なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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今回はシリアスと思わせてギャグ……、と思わせてやっぱり真面目な回。
なんじゃそらと思いますが、読んで頂ければ分かるかなぁなんて、生意気な事言ってみたり。
そうです、作者は生意気さんです、ごめんちゃい。


もうちょっと真面目が続き、その後にとんでもなくいつものギャグに戻ります。

それじゃ、ダラっと行っちまおうぜ。




『なんやかんやで本性露出』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングで未だちびちびと紅茶を啜っている俺。

正直もう寝たいのではあるが、そうもいかないのが現実である。

世知辛い世の中だね。

 

 

「紅茶、まだ残ってるけど飲む?」

 

「いいえ、結構です」

 

 

そう、妹メイドさんなのである。

俺が起きて一階に降りてきたと同時に彼女も部屋から出てきたようだ。

姫島先輩は彼女がいた事に気付いていたのだろうか?

先程の話は確実に聞かれている。

そして彼女はグレモリー家の使用人、

もし俺にやましいと思わせる所があったと解釈されていれば、

非常に面倒な事態に陥りそう。

というか俺の役目は本来交渉終了の時点で終わっている筈なのだ。

これ以上の深入りは後々面倒になってくる。

 

 

「この度の一件、色々な方々も様々な思惑が水面下で動いているようですね」

 

「みたいだね、貴族様も大変だ」

 

 

無口な印象の彼女から話を振ってくるとは思わなかった。

夜中に男女二人でシーンとした空気って痛ましいもの、ある意味助かった。

俺の持つティーカップの紅茶が減ると、ティーポットからまた注いでくれる。

その一連の動作も細部に至るまで丁寧で綺麗だ。

流石名家のメイドさん、端から端まで教育されている模様。

しかしそこまで尽くされるのも慣れていない俺は気が引けてくるというもので、

そんなに気にしなくてもいい、もっと自然体で接してくれと言ってみた。

 

 

「いえ、お客様ですので」

 

「大丈夫、そんな上等な客でもないから」

 

 

少し悩んだようだが、「では、そのように」と納得してくれた。

俺の向かい側のソファに腰を下ろす妹メイドさん。

リアスちゃんから聞いた話では、彼女自身も名家出身らしく、

幼い頃から色んな礼儀作法を叩き込まれているそうな。

 

 

「しかし、兵藤様」

 

「あー、名前でいいよ? イッセーでいい、その方が慣れてる」

 

「では、イッセー様。 今のこの状況をどう思っていらっしゃいますか?」

 

「どう、とは?」

 

 

さっきの姫島先輩との話の事を踏まえて、という意味でだろうか。

だとするなら安易な回答はするべきじゃない、ふんわりと流すのが最適だ。

よく分からない的なニュアンスで濁そう。

 

 

「んー、色々と小難しくなってるからね、なんとも言い辛いなぁ」

 

「そうですか、最近は法律も細かくなってきていますから、男性としては厄介でしょう」

 

 

うん? ……法律? ………男性?

何の事だろうか、性別の差も法の秩序もあんまり関係無いと思うんだけど。

まぁ取り敢えずは賛同しておいた方が得策か。

 

 

「……まぁ、仕方ないのかも?」

 

「なるほど、三大欲求の一つとはいえ、法で定め縛られてはどうしようもないと」

 

 

………三大欲求? …………縛られる?

一体彼女は何の話をしているのだろうか。

話が繋がってそうで繋がってない気がする。

 

 

「ゴメン、これ何の話だっけ?」

 

「はい? 思春期真っ盛りでお年頃の男子でいらっしゃいます、

 イッセー様の性欲と法律と世間のお話では?」

 

「どんな流れでいつそんな話になった?」

 

 

……いやいやいやいや、何なのこの人。

え、そういう話だっけ?

さっきのちょっとシリアスっぽい雰囲気からこんな話になるか。

何でこんな雰囲気で真夜中に女と二人で俺の性欲について話し合わなきゃならんのだ。

 

ジトーッとした目で妹メイドさんを睨んでみると…。

 

 

「まぁ、私をそんなに熱く見つめて……。

 先程から夜中の男女二人っきりという状況を活かして、

 私にその溢れんばかりの青き衝動をぶちまけて、

 持て余す性欲を少なからず私の身で発散させようとお考えなのでしょう?」

 

「ねぇちょっと待って、俺ってそんなに酷い視線向けてたの?」

 

「今のお年ならば性欲が溢れ、持て余すのも分かります。

 しかし性犯罪に対する法律や世間の目が厳しくなっている昨今において、

 いくら私のような食べ時のメイドと夜中で二人きりという、

 エッチな事しか連想できない状況になったとはいえ、一時の衝動に身を任せて、

 法と少女と(あやま)ちを犯すなどという三連発はいかがなものかと」

 

「いや、話聞けよ」

 

「ああっ、お前は黙って俺に従えだなんて……。

 メイドたる者、強気なご主人様にそう命令されるのも吝かではありませんが、

 メイドとは言え女なのです、厳しい鞭には嬉々として耐えますが、

 少しばかりの甘いアメを与えてやるのが出来る主人というものです。

 メイドとしての私と女としての私の両方をご理解頂ければと存じます」

 

「おーい誰かこの暴走少女を止めてくれー」

 

 

ピクリとも表情を変えずに言ってのけた妹メイドさん。

え、こんな性格(キャラ)だったの?

いやいやいやいや、あのメイドさんの妹がこれ?

さしもの俺といえどもコレには動揺を隠せない。

 

 

「……ソレが素なの?」

 

「はい。 姉に「あなたは必要以上に喋るな」と申し遣っております。

 私はトークには自信があるのですが、何故でしょう? 

 小粋なトークでお客様を喜ばせれますのに」

 

「いやいや、良い判断だと思うよお姉さん」

 

 

姉であるメイドさんがこの人にメイドの何たるかを教えていたらしいのだが、

あまりにも下ネタ的な発言が多過ぎる為、喋るなと言われたそうな。

まったくもって良い判断だと思う。

もし気難しいお客さんなどにそんなヤバそうな発言をカマしたら大問題である。

しかし妹メイドさん本人としてはソレが不服らしい。

何故姉がいつも自分を教育した後、異様に疲れているのか分からないらしい。

 

 

「姉にはいつも、「あなたは喋らなければ一級品なのに…」と褒められています」

 

「いやソレ皮肉でしょ」

 

 

こんなのでもメイドとしての能力はやはり一級品らしい。

ここまでこの人材を仕上げたメイドさん(姉)を褒めるべきか、

天は二物を与えずという言葉通りにしやがった神を恨むべきかは悩みどころである。

あ、悪魔という設定だから神が与えた的な発言はアウトか。

 

しかしこんな彼女でもグレモリー家という名家に関わる重要人物。

仲良くしておいて損はない。

コネクションというのは後々効いてくるのだ、人脈は広ければ広い方が良い。

何事にも幅が広がるというものだ。

 

さて、ほぼ初対面の人間と仲良くなりたいと思い、コミュニケーションをとる時、

まず何をすべきなのだろうか。

世間話だろうか、あちらの欲しそうな情報開示だろうか。

いやいや、まずは褒めるのである。

余程のド変態でない限り、褒められて嫌な人間はいない。

社交の場に出慣れていて、お世辞や社交辞令に飽き飽きしている、

という様な特殊なケースを除けば、大多数の人間に通じうる方法の一つであろう。

容姿でもよし、服装でもよし、取り敢えずは何でもいいのだ。

それも相手が女性なら容姿や仕草を褒めやすい。

やはり〝美〟を追求することに関しては女性の方が男性よりも上だろうから。

 

 

さて、この妹メイドさん、容姿は上の上である。

仕草も礼儀作法に精通しており、メイドとしての能力はやはり上等。

作戦としてはジンマシンが出るほど褒めて、

グレモリー家の財政事情の方でも探りを入れてみるとしよう。

その次はスキャンダルか裏の噂。

家政婦は見た的な情報でも無いだろうか?

同じ屋敷に居て、傍に仕えて仕事をしているのだ。

何かしらのヤバそうな事でも知っていれば御の字である。

大企業とか貴族様とかに黒い噂は切っても切れないものである。

まずは先程の紅茶の件でも褒めてみよう。

 

 

「いやぁしかし、紅茶の淹れ方一つを取ってみても、凄いね。

 流石は名家に仕える一流メイドさん、といったところなのかな?」

 

「立派なメイドになるべく、地獄の鬼も血反吐を吐く様な訓練を数々こなしてきましたから」

 

「なるほど、その過程で脳に甚大な損害が及んだのか」

 

 

速攻で失敗。

本音をサラッと思わず吐露。

だって、こんな性格(キャラ)だと思わなかったのにいきなりアレなんだもん。

そりゃ本音だって出ちゃうもんだって。

完全に暴言と取れる発言を浴びせられた妹メイドさんはこちらを熱の篭った視線で見る。

少し頬が赤く染まっているのは気のせいに違いない。

 

 

「……あぁ、上げて落とすなんて高等テクニック…。

 流石はリアスお嬢様の見込んだ御方……、ドMの扱いをご理解されていらっしゃるのですね。

 いいですわ、もっと罵ってください、このアルフィ、甘んじて受け止めましょう。

 そしてその心中に溜まったドス黒い劣情を私を罵り蔑む事で解消すればいいのですこの変態」

 

「不当過ぎる罵倒を喰らったんだけど俺。 これ訴えれば勝てちゃうと思うんだけど」

 

 

向こうの方が上だった。 色んな意味で。

コレを無表情で何の躊躇も臆面もなく言ってのけるんだから大したもんだ。

おかげでウチの歴代赤龍帝(変態の精鋭)共が名乗りを上げてるじゃねぇか。

もっと罵って? 逆に罵りながら踏まれたい? ×××××××××××××? 

死ね。

 

 

「私、イッセー様とは仲良く出来そうな気がします」

 

 

さっきのやり取りでそこそこ気に入られたらしい。

親睦を深めようとは計算していたけど、予想外の展開からの成功なので釈然としない。

そもそもコレは成功したと言えるんだろうか?

いやいや、目を付けられたと表現するのが正しいのではないかな、変態に。

我らが歴代赤龍帝共も『仲良くお願いします、性的に』と爆弾発言している。

これ一般人に言ったら訴訟モノだろおい。

まぁそれでも〝繋がり〟というものは出来た、これで何か情報でも引き出せればいいけど。

欲を出すなら、あわよくば的な考えも……。

 

 

「ですが、私はリアスお嬢様にお仕えする身ですので、全てはお嬢様次第です。

 場合によってはこのアルフィ、

 イッセー様の意に沿わない事もさせていただきますので、悪しからず」

 

「うん、覚えとく」

 

 

あちゃー、先制パンチを喰らった。

なんなの、読心術でも習得してんの?

流石は名家のメイドさん、多方面に隙がない。

 

妹メイドさんもリアスちゃんの味方、しかし彼女は姫島先輩とは違う。

容赦などしない、躊躇もない。

姫島先輩は最初に俺に対して釘を刺し、俺の行動に制限を掛けようとする事で、

俺を抑制しようとした。

しかし妹メイドさんは俺を止めようとはしていない。

事が起こるのを未然に防ごうとする姫島先輩が予防ならば、

妹メイドさんは断罪覚悟なのである。

何かしたいのならすればいい、しかし(リアスちゃん)の害になったなら容赦なく消す。

そう、コレは警告などではない、宣言なのだ。

 

 

『随分と色んな奴から警戒されたものだな、相棒』

 

 

だねぇ、しかも明らかにドライな妹メイドさんなのである。

これはこれは、敵に回したら厄介そうだ。

場合によっては全面的にリアスちゃんの味方である姫島先輩ですらも、

リアスちゃんの足を引っ張るのなら処分するということなんだろうから。

徹底的なまでのメイド気質というか、主人至上主義というか。

使用人としてはこれ以上信頼のおける人材はいないんではないだろうか。

いやもうホントにリアスちゃんの周りって良い人材揃い過ぎでしょ。

教祖様じゃねぇのあの人、一種のカリスマには間違いない。

 

 

しかしながらあのメイドさん、やってくれやがった。

確かにちゃんと助っ人選んであげてとは言ったけど、俺にも牽制出来る奴を駆り出してきた。

一杯食わされたねコレ、やっぱり大人を出し抜くには経験が足りないね、俺はまだガキか。

視野が広い、ゲームの事だけじゃなく身内にまで警告かよ、って俺身内じゃなかった。

自分の考えの浅さに対する呆れとメイドさんに一本取られた悔しさが胸に響く。

 

 

姉の面影がめちゃくちゃある妹メイドさんに、

内心悔しがりながらもお休みなさいと言って自室に戻る俺。

さて、当面は俺が悪役にならない様に立ち回りを気にする事としよう。

 

 

………前途多難だね、俺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





無表情で下ネタをブッ込んでくる美人さん、書いてみたかったんです。
イメージ的には息継ぎなくスラスラと下ネタと罵倒を吐き出してくる感じです。
いやもうホントゴメンなさい、ドMの方は必見……だったり?
姫島先輩とは似てるようで違うんですよね、感情とか一切省いてる人です。
ある意味じゃ超合理的主義、利用出来るモノはなんでも利用し、用が済めば無関心。
害になるなら消すのみ。
ねぇこれ悪役だよね、大丈夫なのこの小説。
作者の思わぬ感じでキャラが曲者になってきてるんだけど。

いやー、だいぶ感想欄も落ち着いてきました。
変態は根強く生存されていらっしゃるけどね?

新規の読者様方はこの後書きとかを見て、そして気になる感想欄を見て、圧倒されるようです。
そして悩む方もいらっしゃいます。
〝自分も変態にならなければならないのだろうか?〟と。
いやいやいやいや、無理してなる必要はないですからね!?
彼らは幼い頃から変態として生き抜くべく英才教育を施されたプロか、
自らの隠された変態性を己で見つけ出し、それを極めんとされていらっしゃる天然モノです。
その高く険しくイヤラシイ道においそれと手を出してはなりません。
生半可な覚悟では生き残れないそうです。
以上、兄の変態知識に関する受け売りでした。

なんなの、変態ってそんな高尚っぽい凄い生き物だったの!?
……色んな道にプロはいるんだなぁ、と思った作者でちた。

はい、じゃあ最後に。

【一言】
そして、先輩(変態)達の後書きを読むといつも感じる。俺もまだまだだなぁ、って実感する。
早く追い付きたいなぁ、って思う。やっぱり年明け早々巫女服で縛られてる作者さんを妄想してる程度じゃまだまだってことか。作者さん、何かいいトレーニング方法とかないですかね。

【一言】
姫島さんの考察読んでおもった。ツライ過去、現実の厳しさ、ヒトの汚さを知っていて文能もあり、兄は変態。眷属も優秀な変態に恵まれている作者ちゃんサイキョー。ああペロペロしていいですか?いいんですか!?ありがとう!!!!今から巫女服もって家に行くから全裸待機しててくださいね?お風呂?一緒に入ればいいんでしょ?

【一言】

あ…朱乃さんっ!あなたそんなこと常日頃おもっていたのですね?
いい人だ 朱乃さんと一誠きゅんに身体的に精神的に同時に攻めて責めて欲しいくらいですね
さて、私もそろそろ新しい扉を開きますか!



…………日本の破滅は近い…………、気がする。
それではまたお会いしましょう、さようなら。

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