なんやかんやで赤龍帝   作:黒鬼

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こんにちは、こんばんわ。

あー、正直この話は出そうかどうか悩みました。
でもギャグ単調だと浮き沈みがないので、ここらで一つ、真面目な話を入れてみました。

イッセーくんの思っている深層心理?に少しだけ触れてみました。
もちろん賛否両論あると思います。
「いやこれはおかしい」と思われる方も必ずいらっしゃるでしょう。
あくまでイッセーくん個人の見解、モノの感じ方なので、
所詮は一個人の持論でしかありません。
皆様のと意見が合わなくとも、こういう人もいるんだなぁくらいの軽い受け止め方で読んでいただければ、そんなに不快感は感じないかと。
これを読んでどういう感情を抱くかは皆様次第ですので、
今後読む読まないはご自由にどうぞ。

シリアス的なモノが嫌いな方は読み飛ばしていただいても支障はありません。

ではどうぞ、ダラッと行こっか。



『なんやかんやでホントの気持ち』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイドさんも両家当主に伝えるとかで帰ると言ったが、ちょっと待ってもらった。

個人的に話しておきたいことがあるんです。

 

 

『根回しか?』

 

 

いやいや、ソレが通じる相手じゃなかろうに。

俺個人の、リアスちゃんのお友達としての言葉を伝えるだけだよ。

うん、ただただそれだけ。

……他意は、無い…。

 

 

「なんでしょう?」

 

「今回の婚約、リアスちゃんについてどう思ってるの? 

 メイドさん個人のお話、聞きたいな」

 

「……質問の意味が分かりません」

 

 

にっこり綺麗な笑顔で言われた。

答える気はサラサラ無いらしい、まぁそれでも血は通ってる人間でしょ。

悪魔だっけ? まぁどっちでもいいか。

情に訴える、なんて手も通用しないだろうが、何もしないよりマシだ。

それに今から言うコレは一切の打算無し、謂わば分の悪過ぎる賭け。

 

 

「助っ人、真面目に選んであげて、このままじゃ多分負けるから。 

 勝てる可能性だけはあげて欲しい。

 今回は俺が手を出す訳にもいかないし、何も出来ないから、せめて――」

 

 

このまま言ってもいいものか……、少し悩んだ。

それでも、言いたかった、言っておかなきゃならないと、何故だかそう思った。

 

 

「リアスちゃんの事、お願い」

 

 

本来、コレは俺が言うべきではない。

交渉が終わった時点で俺は既にお役御免、完全に部外者なのである。

貴族間のいざこざに、もう無関係者である俺が口を挟むべきではない。

そんな事は分かっている、誰よりも分かっているつもりだ。

 

 

俺はいつも、面倒事を嫌う。

そりゃそうだ、誰が好き好んで苦労をしたがるものか。

面倒なことからは逃げが基本、関わらない様にしてきた。

トラブルだの何だの、否応なしに巻き込まれたことは多々ある。

しかし出来うる限りでは回避に徹してきた。

 

困っている人が目の前にいたとしたら?

そう問われれば俺は迷わず、「だから?」と聞き返すだろう。

薄情だと言われればそうだし、親切さが無いと言われれば納得する。

俺は情深い人間ではない、俺は人格者ではない、俺は優しい奴ではない。

目の前で何かしらの問題が発生した場合、

俺はまず自分がどう動けばメリットがあるかを考える。

損得で物事を測る浅ましい人間、他人はそう言うだろう。

しかし何の見返りも無しに他者を助けたところで何になる?

自分にメリットが発生しないのに、人助けをする意味などあるのか?

人間が行動を起こすには理由が存在するはずなのだ。

その理由が俺にとってはメリットだったという至極簡単な話だ。

 

よくある物語の主人公と聞けば、困っている人を放っておけないお人好し。

そんな人物像が浮かび上がる。

取り敢えず誰か助ける、まぁ間違いではないだろう。

いや、むしろ高尚な、善良ささえ感じられる、言葉の上では。

しかしソレは所詮は自己満足の域を出ないのではないだろうか。

他者を助け、「他人を助ける自分はなんて良い人なんだろう」と愉悦に浸る。

本人はそう思ってないにしろ、俺は何処か引っ掛かる。

他者を助ける事が出来る、言い換えれば、他者を助けられる力と余裕があるという事だ。

無意識下で人は困っている人を見ると、

自分ならどうするかを考えてしまうことがあるだろう。

自分なら上手く出来る、自分は他人を思いやるだけの能力と余裕を持っている。

深層心理では、そうして困っている人を見下しているから、

上に立つ自分が助けてやらねば、と思っているのかもしれない。

所詮は人間、俺ほどではないにしろ、みんな浅ましいのではないだろうか。

他人を放っておけない人間というのは、

誰かに関わっていないと不安な人間なのかもしれない。

構ってもらいたいから、恩を売っておけばいい。

内心でそう計算しているのか、それとも無意識下で行動しているのか。

どちらにしても、同じ事だ。

 

こんなひねくれた事考えてる時点で、俺は上等な人間じゃないのは確かである。

あまり人に支持される様な思考ではない。

でも、俺の思っている事もあながち間違いではないだろう。

世間一般に悪いとされている行動も肯定しようとすれば肯定することは出来るし、

その反対に良いとされている行動も否定しようとすれば否定することが出来る。

人殺しは平和な環境では罪悪であり、戦争では敵を殺さなければ軍法会議ものだ。

先程の人助けを否定してみた反対に、悪の代表格である人殺しを肯定してみた。

つまり罪悪は時と場合、そして立場によって分かれるということなのだろう。

そして善良は人個人のモノの考え方によって分かれるとも言えるのではないだろうか。

そう、善悪なんてモノは人が決めた物事の基礎的判断基準に過ぎない。

状況と立場と大義名分によって変わる。

 

だから俺は自ら進んで善行をしない、偽善行為としか思えないからである。

俺の様な浅ましい人間が善行をしたとしても、何か裏がある様に思われるだろう。

実際にそうだろうし、色々と損得を考えて行動するのが基本の俺なのだ。

だから俺が、例えば人助けをしたとしても、自分で偽善行為だとしか思えない。

 

なので先程の言葉では語弊があるかもしれないので、言い直そう。

だから俺は偽善行為をしようとは思わない。

 

他人の目など気にしない。

他人が俺を見てどう思おうが、どう感じようがどうだっていい、知ったことか。

周囲を気にして流されたり自分を誤魔化す、そんなものは自分とは言えない。

空気だ、透明だ。 何色にでも簡単に染まってしまう、そんな無色だ。

俺はそんなに我の弱い人間ではない。

自分の色を持っている、何かに染まってやるつもりなど毛頭ない。

我が儘で、自己満足で、自己完結。 どれも俺に十分当てはまる。

誰かに好かれる様な人間ではない事は自覚している。

真面目に生きている者からすれば目障りなこと極まりない人種だろうよ。

言うなれば、〝社会のクズ〟とも言えるだろう、実際に教師に言われたことすらある。

他に合わせられない社会不適合者、言い得て妙である。

言葉としては正しい、実に俺を表している。

しかし、他人に合わせなけれなばならない、

〝個〟を殺して〝全〟になる事を強要するのは如何なものか。

こちとら納得で好き勝手しているのだ、自ら望んで他と外れた事をしているのだ。

本人も納得しての事なのだ、血も繋がっていない赤の他人が何を口出ししているのだと思ってしまう。

これこそ〝多い方が正しい〟と感じる集団心理に支配されている日本社会の現状を垣間見た。

と大げさに言ってみればこうなる。

それでも薄っぺらい虚偽や欺瞞で塗り固めるくらいなら、俺はそのままを貫く。

俺自身に、俺の中心を狂い無く貫通している〝芯〟を曲げるつもりは微塵も無い。

 

 

それなのに、今回はどうだろう?

確かに今回の件も、報酬(メリット)に期待して動いた。

ドライグにそそのかされた、という訳ではない、キチンと自分で考えて行動した。

俺は他人を思いやって助けてやる様な、

出来た人間じゃないのは俺自身が一番良く分かっている。

それでも、今回はリアスちゃんの事を多少なりは考慮して動いた。

俺自身で泥を被る様な真似をした、今までの俺では到底考えられない。

この釈然としない気持ちは何だ? 何故俺は今回こんな事をした?

自分で自分の感情が、行動が理解出来ない。

 

 

リアスちゃんを心配しているとも取れる俺の言葉を聞いたメイドさんは、

ジッと俺の眼を見つめる。

違う、俺は心配なんぞしていない。

他人を思いやるなんて俺らしくない、柄じゃないんだ。

 

この人は、メイドさんは恐らく他者を見る眼が肥えている、そういう人種だ。

他人の本質、本懐がある程度は分かっている事だろう。

俺の発した言葉をよく吟味し、俺の感情の揺れを見ている。

そう易々と心の内を見せてやるつもりはないが、完全に隠し通す事は出来まい。

メイドさんはゆっくりと俺に近付き、俺の眼を銀の瞳で見つめたまま、俺に問う。

 

 

「……それは誰のお言葉ですか?」

 

 

交渉代理人の、人間の、友達の、知り合いの、赤龍帝の、第三者の、誰のお言葉ですか?

 

そう言ってる様に聞こえた。

いやいや、俺はそうじゃない。

今の俺は、少なくともそのどれにも含まれない。

なら、今の俺は誰だ。 今の俺は何だ。

自分でも自分自身に問いかけてみる。

 

なに、簡単な事じゃないか。

そんなものはとうの昔から決まってる。

 

俺はふるふると頭を横に振った。

中二病とかなんとか、色々あるけどそれらも全部、一旦横に置いとこう。

ああそうだ、色々とごちゃごちゃ言わせてもらったが、結局は変わらない。

俺が俺の事を分からなくとも、俺がどれだけ混乱していようとも。

さっきの言葉が何なのか、誰のものなのか。

分かりきっている。

 

 

さっきの言葉はただ、純粋に――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兵藤一誠の言葉だよ」

 

 

他でもない俺自身の、嘘偽り無い想いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はいどうも、作者です。


えー、主人公に対する読者さん方の評価が両極端でした。
ある人は可愛い、ある人は魅力が無い、ある人はカッコイイ、ある人はウザイ。
0か100かみたいな評価ですね、ある意味凄いかも。
そして前回と前々回の話でヒロイン達の評価が下がっているかもしれないと危惧した作者、
何をトチ狂ったのか、今話で主人公の好感度を下げる様な話を書いてしまった。
まぁまた次回からギャグに戻りますけどね。

感想は新規の読者様が結構な数の感想を送ってくださっていました。
いやはや、ありがたいです、頑張ります。
変態も数は減りつつはありますが、未だしっかりと生存が確認できます。
奴らは不滅かッ、とびっくり作者。

まぁ今回はこれくらいでさようならさせてもらいましょう。
後書きが無いから面白くないという嫌な感想は、
くれぐれも内心で思うだけでとどめておいてくださいね。
ではさようなら(ヾ(´・ω・`)





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