なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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新年明けましておめでとうございます。
昨年は読者の皆々様に大変お世話になり、また大変ご迷惑をお掛け致しました。
しかしながらこうして、また本年もこの小説を書けているのはやはり、
読者である皆様のおかげに他なりません。
稚拙でつまらない文章だと思いますが、何卒、今年も末永くお付き合いくださいませ。
それではよろしくお願いいたします。



はい、新年のご挨拶を終えましたところで、今年初の投稿です。
内容は新年初に相応しくないガチなお話。

ではでは、新年もダラっと行っちゃおう!





『なんやかんやで腹探り』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅茶でもいかが?」

 

「…いただきます」

 

 

コポコポと温かそうな紅茶をティーカップに注ぎ、俺に差し出す姫島先輩。

彼女の服装は薄着で体の線がよく出ている扇情的な格好である。

しかし、別の見方をすれば動きやすい軽装、相手を油断させるような服装だ。

彼女がどこまで考えているのか、計算しているのか、正直測りきれない。

まぁ、警戒しておくに越したことはなさそうである。

ふわふわと湯気が立つ紅茶入りティーカップを眺めていると。

 

 

「飲まないんですか? うふふ、毒なんて入ってませんわよ?」

 

「……あはは」

 

 

この雰囲気じゃあシャレになってねぇよ。

まぁいい、もし本当に毒を盛られたとしても効き始めなら少しくらい動ける。

ガッツリ接近戦タイプの木場ちゃんならともかく、

姫島先輩なら振り切って逃げる事なら出来るだろう。

中学の時、ヤバそうな奴に毒を盛られた時も多少は動けたから大丈夫なはず。

 

 

警戒しながらも紅茶を一口。

口の中に広がる風味が上品で、心が少し落ち着く。

ああ良かった、毒は入ってなかった。

入ってなかったんだから喜べよ歴代赤龍帝共、なんでちょっとガッカリしてんの。

毒すらドMの許容範囲内なのか、いやもうソレで被害被るの俺だからね。

一服盛られる事を考えただけで興奮する? むしろ我々の業界ではご褒美? 

死ね。

 

 

「さて、何からお話したらよろしいのでしょう?」

 

 

にこにこと柔らかそうな、否、警戒心を凝らして見れば刺々しい笑顔を浮かべる姫島先輩。

やっぱりこの件には関わらない方が良かったのかもしれない、

と早速後悔の念が高まってきている。

彼女が何を言わんとしているか、まぁ大体は分かるさ。

 

リアスちゃんからこの人の事は少しだけ聞いている。

眷属の中でも『女王』の駒が与えられるほどの力を持ち、曰くリアスちゃんの懐刀。

〝雷の巫女〟とかいう物騒かつ中二な二つ名がそこそこ知れ渡っているくらい優秀な人らしい。

過去には色々あったらしく、リアスちゃんとは親友以上、

リアスちゃんにとっては最も信頼できる仲間の一人だそうだ。

日頃の行動からも見て分かるように、常にリアスちゃんの事を気にかけている。

ご本人様であるリアスちゃんが気付いているかは定かではないが、

リアスちゃんより一歩下がっていつも何かとフォローをしている。

 

 

そんな彼女が俺にお話があると言っている。

しかもリアスちゃんにバレない様にわざわざみんなが寝静まったこんな深夜に。

みんなに内緒の愛の告白、とかいう反吐の出そうな雰囲気などではない。

彼女が俺に抱いているのは恋心などではなく、

 

 

――――警戒心だ。

 

 

「リアスからはあなたの事を少しだけ聞いていますわ。

 私も気になりますもの、リアスが気にかけている人間の男の子、というのに」

 

 

なるへそ、一を聞いて十を知るって奴です。

姫島先輩の攻め方は、俺から崩していく気らしい。

貴族でイイとこのお嬢様であるリアスちゃんの近くをウロウロする一般市民な俺。

確かに不思議だ、ただの一般市民なら良かったのだが、

なんと俺は悪名高い兵藤家なのである。

主に父の日頃の行いのせいで、巷では知られているそうな。

その上、かくいう俺も真面目な人間ではなく、イタズラやら喧嘩やらをしている。

 

匙はヤンキーとして有名なので、

いっつも一緒にいる俺まで芋づる式に名が売れてしまったのだろうか。

『〝狂犬〟匙元士郎の取り巻きの一人、兵藤一誠』ってところかな?

よし、帰って匙をシバこう。 誰が取り巻きAじゃコラ。

 

まぁ、なんで俺みたいな人間が上流階級のリアスちゃんと一緒にいるの、

何か悪い事企んでんの?

そういう話なのですよ、これ。

 

まぁ普通はそう思うよね、うん。

いやいや、イイ線行ってると思うよ、イッセーくんは。

立場が逆なら俺もそう疑うね、間違いなく。

でもでも、今回に限ってはそうじゃないんだなー、

と言ってもどうせ信じてもらえないのはお約束。

信頼度が限りなくゼロに近しいのである、てゆうかゼロ切ってるんじゃない? マイナス?

日頃の行いの成果である、ちょっと反省。

 

 

「あなたの事、少し調べさせていただきましたわ。随分とヤンチャをされている様ですね」

 

 

あらあらうふふと上品そうな笑みを浮かべながら、

いきなりドストレートな探りをブッ込んできた。

いやはや、この人度胸あるよね。

普通、もうちょっと遠回しから攻めて行くもんじゃないの?

てか探りにすらなってないよコレ、直球過ぎてちょっとビックリイッセーくんですよ。

「私の言いたい事分かるよな?」的な意味合いなのだろう。

 

 

まぁ誤解といっても差し支えは無いのではあるが、そこまで困る事でもない。

無理にでも解かなくてはならないという訳でもないし、ほっといてもいいんだけど…。

いやいや、ゲームに支障はあるだろうか、よく考えてみよう。

俺的には勝たせたい、勝たせてやりたい。

その方が全てにおいて滞りなく上手くいくベストなルートだ。

その為に俺は本件に関わったわけであり、色々と手を回してきた、尽くしてきたつもりだ。

 

 

なら彼女、姫島先輩はどうだろう?

リアスちゃんがゲームに勝つ、又は負けることに関して彼女はどう考えているのか。

常日頃からリアスちゃんを気に掛けているほど献身的な姿勢を見せるほどだ。

リアスちゃんの味方で間違いない。

リアスちゃん自身はこの婚約を反対しており、ゲームにも本気で勝つつもりでいる。

ならばゲームに勝つことは姫島先輩にとっても望むべき事のはず。

だとするならゲームの妨げになる様な事はしないだろう、

それどころか協力的になるんじゃないだろうか。

 

 

安易に考えるならば俺と姫島先輩の利害はこの件だけに限定すると一致している。

なら何故今、このタイミングでこの話の場を設けたのか。

 

 

「ヤンチャなお年頃なの」

 

「あらあら」

 

 

ヤンチャについては適当にぼやかした。

実際に色々イタズラだの何だのしてるのは本当なのだ、

内容なんてハッキリとは言えたもんじゃない。

でものらりくらりと躱すだけでは話は進まない。

今度はこちらから一気に切り込んでみよう。

 

 

「結局、本題は何?」

 

 

ピクっと一瞬動きが止まり、こちらをゆっくりと見据える。

さて、質問は大体見当がついている、どう返そうか。

 

 

「あなたがリアスといる目的は何ですか?

 あなたとリアスでは、全てにおいて違います。

 周りの環境、家柄、種族、言動、性格、周囲からの評価、差が大きすぎるほど違う。

 そんなあなたがリアスと一緒にいるのには目的があるのではないかと」

 

「考えすぎじゃない?」

 

「あなたの事を調べたのですが、此度の一件の様に自己犠牲をしてまで、

 他者を助けて支える様な殊勝な方には思えませんでしたので、

 何か裏があるのではないかと愚考いたしまして」

 

「わはは、深読みし過ぎだと思うなー」

 

 

嘘である。

打算はある、目的もある、裏表がある。

今回の件は色々と混じって絡み合い、複雑な感じにはなっているが、

最初は打算を考えて動いた。

だから「目的など無い」とは言えない。

しかし全部を嘘で乗り切ろうとは思わない。

 

 

「だったらもし、俺にその目的とやらがあったらどうするの?」

 

「リアスの害になるのでしたら、排除……、でしょうか?」

 

「なるほど、怖い怖い」

 

 

有耶無耶にしたいが、そう上手くは行かないだろうなぁと思っていたら、

スッと姫島先輩が立ち上がる。

こちらをにっこりとした笑顔で見て、言葉を紡ぐ。

 

 

「こういう言い方をすると非常に失礼に当たるのは存じていますが、

 先程の事は強いて言えば……、忠告…、といったところでしょうか?

 私の言いたい事を概ね理解されていらっしゃるかと思いますので、私からは以上ですわ」

 

「うん、でも今は利害一致でしょ?」

 

「そうですわね。しかし物事には〝万が一〟という場合が常にありますので」

 

 

「それでは、お休みなさい」と言って俺に手を振り、寝室へと帰っていった姫島先輩。

なんというか……、印象が変わった。

食えない人かと思っていたけど、全然違う。

非常に――、優しい人だと感じた。

 

 

なんだかんだ言って、俺に目的の有無を最後までは問い詰めなかった。

先に忠告しておくことで予防線を張る、

つまりは俺に対して逃げ道を作ろうとしたという事ではないだろうか。

裏方に徹し、汚れ役憎まれ役を買い、警戒人物に温情をかける。

リアスちゃん(親友)の為とはいえ、何が彼女をあそこまで駆り立てるのか。

どれほどの恩があれば、あそこまで尽くせるのだろうか。

俺には分からない。

 

しかし俺は警戒されているとは言え、

あそこまで一途に一心に尽くす彼女を見て好感を感じている。

リアスちゃんは清く正しい。

しかし清過ぎて、正過ぎて、優し過ぎて、綺麗過ぎる。

それはリアスちゃんの良い所でもあり、悪い所でもある。

だからこそ現実の厳しさ、汚さを知っている人が傍に居てやるのがベストだ。

リアスちゃんの純粋さは今時には珍しい。

世間の厳しさを知っているかどうかの観点で見れば、

ある意味辛い過去を持つアーシアちゃんより純粋かもしれない。

 

自分の役回りや立ち位置をしっかりと理解した上で動いている姫島先輩の苦労は計り知れない。

自分を下げてでもリアスちゃんを立たせようとしている。

誰にでも出来る事じゃない、少なくとも俺如きでは無理だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな姫島先輩と俺は相容れない。

俺は俺の為に動き、姫島先輩はリアスちゃんの為に動く。

時に今回の様に利害が一致したとしても、その時だけの協力関係だ。

 

 

だから俺は彼女に対して嘘を吐く。

嘘で自分を固めよう、あくまで自分の為に。

 

しかし彼女も俺に対して嘘を吐く。

余計な争いを出さないよう、あくまで他者の為に。

 

 

場合によれば俺を排除する、と彼女は言っていたが、言葉には何も篭っていなかった。

本気で排除する気なら少なからず殺意やらが篭るはず。

そんなモノは一切無かった。

つまりは嘘なのである、ハッタリだ。

ある意味では温情をかけられたのだ。

親友の為に我が身を粉にする勢いで献身する彼女が、

その何よりも大切な親友の害悪になりうるかもしれない俺に、情けを掛けた。

他ならぬ彼女の優しさなのではあるが、あくまで俺は俺の為に。

俺らしからぬ事はするもんじゃない、らしくないことをすれば痛い目を見るかもしれない。

例え俺らしい行動をして痛い目を見たとしても、それならば納得して許容できる。

 

 

だから俺は、場合によってはその優しさに付け込む事すらしようじゃないか。

クズだカスだと罵られようが知ったことか。

全ては俺の目的である、リアスちゃんをゲームで勝たす為に。

そして俺が俺らしくある為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

互いが互いに嘘を吐き、それでも自分たちのスタンスは変えない。

彼女が常に俺に目を光らせ、俺は時にそれを掻い潜ってでも動こう。

 

 

自分勝手な俺の嘘か、他者を思いやる彼女の嘘か。

対極に位置する自己中な嘘と優しい嘘。

果たして、相手を真に騙せるのはどっちだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






自分が自分である為に、というのが彼、イッセーくんの信念の一つです。
中にはこういう考えが気に入らないもいらっしゃると思いますが、十人十色です。
そんな方にはそんな方の信念が存在されて、その信念の下に生きていらっしゃるかと。
その方はもちろん正しいのです、しかし彼、イッセーくんが間違っているわけでは無いのです。
彼には彼の生き方があり、他の方には他の方の生き方というものが確立されています。
そのどちらも正解とは言い難く、だからといって不正解など無い。
作者はそう考えてこの話を書きました。

まぁ、こんな事考える人もいるんだなぁくらいの軽い感じで流して頂ければ幸いです。


はい、何故相手が姫島先輩なのか。
いやー、含みを持たせるんならこれ以上の人物はいないんじゃないかと思っちゃいまして。
彼女には辛い過去が有り、現実の厳しさ、ヒトの汚さを知っています。
対してリアスちゃんは大貴族のご令嬢で才能もあり、兄は魔王。
眷属も優秀な人材に恵まれ、眷属の皆が経験してきた悲痛な過去というのは、
持ってないんじゃないでしょうか。
ご両親からも愛されており、そこまで苦労をしたことないんじゃないでしょうか。
壁があったとしても自身の能力が高く、環境は極上、簡単に乗り越えたんじゃないかと。
なので現実の厳しさ、苦しさ、汚さ、ヒトの裏の裏まで考えた事がないと思います。
純粋で純真で綺麗で透明、そんなヒトに書いてみたかったのです。
彼女がバカとか悪いヒトというのではありません。
体験したことないので分からないだけです、なので知っている姫島先輩が支えている。
そういう感じです。
今後の展開がどうなるか、彼女たちに幸多からんことを……。
って作者が書くんですけどね。

長々とすいませんでした、こういう裏話というか、キャラの本質を書いてみたかったのです。
では普通の後書き行きましょう。
クリスマスデートの相手、いや、悪い人じゃないんですよ?
殺さないであげてください、気まずかっただけです、ハイ。

では新年初の感想に対する返しを。
一言二言くらいで返していきたいかと。
年末、新年早々ぶっ飛びあそばされてます。
【一言】
前から思ってたけどダブルデートってデートじゃなくて四人で遊んでるだけだと思うんだが・・・
はっ!?まさかこれはデートという言葉を使うことによって俺氏に嫉妬させようという作者ちゃんの策略!?抱きしめたいなぁぁぁああああ!!!!
こほん。ところで魔法陣がかいてあるチラシで悪魔を呼び出して、作者ちゃんちょーだいって言ったら無理って言われたんだけど。誰に頼んだらいいの!?


呼べたのかよ! 凄いな!!!
現実にいるの!? 人の壁どころか次元超えちゃってない!?
一発目でこれかよ!

【一言】
この作品を読んでいるといつも作者さんを想像してしまいます
どんな風にかというと作者さんを荒縄でキュッと縛って目隠しして少しずつ痛めつけながら半裸状態にして路上に放置することを考えてしまいますどうすればいいでしょうか?教えて下さいッm(__)m


……………………自首してください。

【一言】
サンタコスか……クリスマスケーキと言ったことが思い付いた。
これはもう末期ですかね。それとも初期ですか?変態検定お願いします。
それとは別に、作者さんは年賀状何十枚になりましたか?限定された読者たちに送られる枚数です。ちなみに自分は0枚です。友達がいないわけないんだけどね…。作者さん恋人できたら報告下さい。皆さんが頑張ります。


何を!? 何を頑張る気だ! 怖いよ!

【一言】
近頃の国政はどうかと思う。
作者さんの小説を教科書にすればいい国になるんじゃね!?
てか作者さんが総理…国王になれば良いんじゃね!?


王政か!? 作者みたいな頭パッパラパーがなったら一時間で国が滅んじゃうよ…。

とまぁ、まだまだいっぱい変態はいます。しかし彼らはまだ秘めたる力を持っているそうです。
怖い。
えー、とあるお方。
あなたと関わりを持つことで関係が深まれば、
何かあった時の悲しみが増えちゃうからだと思います。
そういう悲しいのに女の子って弱いんです。

そして最後に我らがキング。
【一言】
うぅ!!ついに……ついに作者さんに春がきたのか!!赤飯用意しなくちゃ!!畜生!!涙が出てきやがる!!今日は大盤振る舞いじゃぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!
と思いました、ええ思いましたよ好きなら好きと世界の中心で叫べやァぁぁあああああああああああああ!!!!!!!作者さんはなぁ!我がつよくて、まっすぐて、気に入らないものには容赦なくて、欲しいものは鬼畜外道の極みとも言えることしてでも手に入れるそんな肉食系強欲男子が好きなんだよぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!テメェみてぇな奴が作者さんを振り向かせるなら
まずは全裸で作者さんに「我を罵って!」とハァハァ言いながら腰ふって蹴られろそうすればほら新しい道が、光が、世界が見えてくる
ようこそ、変態へ



勧誘すんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

ではでは今年もよろしくお願いしますね!
じゃ、また次回!

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