撃が重く広範囲の攻撃の前に成す術も無く負けた。
顛末としてはそう聞いた。
それがどうした。
負けは負けだ。
敗者が悪い、勝てばよかったのだ。
どんなに不利な状況下であろうと、引けれない、負けられないモノが人生には必ずある。
その土壇場で勝利を掴めるかで今後の人生が大きく変わる。
一度負ければ覆せないのが常識だ。
ならどんな手を使ってでも勝つ為の策を練り、実行せねばなるまい。
無茶苦茶を、厳しい事を言っているのは分かるが、現実は俺達の事情なんざ考慮してくれない。
だからこそ自分でアクションを起こして、変えなければならない。
不条理を。
理不尽を。
不可能を。
自らの手で変えなければならないのだ。
俺のこの価値観や倫理観で言うなれば、今回のリアスちゃんは自業自得という事になる。
なのに俺がすんなり納得していないのは何故だ?
こんなにも俺がイラついているのは何故だ?
この展開を気に入らないのは何故だ?
分からない、分からない。
報酬か?
違う、もはや今となっては二の次だ。
俺が手を貸したのに負けたことに腹が立っているとか?
違う、そんなしょうもない事などどうでもイイ。
何故俺は、落ち着かない?
俺がイラついているのが分かっている黒歌は今、猫の姿である。
ベッドの上で座っている俺の膝の上で、俺の顔を真っ直ぐ見上げている。
艶のある彼女の黒い毛並みを撫でると、少し気分が落ち着く。
敢えて彼女もこちらに甘える事もせず、俺にされるがままとなっている。
なんと気遣いの出来るペットだろうか。
といってもほぼ人間っぽいし、会話も通じ、普通のペットと違い、意思の疎通には困らない。
ならこういう場合はなんてイイ女なのだろうか、で正しいのかな。
少しポーッとしていると、誰かが階段を上がる音がする。
その足音が近付き、部屋のドアが開かれる。
「おいイッセー、競馬でも行かねぇか。 今日は当たりそうな気がするんだわ」
父である。
「……いい、気分じゃない」
いつもなら意気揚々と着いて行くだろうが、興が乗らない。
ジッと俺の目を見て、「そうか」とだけ言う父。
部屋のドアを開けたまま俺に背を向け、黙る。
……言いたい事は言い終わったのだろう、どうしてそこに居るままなのか。
そう思えばコチラへテクテクと呆れ顔でため息をつきながら近寄って来る。
何がしたいのだろうと単純に疑問に感じていると。
「お前が何考えて何悩んでるかは知らねぇし興味も無いけどよ。
人生の大先輩様であるテメェの親父様から言わせてもらうなら簡単なこった」
右拳を振り上げて――、
「馬鹿のくせに悩んでんじゃねぇよ馬鹿が、そんな女々しいタマに育てた覚えはねぇぞ。
気に入らねぇ事があるならブッ潰せ。
盗られたもんがあるんなら奪い返せ。
生意気な奴が居るんなら叩きのめせ。
やり方なら教えてやったろうが、いつも通りで良いんだっつうの。
センチメンタル気取って気持ち悪ぃ青春ぶっこいてる暇があるんなら好き勝手暴れてこい。
ソレが兵藤一誠だろうが、俺と母ちゃんの息子だろうが」
「あうっ」
ため息混じりに拳骨を脳天に一発。
ゴンッと小気味のいい音が鳴る。
威力など全然無いが、今まで喧嘩で殴られてきたどの拳よりも、俺の中に響いた気がした。
「ったくよぉ、それこそ俺にらしくもねぇ説教とかさせんなよ。
手をひらひらさせながら部屋を出て行く父。
思わず笑ってしまった。
父の言う通りだ、馬鹿のくせに馬鹿な悩み抱えて馬鹿なりに考えてた。
何故とかどうでもいいことだ、気に入らないんなら気に入る様にしてしまえ。
あれこれ要らない事を考えても無駄だ、まず即行動が俺というモノだろう。
あれだけ悩んでいた事が、分からなかったモノが、自分の中からスッと消えていった。
『父は偉大だな』
うん、そうだね。
まだまだあのデカイ背中には届きそうにないや。
悔しいけど、ちょっと嬉しい。
どこぞの青春ドラマみたいなクサイ展開だ、自分で自分に反吐が出そう。
さぁ、そろそろいつもの俺に戻ろうか。
「イッセー…?」
人型に戻った黒歌が俺を見る。
あれこれ考えても時間が解決してくれるモノじゃないんだ。
さっき自分で思ってたろうが、自分でアクションを起こして変えろと。
と来れば、後は簡単なことだ。
今自分が何をすべきなのか、答えなど一つしかない。
黒歌の頭をそっと撫でる。
もう大丈夫、もう落ち着いたよ。
心配かけてゴメンね、迷惑かけてゴメンね。
でももう――。
「大丈夫」
俺の心は、迷わない。
【一言】
フハハ…フハハハハハハハハハ!!感想欄よ!私は帰ってきたぞぉぉぉぉ!!!
どうもお久しぶりです、今回の小説は珍しく純愛(?)物でしたね、女の子らしくてとても良いと思いますよ?どうです?今夜にでも一緒に愛を確かめあいませんか?いや、しかし何時もながら作者さんがとても可愛らしい、だが、そんな可愛らしい作者さんにもしも!万が一にでも!彼氏が出来てしまったなどと聞けば私は嫉妬の炎で狂ってしまいそうだ。その彼氏などとほざく小僧はきっと一族諸共滅ぼしてしまうだろう。どうすればいいんだ?私はこの気持ちをどうすればいい?この気持ちを何処に吐き出せばいい?夜眠る前か? いいや、違う!この小説を読んでいるときか? それも又違う!それは…この小説の感想欄に書き込む今だ!今この時この瞬間にこそ私の持つ全ての気持ちを文章として叩き込むべきだ!と、そう私は考えているのだよ、作者さん、婚姻届けに判は押して貰えただろうか?もうすでに新居の用意も出来ているんだ、駅まで徒歩3分の高層マンションの一室なんだが夜景の眺めがとても良いんだ、はやく作者さんにも見せてやりたいものだ。さぁ、荷物を纏め家を出る用意をしておいてくれよ?私はいつでも迎えに行ける、何時でも挨拶にも行ける。
作者さんの兄と言う障害など軽く踏破して見せよう、作者さんの父には作者さんを幸せにすると誓い、必要とあらば土下座だろうとなんだろうとして見せよう、さぁ、一緒に暮らそうではないか? 返事を待っているよ。ではまた何れ。
約600字強、感想としては長い部類に入るのだろうが、変態の思いの丈を綴るには短い方なのだろうかとかどうでもいいこと考えて現実逃避とかしちゃったりしてでもでもやっぱりすぐに現実に引き戻されてこういうの見ちゃって結局作者が思っちゃうのは誰か助けてーーーーー!!!
はい、始まりました。 毎度恒例の後書きフィーバー。
前回のリアスちゃんの回は意外と好評でして、皆さんの初恋とか思い出したりされたご様子。
いやぁ、純情な子って可愛いですもんね。
【一言】
作者さんかわいいなぁだけど、作者にだけは劣情感じねぇ……!たぶん俺のなかで自動的に神格化されてるだよな。ほら、熱心なクリスチャンが天使とかそういう系のエロゲーに反応しないようにつか、逆にキレてくるかのように俺は作者に何も感じない。あるのは尊敬ただ一つ。変態共よ……これが各の差なんだよぉ!貴様らが、作者に反応し発情するのは貴様らがケダモノだからなんだよぉ!俺は違う!作者を唯一絶対の神とし、崇める。そうだ!これこそが真の愛!黒鬼教の神父たる私の力なのだよ!作者を愛せども欲情しない!唯一絶対の神を辱しめるなど貴様らの頭のなかはどうなっているのだ!変態共!貴様らが真に作者を敬意するのならば、私と同じ領域に至るのだ!さあ、共に神を崇めようではないか!
って言う感じの宗教作っちゃダメっすか?
ダメっす。
彼の中では作者は相当御大層な存在に認識されちゃってるご様子。
作者の事考えるより神様仏様の事考えたほうが堅実的だよ? だよだよ?
まぁ、そんな感じです。
今回は結構真面目回でしたが、次回からはいつも通りのブッ飛んだなんやかんやです。
ギャグ100%です、久しぶりに。
もうギャグの書き方忘れちゃったよ、どう書いてたっけ?
ではまた次回、さよーならー。